巻頭言
若者を戦場に送るな!日帝・岸田政権を打倒しよう!
労働者・兵士は国境・国益を越えて団結しよう!
東京西部ユニオン(元自衛官) 杉橋幸雄
●戦争と金儲けが最優先され、実質賃金は下がり続け、あらゆる労働現場で人手不足が深刻化し、新型コロナの再感染やインフルエンザも流行しだし、マイナカードめぐる問題も続出、現場からは「このままでは先がない」との悲鳴さえ上がり、体制変革を求める怒りの実力闘争が広がっている。資本主義の最末期ゆえに延命の為の大合理化・大再編が強行され、ウクライナ戦争にのめり込み、対中国との戦争準備を強引に進めているが故にあらゆる矛盾が爆発し、資本・国家権力と労働者階級の階級攻防が一層激化している。矛盾の爆発は階級制度の自衛隊ではなおさらだ。
●今年4月に沖縄県宮古島付近で、着任したばかりの第8師団長ら10人を乗せた陸自ヘリの墜落事故がおきて間もない6月14日午前9時頃、岐阜市守山の日野基本射撃場において、4月に入隊したばかりの18歳の自衛官候補生が教育期間最後の実弾射撃訓練の待機中に教育係の自衛官らに小銃を発砲し、2名死亡1名重症の事件が発生した。動機は定かではないが、逮捕後の本人は「教官から叱られた」「教官を狙った」「銃と弾薬を自分のものにしたかった」などと供述している。ところが現場では実弾を渡すタイミングに決まりがなく、待機中の本人にも実弾が渡されていたという。しかも、終日の実弾射撃訓練であったにもかからず、参加者全員が防弾チョッキを着用しておらず、「AED」も携行していなかったのだ。明らかに「安全配慮義務違反」である。厳格な安全対策を実施していれば被害の度合いは軽減された筈だ。にもかかわらず陸自は「ルールに反する対応はなかった」と居直っている。実に許しがたい。
●自衛官にとってイラク戦争の次はウクライナ戦争であり、対中国との戦争準備も反対の声を押し切って進められているのであるから、自衛官のなり手が減りこそすれ増える訳がない。事実、2021年の自衛官応募者は約2万8千人越えで、合格者は約1万7千人以上あったものの、約1万2千人が辞退し、自衛官になったのは5千350人に過ぎなかったという。この発砲事件があった同じ日、隊内で性暴力をうけた五ノ井さんの損害賠償請求裁判の第1回口頭弁論があった。当初「謝罪」をした元自衛官の内4名は態度を一変させ「性的暴行はなかった」と争う意志を示した。この事態に五ノ井さんは悔しさをにじませながら「全身全霊で闘う」と新たな決意を述べた。
●危機感をつのらせている日帝・防衛省は全国の自治体に募兵のための名簿提出を要求し、これとの闘いが全国に広がりつつある。若者を戦場に送ってはならない!改憲・戦争の岸田政権を打倒しよう!心ある自衛官は戦争命令・治安出動命令を断固拒否し、闘う労働者・労働組合と団結しよう!戦争をやめさせ新自由主義を終わらせるためにこそ「国境・国益」を越えて団結しよう!それができるのは現場で苦闘している労働者・兵士たちです。階級的労働運動を全国に甦らせ、団結して共に闘おう!!(6月23日、記)
自衛隊のセクハラ・性暴力は「戦争絶対反対!」の力でぶっとばそう!
