会報 第47号

Rise 第47号 2018年02月10日発行  Rise0047.PDF

朝鮮戦争-世界核戦争絶対阻止

国境を越えた労働者の国際連帯で戦争を革命に!

天皇制を打倒し改憲・戦争の安倍を倒そう

     

(写真 リムパック・環太平洋合同演習、空母「レーガン」と各国の艦隊)

朝鮮戦争は核戦争

国際連帯で 戦争を革命に!

滝山

侵略戦争か 革命戦争か

 人類は今、世界史的な分岐と歴史選択のときに直面している。世界核戦争を許し三度、人類を地獄の惨禍のなかに叩き込むことを許すのか、それともその戦争を世界プロレタリア革命に転化し、人類の新たな未来を切り開くのかという歴史的な選択である。
 言い換えれば戦争と人民虐殺によってしか延命できない帝国主義ブルジョアジーと、革命で全人民の人間的未来を獲得しようとするプロレタリアートの「階級戦争」の選択だ。
 さらに言えば、1%の利益のための「帝国主義侵略戦争」か、99%の労働者階級民衆が自己解放的に生きるための「プロレタリア革命」かのいずれの側に身を置くかという世界史的選択である。侵略のための不正義の戦争か、革命のための正義の戦争か、この選択は兵士・自衛官も例外ではない。むしろこの選択は、兵士・自衛官にこそ問われている。
 なぜなら帝国主義侵略戦争に動員されるのは古今東西、常に、被抑圧階級人民であり、「軍服を着た労働者・農民」である。「生活のために入隊した労働者、農民、大衆」である。「国を守るため」「家族を守るため」という名目で労働者、農民、大衆・住民が前線と後方支援(「銃後の闘い」)に動員=駆り出され、銃・兵器を持たされて「敵国」とされるその国の労働者民衆を殺し、殺される戦場に否応なしに送りこまれてきたのが労働者民衆である。そしてそれを拒否したり、戦争に反対する者は「国賊」として投獄され、処刑されてきた。
 今、これら全ての歴史を見据えながら、戦争に絶対反対し、革命で帝国主義ブルジョアジーを根底的に打倒するプロレタリア世界革命への総決起が世界の全労働者階級民衆に強く求められている。
 戦争絶対反対は世界の全労働者人民の共通の普遍的意識であり、労働者階級の非和解の階級意志である。その階級意識が「国際主義とプロレタリア世界革命」の選択という必然性を規定している。

世界核戦争情勢

 世界戦争はすでに始まっている。それを端的に示しているのが朝鮮戦争の切迫情勢だ。
 北朝鮮・金正恩が核・ミサイル開発で米帝を挑発し、これに日米が極限的な政治的・軍治的重圧を加え「北朝鮮壊滅」を叫んでいる。この構造の核心にあるのが米帝の核独占である。
 世界最大の核軍事力を持つ米帝が北朝鮮への核先制攻撃の重圧を加え、崩壊の危機にある北朝鮮が体制の延命をかけて核とミサイル開発に突進している。「北朝鮮の壊滅」を目指す米韓(日)軍事演習は年々、「史上最大」規模に拡大され北朝鮮を締め上げている。 金正恩体制は北朝鮮の労働者人民に極限的な犠牲を強制しても核・ミサイル開発を断念することはない。ロシア・プーチンも「核の改良」に突進している。米帝基軸の戦後体制が崩壊し、新自由主義が破綻の深化に比例して世界核戦争の危機は高まっている。
 帝国主義間・大国主義間争闘戦の激化のなかで、米帝の没落による焦りと体制崩壊の危機感、残存スターリン主義の延命の「最大の武器」としての「核・ミサイル開発」への突進が世界核戦争の危機を促進させている。その根底に世界恐慌の深化‐過剰資本・過剰生産力状態の長期化が産業と世界経済の崩壊を促進し、世界戦争の危機を促進している。株価バブルが実体経済と無縁なところで操作されている。繰り返す激しい株の急落はリーマンを超える株暴落への合図である。
 世界の全人民を何回も殺しつくすような「核」の存在そのものが朝鮮戦争の切迫情勢を産み出し、トランプの「米国第一主義」が世界戦争の危機を激化させている。 そして今、帝国主義・新自由主義の末期的危機が、世界の保守勢力―「自国第一主義」の排外主義を台頭させている。これが世界戦争情勢を加速させているがそれは同時に、プロレタリア世界革命情勢の接近であることをしっかりと確認しよう。

