会報76号

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巻頭言

パレスチナ人民の10・7蜂起に断固連帯し、日本帝国主義を打倒する反戦闘争に決起しよう

会員・D

 ライズ読者の皆さん、自衛隊兵士の皆さん、日本の労働者階級が世界革命の扉を開く2024年が始まりました。

 帝国主義とスターリン主義の世界支配を突きり破り、徹頭徹尾戦い抜く民族解放の決起がパレスチナ中東人民から開始されています。10・7蜂起は、イスラエル軍と帝国主義の総力をあげた攻撃に対して、現在も指揮系統を維持し、敢然と戦い抜かれています。帝国主義とイスラエル軍が、パレスチナ全土に1㌧爆弾を投下し続けても、2万人虐殺の蛮行を重ねても、突き破られた帝国主義支配は絶対に回復できません。
 私たちは、全世界の兵士、自衛隊兵士諸君に訴える。諸君の銃口は、「三正面」戦争、帝国主義侵略戦争、人民大虐殺を指揮する帝国主義政府・司令官・上官の頭に向けよ。

 10・7蜂起は、全世界の労働者農民兵士へ向けた、帝国主義打倒の内乱―蜂起の熱烈な呼びかけにほかなりません。世界戦争に突き進み、人民を虐殺して生き延びる以外なくなった帝国主義とスターリン主義を打倒しよう。問われているのは私たちです。私たち帝国主義本国の労働者階級が10・7蜂起にすべてをかけて連帯し、民族解放・革命戦争と帝国主義打倒のプロレタリア革命を結合させ、世界革命に向かって突き進もう。「三正面戦争」に参戦する日本帝国主義を打倒しよう。

 崩壊の瀬戸際にあるのは、日米帝国主義の側です。「普通の国」「戦争の出来る帝国主義」は、敗戦帝国主義・日帝の「悲願」でした。しかし戦後長期にわたって日本の労働者階級はその攻撃を根幹において阻止してきました。戦争と民営化攻撃に立ち向かい、「3労組」を拠点に国際主義と階級的労働運動の潮流として、戦争と労組解体攻撃に真っ向から総反撃し、日帝打倒の革命戦争を準備してきました。2024年はその革命戦争を本格的に前進させ、発展させる年だと考えます。
 日本帝国主義の2005年経団連「経営労働政策委員会報告」路線、つまり中国と対抗し、新市場を開拓して生き残るという「アジア自由経済圏構想」、そして日米安保同盟の転換的強化、改憲と集団的自衛権の行使、対中戦争構想は、岸田政権によって米中戦争への参戦、ウクライナ戦争への参戦、中東・パレスチナ侵略戦争への参戦で具体化しようとしています。つまり「三正面」戦争を米帝が展開できるのは、日帝の全面参戦があるからです。2024年は帝国主義打倒の内乱を組織しよう。反戦闘争にまなじりを決して決起しよう。

 日帝の中国侵略戦争に全面動員されている自衛官との連帯行動を強めよう。中国侵略戦争は自衛隊兵士と米軍・米海兵隊の共同作戦にかかっている。つまり作戦の成否は自衛隊兵士にあるのだ。兵士諸君、侵略の銃を握るな。防衛出動命令―参戦命令を拒否しよう!治安出動命令を拒否しよう!自衛隊兵士はオスプレイ搭乗を拒否しよう!労働者階級人民は兵士諸君とともにある。

戦場へ行かずに戦争を止めよう!

二ツ森菜夏

自衛隊に入りたい、そう思ったことはありますか?

 私はあります。子どもの頃から戦闘機が大好きで、迷彩服の男性自衛官は誰でもかっこよく見えました。私にとって自衛隊は身近で頼もしい存在だった。しかし、明治生まれの祖父が猛反対、激怒し、自衛官になることを断念。「この国はもう一度戦争をする。ふたたび戦勝国になるには、戦争を起こして勝たなきゃいけないからだ。自衛隊に入ったら真っ先に戦場に行かされる」と、祖父は言った。そして現在、安保三文書、軍事費2倍化、南西諸島のミサイル基地化、岸田によるウクライナ戦争支援とパレスチナ虐殺容認、中国侵略戦争を想定した日米合同演習と、日本の現状は祖父の予言通りになった。