二ツ森菜夏
●自衛隊は「性暴力」を排除できない
2023年1月、元自衛官の五ノ井里奈さんは、2021年8月に北海道の陸自演習場で受けた性暴力被害について、国と元自衛官5人を相手取り、損害賠償を求める訴訟を横浜地裁に提訴した。福島地検も元隊員3人を強制わいせつ罪で在宅起訴した。
自衛官時代の五ノ井さん。彼女は小学生のころ、東日本大震災で被災し、支援活動に当たる自衛官らの姿を見て自衛隊に入りたいと思うようになったという
五ノ井さんが半年の研修期間を終えて配属が決まったとき、「ここの中隊はセクハラとパワハラが多い」と先輩から忠告された。そして、着任直後から卑猥な言葉を浴びせられ、お尻を叩かれたり抱きつかれるなどの身体的接触を日常的に受ける。そして、事件が起きた。五ノ井さんは所属する郡山駐屯地の警務隊に訴え、3人が強制わいせつの疑いで書類送検されたが、地検郡山支部は嫌疑不十分で不起訴とした。五ノ井さんは退職し、YouTubeによる実名・顔出しで告発。これを受け、防衛省が謝罪し、加害者の処分、特別防衛監察でハラスメント被害の実態を調査して結果を公表、ハラスメント防止対策を提言する有識者会議も始まった。五ノ井さんの告白本『声をあげて』(小学館刊)を読むと、五ノ井さんの勇気、がんばり、誠実さが伝わってくる。また、自衛隊という閉鎖的で上命下服の意識が徹底した組織の中で、セクハラと性暴力がどのようにエスカレートするのかもよくわかった。自衛隊に変わってもらいたいと願う五ノ井さんには酷だが、国家の軍事組織である自衛隊から性暴力がなくなることはありえない。なぜなら、「軍隊と性暴力」「戦争と性暴力」は切り離すことができないからだ。
自衛隊で、あらゆる国の軍隊で、セクハラと性暴力が深刻な問題となっている。規律を乱すだけではない。被害者の中途除隊が兵力不足に拍車をかけているのだ。また、性暴力被害にあった女性兵士の自殺や加害者が被害者を殺害する事件も、各国の軍隊で繰り返し発生している。セクハラ・性暴力対策プログラムを実施している軍隊もあるが、自殺も含めて理不尽に命を奪われる隊内性暴力が減る気配はない。
●「戦争絶対反対!」の力で闘おう!
「戦争と性暴力」「軍隊と性暴力」についての研究は様々あるが、家父長制社会の権威主義や男性優位の社会構造の側面から分析するケースが多いように思う。戦争という敵対する国家を武力で侵略し占領する行為と、女性を性暴力によって萎縮させ従属させる行為の共通性を論じたり、戦争で敵兵を殺す興奮とセックスの興奮を関連付けるものもある。だが、それだけでは、性暴力が自衛隊で常態化している説明にならない。確かなのは、自衛隊は常時「戦争状態」にあるということだ。いつでも防衛出動できるように臨戦態勢を保持している。日米同盟下で、米軍の「抑止戦略」二本柱である「核抑止力」と「同盟国の軍事力活用」、そのひとつの柱を成すのが自衛隊だ。軍事費2倍化も、他国軍との合同演習も、米中戦争が口火となる第三次世界大戦への準備であることは公然の事実だ。
戦時下では「性暴力」が必然となることを歴史が証明している。帝国主義国家による侵略戦争と植民地拡大の最中、性病の蔓延が軍隊の脅威になった。性病予防策として設置されたのが軍用売春施設だ。国家による売春管理で、死と隣り合わせの兵士をコントロールした。女は兵士による残虐な暴力と差別の犠牲になった。人間らしい心があったらできない非道な行為だ。戦争は人間から人間性を奪う。軍隊・自衛隊は、兵士・自衛官を人間ではないものに改造して戦場へ送り出すための機関でもあるのだ。
人間は同類である人間を殺すことに抵抗を感じる。第二次世界大戦中の調査で、敵兵を撃ち殺すことができない兵士が大多数であることが立証されると、米軍は心理操作を駆使して、殺人への抵抗感を克服する訓練プログラムを開発した。「殺せ、殺せ、殺せ」の掛け声で走らせる、敵の兵士を「イエローモンキー」などの蔑称で呼ばせ、その人間性を否定させ、殺しても構わない存在だと思い込ませる。射撃の標的を実物大の人間型にし、兵士に殺人のプロセスを何度も繰り返させて、人を殺しても平気な人間に造りかえていく。任務遂行のために殺人をためらわない兵士こそ優秀な兵士なのだ。自衛隊も同じだ。国のためなら敵国の兵士と市民を殺せるように、愛国と排外を煽り、中国、北朝鮮、ロシアへの憎悪をかきたてる。おぞましいイデオロギーと戦術だ。
五ノ井さんが受けた「性暴力」は、まぎれもなく「戦時性暴力」だ。「戦争絶対反対!」の力で、自衛隊のセクハラ・性暴力をぶっとばそう!
五ノ井さん、私たちと一緒に闘いましょう!