北朝鮮への先制攻撃は世界核戦争へ行くつく

 韓国国防省は、平昌(ピョンチャン)オリンピックで延期している2018年米韓合同軍事演習「フォール・イーグル」と「キー・リゾルブ」を4月上旬に実施する見通しを示している。
 没落米帝トランプは、「米国第一主義」を掲げ、「北朝鮮壊滅」を叫び、ロシア・中国、中東、東アジアの三正面での核戦争を見植えた「新国家安全保障戦略の見直し(NSS)」、「核体制の見直し(NPR)」「弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)」を次々と打ち出している(後述)。主任1年目でこれらを打ち出してきた歴代米大統領ではトランプが初めてだ。それほど米帝危機が世界戦争情勢の危機を深化せているということである。
 取りざたされている「平昌オリンピック での南北融和」で、朝鮮戦争の切迫性と世界戦争の危機は、残念ながら回避されることはなかろう。そして米帝の北朝鮮への「先制攻撃」が不可避に東アジア全労働者人民の大量虐殺と大量被曝に行き着く核全面戦争の危機へと発展する。それを示しているが昨年の米韓合同軍事演習である。
明白なことは平昌後に開始される合同演習は昨年を超える「史上最大の規模」になるということである。予測される事態を見るうえでも昨年の「フォール・イーグル」と「キー・リゾルブ」 、「ビジラント・エース」を改めてみておくのは無駄ではない。併せて世界戦争情勢下の米軍の崩壊的現実も見ておこう(後述)。

「フォール・イーグル」と「キー・リゾルブ」

 同演習では、迎撃ミサイル・THAAD運用の手順訓練を含んだ東北アジア・ミサイル防衛(MD)および同盟構築のための各種の軍事的措置が取られ、対北朝鮮軍事演習は米韓だけではなく東北アジアの「同盟国・友好国」による北朝鮮包囲網としての大規模な軍事的措置訓練が取られた。そして17年の米韓軍事訓練は2016年10月の第48次米韓定例安保協議会議(SCM)で合意された、①「迎撃型抑止戦略(TDS)、②「4D作戦概念の実践指針の実行カアップ」に基づき行われた。

迎撃型抑止戦略

 その中身を具体的にみよう。
 迎撃型抑止戦略とは、北朝鮮の、①核と大量殺傷兵器使用の危険段階、②使用切迫段階、③使用段階など3段階に分け、北朝鮮の核・ミサイルに対応するという戦略で、北朝鮮が核兵器や大量殺傷兵器を使用する兆候だけを示しても、核または非核の精密誘導兵器で先制攻撃を実施する戦略である。

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オリンピック新種目に「eスポーツ」

「eスポーツ」は、エレクトロニック・スポーツの略で、ゲームでありながらも、スポーツ競技の1つとして見なされている。競技人口は1億人。ほとんどが10代、20代の青年。報道では賞金と高年収を目指し、退学して専念する青年が多く生み出され、後押しする親も出ている。中国で多い。大会の賞金総額は28億円。昨年の10月28日、スイスのローザンヌで国際オリンピック委員会(IOC)が競技団体の幹部らを集めた五輪サミットで議題に上がり、IOCがゲーム産業界などと協議を深めていく方針を決定した。すでにアジア・オリンピック評議会(OCA)は来年ジャカルタで開くアジア大会で公開競技として採用し、2022年大会(中国・杭州)から正式競技にする。年々、競技性が向上してプロのプレーヤーも多数誕生している。野球、サッカー、テニスなどのプロスポーツと同様、ゲームをする層と観戦を楽しむ人の市場が拡大している。 昨年の市場規模は世界で4億9300万ドル(約560憶円)、2020年には14億8800万ドル(約1690億円)に膨らむとの予想。昨年10月27日、国際サッカー連盟(FIFA)は新たに世界規模の「eワールドカップ2018」の開催計画を発表した。何が言いたいのかというと、直感だが、バーチャルゲームが「無人攻撃戦闘機」を戦場から離れた安全な場所で「操作する操縦士」を大量に生み出したように、「地上戦のAIロボット殺人兵器」を戦場から離れた安全な場所で操作する「操縦士」を大量に生み出す「スポーツ」になる危険性と可能性が高いということである。軍事用ロボット(AI化)は驚くべき勢いで進んでいる。帝国主義支配階級が最も恐れるのが兵士の塹壕を越えた交歓と団結である。

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4D作戦概念

 4D作戦概念とは、「探知ー撹乱ー破壊ー防御」のMD攻撃作戦。要するに先制攻撃を含む超攻撃的作戦概念である。「迎撃型抑止戦略と4D作戦概念実施方針の実行力をアップ」するという ことは、対北朝鮮先制攻撃を全面化した「作戦計画5015」(2015年作成)の具体化そのものとして実戦的に発動された。
 要するに、「北朝鮮の壊滅」を射程に入れた米韓合同軍事演習が強化され、核と通常兵器体系の構築が17年段階ですでに実戦段階に入っていることを示したのである。(Rise43号参照)。

