会報 第74号

74号PDFはこちらをクリック☞

巻頭言

戦争やめろ!岸田を倒せ!社会を変えよう!

労働者・兵士は国境・国益を越えて団結しよう!

東京西部ユニオン(元自衛官) 杉橋幸雄

米帝による広島・長崎への原爆投下から78年。ウクライナ戦争は1年半経っても停戦の兆しはまったくなく、劣化ウラン弾やクラスター弾が使用されF16供与も決定され、戦火はロシア国内にも拡大しています。しかも、米韓軍事同盟に日帝が歴史的に加わることで台湾や朝鮮半島をめぐる戦争情勢をも一層激化させています。これに対し北朝鮮は激甚に反応しミサイル発射を繰り返し、支持率急落の岸田政権は大軍拡・改憲・殺傷兵器の輸出や核汚染水海洋放出に突き進んでいます。断じて許せません!国際連帯のもと絶対反戦で闘いぬき「広島ビジョン」を打ち砕いた日本階級闘争の真価が改めて問われています。

そうした最中、元自衛官の五ノ井さんの公然たる決起の前に逃げられなくなった防衛省が、急遽設置したハラスメント対策に係る「有識者会議の提言」が8月18日に提出され、同省の防衛監察本部も20万人を超える全自衛隊員を対象に実施したハラスメントに関する「特別防衛監察の結果」を公表しました。それによると、昨年9月から同11月末までにハラスメント被害の申告が1325件あった(それは氷山の一角に過ぎない)ものの6割以上が、同省の相談員や窓口に相談していなかったのです。その理由は「改善が期待できない」「相談員や相談窓口があることに思い至らなかった」「相談できる雰囲気ではない」などの回答が有り、さらなる聞き取りでは、上司や窓口に相談しても「事を大きくすると職場にいられなくなるぞ」などと言われ、結局「自衛隊はそういう所」「指導には厳しさも必要」として取り合ってもらえなかったという。

自衛官の定員割れに危機感をもった防衛省が、待遇改善や人材確保に「本腰」ですが、定員割れは続き矛盾の大爆発は不可避です。何故なら「殺し殺される」実際の戦争が既に始まっており、命よりも戦争と金儲けが最優先される階級社会を支える為に、軍服を着た労働者である自衛官が「一握りの支配階級の延命の為に命を投げだす」ということに深刻な矛盾と命の危険を実感しているからだと思います。世界戦争に転化したウクライナ戦争が長期・泥沼化し、対中国・北朝鮮を射程にした日米韓の軍事同盟が一層強化され、米韓をはじめ自衛隊やオーストラリア軍をも含む大規模な合同軍事演習が次々と強行され、侵略戦争準備に増々突き進んでいるからです。戦争は絶対にやめさせなければなりません!

「自衛隊を良くしたい」と思っている方もいますが、帝国主義軍隊である自衛隊の本質は変わりません。地球環境をも破壊しながら世界戦争・核戦争の危機が目の前に激しく展開されており、社会を支えている労働者も自衛官も例外なくその身の振り様が歴史的根本的に問われています。国益や国境を越えて団結し、戦争を事とする自国政府を打ち倒し、人間が人間らしく生きられる社会に根本的に変えていくこと。これ以外に道はありません。団結しましょう!! 9・23~11・19へ!団結して共に闘いましょう!!

 

 