《平和の少女像》。韓国・ソウル。日帝軍隊の戦争犯罪・性犯罪を告発し続ける。侵略を居直り、謝罪を拒否し、新たな中国、朝鮮ーアジア侵略戦争に突き進む日帝を許すな!
●国を守るな、命を守れ!
自衛隊は戦争が始まれば軍隊として運用される。「早く改憲して戦争に備えないと突然には動けない!」と、焦る自衛官も多いだろう。だからこそ、「改憲阻止!」で戦争を止めるのだ。自衛官も敵国の兵士も戦争で死んではならない。国家が始める戦争で誰ひとり死んではいけない!ウクライナ戦争が長期化する中、世界中で反戦運動が爆発している。自国政府の戦争を許さない労働者と民衆の国際連帯が拡がっている。
日本の労働者と民衆が「戦争絶対阻止!」の実力行動に出たら、岸田は治安出動を命じるだろう。その時、自衛隊はどうするのか。戦争を止めようとする人々を暴徒とみなして攻撃するのか、労働者、民衆と共に岸田の戦争を止めるのか。決断の時が迫っている。
二度と戦争させない!沖縄を戦場にしない!全ての戦争は人為的に始まり、終わりも特定の利益享受者によって操作されることを、沖縄、広島、長崎、そして、爆撃で壊滅した多くの都市から読み取ろう。ウクライナの今がそれだ。反戦・反核の地ヒロシマに核抑止を持ち込んだ岸田を許してはならない。核戦争に突き進む岸田政権は打倒しかない。すべての自衛官は労働者、民衆と共に「戦争絶対反対!」で決起しよう!国ではなく、命を守るために闘おう!
そして侵略戦争によって延命しようする支配階級を打ち倒そう!バイデン、プーチン、ゼレンスキー、岸田、そして習近平らも労働者階級人民と兵士にとっては打倒しなければならない国家の支配階級だ。世界の労働者・兵士の国際連帯と国際反戦闘争の力で打ち倒そう!それが労働者と兵士、被抑圧大衆を解放する戦いだ!
6・11新宿反戦デモ/多くの飛び入り参加/戦争反対で警察・右翼を圧倒
岡山大学と自衛隊の共同防災訓練阻止!大学の軍事研究を許すな!
岡山・福田英未子
昨年10月上旬、岡山大学津島キャンパス周辺の住民に、目を疑うような回覧板が届いた。「SDGs×防災」をうたったそのチラシ(写真①)には、10月27日に岡山大学津島キャンパスで岡山大学と自衛隊の共同防災訓練を行うことが宣伝されていたのだ。岡山大学全学連の学生と改憲・戦争阻止!大行進・岡山の仲間たちは、防災に名を借りた大学と自衛隊の共同訓練を許さないためにただちに立ち上がった。
(写真①) 2022年10月上旬。「SDGs×防災」をうたったチラシ
学生への募兵活動―戦争動員を阻止しよう!
10月13日、岡大生・大学職員・元教員ら、市民6名が岡山大学に申し入れを行った。「 防災訓練ならなぜ本業の消防署と共同でやらないのか。防災は自衛隊の副業に過ぎない、防災が本業の消防署と共同でやる方が、ずっと住民に役立つではないか。」との追及にも、大学側は「自衛隊も災害救助で貢献しているから自衛隊とやることにした。」とくり返すばかり。さらに、どこの自衛隊のどんな部隊が来るのか、といくら聞いても答えない。大学自ら自衛隊を引き入れて、自衛隊の宣伝や募兵活動に協力しようとしているのだ。
27日早朝には、地域や近県からも労働者市民が次々と自衛隊入構阻止の座り込みに参加(写真②)。昼休みには岡大全学連主催で集会。岡大生は基調報告で「中国侵略戦争のため、防衛省の研究開発費は1兆円に増額されようとしています。私たちが戦う相手は他国の労働者学生ではなく、私たちを戦争に加担させ戦場に送り込む権力者・政府です。岡大の軍事研究を阻止した力で、学問の場に軍隊を入れるな!」と訴えた。駆け付けた京大生も連帯アピールを熱烈に訴えた。
学内デモで会場の体育館に向かったところ、すでに自衛隊の車両が入構していた。開かずの門をこっそり開けて、私たちの目の届かない方向から1/2tトラック、続いて大きな3t半トラックが進入していた。岡山理科大学のすぐ横にある三軒屋駐屯地(中四国最大の自衛隊弾薬庫)から来た3t半トラックを包囲し、徹底弾劾した(写真③)。私は岡山大学病院の外郭団体の職員なので、処分や逮捕も脳裏をよぎったけれども、先に体が駆け出していた。自治労倉敷の仲間は「災害時の住民避難を担うのは自衛隊じゃない、自治体職員だ!」、元大学教員の仲間は「大学の次は小中学校や高校へ自衛隊が来る」と弾劾の声を上げた。飛び入りで学生が参加し、あちこちで討論の輪ができた。