ビジラント・エース18

 2017年12月4日から8日に実施された「史上最大規模」の米韓合同軍事演習「ビジラント・エース18」もそれであり、「斬首作戦」を含む空爆とミサイル攻撃による「北朝鮮壊滅」攻撃そのものである。当初計画では戦闘機230機の参加が11・29の北朝鮮の「火星15」のミサイル発射を受け260機に増強された。攻撃は段階的かつ連続的に行われる計画である。最初に出動する電子戦機「EA18G」3機が北朝鮮のレーダー・通信網を完全に無力化し制空権を奪う。次に通信基地を攻撃機の誘導ミサイルで徹底破壊する。そしてF22、F35ステルス戦闘機、B1Bランス・B52・B2戦略爆撃機がミサイル基地、核施設、地下軍事施設を爆撃・壊撃する。
 同時にソウルへの砲撃に向けDNZ周辺に配置されている北朝鮮軍の「戦車3500両以上を含む機甲戦力と口径240ミリと300ミリの多連装ロケット砲(WRL)や170ミリ自走砲といった常時集中配備している600門を超える長射程火砲を攻撃し破壊する。
 仮に、北朝鮮がこれらの火砲を使えば、韓国総人口の約半分の2500万人を占めるソウルに確実に着弾できる。 特に新型のWRLは、最大射程距離250㎞。韓国や在韓米軍にとって大きな脅威となっている(16年版防衛白書)。
 ソウルに加え、韓国軍の陸海空三軍統合本部がある忠清南道の鶏竜台を直接攻撃することも可能である。韓国中部・京畿道、平沢市にある在韓米軍の2つの主要基地、米空軍の烏山基地と米陸軍基地のキャンプ・ハンフリーズに対しても、直接、一斉砲撃ができる。
 加えて北朝鮮は移動式の短・中距離ミサイルをすでに実戦配備している可能性がオリンピック開幕前日の北朝鮮軍治パレードで示されている。在日米軍基地も射程内にある。

 ここで1994年の朝鮮核戦争危機の当時に策定された「作戦計画5027」を見てみよう。
 同計画は初期地上戦を前提にした米韓連合軍司令部の基本戦争計画である。「作戦計画5027」には次のような分析がある。
 「北朝鮮の短期電撃戦略は、米国の増援の朝鮮半島到着前に、韓国の一部又は全土を占領するために、戦争の初期段階において、奇襲の成功を想定している。約100万人を数える北朝鮮地上軍は、歩兵、砲兵、戦車、機械化及び特殊作戦部隊を含む約170個の師団及び旅団から成る。計約60個の師団及び旅団が、平壌ー元山線南方に配備されている。北朝鮮は、国境近隣の前方基地にその緊要戦力の過半数を配備している。兵員70万人、砲兵システム8000門、及び戦車2000両を含むその現役部隊の70%は、非武装地帯から160㎞以内で守備に就いている。この戦力の大部分は、前方地域だけで4000ヶ所以上の地下施設を含む地下施設により防護されている。その現在地から、これら部隊は、最小限の準備で攻撃を行うことができる。このことは、韓国に対する奇襲がその部隊の事前再配置なしに、いつでも可能であることを意味する」。
 北朝鮮の前線配備の司令部、砲兵陣地などは偽装も含め、山の地下、トンネル内に構築されていることは米韓軍が認めているところである。だが、衛星情報では地下・トンネル内の全ての情報を掌握できないのは自明である。
 先制攻撃をもってしても北朝鮮の指揮・管制・軍事力の完全破壊は不可能である。
 要するに、米帝の「限定攻撃」にしろ、「先制攻撃」にしろ戦端が開かれれば、北朝鮮・中国の即反撃から全面戦争になる。
 「作戦計画5027」分析当時と比較しても北朝鮮の核・ミサイル能力を含む軍事力は飛躍している。これらを先制攻撃で完全に破壊するというのが、昨年末に実施された米韓軍事演習「ビンジラント・エース18」である。
 1度に600ヶ所の目標物をレーダー探知する早期警戒管制機「E8ジョイント・スターズ」が260機の戦闘機に攻撃目標を優先順位で指揮・管制する。これらに加えて米韓の弾道ミサイル攻撃が加わる。「作戦計画5015」‐「斬首作戦」とは北朝鮮の地下施設を核と地中貫通弾(バンカーバスター)などで徹底的に破壊するということである。劣化ウラン弾である貫通弾自体が核汚染・被曝を生み出すが、戦術核の全面先制使用以外に北朝鮮軍事力の壊滅など、成立しない。金正恩を含む北朝鮮指導部を核攻撃で一挙にせん滅・解体するというのが「斬首作戦」である。限定攻撃や特殊部隊の戦闘では成立しないのが朝鮮戦争である。

(写真 米空母2隻(レーガンとカールブンソン)と共同訓練する海自護衛艦「ひゅうが」 艦艇12隻 2017・6・1)

朝鮮戦争絶対阻止 侵略戦争を革命へ

 だが果たして、北朝鮮を一挙に「壊滅」すると豪語するトランプ発言は可能なのか。結論を言えば、不可能である。
 仮にそれを実現しようとするならば、それは、先制的全面核攻撃による文字通りの「北朝鮮軍事力の一挙的解体」以外には成立しないのである。そしてそれは「史上最大規模」の核戦争となり、世界核戦争に発展する。東アジアは破壊され、労働者人民、兵士も核汚染・被曝の真只中に放り込まれるということだ。全世界の労働者階級人民はそのようなことを断じて容認しない。
 核全面先制攻撃後の「戦果」と「北朝鮮の核・化学兵器の奪取」に向け投入される米韓特殊地上部隊は「空母レーガン」の乗組員以上の被曝を強制されることになる。 戦争は革命によってしか止めることはできないのだ。帝国主義打倒・スターリン主義打倒の世界革命へ! 安倍・トランプをゼネストで打倒しよう!