戦時下の沖縄闘争 

垣内 武

ウクライナ戦争の泥沼的激化と中国侵略戦争

 G7広島サミットや7月NATO会議を歴史的転換点として、ウクライナへの大量の武器供与が決定され、ウクライナ戦争は帝国主義による対ロシア戦争として泥沼的に激化している。ウクライナ人民は延々と地獄絵図のような戦闘を強制されている。ゼレンスキーはその完全な先兵であり、賄賂による徴兵逃れさえ取り締まり、人民を戦場に送り出している。米帝・NATOもロシアもウクライナから手を引け!これが世界の労働者階級人民のスローガンだ。
 米帝・NATOの対ロシア戦争は、「ロシアを抑えつけ、中国を打ち負かす」という米の国家安全保障戦略のもとに全面的に遂行されている。日帝・岸田はこれに全面協力し、自ら敗戦帝国主義としての制約を暴力的に突破しようとしている。7・12G7―ゼレンスキー参加の首脳会談後、バイデンの岸田礼賛発言こそ、「日帝の参戦」の必要不可欠性を示している。安保3文書の大改訂以来、日帝の参戦国化と改憲・大軍拡の攻撃はきわめて凶暴なものである。岸田は日本の労働者階級の強固な反戦意識を叩き潰すためには何でもやる体制で臨んできている。台湾での麻生暴言、8・18日米韓首脳会談―3国軍事同盟構築の策動はその最たるものである。
 米帝の歴史的没落ゆえに、スターリン主義をも軍事的に打倒する大戦争が、中国侵略戦争―世界戦争として火を噴こうとしている。岸田は「今日のウクライナは明日の東アジアかもしれない」を金科玉条のごとく繰り返しながら、沖縄の戦場化に突進している。戦慄すべき事態だ。

『PAC3,来月以降も配備か』(8月24日。琉球新報)。
沖縄県石垣市南ぬ浜町

沖縄の全面的な軍事要塞化を阻止しよう!

 昨年の1月、日米政府は中国に対する新たな作戦構想を策定した。それがEABO(遠征前進基地作戦)であり、この作戦では米軍の本格的投入まで自衛隊が沖縄で半年から1年「時間を稼ぐ」ことになっている。日本版海兵隊である水陸機動団がこの前面に立つ。那覇市の陸自第15旅団(2200人)を8000人規模の師団にする策動もある。これと一体で、南西諸島全体へのミサイル部隊配備がある。奄美、宮古島に続いて3月には石垣駐屯地が開設された。さらに勝連分屯地と与那国駐屯地の大幅強化が狙われている。
 こうした自衛隊の急激な侵略軍隊化の矛盾があらゆるところに噴出している。4・6の宮古島周辺での陸自第8師団長も死亡するヘリ墜落事故もこの中で起きた。無茶苦茶な部隊再編とパイロットや整備士不足の中で不可避的に引き起こされた事態だ。さらに自衛隊員への動揺も激しいものがある。すでに「南西諸島で戦死する」ことを隊員の多くが受け入れなければならない段階に来ているし、セクハラ・パワハラは表面に出ただけでも千件を軽く超えており、自殺や自殺未遂も頻発している。18歳の若者に実弾演習をさせ、上官を射殺してしまう事件も起きている。大幅な定員割れを起こしている自衛隊は、各自治体と一体となって「募集業務」に奔走している。この先に「徴兵制」は確実にやってくる。
 沖縄の軍事要塞化、自衛隊と基地強化を絶対に阻止しなければならない。

『久米島にオスプレイ飛来、米軍が訓練、住民ら抗議』(7月16日。琉球新報)。
航空自衛隊久米島分屯基地に向かうオスプレイ=7月15日午後6時30分ごろ

中国侵略戦争に向けた沖縄での排外主義扇動

 沖縄では、岸田政権による排外主義と戦争体制の構築が進められている。4月には石垣・宮古・与那国に無理やりにPAC3が配備された。ミサイルにたいする「避難訓練」も1月に那覇で強行された。自治体の図上訓練も推し進められている。
 5・31には沖縄でJアラートが発動され、スマホからはけたたましい警報音が朝から鳴り響いた。しかし、この日、米軍基地では何の警戒態勢もとられていない。北朝鮮による飛翔体は事前の予告通り「衛星」であり、日帝・防衛省だけが、意図的に排外主義デマを煽って、戦時訓練を先取り的に行ったのだ。
 こうした事態に多くの沖縄県民は怒りの声を発している。沖縄戦経験者は「遊軍(編集部注:遊撃隊)ラッパの鳴り響いた時代を思い出す」と感想を述べている。先述した石垣島へのPAC3配備に対しても全港湾沖縄地本は、6・6に組合員の安全確保のため「自宅待機」方針を出している。PAC3の撤収も求めている。
 排外主義と戦争体制の構築に、沖縄労働者による戦争協力拒否の闘いを叩きつけよう!

