会報 第71号

 

 

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巻頭言                                                           労働者・兵士の国際的団結でウクライナ戦争・中国侵略戦争絶対とめよう!

                                       東京西部ユニオン(元自衛官) 杉橋幸雄

●開戦1年、ウクライナ戦争ただちにやめろ!                 ウクライナへの欧米主力戦車の供与が決定され、さらには中距離ミサイルやジェット戦闘機まで供与しようとしている事に対し、プーチンは激しく反発し「(ロシアは)別の手段で対抗できる」と豪語し、核使用さえ示唆しつつ兵士の大動員とミサイル攻勢を強めています。これに対し2月14日、米・NATOはウクライナ支援をどう進めるかで緊急会合を開き、新たな武器等の供与内容を決定し、この戦争を一層激化させ、世界戦争への危機を加速しています。断じて許せません!

●戦争のための農地強奪、絶対に許さない!
 そうした最中の2月15日、岸田政権・国家権力は三里塚天神峰に強制執行を強行しました!強制執行は戦争準備の農地取り上げであり、反戦闘争つぶしです。断じて許せません!
 岸田政権は安保3文書の改悪を通じ、中国侵略戦争に向かって敵基地攻撃能力(反撃能力)の早期確保に突き進み、トマホークの500基導入や12式地対艦誘導弾の長射程化、偵察・レーダー妨害・攻撃用などに弾頭交換可能な長射程の新型巡航ミサイルの開発をも進め、沖縄・全土の「要塞化」を必死で押し進めています。また、自衛隊の再編を通じて日米・日米韓・日米豪などとの対中国の実戦訓練を強化しています。三里塚での農地強奪・強制執行も戦争準備の一環であり、絶対に許すことは出来ません!

●ウクライナ国際反戦で中国侵略戦争を絶対とめよう!
 米海兵隊第3海兵遠征軍のジェームズ・ビヤマン司令官は1月8日、「われわれはウクライナで大きな成功を収めることができた。それは2014年以来、ウクライナ人の訓練、物資の事前配置、支援活動や作戦を維持する拠点の特定などに取り組んだからだ」「その成功事例にふまえ、現在は中国との戦争に備えて日本と準備を進めている」と述べています。米帝は労働者・兵士の命と引き換えにロシアを追い詰め、ロシアを戦争に引き込んで潰そうと企み、さらに中国包囲網を一層強化し、対中国の戦争準備を押し進め、世界を分断しながら世界戦争・核戦争の危機を激しく生み出しています。絶対に阻止しなければなりません!

●G7広島サミット粉砕・岸田政権打倒!
 ウクライナ戦争が世界核戦争に転化する危機を激しく生み出している最中、サミット議長国の日帝岸田政権は、被爆地・広島において「戦争会議」を開催しようとしています。粉砕あるのみです!右翼の妨害を跳ね返し、戦争絶対反対で闘っている洞口さんの再選を勝ち取り、G7広島サミット粉砕に総決起しよう!関生・港合同・動労千葉も「11月集会」に向けて新たな「戦闘宣言」を発して闘っています。
 戦争の矢面に立たされている自衛官の皆さん!改めて「国を守るな!命を守れ!」と強く訴えます。「国益」を越え、戦争命令を拒否し、闘う労働者民衆と団結し世界戦争・核戦争を絶対に止めようではありませんか!新自由主義を終わらせるためにこそ団結し共に闘いましょう! (2月17日 記)

 

福島を核廃絶と世界戦争阻止の闘いの拠点に!
3・11闘争の勝利勝ち取ろう!