中国・ロシア・中東「三正面戦争」に追い込まれた没落米「国家戦略」の転換

新「国家安全保障戦略」

 昨年12月18日、米国防総省は新「国家安全保障戦略(NSS)」を発表した。米帝の「死活的利益」を、①米本土を防衛する、②米国の繁栄を増進する、③力による平和、④米国の影響力を拡大する、の4本柱で押し出した。
 米帝の没落とトランプ政権の危機が米帝支配階級を突き動かしているということだ。
 そして地域的な「直面する脅威」としては、第一に、中国とロシアをあげ、「戦後秩序の変更を試みる「修正主義勢力」と規定し、第二に、北朝鮮やイランを「テロを支援し、大量破壊兵器によって地域を不安定化」する「ならず者体制国家」と位置づけている。第三にイスラム国(IS)など武装組織を「多国籍組織」として言及している。
 マクマスター大統領補佐官は、「中国が規則に基づく経済秩序に挑戦する経済侵略をしている」と言明し、中国とロシアを「国際秩序を傷つける修正主義国家」と規定している。
  
 米国防総省は、米帝の「死活的利益」を推進するために「保護貿易主義」を貫き、「非核兵器による侵略を予防するための『核兵器の先制使用』」を明確に打ち出した。
 「核抑止戦略はあらゆる紛争を防ぐことはできないが、核攻撃、非核戦略攻撃(※通常兵器の弾道ミサイル攻撃など)、大規模な通常侵略を防ぐために不可欠である」、として「核兵器の先制使用」を明記し、オバマ戦略から完全に転換している。これが没落米帝の選択と転換である。

 帝国主義として延命するためには、核戦争で世界中の労働者民衆の虐殺を繰り返し、地球そのもも破壊する。それが米帝だ。
 その根底にあるのが、世界大恐慌と過剰資本・過剰生産力状態、米帝の国内基幹産業・製造業の海外移転ー貿易赤字増、過剰資本と金融緩和による実体なきバブル経済の破綻は必至。さらに圧倒的な軍事力の優位性の喪失と基軸帝国主義からの完全な没落、国内支配体制の崩壊的危機が米帝支配階級を締め上げている。

「核戦略体制」の見直し

 米帝はトランプ就任後の1年以内という時期に新国家安全保障戦略を発表し、さらに「核戦略体制の見直案」を出してきた。これは歴代政権のなかでは初めてだが、トランプ政権の日米、米中首脳会談とアジア歴訪の総破綻が核先制攻撃‐世界核戦争への戦略的転換を明文化し、公表したということである。
 トランプ政権の核戦略の中期指針「「核体制の見直し(NPR)」は、没落米帝の危機と焦りがその土台にある。
 ロシア、中国に対する「圧倒的な優位」を確保するために、「局地戦攻撃」で戦術核攻撃を前提にした低爆発力の小型核の開発・配備だ。これを弾道ミサイルに搭載する。国際的世論である「核廃絶」と真逆の核戦略体制の見直しである。没落米帝の最悪のあがきだ。

 通常兵器より核兵器の役割を拡大し、核攻撃の抑止・反撃に限定しない方針を中期指針に盛り込んだ。新指針は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の「核戦略の三本柱」を堅持(更新)しながら、一方であらゆるレベルの「抑止力を保つ」ために「柔軟な核能力」を持つとしている。
 北朝鮮などの核・ミサイル施設への攻撃はもとより、小型核使用の対象を、米帝や同盟国などに対する核以外の戦略的拠点・施設への攻撃や市民や基幹インフラ、核施設などへの通常兵器による攻撃が行使された場合も核攻撃が可能としている。核使用の「緩和」などというレベルではなく、「核」を「通常兵器」として使用することを明文で転換している。
 米帝は現行計画でも「空中発射型」小型核弾頭の開発は推し進めている。これに加え、海洋発射型の小型核弾頭開発方針が盛り込まれている。原潜や水上艦から発射できる核巡航ミサイルの新規開発も推進する。開発コストを抑えるとして、退役した核弾頭搭載型巡航ミサイル「トマホーク」を改良ミサイルにすることも打ち出している。
 朝鮮・中国、ロシア・ウクライナ、中東の三正面戦争を激化させている米帝トランプの全面核先制攻撃の運用を促進し、拡大する「新核戦略」である

 三正面戦争で核使用のハードルを低くし、繰り返すが「核兵器」を「通常兵器」並みに使用するとしているのだ。それは没落米帝トランプの世界核戦争への絶望的なあがきと踏み込みだ。核先制攻撃の運用拡大は、核による反撃をも不可避とし、全面核戦争となるのは不可避である。まさに世界核戦争宣言だ。世界中の労働者民衆への大量殺人攻撃と被曝の強制、人間や生物を絶滅する攻撃である。
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中国空母に電磁カタパルト