沖縄は、日米安保を覆す激突点

 沖縄闘争の重要性は、かつてないほど高まっている。
 6月に発表された米シンクタンクの外交問題評議会(CFR)、また年初の米戦略問題研究所(CSIS)報告書などは、在日米軍基地の存在、自衛隊との連携、日本の民間空港・港湾の活用など、対中国の侵略戦争遂行において、「日本が要」であることを繰り返し提起している。
 沖縄・久米島では7・15~18日、航空自衛隊分屯基地で米軍オスプレイの飛来訓練が初めて行われた。米海兵隊は「第3海兵遠征軍が実施部隊となり、離島に臨時拠点を設け分散して戦う『EABO』の実証」と説明している。在沖米海兵隊の海兵沿岸連隊(MLR)への改編も策動されている。今年10月には、日米合同軍事演習「レゾリュート・ドラゴン23」の実動演習が狙われている。これこそ、沖縄・琉球諸島全域に日米両軍が展開しEABOや陸海空・宇宙・電子空間の全領域を横断する軍事作戦など中国侵略戦争の具体的実行が想定されている。まさに新たな沖縄戦を想定した訓練だ。沖縄―全国での反基地闘争は中国侵略戦争を阻止する決定的闘いである。
 1970年代の復帰闘争時、沖縄で全人民的な反戦闘争が巻き起こり、米軍基地労働者を軸にした全島ゼネストの闘いが日米安保の根幹を揺るがし、実際に米軍基地機能を止めることでベトナム戦争への爆撃機の出撃を阻止した。
 日米安保の最大実体であり、矛盾の集中点である沖縄から闘いに立ち上がることは、世界戦争・核戦争を止める力を持っている。

青年・学生先頭に反戦闘争を巻き起こそう!

 沖縄闘争は、日本における反戦反基地闘争の最大の柱である。辺野古新基地建設を阻止し、本土―沖縄が一体となった闘いをやりぬこう!その最大実体は青年・学生だ。沖縄には、青年労働者を中心とした労働組合の闘いや、反戦運動を徹底弾圧し戦争協力に走る沖縄大学を弾劾し、不屈に闘う学生の自治会運動がある。沖縄階級闘争は物凄いエネルギーを蓄積しながら、新たな段階に突入している。一方で、オール沖縄的な勢力が、若者の取り込みのために「争うより愛そう」なるスローガンでもって闘いの爆発に制動をかけている。
 今こそ、青年・学生を先頭に反戦闘争をとことん巻き起こし、侵略の最先端の戦争に駆り出されようとしている自衛隊兵士に反軍決起を呼びかけ、内乱を組織し、自国政府を打倒していくような闘いをやりぬこう!国際反戦闘争の爆発こそが戦争を止める唯一の闘いだ。ともに闘おう!

岸田の来沖を弾劾。    6・23沖縄反戦スタンディング

日本は完全に参戦国だ!
労働者こそ戦争を止める!

伊藤登美子

ウクライナ戦争を止める! 世界戦争は労働者のたたかいで止めよう!

世界戦争への分岐点G7広島ビジョン絶対反対!
教育労働者は G7「広島ビジョン」を許さない。闘って!次のたたかいへ進もう!