         3・11反原発福島行動実行委員会 長沢 宏

 あの福島原発事故から12年。日帝・岸田政権は米帝・バイデン政権と一体になって中国への侵略戦争に向けた大軍拡と核武装攻撃を現在強めています。特に昨年12月の安保3文書決定そして1月日米首脳会談、通常国会での施政方針演説は日帝が中国侵略戦争参戦に向かって戦争国家へと大転換すること、また「GX実現」と称して原発再稼働や増設、運転期間の延長などの核政策の推進は戦争政策と一体の核武装政策に他なりません。5年間で43兆円という巨額の軍事費の拡大によって日帝は世界第3位の巨大な軍事大国になることは明らかであり、このため60もの戦争法案をこの通常国会で強行採決しようと狙っています。これに対して、野党は「有事への備えは必要だ」などと完全に屈服し、翼賛化を深めています。このかん明らかになった防衛研究所や米シンクタンク(CSIS)の「台湾有事」想定の報告書を見ても沖縄本島・南西諸島を完全に戦場にすること(あの沖縄戦では住民の4人に1人が犠牲となった)、更には本土の米軍・自衛隊基地も攻撃されるとして日本全体が戦場となり、数多くの労働者人民が死傷することまで想定しています。特に沖縄・南西諸島をめぐってはこの中国侵略戦争にむけて自衛隊の軍備拡大、基地強化、日米軍事演習がこの間激しくなっています。これに対し、辺野古基地建設反対闘争をはじめ沖縄・南西諸島の労働者人民は怒りの反戦闘争を闘っています。反原発講演集会 1月29日。郡山市。
 1年目を迎えたウクライナ戦争は完全に長期化・泥沼化の状況を呈し、先ごろの米・NATO諸国によるウクライナへの戦車の提供など軍事支援はますますエスカレートし、今春にもと言われているロシア、ウクライナ双方による「大攻勢」により戦争のさらなる激化・拡大が危惧される状況になっています。ウクライナ戦争はまさに世界戦争・核戦争への危機を加速しています。ウクライナ戦争を見れば明らかなように戦争は一旦始まれば泥沼的に激化・拡大してしまいます。日米帝による中国侵略戦争を我々は何としても阻止しなければなりません。労働者人民の岸田政権への怒りは今かつてなく高まっています。自衛隊員、家族は中国侵略戦争への参戦など望んでいません。巨大な反戦闘争の爆発で日帝岸田政権を打倒しましょう。

311子ども甲状腺がん裁判支援・報告集会1月25日。日比谷コンベンションホール。

12年目の3・11福島、原発汚染水海洋放出を絶対に許すな!

 中国侵略戦争を狙う日帝岸田政権に対し、福島は沖縄と共に労働者人民の怒りの言わば「火薬庫」ともいうべき闘いの拠点です。この12年にわたって日帝は福島の闘いを圧殺するために「復興」「オリンピック」など金と暴力を使って全力で攻撃を加えてきましたが、福島の怒りの闘いを圧殺することはできず、12年目を迎えて闘いの炎はより激しくなっています。
 高線量のため帰還困難区域が広大に存在、3万人を超える人々が今なお全国各地に避難しています。甲状腺がんや様々な病気に多くの人々が苦しめられています。廃炉などおよそ見通せない状況です。これで何が「アンダーコントロール」か!(オリンピック招致時の安倍発言)
 この12年、福島の労働者人民は怒りを燃やし、不屈の闘いを続けてきました。この闘いを圧殺し、中国侵略戦争にむけ戦争国家化・核武装化を一挙的に進めるため岸田政権は12月原発・核政策も戦争政策と一体で「大転換」と称して攻撃をエスカレートしてきました。原発再稼働、増設、原発運転期間の延長、核燃料サイクルの推進など特に3・11原発事故以降の労働者人民の闘いによって抑え込まれてきた地平を一斉に転覆し、核武装化を強行的に推し進めようとしています。その決定的突破口こそ「今春から夏」と言われている原発汚染水の海洋放出攻撃です。1月29日郡山市でこの海洋放出攻撃に反対するため青森県から山田清彦さん(核燃料サイクル阻止1万人訴訟原告団事務局長)を講師に招き、講演集会を開催しました。山田さんは青森の再処理工場と福島の海洋放出攻撃は同じトンネルを使ったやり方も含め、完全に一体のものであること、これを許せば膨大な海洋汚染など実に危険極まりない暴挙であることを明らかにしました。
 「国際基準以下、海水で薄めるから安全」などと政府はマスコミ等で宣伝していますがこれは大噓です。多くの専門家がトリチウム以外の核種も含む原発汚染水の危険性を指摘しています。だからこそ漁民をはじめ福島県内、全国、さらに韓国、中国、1月18日にはオーストラリアやニュージーランドなど太平洋諸島17カ国が反対声明をあげています。講演集会では、講演の後、県内各地から参加した人々がこの12年間の怒りと海洋放出反対の意見を次々に述べました。