[10・25米マサチューセッツ大学 ガザ攻撃抗議行動]

自衛官充足不足と青年の取り込み

 岸田政権下で武器輸出と民間空港・港湾の軍事利用も強行されているが、どうにもならないのが自衛官のなり手不足だ。自衛官の採用未達は「静かなる有事」と言われている。23年度防衛白書によれば、常備兵力としての自衛官は、定員24万7154人のところ22万7843人で充足率は92・2%。およそ2万人不足している。米国の常備兵力は約157万人、中国は約229万人、日本とは桁が違う。
 しかし、ここ数年で変化が現れた。元自衛官が発信するYouTubeやSNSが大人気となり、自衛隊がグッと身近な存在になってきた。また、陸・海・空それぞれの部隊が自衛隊の日常をつぶやくX(旧Twitter)も多くのフォロワーを集めている。基地や駐屯地の一般開放では、戦闘機パイロットにサインを求める列ができ、ヘリ空母の艦載機用エレベーターに驚嘆の声が溢れ、戦闘車両体験搭乗も大人気。それに加えて、北朝鮮の弾道ミサイル発射と中国の領空侵犯・領海侵入で排外主義報復を煽る右派メディア、ウクライナ戦争を「ロシアの侵略に対抗する正義の戦争」と義憤を焚き付け、イスラエルによるパレスチナ虐殺を「テロに対する正義の戦争」と正当化する帝国主義国家によって、愛国心と国防意識を刺激された若者たちが自衛官を目指すようになってきた。災害派遣で活躍する自衛隊に感動して自衛官を目指すのとは次元の異なる現象が、戦時下で起きている。

[「ガザ即時停戦を」ロンドンで30万人が叫ぶ 10月21日]

 しかし、戦時下だからこそ、戦争を任務とする自衛官に厳しい目が向けられている。性犯罪、いじめ自殺、パワハラ、セクハラ、飲酒運転など、毎日のように自衛官の不祥事が報道されるのは、戦争へと突き進む岸田政権に対する国民の怒りと不安を感じ取ったマスコミの忖度といえる。戦争には反対なのである。また、自衛官募集の対象となる若者について、自治体による自衛隊への名簿提供中止を求める運動が各地で起きている。
 昨年2月末、ゼレンスキー大統領は兵力増強のために外国人義勇兵の募集を開始した。在日ウクライナ大使館の呼びかけに、70人の日本人が志願した。そのうち、50人が元自衛官だ。「人ごとではない」「ウクライナの若者が死ぬくらいなら自分が死ぬ」と応じた。だが、日本政府はウクライナ全土に退避勧告を出していて、自粛要請を受けたウクライナ大使館は募集を取り下げた。それでも、独自にウクライナに入国し、十数名の日本人が義勇兵となってロシアと戦争をしている。昨年11月には、日本人義勇兵の元自衛官が戦死している。一方、「義はロシアにある」と、ロシアに渡って義勇兵になった日本人男性もいる。
 前者は、ロシアの侵略からウクライナを守れ!と戦場に行き、後者は日本のメディアがアメリカの一方的な情報でロシアを悪者にしていると批判している。では、ウクライナは正義でロシアが悪なのか?断じてノーだ!
 ゼレンスキーは低迷する国民の支持率アップと親ロシア派弾圧のために、NATOとEUへの加盟を宣言し、NATOの東欧拡大に対抗したロシアがウクライナ侵攻へと踏み切った。米欧はウクライナに武器を送って戦火を拡大し、東欧への影響力を強化した。西側諸国の軍事企業は最高利益を上げ、米帝はロシアを戦争で疲弊させることで中国との戦争を有利に進めようとしている。起こっていることは、帝国主義国家による侵略戦争であり、両国の兵士と人民がどれだけ殺されようと停戦には至らない。支配階級が口を揃える「正義のための戦争」は全てペテンだ。

[「もう生きてはいられない」-高校生が武装勢力戦闘員に。10月22日。ミャンマー]

若者よ!死ぬ気で戦争を止めよう!