岡大当局は、抗議を受ける自衛隊トラックから職員が物品を運び出して訓練を強行し、さらに弾圧を狙い制服警官を学内に入構させた。絶対に許せない。
(写真②) 2022年10月27日。早朝。自衛隊入構阻止の座り込み
岡山県北(津山市・奈義町)の日本原駐屯地や三軒屋駐屯地の自衛隊は昨年11月、北海道でロシアに向けて行われた日米共同演習にも参加し、2015年にはJR貨物で155㍉りゅう弾砲などを帯広まで軍事輸送している侵略戦争部隊そのものだ。今回の防災訓練は、自衛隊広報が担当し何の関係もない海上自衛隊まで参加している。
同じく11月5日には、倉敷市が主催する防災訓練に「82式指揮通信車」「93式近距離地対空誘導弾」などを展示しようとしたが(写真④)、ちょうど大規模に発生した鳥インフルエンザ対応での出動を口実に展示をとりやめた。
(写真③) 2022年10月27日。三軒屋駐屯地から来た3t半トラックを包囲し、徹底弾劾
反戦闘争の爆発で国家総動員体制と軍事研究を阻止しよう!
大学に自衛隊が大手をふって入構することなど、これまでは考えられなかった事態だ。しかし、ウクライナ戦争への日帝の参戦、中国侵略戦争の切迫といった情勢のなかで、防衛省・自衛隊が、軍事費2倍化、敵基地攻撃能力保有を叫び、帝国主義軍隊へと変貌しようとしていることをみれば、その狙いは明らかだ。大学・学問の軍事利用・動員、学生に対する募兵活動・宣伝活動、すなわち、国家総動員体制をつくるためだ。
岡山大学と防衛省の密接な関係は、今回の防災訓練が初めてではない。防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に、岡山大学は毎年のように応募し、過去3回採択されてきた。3回も採択された大学は他に例を見ない。岡大全学連が軍事研究反対を訴えて登場した昨年、そして今年は応募を粉砕した。他の大学からの応募も減少している。
この制度は、「防衛分野での将来における研究開発に資することを期待し、先進的な民生技術についての基礎研究を公募する」と書かれているように、基礎研究だ、民生技術だと、どれだけ言い訳しても軍事研究以外の何物でもない。戦前の研究者たちが戦争協力に手を染めてしまったことの強い反省から、特に大学の研究者たちの協力をほとんど得られずにきた。このことに業を煮やした日帝・政府・防衛装備庁は、2024年には1兆円規模の新研究機関を設置しようとしている。アメリカで衛星利用測位システム(GPS)など多くの開発をおこなった国防高等研究計画局(DARPA・ダーパ)を念頭に置いた機関だという。無人機や人工知能(AI)、量子などの研究を軍事に転用する狙いだ。学問・研究を戦争のために総動員する体制づくりであり、絶対に許してはならない。
(写真④) 2022年11月5日。防災訓練に「82式指揮通信車」「93式近距離地対空誘導弾」などを展示を企図するも中止。
戦争協力と動員を拒否し、侵略を内乱に!
いま、ウクライナ戦争においては、各帝国主義が先を争って最新鋭の兵器・武器を供与し、投入して、幾多のロシアの兵士たち、ウクライナの兵士や市民、子どもたちに犠牲を強いている。日帝は敗戦帝国主義からの脱却に絶望的な飛躍をかけて、G7広島サミットにゼレンスキーを招き、ますます泥沼の戦争へと導き、自らも参戦国になろうとしている。そして、中国への侵略戦争の危機を深めている。ヒロシマの名で、世界戦争・核戦争を行う宣言をしたのがG7広島サミットだ。
こうした帝国主義強盗たちのために、学者・研究者はかの731部隊の恥ずべき歴史をくり返してはならない。学生は学徒出陣の道を拒否しよう!労働者は戦争動員を拒否しよう!そして、兵士は侵略の銃を二度と握ってはならない。
岡山県北の日本原演習場の撤去を求めて、地元農民が先頭に立ち営々とたたかわれてきた日本原闘争のなかで、私たちは自衛官に直接「兵士は侵略の銃をとるな!」と訴え続けてきた。その真価が問われる時代だ。帝国主義戦争を内乱へ転化するたたかいに、労働者と兵士は共にたたかう!