 私のヒロシマの闘いは、1971年ベトナム戦争下の8・6佐藤来広阻止闘争から始まった。以来、もう30回以上8・6に来ている。組合運動としても、核実験反対から核戦争絶対反対のたたかいの原点が広島だ。
 そのヒロシマで、岸田首相がウクライナ戦争当事者とも言えるG7広島サミットをやる資格は全くない。
 ウクライナ戦争は完全に泥沼化している。ゼレンスキーの支援要請に対し、アメリカは「クラスター弾や劣化ウラン弾投入」、NATOは最強の戦車レオパルトを各国競って提供している。「ロシアの侵略からウクライナを解放」「ロシアの核の威嚇を許さない」と言いながら会談するというのだ。
 岸田と外相はこの間、戦争外交に奔走した。国内の重要問題は閣議決定と結論だけだった。12月安保3文書閣議決定―「敵基地反撃能力」と公言してから、1月訪欧米とサミット参加諸国回り、3月ウクライナ、ポーランド、5月韓国、G7広島サミットへと破綻的にのめりこんでいった。日本列島のいたるところで、サミット諸会議も展開した。しかし労働者は、絶対納得しない。野党はもちろん連合をはじめ労働組合は反対を言わない、ウクライナを支援する立場で翼賛している。

労働者・学生の団結した力で権力・右翼の妨害を粉砕し、原爆ドーム前の早朝大集会を闘い取った。(8月6日 広島市)

広島を反戦・反核の砦に!

 サミットは広島平和公園を白く高い遮蔽板で囲み、2万4千人の機動隊と市の職員を配置し、行われた戦争会談だった。どんなに隠そうとも国家権力のすべての壁を打ち破ったたたかいだった。学生を先頭に、商店街を通った時は周りから、賛同のアクションがつぎつぎ。立ち止まって見る人の笑顔、あちらこちらからこぶしを高く上げた外国人。ヒョイと若者が、警備の警察官に抗議しながら年配者が隊列の後ろのデモに入ってくる。ドーム前の解散点に近づくと先頭の学生たちへ、機動隊が両脇から暴力的に隊列はがし、押し付けが激しくなる。動画で世界中に発信された通りだ。逮捕者もでたが、警察署にすぐさま抗議行動、そして奪還。何回もデモをした。私たちのヒロシマサミットに対する闘いだった。
 アメリカとNATO諸国、サミット7か国の世界戦争の目論見があいまいさなく、露呈したものだった。ロシアに対する戦争の次は「台湾海峡の平和と安定」と対中国戦争と明確にしたばかりか、広島ビジョンで、核兵器を「防衛のために役割を果たし、侵略を抑止」と言い切った。対中国侵略戦争の出撃基地拠点として日本を、核戦争宣言の都市として広島を選んだ。戦争を終結させることが、核戦争の大義名分であり、広島の原爆を投下した時、あの瞬間に焼け野原になった街や人々の有様を想像しないどころか、破壊だけ。その直後も戦争研究の材料としか考えない輩の理屈だった。岸田がお膳立てしたG7は、ウクライナ戦争と中国侵略戦争へのアジアもNATOも加わる世界戦争宣言になった。
 しかし、私たちは絶対に認めない。被爆者の怒りはどれほどのものか計り知れない。広島市民の怒りも。全世界にも発信された。解放的なたたかいだった。しかし、私たちの課題は、より明確にしなければならない。絶対にこの怒りを8・6―9への労働者の決起につなげなくてはと誓った。

8月5日、教育労働者を先頭に原爆ドーム前からデモ。平和公園で目の前にいた戦争推進の連合・芳野会長を徹底弾劾し、「子どもたちを戦場に送るな」と団結を固めた。

8・6ヒロシマ―8・9ナガサキ 教育労働者が戦争反対の先頭に立つ!反戦デモで岸田政権打倒へ!