 イスラエルによるパレスチナ自治区への侵略戦争と大虐殺により、全世界でパレスチナ連帯の大規模デモとストライキが爆発している。「病院への攻撃をやめろ!」「イスラエルに武器を送るな!」と、自国政府のイスラエル支援に抗議し、怒りを叩きつけている。
 10月7日のハマスによるイスラエル攻撃は、イスラエルによる占領とガザ包囲、パレスチナ抹殺に向け繰り返されてきたガザ攻撃に対する心底からの怒りの蜂起だ。これを断固支持し、連帯し、戦争絶対反対を掲げて決起しよう。侵略戦争に加担するのではなく、戦争を止めるための闘いに身を投じよう。
 国を守るな!生命を守れ!
 人を殺すな!殺されるな!
これが、これから自衛官を目指す若者に私が訴えたいことだ。
 自衛官になりたい理由はいろいろある。「戦闘機パイロットになりたい」「親も自衛官」「地本にスカウトされた」「家が貧乏」「資格を取って任期満了金をもらう」「この辺じゃ高卒の就職先は警察か消防か自衛隊」「災害救助活動がしたい」「国を守りたい」「誰かの役に立つ仕事がしたい」、少数だが「中国、北朝鮮をやっつける」という排外主義思想の若者もいる。自衛官を目指す若者には、戦場で人を殺す覚悟があるのか? 言い換えよう、兵士は戦場で人を殺す仕事だという自覚はあるのか?
 自衛隊は紛れもなく、国家に属する武装組織である。自衛官は国の戦闘員だ。戦場においては「敵兵」を殺し、非戦闘員をも殺すことになる。そして、自分自身も殺される。その事実がまさにガザだ。
捨てられる命なら、死ぬ気で戦争を止めたほうがいい。若者よ!戦争で人を殺すな!殺されるな!国家による戦争で戦うのではなく、戦争する自国政府を打倒する闘いに決起しよう!

[12・15京大全国学生反戦集会 
「侵略戦争を進める日米の帝国主義を打倒する事抜きに、学生の未来を考えることは不可能です」]

歴史の岐路、今こそ反戦闘争基軸の階級的労働運動を全面開花しよう

国鉄千葉動力車労働組合副委員長・佐藤正和

11・19結集はこれまでの次元を超えた組織化が切り開いた

 新年明けましておめでとうございます。昨年、Rise編集部から「戦争と革命の時代の反戦闘争基軸の労働運動」というテーマで原稿の依頼を受けました。その実践の大きな成果が11月集会の大成功だったと思います。昨年の11月集会は、26年間の歴史の中でも新たな出発点を築いたと言っても過言ではない成功をかちとりました。

 11月19日、東京・日比谷野外音楽堂で、全国労働者総決起集会―改憲・戦争阻止!1万人大行進が、2800人の結集で開催されました。集会後デモのみに合流した人も200人をこえており、11月集会は3000人を超す闘いとなりました。この1~2年間の反戦闘争の組織化を軸とした全国各地での必死の努力が、3労組を先頭とした階級的労働運動再生に向けた闘いと結びついて現在の情勢ときり結ぶ力を獲得し、職場・地域・学園から多くの仲間たちが結集しました。
 ウクライナ戦争、バイデン・岸田政権の対中国戦争への突進、ガザ大虐殺という歴史的事態に対し、繰り返しこれまでの延長戦上の認識を壊しながら、必死に戦争反対の闘いをつくり上げていった努力が生み出した成果です。
 例えば東京では、9月1日以降、18回もの反戦デモが組織されました。26年の歴史の中でもこれほど集中して目的意識的に闘いを組織したのは初めての経験です。
 その実践があったからこそ、とくに10・7のガザの蜂起以降は情勢が一変したことをつかみとることができ、その過程で「杉並大行進」の結成や「選挙のように闘おう」方針、「組織隊」方針が生み出され、その真剣さがこれまでとは違った次元で職場での組織化となり、職場から街頭から多くの新たな仲間たちが結集したのです。

[全国労働者総決起集会に2800人が結集(11月19日 東京・日比谷野外大音楽堂)]