反原発行動22。2022年3月11日。福島市内。

3・11集会の勝利から汚染水海洋放出阻止へ

 昨年の3・11集会を前にしてこれまで3・11集会実行委員会に加わっていた人々の中で、「今までのやり方ではだめだ。NAZENや星野、三里塚の旗は立てたくない」「海洋放出反対で自民党とも手を結べる運動を」などと主張するグループが出現し実行委員会で激論になりました。さらに彼らは全国の心ある人々や団体からの批判も一切拒否して、昨年の3・11当日、岸田首相が式典参加で福島市に来るという決定的情勢下にも関わらず、あえて我々の福島集会に敵対し郡山市での分裂集会を強行しました。10年に及ぶ3・11実行委員会運動の原点も忘れ去ったこのグループの分裂・敵対策動を完全に粉砕し、昨年の3・11集会・デモは全国から510名の結集で大成功しました。戦争前夜の情勢下になると過去の歴史が示すように、国家権力に屈服し、闘いを裏切るものが必ず出てきます。彼らの敵対策動を粉砕し、昨年に続く本年の3・11集会・デモの大成功の地平から、原発汚染水の海洋放出攻撃を何としても阻止しましょう。3・11福島から5月G7広島サミット粉砕!反戦闘争の大爆発で、日米帝の中国侵略戦争を阻止しよう。

反原発行動23への呼びかけ。2・23全国反戦集会。東京芝公園。

「台湾有事」を煽って侵略戦争に突き進む米日帝を打倒しよう!

武長 剛

 日帝は「台湾有事」を叫ぶことをテコとして改憲・戦争へと突撃している。防衛3文書のクーデター的転換、日米首脳会談による同盟の現代化、「統合抑止戦略」への踏み込み、軍事費倍増への転換などの動きは、明らかに日米帝の中国侵略戦争を準備するものだ。

(1)「台湾有事は日本の有事」を叫び改憲・軍事費倍増・戦争へひた走る日帝

 「台湾有事が近い」との報道は、2021年3月の米インド太平洋軍司令官デビットソン海軍大将による米上院議会の証言だった。「中国による台湾進攻の可能性が6年以内に顕在化しうる」と。台湾有事の切迫として大問題とされた。しかし3カ月後の6月、米軍最高幹部ミリー統合参謀部議長は「中国が台湾全体を掌握する軍事作戦を遂行するだけの本当の能力を持つまでには、まだ道のりは長い」と同じ上院公聴会で証言した。「中国には現時点で(武力統一の)意図や動機もほとんどないし、理由もない」「近い将来おこる可能性は低い」とデビットソン証言を否定したが、この報道は注目されず「台湾有事の切迫」はそのままにされた。
 ロシアのウクライナ侵攻は、「次は中国の台湾侵攻」だと一気に「台湾有事」論を満展開させた。「台湾有事は日本の有事。防衛力の強化は不可欠」「攻め込まれたとき岸田首相はゼレンスキーになれるか?」などとあたかも中国が日本を侵攻するかのように取りざたされた。その後も「有事に対応するために」と改憲・戦争へのキャンペーン力をもって語られている。
 加えて今年の1月9日、アメリカのシンクタンク戦略国際研究所(CSIS)による中国の台湾上陸作戦のシミュレーションが発表され、その設定が2026年であることから切迫感がこれまでになく大きく醸し出された。
 24回行われたシミュレーションでは、台湾、米・中そして自衛隊にも多くの犠牲が出ること。作戦は台湾軍独自との戦いであれば中国に作戦成功の場合もあるが、日本の自衛隊と米軍の参戦がある場合は、中国軍はいずれも敗北し、共産党支配も危うくなるとの結論を出している。
 さらに、米CIA(中央情報局)のバーンズ長官が2月2日「習国家主席が2027年までに台湾侵攻を成功させるための準備を人民解放軍に指示したことをインテリジェンス(情報)として把握している」とワシントンの大学講演で述べた。27年は人民解放軍創設100周年であり、3期目の習政権の最後の年でもある。長官は「習氏が27年やほかの年に侵攻すると決めたわけではないが、関心と野心の真剣さが現れている」「野心を見くびるべきではない」と台湾有事を煽っている。これらはいずれも「5~6年以内」がキーワードになっている。