 5月G7広島サミットのたたかいは私にとって決定的だった。岸田が一国の首相としての「世界戦争を核戦争へ」という大犯罪に対する労働者の答えは、戦争反対の声を上げることだ。岸田打倒!のこえをあげることだ。私たち日本の労働者が闘うことだ。広島100人声明や8・5実行委員会の呼びかけ人が、教育労働者は戦争反対デモに起とうと呼びかけた。それぞれが旗を持ち、プラカードを持って、原爆ドーム前に集まった。8・6ヒロシマ大行動のスタートになった。戦争協力の連合を弾劾し、各地から「社会を変える力は闘う労働組合にある」と「教え子を戦場に送るな!戦争絶対反対!」と訴えた初めての独自のたたかいだった。デモ後の交流集会で、全国のたたかいの報告と韓国・全教組大邱支部の仲間も加えて、国際連帯で世界戦争止めよう!と誓った。
 岸田の攻撃は広島から、一つは平和教育の破壊である。サミットのために広島市教委‐文科省が数年かけて、平和教育教材“ひろしま平和ノート”から「はだしのゲン」「第五福竜丸」を削除した。高校では、「はだしのゲン」作者・中沢啓治さんの講演記録・被爆体験を1ページに半減し、米在住被爆2世・美甘章子さんの「8時15分 ヒロシマで生き抜いて許す心」を7ページ超に差し替えた。あとがきで、被爆者の原爆、戦争・天皇制への怒りを全面的に否定し、「敵同士だった二つの国が、今は最強のパートナーとなり協力体制にある」と、日米安保条約・広島ビジョン・核戦争を称賛した。
 二つ目は6月29日広島市が平和公園とパールハーバー公園と姉妹公園協定を結んだことだ。日米の労働者はこの過去の二つの戦争を絶対に認めない。
 誰が何のために戦争を起こしたのか、核戦争が何をもたらしたのか、帝国主義は破壊者だ。世界各国で労働者が決起している。かつて朝鮮戦争が始まろうとしたとき、そのさなかに、日教組は決起した。各地で反基地闘争に参加し、終戦6年目で戦争を絶対に止めよう!と「再び教え子を戦場に送るな」のスローガンを生みだしたのだ。8・6ヒロシマ大集会での「反戦をたたかえる労働組合をつくり直す転換点に」と広島市職労働組合の発言、「本部は腐り果てても必ず決起する最初のたたかい」の教組の発言は会場参加者の共通の決意となった。労働者が階級として団結したとき、戦争は止められる。岸田を倒そう!

教育労働者に訴える!

 長時間労働を強制している学校の現実に立ち向かおう。資本主義の崩壊は戦争として現れ、全分野の入り口から戦いが迫られているのだ。改憲・大軍拡阻止! 直接の出撃の反基地闘争、全島戦場化の沖縄闘争、原発再稼働、汚染水排出など。職場、地域、職域、つながる労働者の先頭に立って組織しよう。生徒を戦場に送るな!自衛隊に名簿渡すな!の署名を通して組織しよう!自衛官になった「教え子」は全国にいる。「死ぬな、殺すな」「侵略戦争の銃は握るな!」とあらゆる機会をとおして呼びかけよう!
 入口はたくさんある。ひとつづつ積み上げ、戦争絶対反対のたたかいへ組織しよう! 11月19日、全国労働者集会(日比谷)に全国、世界からたたかう労働者が結集する。労働者階級の国際連帯で戦争を止めよう!

「ナガサキを繰り返させない!」。台風による荒天を突き爆心地へのデモを貫徹(8月9日 長崎市)

日米韓首脳会談と米帝の
核戦争シミュレーション弾劾!