 中国が上海江南造船所で建造中の2隻目の国産空母の艦載機をリニアモーターで発進させる電磁カタパルト(射出機)を採用する見通しが報じられている。だとすれば就役が大幅に遅れるであろう。カタパルトは英帝が開発し、米帝が独占的に運用している。昨年7月、40年ぶりに就役した米空母「ジェラルド・R・フォード」は、レールガン原理と同様の電磁カタパルトを搭載している。中国の建造中の国産空母はロシアのスキージャンプ方式。同方式では艦載機の重量・搭載兵器におのずと制限が出てくる。
 上海市のリニアはドイツから導入したもの。2016年10月に、広東省清遠市政府と中国鉄建(CRCC)が設立した「中鉄磁懸交通投資建設有限公司」が100億元(約1599億円)を投じてリニア路線を建設することで協議が成立し、同路線は2018年末から使用が予定されている。日本のリニア研究・開発のスタートは、新幹線が開業した1964年の2年前だ。
 リニア後発・中国の電磁カタパルトへの変更は、サイバー攻撃による設計図・データー取得が指摘されている。
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サイバー攻撃にも核戦争

 米国防総省は、サイバー攻撃に対しても核使用を排除しないとしている。
 サイバー戦争は激化している。国家・国家安全保障機関、軍需産業、企業へのサイバー攻撃で情報を奪取する。情報を破壊する。ミサイルなどに組み込まれた電子システムにサイバー「ウイルス」を埋め込むなど様々な攻撃がある。 周知のように、米国家安全保障局とイスラエル軍の技術者がイラン中部ナタンツのウラン濃縮施設の設計図を盗み取るソフトを開発し、ウランを濃縮する遠心分離器などに関する情報を収集、さらに、その情報を基に遠心分離器の回転速度を変更させるウイルスを作成してナタンツの施設に侵入させ、08年には分離器の一部を破壊している。米帝とイスラエルがイランの核施設に対し6年にわたりサイバー攻撃を続け、2010年にそれが明るみに出た後も作戦の続行は命じられていた。逆にイランは、2012年4月、CIAの最新鋭ステルス無人偵察機RQ170を電子戦攻撃で無傷で奪取している。RQ170は、衛星との通信リンクが途絶えた場合には、RTBという基地帰還機能があるため、機体は自動で出撃した基地に戻る。だがイランは妨害電波で、RQ170と衛星との遠隔操縦システムとの通信リンクを切断、RTBで自動操縦モードに移行したRQ170に偽りのGPS信号を送り、イラン国内に誘導し着陸させている。

弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)

 米国防総省は今春、中長期戦略「弾道ミサイ防衛見直し(BMDR)報告書を公表する。
 中露を対象に、10年先の脅威にも対抗できるミサイル防衛技術の開発を加速させる必要があると明記する。米本土ミサイル防衛(NMD)が基軸である。
 具体的には無人機から高出力レーザーを照射して発射直後の弾道ミサイルを破壊する技術開発や、多弾頭迎撃ミサイル(MOKV)開発などの推進をぶちあげている。 無人機レーザーによるミサイル破壊技術が開発・配備できれば、理論上は「上昇段階(ブースト・フェイズ)」、大気圏外を飛行する「中間段階(ミッドコース・フェイズ)」、大気圏再突入時の「終末段階(ターミナル・フェイズ)」の全過程での迎撃が可能となる。
 「上昇段階」は速度が遅い上に探知が可能で、比較的迎撃しやすいとされるが、米帝は「上昇段階での迎撃手段」は開発・配備できていない。さらに、中露が開発する新型巡航ミサイルや極超音速滑空弾などの探知能力を向上させる新型レーダーの開発、おとり弾頭の識別機能を強化した宇宙配備型センサーの開発などを打ち出すとされている。
 だが、これら全ての開発は際限ない国家予算を必要としており、オバマ政権が財政赤字による軍事費削減で開発を凍結した経緯がある。北朝鮮の核・ミサイル開発の危機を煽り、莫大な国家予算を投入し、膨大な利益を上げるのは軍需産業だ。しかも、開発結果は戦争でしか検証出来ないのだ。イラク戦争が「兵器の実験場」といわれたのは周知のとおりだ。

米の弾道ミサイル防衛(BMD)の概要

BMD用センサー

 BMD用センサーとは、敵の弾道ミサイル発射を、宇宙・空中・海上・地上から早期探知・追尾・識別する高性能レーダー/赤外線センサーである。

(写真 「SM6」は早期警戒機と複数配置のイージス艦レーダーの連携・共有で水平線の向こう側をも攻撃できる迎撃ミサイルシステム。)