侵略戦争を内乱と革命戦争で応えよう
滝山猛師
世界核戦争を全労働者・兵士の団結と実力で止めよう!
米欧はウクライナのNATO加盟拒否を改めて表明した。認めれば名実ともにロシアとNATOの全面戦争に突入するからだ。だがウクライナ戦争は事実上ロシアとNATOの全面戦争に突入し、泥沼化した戦争が長期化している。岸田政権はG7サミットでウクライナ戦争への参戦を宣言した。
ゼレンスキーは6月10日、反転攻勢を宣言し、ロシアが占領した地域を東西に分断するザポリージャ制圧に突入した。だがロシアが前線に構築した要塞(対戦車塹壕・障害物(竜の歯)・地雷原)のまえに進軍は停滞している。ウクライナ軍の事実上の壊滅といわれている膨大な戦力消耗も進軍停止の大きな要因でもある。ウクライナとロシアの戦力比は歴然だ。それでもゼレンスキーはNATO、日帝を引き込むことで延命し、米欧はゼレンスキーを全面的に支援することでロシアの弱体化を図り、対中戦争に備える動きを激化している。
現在、ウクライナの国土の40パーセントが対戦車地雷と対人地雷で埋め尽くされていると言われ、ウクライナのレズニコフ国防相は4月、敷設した地雷を完全に除去するには30年かかる可能性があると述べている。ウクライナは今、世界で最も地雷が多い地域と化した。加えて6月6日、南部へルソン州のダム決壊がウクライナ戦争を泥沼化と長期化に拍車をかけた。戦争の激化で塗炭の苦しみと地獄をみるのは人民と兵士だ。戦争で利益を貪るのは一握りの軍需産業とそれに群がる資本家ども、それらの手先である政治家と支配階級だ。「英雄」に祭り上げられているゼレンスキーもその一人だ。ウクライナ戦争は「絶対戦争」として激化するが和平の道は閉ざされている。アメリカの「戦争研究所」は、ウクライナ戦争を4つのシナリオで描き出している、①和平、②泥沼化、③ロシア(中国)とNATOの絶対戦争、④プーチン政権の崩壊、これは米帝のシナリオでもある。今、②と③の絶望的な全面化に突入している。23~24日ワグネルのブリゴジンが「武装反乱」のポーズを見せ「モスクワに進軍」したが即、撤退を表明。民間軍事会社は、所詮「金」で動く組織だ。
プーチンはベラルーシへの戦術核配備を年内に完了すると宣言し、戦術核使用に動き出した。ベラルーシのルカシェンコ大統領はためらうことなく戦術核を使用すると公言している。ウクライナ戦争の激化が世界核戦争の危機を加速させている。
戦争を根底で規定しているのが米帝の没落だ。戦後、「世界の警察官」として君臨してきた米帝はその地位から脱落し、そこからの巻き返しをかけたウクライナ全面支援だが、それは同時に、米帝の思惑とは異なり米帝の没落と国内危機を加速させるものに、必ず、転化する。戦争で塗炭の苦しみと地獄に叩き込まれているのが人民と兵士である。ウクライナ国際反戦の拡大で戦争を直ちに止めさせよう!
レーニン・ボリシェヴィキの反軍活動から学ぼう
第一次世界戦争は世界の総人口のおよそ4分の3に当たる15億人余りの人口を擁する38ヶ国を徐々にその戦争圏に引き込んでいった。第二次世界大戦は人類史上最大の死者を出した。兵士・民間人の死者は当時の世界人口の2・5%にのぼる。世界核戦争に至れば人類と世界は壊滅の危機に直面する。壊滅とは真逆の人類解放のプロレタリア世界革命が今こそ求められている!突き進もう!