世界各地で反戦デモ―「ウクライナ軍事支援反対デモ」。1月。ドイツ・ケムニッツ。

(2)中国の台湾侵攻はあるのか?

 中国の台湾侵攻論は、ウクライナ戦争がはじまり、米国が中国を「最重要の戦略的競争相手」(22年米国家防衛戦略)とした時から特に強調されている。すでに米軍には台湾侵攻に備えた「作戦計画5077」なるものがあるとされる。つまり「台湾有事」は帝国主義の側から危機感をもって流され、作戦化され、シミュレーションがおこなわれているという事実である。
 習近平は20回大会で「軍事統合を排除しない」と明言しているが、失敗すれば共産党権力の崩壊を招きかねない大いなる賭けである。勝算に確信がなければ決断で
きないものだ。あるいはそれを決断しなければ自己権力が維持できないところまで共産党政権が追い詰められたという時であり、台湾の独立である。
 かつて内閣官房危機管理研究会主査、隊友会本部理事などを歴任した軍事アナリスト小川和久氏は、昨年出版した「メディアが報じない戦争のリアル」(SB新書)で、「日本で取りざたされている『台湾有事論』には科学的な視点が欠け、軍事的合理性もない。軍事を語る際に必要な合理的でリアルな視点や、軍事に関する常識が欠如している」と断言している。ネットやSNSの議論、政治家までもが荒唐無稽な議論に巻き込まれていると切り捨てている。
①中国には海上輸送能力が欠如している。軍事の常識にある「攻める側は守る側の3倍以上の兵力が必要だ」との法則にてらした場合、兵員輸送能力が民間船を最大動員したとしても足りない。②中国軍は台湾海峡で航空優勢(制空権)も海上優勢(制海権)も握ることができない。台湾軍の迎撃と「米軍の来援」もあり、中国軍100万人の兵力の半数程度が洋上で撃破される。③上陸適地が台湾には14カ所しかない。制空権がない中での限られた上陸適地への作戦は、あらかじめ構えている台湾軍に壊滅的な損害を被ってしまう。④上陸できたとしても予備役200万人が待ち構えている主要都市を制圧することはできない。つまり中国軍の上陸作戦は成功しない。これは中国軍幹部も認めているというものだ。(※編集部注・ここでは「着強襲上陸作戦」の観点でのみ言及されている)