様々なBMD用防衛兵器

 BMD用防衛兵器とは、BMD用センサー情報に基づき発射される様々な射程の地対空・艦対空ミサイルである。対空ミサイルは長短射程二種類のミサイルが配備されている。
 
 ◆長射程ミサイル

 長射程のミサイルは、ミサイル弾頭が最も高い高度を飛行する中間段階での迎撃を目的に開発。現在、射程の長い二種類のミサイルが配備されている。
①イージス艦が搭載する「SM3ブロックⅠA」艦対空ミサイル、到達高度500~600㎞、射程は1200㎞とされている。米海軍、海自のイージス艦が搭載するのは「SM3ブロックⅠA」。米軍はすでに改良型の「ブロックⅠB]に移行している。「ⅠB]はミサイルの大きさは同じだが赤外線センサーが二色化され、囮(おとり)識別能力が「飛躍的に高まっている」とされている。「ブロックⅠB」は通常対空戦と弾道ミサイル防衛(BMD)のプログラムが統合されたイージスBMD。「ⅠB」は13年11月現在で6回の迎撃実験が行われ、1回目の実験は迎撃に失敗、それ以降は5回連続で成功していると報道されている 
 計画では、2018年から日米共同開発の最新型「SM3ブロックⅡA」が米海軍や欧州イージス・アショアへの配備を開始することになっている。
 「ブロックⅡA」は、2006年6月23日に日米共同開発に合意。研究開発総費用は公式には21ー27億ドルで日本側負担は10 ー12億ドル(配備費用は除く)。射高1000㎞、射程は2000㎞を目標にしている。到達射高・射程ともに「ブロックⅠB]の約2倍である。2011年に地上試験、2014年に飛行試験、2015年に初の発射実験を行い、17年2月に初の迎撃実験に成功と発表され、2018年から製造・実戦配備を開始する計画になっている。
 たが、2017年6月の迎撃実験では失敗している。現地時間6月21日午後7時20分、ハワイのカウアイ島ミサイル試験場から準中距離弾道ミサイル(MRBM)の標的が発射され、イージス駆逐艦「ジョン・ポール・ジョーンズ」自身のイージス・ベースライン9・C2ウェポン・システム(BMD5・1)を用いてAN/SPY1レーダーにて標的を探知、追跡し、「SM3ブロックⅡA」を発射した。だが迎撃に失敗した。
 そして本年1月31日、ハワイ州で「SM3ブロック2A」の迎撃実験を行ったが再度、失敗した。航空機から発射した目標を「SM3ブロックⅡA」を地上から発射し迎撃する実験である。朝鮮戦争切迫情勢下、米国防総省は公には実験失敗を認めていない。
 小野寺は2月2日、記者会で今回の迎撃実験が「ブロックⅡAとレーダーなどとの連携を確認する試験」であり、それに失敗したことを認めている。その上で小野寺は2021年度「ブロックⅡA]導入・配備に向けた2018年度予算案計上維持を表明している。
 日米共同開発の「ブロックⅡA]は、イージスBMD5・1と適合化され、大型化させて「破壊力と識別能力」を向上させ、ロケットも改良し、速度を向上させ高性能化を目的に研究・開発されてきた。「キネティック弾頭はアメリカ主導で試作し、赤外線シーカーは日米で別々の方式で試作し選考するという合意」である。迎撃失敗の問題が日米いずれに原因があるかは不明だが、2018年製造・実戦配備の展望が未だ見えていない、ということを示している。
  2006年6月に初めて発射テストが行われた「ブロックⅠA」は2010年時点での配備済みSM3の大半を占めている。短距離(SRBM)および準中距離弾道ミサイル(MRBM)を撃墜可能だが、中距離弾道ミサイル(IRBM)については限定的な対処能力しか持たず、大陸間弾道ミサイル(ICBM)はレーダーによる長距離探索・追跡が可能だが撃墜はできない。
 中距離弾道ミサイルに対する対処能力を持つとされる「ブロックⅠB」は2009年7月13日に最終設計審査をパスし、アメリカ海軍で配備が始まっている。
 上記、経過をみれば「最新型SM3ブロックⅡA」ミサイルは、未だ、不透明な迎撃ミサイルであることが明白。
 昨年2月、「ブロックⅡA]が「初の迎撃実験に成功した」という報道の真偽も定かではない、と言える。

(写真 連続して迎撃実験に失敗したⅡA)

②米本土ミサイル防衛(GMD)で配備されている迎撃ミサイル(GBI)。
 3段式固体燃料ロケット。弾道頂点高度約1600㎞のICBM(大陸間弾道弾)を迎撃することを目的にしている。GBIは敵ICBMを中間飛行段階で迎撃する設計であるため射高は2000㎞ほどの能力があると見られている。
 米本土でのGBIの配備は44基。米本土のアラスカ・フォートグリーリー基地とカリフォルニア・バンデンバーグ空軍基地二ヵ所の地下サイロに配備。なお44基という数は2013年3月に、「2017年末までに配備」するという計画であり、結果は不明である。13年当時はアラスカの基地に26基、カリフォルニアの基地に4基の計30基が配備。2016年末の時点でアラスカとカリフォルニアの2基地に計36基が配備されている。
 昨年5月、米ミサイル防衛局が初のICBM(射程5500㎞)級標的の迎撃実験に成功したと発表。ICBM迎撃実験は2012年に計画が発表されていた。本来なら2015年会計年度第4四半期に実施予定であったが開発の遅れで延期を繰り返していた。
 成功したとされる実験概要は、マーシャル諸島のロナルド・レーガン弾道ミサイル防衛試験場から発射されたICBM標的に対し、カリフォルニア・ヴァンデンバーグ空軍基地から迎撃ミサイル・GBIが中間飛行段階の大気圏外で迎撃に成功した、と報道。
 
 1997年1月17日以降、米国防総省が実施した迎撃ミサイルの発射・飛行、迎撃実験は計32回。内18回が迎撃を含む実験である。成功は10回。実験における迎撃率は約56%(17年5月31日時点)。数字は米国防総省の公表だが真偽は不明だ。いずれにせよ公表が100%正直なものであったとしても約50%は迎撃不可能であることを証明している数字だ。