戦争に対するレーニン・ボリシェヴィキ党の宣言は、1912年11月のバーゼル宣言や、1914年11月「戦争とロシアの社会民主主義政党」に述べられ、翌15年ボリシェヴィキ在外支部ベルン協議会の諸決定で示された。レーニンは強調した。戦争の下では、あらゆる革命政党にとって唯一の正しいスローガンは、交戦双方いずれからしても不正義の戦争である帝国主義戦争を内戦に、つまり革命に転化させるというスローガンである、と。帝国主義侵略戦争を内乱に転化するというスローガンからは、もう一つのスローガンが出てきた。それが帝国主義戦争では自国政府を敗北させるというスローガンだ。史上このスローガンを最初に実践し、行動したのがボリシェヴィキ党だ。そして同時に、このスローガンで活動を進めることをすべての交戦国のプロレタリアートに呼び掛けた。「(自国の)政府軍が敗北することは、その政府を弱体化させ、それに隷属させられている人民の解放を促進し、支配階級に対する国内戦を容易にする」(レーニン)と。そして自国政府の敗北―弱体化の闘いが、自国の「国民的利益」や「国家的利益」の裏切りや「他国への援助」とは絶対にならない、ということを強く述べている。自国政府の敗北や弱体化に恐怖し、異を唱えるのは支配階級と社会排外主義の反動・反革命勢力だけだ。
さらに、ロシアのプロレタリアートは、「自分の祖国」を「自由、独立の祖国」にしたいと望んでいるが故に、労働者人民の最も凶悪な敵である支配階級の敗北を希求せずには「祖国を擁護することはできないのである」(レーニン)と、明快に述べている。同時に革命勝利後ロシアの全プロレタリアート・農民が武器を手に取り、外部からのいかなる侵害の企てからも自分たちの革命の擁護に全力で戦うことを強調した。また「敗戦のスローガン」を個人的なテロ行為、将校の殺害、陰謀、サボタージュ等々の呼びかけと解するアナ―キスト的解釈にも公然と反対を表明している。
自国帝国主義政府の敗北を促すとは、帝国主義への政治的支持をすべて拒否し、国際的反戦闘争の宣伝・扇動を常に繰り広げ、銃後=全職場・全地域でのブルジョアジーとの闘争にプロレタリアートと農民を起ち上がらせ、そのうえで軍隊を系統的に革命化させることだと言明し、徹底的に戦った。1914年8月以降画然と、あらゆる宣伝・煽動と非合法活動によって軍隊の革命化のために準備し、闘ったと。同時に軍隊の革命化を「軍隊の解体」(カウッキー)という空文句で片づけることに反対し徹底的に闘っている。それが17年10月革命に結実した。この全過程は国家権力・警察との全面的で非和解の死闘戦として、時には敗北を余儀なくされながらもそれを乗り越え、不屈に、徹底的に闘い、前進した。
敵階級の力を分解させ、搾取者に対する闘争のために「武装した労働者(兵士)」、農民大衆を「敵階級から奪い取る闘い」に困難と犠牲を恐れず、誇りをもって粘り強く、徹底的に闘うことを呼び掛けている。反軍闘争としての軍隊内合法・非合法活動の粘り強い闘いの訴えだ。敵支配階級の打倒に向けた労働者人民の大衆的武装闘争と全人民の武装―暴力革命、そして軍隊の革命化という道筋のなかに戦争から抜け出す道を確信的に見いだしていた。
演説するレーニン。1920年。5月。モスクワ。演壇わきにトロッキーが立つ。(着色写真)
軍隊の革命化は革命勝利の条件
レーニン・ボリシェヴィキ党は、戦争勃発の最初の日から、次の課題を自らに課した。それは、軍隊を支配階級の思想的影響から切り離し、戦争の反人民性、反人民的性格について兵士大衆に確信を持たせ、「人民の側に移る準備」をさせる、という闘いである。帝国主義軍隊を革命化させる本質とは、軍隊(自衛隊)という「国家の暴力機構」を「労働者人民の擁護者」に転換させる「革命的な軍隊としての要素=プロレタリア的資質」を帝国主義軍隊内部にどう浸透させ、物質化し、組織するかという計画的、系統的たたかいである。これを推し進めるということ。