組織絶滅攻撃を打ち破って前進した国際連帯の闘い

 11月集会は、現代に階級的労働運動を創造していく必死の努力として取り組まれてきました。その先頭に、新自由主義攻撃の渦中で組織絶滅的な攻撃をかけられながら団結を守りぬいた3労組が立ち、それが画期的な国際連帯闘争を生み出して発展してきた闘いです。
 国際連帯闘争の前進という面では150%の成功をかちとりました。それは「韓日労働者共同声明」「パレスチナ連帯決議」、日韓連帯の深まり、ILWUの久しぶりの参加、滞日外国人の本当に多くの参加等として示されました。
 全体を通して、11月集会が日本労働運動・階級闘争にとってどれほど大きな意味をもっているのかがあらためて鮮明になり、また、11月集会は、様々な障壁をぶち壊してもっと巨大な結集軸となる可能性をもっていることに私たち自身が確信をもてたことが大きな成果です。最も原則的でラジカルなことがもっとも大衆的である時代がやってきたのです。
 しかし、「最低3500」の目標に至らなかった悔しさを含め、この組織化と闘いをもう一年継続することです。

[国際連帯の訴えでは、在日パレスチナ人、韓国・民主労総ソウル地域本部、米国際港湾倉庫労組(ILWU)ローカル10の現場組合員、ドイツ鉄道労働者ネットワーク、在日ミャンマー人などが登壇、労働者の国際的団結を熱烈に呼びかけた。]

戦争を止められるのは有効的で実践的な反戦闘争

 11月集会後は、「パレスチナ連帯決議」を実践する、伊藤忠・NAS(昨年3月に幕張メッセで開催された武器見本市では、イスラエルの「死の商人」エルビットシステムズと、伊藤忠アビエーション、日本エヤーシステムサプライという二つの日本企業が、前者の殺人兵器を日本国内で生産する契約に合意)というイスラエルとの軍事協力企業弾劾、実際に戦争を止める「最も有効的で実戦的な反戦闘争」の闘いが開始されました。
 職場・生産点では、「パンと平和」のスローガンがぴったりくるような、港合同昌一金属支部、JAM日本機械労組、船橋二和病院労組の「戦時下のストライキ」をはじめ、27年目の11月に向かって休むことなく進撃が続けられています。

[伊藤忠アビエーション社前で「エルビット社と手を切れ!」と迫った(12月1日東京都港区)]

最先端の変革は、現状の労働運動の変革!

 ここで「甦る労働組合」からおさらいです。「僕は『反戦闘争を闘う労働運動』を提起しているが、それは労働運動の闘いの基軸に、反戦の闘いを路線としてきちっと押さえなければいけない、と思うからだ。これは本質論として労働運動とはそういうものであるということだ」
 「労働組合運動とは本来、階級的労働運動であり、否応なしに権力問題を含んでいるわけだ。だから自国政府の侵略戦争はもとより、侵略戦争策動や戦争加担政策などに、労働組合はなによりも敏感に対応して、それに対する闘いを展開しなければ、そもそも労働組合運動として成り立たない・・・つまり中間の立場はないとう意味で労働運動と反戦闘争は完全に一体のものである」。
 そして、「街頭で闘った青年労働者たちが、街頭だけで闘って職場の中でなにもやらないという話にはならない。街頭で激しく、権力の権化みたいな機動隊とバンバンぶち当たって闘っているわけだ。だから、職場の中で起こってくるさまざまな矛盾も放置してはおかない。職場闘争もどんどん活性化していくわけだ」。
 文字通り歴史の岐路となる年である2024年。世界中で戦火がたえない状況は世界戦争の危機をはらみ、労働者は物価高騰と大増税にあえぎ、社会は人間が生きていくのに必要な基盤がすべて崩壊しようとしています。労働組合がいかに闘うのかが問われています。まさに、労働組合とは「革命の学校」です。2023年の闘いの中でつかんだ教訓と成果を、この種を2024年は全面開花させましょう。

 動労千葉はこうしたなかで、今年の3月30日、結成45周年を迎えます。闘いは、今から・これから、「自分たちの労働組合を甦らせ、労働運動の現状を変革することだ。それこそが今、最先端の変革である。闘うことは結構楽しいものだ、朗らかに闘おう」変革の時代を明るく元気に進んでいきましょう!