(写真 イージス・アショア)

 ◆短射程ミサイル

 短射程のミサイルは、弾頭が大気圏内(高度100㎞以下)から地上に落下する終末段階での迎撃を目的にしている。
①陸上配備型の「THAAD(終末高高度地域防衛)」ミサイル、射高40~150㎞、 射程は200㎞。
②パトリオット・ミサイル(PAC3/PAC3MSE)、射程は20~30㎞の二種類である。
 
 「PAC3MSE」は、現用のPAC3に比べ、弾体の直径を太くし推力を増やし、射程距離が50%増の約30㎞に改良。また、弾体中ほどにある翼の幅を小さくし、後部のフィン(操舵翼)を大型にして機動性を高め、同時に折畳み式にしてPAC3キャニスター(発射筒)に収めることができる。
 以上、4種類がBMDシステム専用の迎撃ミサイルとして製造・配備されている。

 近年、米海軍のイージス艦が搭載するSM6対空ミサイルの改良型にも終末段階(高度100㎞以下)でのBMD迎撃能力が付与されるようになっている。 

 ◆イージス・アショア(陸のイージス艦)

 イージス艦搭載の「SM3ブロックⅠB」ミサイルを用いた陸上配備型の地対空迎撃システムである。
 米帝は「東欧MDシステム」計画として2基の「イージス・アショア」サイトを欧州に建設・配備している。 1基にSM3ブロックⅠBが24発搭載 。
 、ルーマニアに配備されたイージス・アショアは16年から運用が開始された。同年、ポーランドにサイトの建設が始まり18年運用開始となっているが、これに「SM3ブロックⅡA」の導入が予定されている。だが、繰り返すが「ブロックⅡA]の迎撃実験はは失敗が続いている。 
 これに対抗するロシア・プーチンは、核搭載可能な新型ミサイル「イスカンデル」などをリトアニアとポーランドに挟まれた飛び地のカリーニングラード州や、クリミアに常駐させる。
 ロシア陸軍が2006年に制式採用した戦術ミサイル9K720「イスカンデル」は、最大射程500キロの弾道ミサイルで、誘導は慣性航法装置と電子光学誘導システムを併用し、敵の移動発射目標を追尾することができる。命中率を示す円形半数必中界(複数の弾頭を同一目標に発射した場合、その半数が命中するエリアの広さ)は半径5~7メートルとされており、「超高速で落下する弾道ミサイルとしては驚異的な精度」を誇っている、とされている。
 ロシア・プーチンは昨年9月、冷戦以降最大規模の軍事演習「ザバード2017」をカリーニングラード州を中心にベラルーシや露北西部レニングラード州や西部プスコフ州などで実施し、米ロ対決を激化させている。

 「SM3ブロックⅡB]は迎撃弾頭の多弾頭化をめざし開発されようとした。国家財政の危機と軍事費の削減でオバマ政権が展望がないとして開発を凍結した。トランプは「ⅡB」の開発を推進するとしている。だが展望がないのはすでに明らかだ。結果は膨大な財政赤字と米国家体制の崩壊である。

米軍の崩壊的危機 戦争と財政赤字による整備不良

事故続発 兵士の安全航行訓練ゼロ

 世界核戦争の危機をを加速させながら、一方で米軍は崩壊の危機を促進しいる。2017年の在日米軍だけを見ても事故死は23人、行方不明は1人という事態だ。西太平洋・アジア・インド洋地域を担当する第7艦隊所属のイージス艦2隻が民間船舶と衝突し17人が死亡。座礁事故と併せイージス艦3隻が現在、使用不能だ。空母艦載機・C2輸送機が墜落し3人が死亡、岩国基地所属の戦闘機2機が相次いで墜落。普天間基地所属のオスプレイは2機が名護市阿部とオーストリアで墜落し3人が死亡。CH53E大型ヘリは民間牧草地に不時着し炎上・大破した。小学校校庭への窓枠落下などとオスプレイの部品落下も続発。
 米政府監査院は昨年9月7日、在日米海軍の事故に関する報告書を公表した。
 海外配備の艦船が2006年当時の20隻から2017年には40隻に倍増している。中東、バーレーンのマナマ、そして横須賀での増強が顕著に示されている。
 海外配備の艦船は運用が最優先され、兵士の訓練・整備の時間が無視されている実態が浮き彫りになっている。朝鮮戦争の切迫情勢がこれに拍車をかけている。
 米本土の艦艇運用計画は、「36ヶ月サイクル」で、①整備18%、②訓練26%、③任務19%、④維持36%となっている。
 これに対し、第7艦隊のイージス艦は、「24ヶ月サイクル」で①整備33%、②任務67%で、訓練、維持はゼロだ。
 2017年6月現在の在日米海軍の船舶操作技術を含む戦闘資格認定の37%が期限切れ状態であることが示されている。米海軍保有の艦船は277隻で1998年の333隻から17%減少しているが、2001年からの「対テロ戦争」の長期化、南中国海での「航行の自由作戦」、北朝鮮への軍事的圧力強化の大幅な任務拡大で艦艇の整備・点検、兵士の安全航行訓練がほとんど行われていない現実が現れている。