世界各地で反戦デモ―「反世界経済フォーラム、反NATO、反政府デモ」。2月20日。カナダ。

(3)「今なら勝てる」と戦争を追求する米日帝

 「台湾有事」論の背景には、米帝による台湾政策の転換がある。表向きは「台湾は中国の一部」との立場を堅持するとしながら、実はこれを覆し、台湾を米帝経済勢力圏に引き入れる「台湾強奪」への転換である。帝国主義にとって延命のために中国を利用するなどというレベルではもはや済まない崖っぷちに立たされている。帝国主義体制の崩壊の根源こそ中国にあるとして、中国スターリン主義の存在そのものを解体・崩壊させる方針に切り替えたということである。最末期の帝国主義の没落は、もはや帝国主義が中国スターリン主義と並立できる余地がない生き残りをかけたつぶしあいにまで立ち至ってしまったのだ。時間は中国の強大化にプラスする。むしろ没落する帝国主義こそ、ここ5~6年が戦争準備~決断の時として構えているのだ。歴史的命脈の尽きた帝国主義による中国侵略戦争を革命的兵士と労働者階級は、国籍・民族・国境を越えた国際的団結による戦争反対・自国帝国主義打倒の闘いで、阻止しよう!

世界各地で反戦デモ―「ウクライナ戦争今すぐやめろ!2・23全国反戦集会」。東京・芝公園からデモ。

ウクライナ反戦で
世界核戦争を阻止しよう!

滝山猛師

CSIS(戦略国際問題研究所)報告書は、核戦争に行き着く

 CSISが1月9日、「台湾有事」を想定した24回のシミュレーションの結果を発表した。中国人民解放軍VS米・日・台軍の「約1カ月」の戦争とその結果報告書である。戦場は台湾海峡の強襲上陸とそれを阻止・殲滅・撃退する戦闘に限定したシナリオとシミュレーションだ。戦闘3週間で米軍は空母2隻、大型艦艇10~20隻、航空機270機を失い、戦闘で約3200人の米軍兵士が戦死し、死傷者が最大で約1万人生じるとされている。台湾は3500人の兵士を失い、台湾の海軍を構成する26隻の駆逐艦とフリゲート艦はすべて沈没。日本は100機以上の戦闘機と26隻の艦艇を失い、日本国内の米軍基地は中国から攻撃される可能性が高いと複数の報告が述べている。自衛隊の死傷者は明記されていないが、台湾に近接する日本の位置と戦場化から判断すれば米軍以上の死傷者が出る可能性が高いといえよう。日本と台湾の全土が戦場と化す。報告書は、日本は在日米軍基地が攻撃さることで参戦に踏み切ると明記(分析)。日本、台湾の戦場化で膨大な死傷者が出ても「作戦を継続する必要性を認識せよ」というのが米帝の対中軍事戦略における同盟国日本と非同盟国台湾への基本戦略であることが明確に示されている。米軍を投入する前に台湾が降伏すれば、「あとは無益」と言明。
 約1か月の戦争で米中台日が膨大な戦力・兵力を失い、その結果、第一次会戦では勝敗の決着がつかず、米軍が受ける「大きな損失は、長年にわたって米国の世界的な地位を損なう」と明記し、「中国も大きな損失を被り、台湾の占領に失敗すれば、中国共産党の支配が不安定になる」としている。
 第一次会戦で受ける米軍の損失が米帝の世界支配の危機をさらに深めると明言。加えて米軍が開戦前の軍事能力を再建するには何年もかかり、中国の軍事的近代化の急速なペースを考慮すると、米軍は中国の再建よりも遅い速度で行われるであろうとも言明。その一方で、報告書は「ウォーゲーム」の結果、「米国と台湾は比較的悲観的な想定でも島の防衛に成功することが示された」が、「この分析から米国は、中国の水陸両用船に対する先制攻撃や核兵器の早期使用など、非常にリスクの高い戦略を検討する必要がある」として、米中戦争は長期化と泥沼化するがゆえに早期に「核戦争を準備せよ」と報告書は提言している。まさに「台湾有事」は世界核戦争に向けた「最初の戦い」として位置づけられている。