[11月11日、民主労総はソウルに組合員5万人を集めて全国労働者大会を開いた。動労千葉から関委員長、渡辺書記長をはじめ訪韓団30人が参加した。]

パレスチナの民族解放・革命戦争に連帯し、日帝・岸田政権打倒へ!

滝山猛師

世界戦争阻止は日帝打倒

 岸田政権は12月22日、防衛装備移転三原則と運用指針を改定し、日本で生産する地対空誘導弾パトリオットの米帝への提供を決定した。改定は防衛装備移転三原則を閣議、運用指針は国家安全保障会議(NSC)で決定した。国会での議論はない。大転換だ。米帝がウクライナやイスラエルにパトリオットを供与し、在庫減少となれば日帝が米帝に提供する。しかもライセンス完成品は米帝が要請すれば第三国への輸送も可能としている。要するに米帝の要請があれば世界中の戦場に送るというのだ。そのために国内軍需産業の育成と従事労働者を大幅に増員する。労働者は軍事機密保持でがんじがらめに管理される。まさに日帝の参戦であり、改憲と軍拡の戦争国家化が一気に加速する。核心は米中戦争への参戦であり、日帝の新たなアジア侵略戦争への踏み込みだ。安保関連3文書の恐るべき加速度的具体化だ。
 米帝の大没落がウクライナ戦争、中東戦争を引き出している。それだけではない。米帝の没落がアジア・アフリカなどでも抑え込まれてきた新植民地諸国で新たな民族解放・革命戦争の火が噴き出す情勢だ。だが米帝の最優先事項は「世界唯一の競争相手国」(米国家安全保障戦略)である米中戦争だ。だから米帝はウクライナに大量の兵器・弾薬を供与してもNATO加盟を拒否し続け、「10・7蜂起」―民族解放・革命戦争に対するイスラエルのハマス総殲滅・パレスチナ抹殺という「三段階戦略」とガザ住民200万人の追放をかざすイスラエルの反革命戦争を米帝はどこまでも擁護し続ける。否、パレスチナ人民大虐殺と追放という史上最大のガザ攻撃をどこまでも容認しせざるを得ないところに追い込まれている。
 イスラエルは建国以来、建国の不正義性という史実ゆえに常に「国家消滅の危機」と恐怖に直面している。したがって徹底したシオニズムと反革命教育で軍事国家として強化している。バイデンの「民間人保護」というのはポーズだ。イスラエルの国家戦略はガザ制圧の次はヨルダン川西岸の軍事的制圧であることは明白。そこまでの軍事作戦を強行するか否かは、米帝次第だが、米帝支配階級にはそれを止める国家的意思も影響力も低下している。中東戦争の泥沼的激化は不可避。イランはイスラエルに加担する米帝を批判し、地中海封鎖に動き出した。
 繰り返すが米帝の最優先事項は、米中戦争である。それを明確に示しているのが米帝の「国家安全保障戦略」(2021年)と国防戦略、核戦略だ。没落米帝は台頭した中国スターリン主義国家を戦争で解体することで息を吹き返すしかないという選択に踏み込み込んだ。米国家政策はすべてがそれに規定されている。
 没落した今の米帝にウクライナ、中東、対中戦争という「三正面戦争」に対応できるのか。経済力、軍事力、米軍事力はオバマ政権以降、財政危機に規定され続けてきた。さらに現下の政治委員会の分裂、国家財政の危機に加え国内支配体制は決して万全ではない。米支配階級は国内の内乱情勢で国家二分の危機を深め、バイデンはむしろ対応できないという国家的危機に直面している。これは過言ではなかろう。ウクライ戦争の長期化と泥沼化が世界戦争の危機を深め、イスラエルのガザ攻撃(新たな中東戦争)がそれを加速させ、世界核戦争の危機が現実味を帯びてきた。それは人類の地獄への道だ。没落帝国主義の危機とそこから不可避となる侵略戦争―世界戦争は絶対、阻止しなければならない。だがそれは同時に革命情勢であることを見据えよう。プロレタリア革命のチャンス到来ということだ。それが2024年冒頭の情勢だ。

[革命勝利の宣言をするレーニン。1917年。
2024年、<侵略を内乱へ>の闘いを!]