(写真 米最大・最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」の甲板は、幅約78m、長さ約333mと巨大。一方、既存空母の艦載機は、整備不良で、約半分しか訓練ができていない。)

部品と整備士不足

 米保守系シンクタンク・ヘリテージ財団が2017年10月に公表した報告書「米海兵隊・戦力評価2018」には、海兵隊の航空部隊は予算不足により、部品や整備士不足で、2016年末現在、全機体の41%しか飛行できない状態であることが公表された。以前、厚木基地を監視する住民団体の調査では、米空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)、いわゆる「タッチ・アンド・ゴー」の訓練を実施している機体は、機体番号のチェックから判断して艦載機の約半分程度としかないという報告もある。
 沖縄県内で重大事故を相次いで起こしているCH53Eは、平均機齢が25年を超えている。2009年からCH53Kに切り替える計画が開発遅れで頓挫し、早くても10年遅れの2019年度以降になる。機体の老朽化、軍事費の削減、部品不足と整備士不足などによるに整備不良に加え、飛行時間の不足などの組み合わせによる重大事故の多発は起こるべきして起きる構造になっている。
 CH53Eの平均機齢が25年を超えているという事実にも驚く。通常、25年も経てば生産停止で、部品生産も停止する。国家財政の危機で整備不良の艦艇や戦闘機を運用し、更新兵器の開発が停滞している米軍の実体が浮かび上がっている。オスプレイ24機が日本に配備されて5年。最低でも5年に1度の定期整備が必要とされている。昨年2月、陸自木更津駐屯地で開始された1機目の整備・点検終了の目途もたっていない。米帝はこれらの現実から推しても小型戦術核化とその運用拡大に追い込まれているである。死なずにすむはずの多くの米軍兵士が、米トランプ政権によって殺され、さらに死の危険にさらされている。
 2月5日、陸自の「AH64D攻撃ヘリ」が空中分解し、住宅地に墜落した。子供が負傷し、自衛隊員2名が死亡した。陸自は現在、
墜落機も含め同機を13機保有し、佐賀県吉野ケ里町の目達原(めたばる)駐屯地、三重県伊勢市の明野駐屯地に配備している。同機は、2001年に導入が決定され、米ボーイング社とライセンス契約を結んだ富士重工業(現スバル)が製造を開始したが、1機80億円と高額のため、08年に防衛省が納入計画を打ち切った。11年前に製造は停止されている。朝鮮戦争切迫情勢下での軍事演習強化に加え、部品欠乏などによる整備不良が米軍同様、自衛隊でも起きていることが今回の事故は示した。墜落したヘリのプロペラ回転基部も中古品が使用されていた。
 米軍同様、自衛隊の事故も後を絶たない。昨年5月、北海道で偵察機が墜落し4名が死亡。8月、青森県沖で海自ヘリが墜落し3名が死亡。10月、静岡県沖で夜間訓練飛行中のヘリが墜落し4人が死亡・行方不明だ。
 朝鮮戦争切迫情勢下、米兵や自衛官はすでに殺されている。軍隊内からの兵士の反乱は不可避だ。

改憲・戦争・労組解体 軍拡路線に突進する安倍倒せ

 安倍政権とマスコミは北朝鮮の核・ミサイル開発を口実にJアラートを最大限利用して戦争情勢を煽り、改憲と戦争―軍大化路線に突進している。
 2018年度予算案に長距離巡航ミサイルの導入関連費用が盛り込まれ、巡航ミサイルの独自開発も決定。地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」の2基配備をトランプと合意。1基1000憶円弱。最新鋭レーダー・システムも一体で備える必要があるとして、最終費用は不明。
 1月9日、トランプは迎撃実験を連続的に失敗している「SM3ブロックⅡA」4発を日帝に売却する方針を米議会に通告した。想定売却価格は約150億2690万円と巨額だ。地元の同意なしに秋田と山形に配備計画案が報道されている。
 F35ステルス戦闘機42機導入に加えF35Bステルス垂直陸機導入を決定。オスプレイも導入。輸送艦「いずも」にF35Bステルスが離発着出来る甲板に改修し軽空母化してF35Bを10機搭載する。北朝鮮の核・ミサイル基地を領空外から攻撃できる長距離ミサイの導入も決定し、F35ステルス、F15に搭載する。空自戦闘機部隊の再編・増強(図参照)、強襲揚陸艦の導入など全てが、「離島防衛」の口実で北朝鮮・中国の敵基地攻撃を可能とする軍拡が推し進められている。
 しかもこれら米帝からの兵器購入の全てが 有償軍事援助(FMS)である。(1)価格、納入期限は見積もりにすぎず、米政府はこれに拘束されない(2)代金は前払い(3)米政府は契約を(一方的に)解除できる、という内容だ。これは森友・加計疑獄とは比較にならぬ利権と腐敗が戦争切迫情勢下、日米一体で行われるということだ。
 安倍・トランプを労働者階級の怒りで打倒し、核戦争を国際連帯とゼネストでプロレタリア世界革命に転化しよう!
 了