「NATOにノー」と訴えるウクライナ反戦デモ。1月14日。ニューヨーク。

台湾有事に米帝が打ち勝つための「4つの必要条件」

 報告書はここの記述でも米帝の没落と危機を表している。
 必要条件の第1は、台湾軍の戦線維持の絶対化である。これが大前提。降伏したり後退すれば米帝の「無益」となると実に露骨だ。したがって米州兵による訓練拡大が決定している。第2は、台湾にウクライナモデルは存在しない。要するに陸路からの支援・補給はできない。台湾は必要なものをすべて持って戦争を始めなければならない、ということ。第3は、日本国内の全基地の使用が大前提になっている。日帝が「要」である。日本全土の基地を米軍が自由に使用することが不可欠としている。第4は、米帝が中国の防御圏外から中国艦隊を迅速かつ大量に攻撃できることが前提。そのために長距離対艦巡航ミサイル兵器の増産と戦略爆撃機からのスタンドオフ対艦ミサイル発射が米帝の損失を最小限に抑えながら侵攻を撃退する最短の方法と提言している。
 一方、報告書は、米帝軍事戦略の「基本的方向」として、台湾に「ヤマアラシ戦略」を採用し、「台湾の空軍と海軍の戦力を非対称化する(※対中ゲリラ戦)」という米帝の台湾軍事政策を押し出している。通常兵器で「中国本土を攻撃する計画」に踏み込み、実行すれば戦争論的には米帝の危機を拡大する道に至ることをCSISは見据えているともいえる。報告書は米陸軍の「多領域任務部隊(MDTF)」、海兵隊の「機動展開前進基地作戦(EABO)」の限界を認識し、その数を制限することを提言している。つまり2+2で25年度までに沖縄駐留の米海兵隊を改編し、海兵隊沿岸連隊(MLR)創設を打ち出したが、それらは中国軍の絶好のターゲットになるという認識を提示している。米海兵隊内部からも対中戦争戦略として策定された米海兵隊の組織再編・武器の変容・作戦内容に反対の声が起きている(BBCニュース)。

ウクライナ国際反戦で世界核戦争を阻止しよう

 現代の戦争はすべて帝国主義による戦争である。ウクライナ戦争の元凶は没落米帝だ。没落からの巻き返しをかけた東欧の勢力圏化がウクライナ戦争を引きだした。「階級をなくし社会主義を打ち立てなければ戦争をなくすことはできない」(レーニン)。したがって戦争に反対し戦争をなくすには労働者階級は内乱と革命の道を選択するしかないのだ。そして内乱と革命は常に、いつの時代においても国家権力の差別・分断・排外主義攻撃と非妥協で闘うと同時に翼賛勢力と社会排外主義反革命との闘いを伴う。社会排外主義とは戦争において「祖国防衛」の思想を擁護し、軍拡と防衛費2倍化=増税に賛成する立場である。われわれはこの思想とは非和解だ。
 繰り返し確認しなければならないのは、戦後世界体制の崩壊―米帝の世界基軸国からの没落という現実と危機からその巻き返しをかけた米日帝国主義の側から中国侵略戦争を準備しているということだ。合理性や現実を無視したうえで無展望ともいえる政治・軍事戦略で突進するのが帝国主義だ。まさに「戦争は別の手段による政治の継続である」(クラウゼヴィッツ)。
 前述のとおり報告書は米帝の延命の道として早期の核戦争を提言している。中国に台湾を侵攻する能力はないとか、不可能であるとかの議論は中国脅威論の裏返しでしかない。帝国主義が突進しているのは世界支配の崩壊という危機を世界核戦争でのりこえる道を模索しているという現実だ。戦争で利益を得るのはごく一部の軍事産業と資本家だ。塗炭の苦しみと地獄に叩き込まれるは世界の全労働者民衆と兵士だ! ゼレンスキーは米欧帝国主義と一体化し、兵器よこせ運動で自国民と兵士を地獄の底に叩き込んでいる。
 戦争絶対阻止!兵士は侵略の銃を握るな!命令を拒否せよ!労働者階級は侵略を内乱へ転化し、自国の支配階級・岸田政権を革命で打倒しよう!
 そこに向けた階級的労働運動の全国的・全産別的拠点化建設と戦争国会徹底弾劾! 3・11全原発廃炉! 4月東西の地方選絶対勝利!5月広島サミット実力粉砕!5・15基地撤去・安保粉砕・日帝打倒!沖縄を革命の拠点に! 8・6―9ヒロシマ・ナガサキ核廃絶へ!岸田打倒へ! そして全闘争の集大成として11月労働者国際反戦集会への巨万の結集を戦い取ることだ。ともに進撃しよう!