滝山猛師

3ヵ国首脳会談は軍事同盟化へのみち

 日米韓は8月18日、首脳会談で「パートナーシップの新時代」を宣言し、「キャンプデービッド原則」と「キャンプデービッド精神」を発表した。
 キャンプデービッド原則は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持、力による一方的な現状変更に反対すると明記した。だが、ロシアをウクライナ侵攻に踏み込ませ、台湾有事を煽り「現状破壊」を目指しているのは米帝の側だ。そこに日韓を引き込み、動員する計画が「キャンプデービッド原則」と「精神」だ。それに日韓支配階級が合意した。
 共同声明では日米同盟と米韓同盟の連携を強め、安保協力を新たな高みに引き上げると明記し、北朝鮮、インド太平洋、ウクライナ、経済安全保障、そして対中戦争―世界戦争への「3ヵ国同盟」化に合意した。3ヵ国首脳会談を「少なくとも年に1度」開き、2プラス2(外相・防衛相)など複数レベルの会談・局長協議の定期開催で合意。弾道ミサイル情報を即時共有する仕組みの早期運用を確認し、自衛隊と米軍、韓国軍との共同訓練の定例化にも合意した。「台湾有事」の重要性、ウクライナ支援の継続で合意し、対北朝鮮、対中国の合同軍事訓練の強化を公式に合意し、明記した。日米韓のいずれかに脅威が発生した場合、3ヵ国が迅速に協議することで合意。そのために緊急時に使うホットライン(専用回線)の整備にも合意。これは核使用を含む集団的自衛権行使の合意だ。
 これらはまさに世界戦争会談とその同盟化そのものだ。危機に立つ米帝・バイデンにとって対中対決―米中戦争が最優先事項。そのために日韓の対中戦争への動員―米日韓の同盟強化が要であり、インド太平洋における長年の優先事項であった。オーストラリア、フイリピンを含め米帝の「多層的同盟網構築」の「核」が日韓である。だがその根底に横たわるのが米帝の没落という現実だ。基軸帝国主義・米帝の没落と危機がウクライナ戦争―世界戦争の根源であると同時に、今回の日米韓首脳会談とその合意事項は、米帝単独では世界支配を維持できないという米帝危機の裏返しだ。米帝危機が世界戦争情勢を引き出し、それがウクライナ戦争として始まり、ウクライナ戦争の泥沼化が米帝危機をさらに深め、日米韓軍事同盟化へと衝き動かした。
 最大のポイントは、3ヵ国で政権交代があっても「3ヵ国協力」に支障を与えないようにするのが「キャンプデービッド原則」だということ。要するに「日米韓軍事同盟」化という縛りが「原則」「精神」となっている。

 だが、それはスムーズにはいかない。なぜなら日米韓の労働者民衆は世界核戦争へ突き進む3ヵ国同盟を絶対に認めないからだ。ウクライナ国際反戦闘争が、非和解の実力闘争が、全世界で内乱として爆発し、さらに拡大するのはこれからだ。日米韓の国内支配体制は戦争と恐慌―長引くインフレと生きていけない低賃金、強労働と強搾取、差別と分断による格差は拡大し、資本による環境破壊が人間生命を危うくしている。ウクライナ支援で拡大する財政赤字など、労働者民衆の怒りが内乱として爆発し、政権への支持率は軒並み低落しているのが今の3ヵ国支配階級の現実だ。つまり日米韓軍事同盟化の根底には帝国主義世界支配の危機と国内支配体制の破綻という脆弱な基盤しかない。
 日米韓首脳会談前の14日、米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)の上級専門家4人(ビクター・チャー、クリストファー・ジョンストン、エミリー・ベンソン、エレン・キムら)による公開「3ヵ国首脳会談プレビュー」が開催された。異例の公開プレビューでは3ヵ国首脳会談を「歴史的な出来事」と位置づけ、特に韓国・尹錫悦の対日政策の転換を評価しつつも、ウクライナ戦争と米中戦争(台湾有事)が生み出しているインド・太平洋と世界における「不確実性の高い環境」、つまり先の見えない世界の危機がその根底にあると規定した。つまりCSISは米帝と3ヵ国の脆弱性を世界にさらしたのだ。