日帝打倒が世界革命の核心的課題

 米帝の大没落と「三正面戦争」情勢下で出てきたのが米帝の「国家防衛戦略」の「統合抑止力」である。「統合抑止力」とは、対中国包囲網構築レベルから米帝の同盟国、パートナー国のすべての軍事力を米中戦争に総動員(参戦)するという戦略。その戦略のアジアでの基軸が日米同盟であり、日帝の総動員と沖縄を軸とする全土出撃基地化だ。南西軍事拠点化の強化・拡大、民間空港・港湾の軍事化、全国基地・分屯地での弾薬庫建設などなど。前述のパトリオット提供と戦地への輸送、軍需産業の拡大などは米戦略に組み込まれている。そして日米韓軍事同盟化(合意)と軍事・情報の一体化だ。これはすでに動き出している。「米英豪安全保障協力(AUKUS」への日帝の参加(麻生が提唱)。日帝はEU離脱の英帝との対中防衛力―軍事力強化で合意し、日英伊での次期戦闘機の共同開発条約に署名。開発の司令塔となる政府間機関の初代トップが日帝だ。配備開始は35年。第二次世界大戦後では初の動きだ。
 要するに没落米帝が息を吹き返そうとしている「統合抑止戦略」の核心が「最弱の環・日帝」であるということだ。つまり、没落米帝の弱点が実は、日本帝国主義だということだ。戦後の最弱の環・日帝に、好むと好まざるとにかかわらず日帝支配階級に争闘戦的に大きく依存しなければ延命できないというのが今の米帝だということだ。これはどう見ても米帝の末期、さらに言えば帝国主義の末期、最末期そのものだ。日帝打倒が世界戦争を阻止し、米帝をも打倒し、プロレタリア世界革命への一大突破口になるということが極めて鮮明だ。日本階級闘争の世界史的位置の大きさが浮き彫りになっている。勇躍、前進しよう!

日帝政治委員会の解体的再編

 日帝支配階級もそれを自覚し、動き出した。安倍的な手法は「最弱の環の枠内」では通用したが、帝国主義の末期、最末期では解釈改憲的なあり方では通用しない。改憲と軍拡―戦争国家化=国家総動員体制を真っ向から押し出し、外への侵略戦争、内への階級戦争を徹底的に強化し、貫徹する凶暴な政権と国内支配体制を構築する以外に、帝国主義国家としての日帝が延命できないという危機に直面しているということだ。まさに掛け値なしに「革命と反革命」が真っ向から激突する情勢だ。日帝支配階級が安倍派を解体し、日帝政治委員会の再編に着手したということだ。これに動揺したのが岸田だ。岸田自身が派閥解体・再編に成功しなければ切り捨てられるという恐怖に震えている。支配階級内部も「三正面戦争」と安保関連3文書の具体化で力関係が流動している。軍需産業の台頭だ。
 岸田政権の支持率は過去最低。時事通信の世論調査(12月8~12日)で内閣支持率が17・1%、毎日新聞の世論調査(16~17日)でも17%だ。日帝支配階級は今、戦後最大の危機に直面している。それらゆえの再編だが、絶望的であるからこそ凶暴化する。ここを見据え、これと対決し、前進し、日帝を打倒するなかに労働者階級と被搾取階級、被抑圧民族・大衆の解放をわが手に握ることができる。その全過程が実力闘争だ。内乱・内戦は国家暴力―政治警察と軍隊との幾度の激突となる。非和解の死闘戦である。これを見据え、前進し、勝利することで革命とプロレタリア独裁への道を切り開くことができる。これらの全過程は冷徹な流血を伴うが、恐れることなくともに進撃しよう!