ボリシェヴィキの「軍隊の革命化」による影響とは別に、その一方で、ロシア軍の戦闘能力の低下=弱体化は、実は、ツァリー政府自体の手で惹き起されたのである。第一にツァリーは軍隊に、兵士に衣食や武器を与える能力さえなかった。この戦闘能力低下の本質は、階級矛盾の当然の帰結ともいえる。政治と軍事機構全体を腐食・腐敗させ、「国の防衛」をぼろ儲けの源泉や汚い投機行為に変えたツァリーズムとロシアブルジョアジー双方の腐敗・堕落が戦闘能力の低下を引き起こしていたのである。
これは現在の米軍をはじめNATOの軍隊も、米・ロシアの民間軍事会社も、ウクライナ戦争に駆り出されているロシアの軍隊も、そして米欧帝国主義とゼレンスキーに動員されているウクライナ軍も本質的に同様の中に置かれている。それが「支配階級の軍隊」だ。ミャンマー軍はその極限にあるといえる。
では自衛隊はどうか。別の視点からみると、防大卒業生の任官拒否生の増加、自衛官の60パーセントを占める叩き上げの現場指揮官である「尉」「曹」クラスの退職増、パワハラや隊内性暴力、自殺の増加、そして第8師団長以下幕僚幹部搭乗のヘリ墜落、自衛官候補生の発砲事件などは、隊内矛盾の爆発と隊内教育・訓練の破綻、自衛隊の危機的な脆弱性の全面的な噴出だ。隊内矛盾と脆弱性の表れが、日帝の軍大化と戦争国家化攻撃が破綻に行き着くことを示している。自衛官(と家族)は戦争を拒否しているのだ。
軍隊の革命化は、プロレタリア革命勝利の条件であると同時に、非和解の階級闘争―階級戦争の前進と、その結果でもある。その核心は非合法活動と労働者人民の暴力の奪還である。非和解の階級闘争―実力闘争としての革命運動をさらに前進させよう!
G7広島サミット粉砕の闘い。5月21日。広島。8・6広島ー8・9長崎闘争に起とう!
帝国主義戦争を国際的内乱に転化し、革命戦争で世界革命へ
ボリシェヴィキは戦争勃発の最初の日から、全兵士に兵器を反動的ブルジョア政府に向けよと呼びかけた。プロレタリア革命の宣伝・扇動を全職場・全地域と軍隊において実践した。あらゆる国の軍隊の中に、あらゆる言語でこうした宣伝をするための、非合法の細胞やグループを組織することが無条件に必要であると呼びかけている。
その際、レーニンは「戦争反対のゼネスト」や「兵役忌避」などの提案がナンセンスで実現不可能な計画であると批判した。ストライキはそれが一挙にすべての交戦国に波及した場合に初めて勝利のチャンスにめぐまれる。だがこうした任務は各国に組織されたインターナショナルな世界単一の革命党によってしか成功しない。当時の第二インターの手には負えないものであった、と。したがって実践的にはゼネストは労働者階級の最良の部分の絶滅とプロレタリア党の力の浪費に導くだけであろうと、言及している。まさに強固なナショナルセンター(階級的労働運動の復権と全国的拠点化)と世界単一の革命党の建設、その前進の決定的重要性の確認と実践である。ゼネストは武装蜂起と結合し、それが内乱―内戦となり、世界的な規模での革命戦争として爆発したときにプロレタリア独裁への道を切り拓くことができる。
反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命へ
ウクライナ戦争と世界戦争の危機という今日の世界情勢そのものが、第二次世界大戦後の帝国主義とロシア・中国(旧・残存スターリン主義)による「世界体制の最大・最高の危機」の現れなのだ。これらは反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命のチャンスの到来であると同時に帝国主義とスターリン主義の戦後最大の危機の解決もプロレタリア世界革命によってしか解決しないということだ。ロシア革命以後の帝国主義段階から社会主義段階への過度期、その過度期をスターリン主義の裏切りによって延命できている帝国主義。
この帝国主義支配の世界をレーニン・ボリシェヴィキの理論・思想・実践のすべてを今日的に継承し、発展させ、暴力革命によるブルジョア独裁をプロレタリア独裁に置き換えることで初めて、国境や民族、人種をも超えた全人類の人間的解放の未来を、自らの手で、切り開くことができる。ともに進撃しよう!(6・25記)