《投稿》三里塚闘争史上初の農地への強制執行に対し、
12 時間の激闘、労農連帯で農民魂発揮!

元三里塚現地闘争本部員 岸上雅博

 NAA(成田空港会社)は、2月15日夜8時から翌朝まで、12時間以上にわたって市東さんの農作業場、育苗ハウスを含む畑の一部、空港建設反対の意思を示した看板等を機動隊の暴力を使って破壊し、強奪した。市東さんが祖父の代から100年にわたって耕し続け、豊かな実りをもたらしてきた農地と生活の場を暴力的に奪い去る行為、それも夜、闇討ち的に行われた。いかなる意味においても、何人たりとも到底許せるものではない。
 成田軍事空港建設反対の56年を越える三里塚闘争の歴史の中で、最も恥ずべきデタラメな強制執行となったことをはっきりさせたい。

強制執行に抗議する市東孝雄さん。2月15日。成田市天神峰。
 一つは、強制執行の理由のデタラメさだ。
 NAAが耕作者に内緒で畑を買い取っていながら、地代を元の地主に受け取らせてきたというとんでもない文書の偽造を行ない、さらに突然NAAが地主だから明け渡せという、耕作権を完全に無視する反動判決。それにもとづく国家ぐるみの闇討ち強制執行には、何の正当性もない。市東さんの側に圧倒的な正義性、誰も奪うことのできない耕作権があったから逆にNAAをそこまで窮地に追い込んだのだ、とも言えよう。
 二つ目は、NAAの側には、市東さんの天神峰農地(今回の執行対象地)を強奪する緊急性も現実性もない。マスコミはさかんに「への字誘導路を直線化したい考えのようですが、裁判中の土地(市東さんの南台農地)がもう一か所あり時間がかかりそう」などと宣伝し、今回の執行が何の緊急性も現実性もない矛盾に満ちたものであることを自己暴露している。
 そこから、マスコミに「いついつ執行をやる」とリークしながら、結局だまし討ち執行ならぬ闇討ち執行をやった。しかも、執行官の「今から執行します」という常道通告さえ市東さんには届かなかった(マスコミがいるところでやったらしい)。「円滑かつ確実に」(田村明比古NAA社長)執行をすませようとした敵の狙いは打ち砕かれ、戦争と軍事空港のために市東さんの営農を国家暴力で破壊、三里塚闘争をなきものにしようという岸田政権の悪逆非道が、日本中、いや世界中に暴き出されている現実を見よ、と言いたい。
 執行の翌日から、今まで通りこの地で農業をやり安全でおいしい野菜を続けるため、精力的に行動を開始した市東さんの不屈さは、NAAの意図、野望を完全に粉砕、打ち砕いたといえる。これこそ労農連帯の勝利だ。「農地は命、闘魂ますます盛んなり、正々堂々明るく楽しく」これは、市東さんの最近の発言のメインだ。闘う側の勝利がここにある。裁判が確定している農地、係争している農地がまだまだ南台農地として第2ラウンド的に現存している。

 攻勢的に闘い、農地強奪を強行すれば全人民的な怒りを呼び起こし、支配の危機を生み出す恐怖をもっともっと権力・NAAに抱かせようではないか!

強制執行阻止・やぐら死守!のスクラム。2月15日。夜。成田市天神峰。