[1917年6月18日。ペトログラードのデモ。
「社会主義革命万歳」を掲げる]

民族解放闘争・革命戦争とプロレタリア世界革命

 パレスチナ人民の戦いが内包しているプロレタリア世界革命における民族解放・革命戦争の最前線部隊としての意義を再確認しよう。ムスリム人民の帝国主義に対する怒りは世界で爆発し、その怒りは米帝バイデンといえども無視できないところにきている。パレスチナ・中東・イスラム諸国をめぐる帝国主義と被抑圧民族人民の激烈な攻防はまさにプロレタリア世界革命の一環だ。帝国主義本国の労働者階級として連帯し、日帝打倒を貫徹し、戦い取るということ。今われわれがパレスチナ人民とともに立っているのは「侵略か、革命か」、「倒すか、倒されるか」、「解放か、死か」の内乱的死闘の時代だということだ。パレスチナ人民の「10・7蜂起」―民族解放・革命戦争に連帯し、日米帝国主義打倒にむけた内乱と蜂起の革命戦争へのバネとし、プロレタリア国際主義と国際連帯闘争として民族解放・革命戦争とプロレタリア革命の一体化を推し進めるということ。ガザ地区に対するイスラエル・シオニズムの激しいパレスチナ絶滅攻撃は民族解放・革命戦争への反革命戦争そのものである。言い換えれば米帝とイスラエルは民族解放・革命戦争の非妥協性、非和解性、そして不屈の大衆的決起にイスラエルの消滅と米帝のさらなる没落の危機に恐怖を抱いている。
 日帝の中東石油支配とイラク・アフガン戦争への参戦やジブチ基地建設と自衛隊の海外配備という事態をみてもパレスチナ・中東・イスラム諸国をめぐる人民の戦いが日本階級闘争そのものと直結している。プロレタリア世界革命と「血債の思想」の観点からも、連帯し、民族解放・革命戦争とプロレタリア革命を結合し、人類の人間的解放をともに切り開いていこう。「闘うパレスチナ・中東・イスラム諸国人民と連帯し、中東侵略戦争を国際的内乱に転化せよ」、一切の突破口は日帝打倒にある。「自衛隊の帝国主義軍隊化阻止!自衛隊の包囲・解体で兵士を獲得しよう」を、国際連帯と反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命に向け一体的に推し進めよう!

連帯し、侵略を内乱へ!

 振り返れば、過去の日帝のアジア侵略戦争を許したのは抑圧民族の排外イデオロギーだ。「三正面」―世界戦争情勢下、日帝はすでに参戦と侵略に向けアジア―世界への凶暴な侵略者として立ち現れている。今現在のわれわれが弱小勢力として力及ばず侵略を内乱に転化できなければ、それは、帝国主義の排外主義攻撃への屈服となる。日帝の軍拡と戦争国家化攻撃が激化し、その推進を許すようなことがあれば、それは同時に日本の労働者階級人民が在日アジア人民、全アジア人民、パレスチナ人民に対する圧迫や迫害が激化する中で否応なしに抑圧民族としての侵略体制に組み込まれていくことになる。その自覚を実践と行動で示す。それが連帯し、侵略を内乱に転化する戦いだ。日本帝国主義を打倒する戦いだ。
 日本階級闘争における数十万、数百万規模で労働者階級人民が巨大なデモやストライキの実力闘争に決起し、帝国主義の国家戦略と侵略戦争の継続を不可能にする実力を革命党と労働者階級が培おう。組織と運動を飛躍的に建設し、強化する。それが国家暴力―政治警察と軍隊・自衛隊との流血の激突を繰り返しながら労働者・兵士、被抑圧民族・大衆の解放とプロレタリア権力樹立に向けた非和解の戦いであると同時に革命への道だ。

 繰り返すが、今われわれに求められているのは実力による日帝打倒だ。帝国主義とスターリン主義が渾然一体で最末期の危機を深め、人類を世界核戦争という地獄に引きずり込もうとしている時、アジアで唯一の帝国主義、日帝を打倒することだ。米日帝国主義の中国侵略戦争を内乱に転化する戦いに日本のプロレタリアートが決起し、被抑圧階級として自らの解放をかけて決起したとき、中国・台湾、南北朝鮮―全アジア人民と、そしてまた中東・パレスチナ人民と、国際的・階級的連帯の道が切り開かれる。プロレタリア革命と民族解放・革命戦争の革命的統一、そして中国、北朝鮮における反スターリン主義革命の展望をも確実に切り開くことができる。反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命へ!全世界の労働者と革命的兵士はともに肩を並べ、ともに進撃しよう!