韓国・尹錫悦の8・15「光復節」演説に怒り爆発

 日米韓首脳会談に先立つ、尹錫悦の8・15「光復節」演説に韓国労働者の怒りが爆発している。
尹錫悦は8・15演説で日帝と「未来志向的に協力すれば世界の平和と繁栄に貢献できる」、「韓米日の安保協力の重要性が日増しに高まっている」、日帝とは価値観を共有し共通の利益を追求する「パートナー」だと明言。「分断」や「統一」への言及が一切ない。政権発足からの世論調査でも支持率が20%台だ。日米韓首脳会談で合意した「パートナーシップの新時代」、「キャンプデービッド原則」「精神」は、韓国内の世論と真っ向対立し、南北分断の固定化を促進する内容だ。
 かつての植民地国日帝に対しては、「今や世界市民の自由を脅かす挑戦に立ち向かい、共に力を合わせて進むべき隣人」だと明言。「歴史問題」は不問にすることで「解決できる」と断言。北朝鮮に対しては、核開発を中断し、非核化に転換するならその段階に応じた「支援プログラム」構想を実施すると提案したが、その具体的中身は不明だ。
 そして最後に、「自由、人権、法治という普遍的価値に基づき、共に連帯し、世界平和と繁栄に責任を持って寄与することこそ、独立運動に献身された方々の意思を引き継ぎ、守ること」だと捻じ曲げ、3ヵ国軍事同盟と米中戦争参戦への国家的強化が、「私たちに与えられた世界史的な使命」だと韓国の労働者民衆に呼び掛け「使命を必ず成し遂げる」と結んだ。
 韓国・尹錫悦は4・24ワシントンポストのインタビューに日韓関係改善のために日帝が「ひざまずく」という考えは受け入れられないと表明。25日これが公表された。この発言への非難がソーシャルメディアに渦巻いた。大統領府の側近は25日、「50年足らずの不幸な歴史のために、1500年前から続く交流と協力の歴史全てを無駄にするのは愚かなことだ」と言い切った。
 米韓は合同軍事演習「乙支(ウルチ)フリーダムシールド(自由の盾)」を実施(21~31日)。野外機動演習は昨年の13回から30回以上に大幅に増加。参謀本部はロシア・中国・北朝鮮のミサイル能力を反映した「安全保障環境の変化」に対応した「実践的な演習を通じて、米韓同盟の対応能力をさらに強化させていく」と。対北政策というよりウクライナ戦争と世界戦争情勢に対応する韓国保守反動勢力の戦略的な大転換だ。韓国・朝鮮半島と世界の労働者・兵士への戦争攻撃だ。 
 CSISも韓国・尹錫悦の転換的「決断」を称えている。だが尹錫悦の決断は、韓国労働者民衆の南北統一、労働者民衆の人間的解放とは真逆の道だ。尹錫悦打倒へ突き進もう!
 世界戦争に突き進むのか、国際反戦闘争と反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命=南北統一への歴史選択が全労働者に問われている。万国労働者は団結して支配階級を実力で打倒しよう!

民主労総はじめあらゆる市民・社会団体を結集して組織された「日本放射性汚染水海洋投棄阻止共同行動」が、ソウルの日本大使館への緊急抗議行動に決起。(8月22日ソウル)

米帝の核戦争シミュレーション

 独立系ニュースサイト「ザ・インサイダー」が米帝の核戦争シミュレーションを調査・暴露した。要約すると、ロシアが核戦力を行使した場合を想定した米帝の机上作戦(具体的報復対象作戦)は、まずオバマ政権末期に行われた。同様の机上演習はトランプ政権時にも行われている。
 2016年の米国家安全保障会議(NSC)で議論されたのは、14年のロシアによるクリミア編入後、ロシアがバルト3国の一つに侵攻した場合を想定した核戦争シミュレーションだ。シナリオは、侵攻したロシアを通常兵器で食い止め、優位に戦争を進める中、ロシアが有利な停戦を目指し、「エスカレーション抑止」概念に基づきNATO軍、ないしはドイツの軍事基地に対して戦術核を使用したというシナリオである。
 ポイントは、米帝の報復がどのような兵器で、どこを攻撃すべきか、という演習だ。議論をリードしたのは当時のバイデン副大統領の国家安全保障問題担当補佐官を務めたコリン・カール(現国防次官・政策担当)。カールは核の使用は1945年の広島、長崎以降、初めての歴史的出来事であり、核使用はロシアを孤立させ、政治的、経済的打撃を与えるため国際社会を結束させる絶好の機会になると強調。核で報復することはむしろ「大局観に欠いた」行動であり、核使用の閾値を下げるだけでなく、強力な制裁措置よりも効果は乏しいと主張した。議論は続いた。結局、NATO制服組トップである欧州連合軍のブリードラブ最高司令官を含め「最初の対応」は核による報復ではなく、通常戦力によるものとすることで落ち着いた。
 1ヵ月後、参加者のレベルを上げた閣僚級のNSCが開かれ、同様のテーマを議論。前回同様の意見も出た。だが国防長官アシュトン・カーターのもし敵が核攻撃すれば米帝は直ちに核で報復するとの同盟国の信頼が崩れれば、米帝を中心とする世界的な安全保障体制は崩壊するとの主張が優勢となった。現在の国務長官・ブリンケン(当時は国務副長官)は、立場を鮮明にしなかった。
 次の議論は、核攻撃対象の具体的選定である。最初に挙がったのは、ロシア西部の飛び地で、バルト海に面し軍港を持つカリーニングラード州。飛び地とはいえロシアの領土を核攻撃すれば全面的な核戦争に発展する恐れがあるとして却下。次にバルト3国に侵攻したロシア軍に対する攻撃を検討。だが同盟国の市民への被害を考慮し不適当とされた。最終的に選ばれたのはロシアに隣接し、ロシアの同盟国ベラルーシだ。要するに侵攻されたバルトとは関係ないベラルーシが「ロシアの同盟国」という理由で核攻撃の対象に決定した。ベラルーシはロシアの戦術核配備を開始した。
 トランプ政権時の国防総省のシミュレーションは、ロシアが欧州の米軍施設に戦術核攻撃を行ったとの想定で演習した。結論としては核兵器を運用する戦略軍が核による限定的報復を行うことを決定。攻撃手段として、具体的に当時配備が決まった潜水艦発射弾道ミサイル、トライデントを使うことも決まった。ただ、SLBMの場合、ミサイルが発射された段階ではそれが戦略核ミサイルか、戦術核ミサイルかの判定は不可能であるからロシアがICBMで報復する可能性が高くなり、全面核戦争に発展する可能性を残した。
 シミュレーションとはいえ、米帝の核攻撃がロシアの同盟国ベラルーシを標的に決定したという事実は、沖縄や本土・米軍基地がミサイル攻撃の標的となっていることを米帝支配階級自身が世界に示したということだ。
 ウクライナ戦争―世界核戦争は、戦争絶対反対=侵略を内乱へ!反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命で阻止する以外にいかなる道もない。ますます鮮明になっている。そしてゼレンスキーが米欧の手先であるという認識、ウクライナ人民の解放戦争―革命戦争への道筋が泥沼化のなかで、必ず、掴み取られていく。それがプロレタリアートだ。

ウクライナ戦争支援と軍拡―米中戦争参戦に突き進む岸田を実力で倒そう!

 23年度防衛白書は安保3文書の具体化=実戦部隊化を示した。米中―世界戦争を見据えた陸海空3部隊を一元的に指揮する「統合司令部」を24年度末に防衛省・市ヶ谷に創設する。主要任務は米軍(韓国軍とも)との共同作戦計画の策定だ。海・空をも指揮する陸自総隊も指揮下に入る。統合司令部は240人規模で設置。
 戦争予算は潰さなければ一人歩きし、無限に拡大するのは必定。断固阻止!
 侵略戦争には内乱と自国政府打倒!戦争には革命戦争で応えよう! 11・19国際反戦労働者集会の大結集で岸田政権打倒へ!実力で打倒しよう!

戦争会議=日米韓首脳会談を弾劾/新宿駅で街頭宣伝(8月19日、新宿駅南口)