会報 30号

第30号 2014年03月10日発行

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国鉄決戦で  安倍政権を打倒しよう

1千万人の怒りで安倍を倒そう!

「現代革命への挑戦」として、鈴木たつお弁護士は都知事選への立候補を決断し、全力で闘いぬいた。
マスメディアは「主要4候補」「主要6候補」などと鈴木候補を徹底的に排除した。
鈴木弁護士の「1千万人の怒りでアベを倒そう」「戦争させない/弾圧と闘う」「貧困・過労死許さない・非正規職撤廃」「原発いらない/被曝させない」「福島切り捨てやめさせる/だからオリンピックは中止・返上」の主張は全労働者階級民衆の主張、思いそのものです。

国家権力中枢の意思 全マスコミの徹底的な鈴木候補排除

だからこそ国家権力中枢の意思として、マスメディアは鈴木弁護士の主張を徹底的に排除したのである。「主要4候補」との「公開討論」の徹底した回避も、4候補の「嘘とペテン」が白日の下にさらけ出されると同時に鈴木候補と労働者との結合の拡大を恐れたのである。山本太郎選挙では逆に、「マスメディアの力で潰す」報道を徹底的におこなった。これが「ブルジョア民主主義」の「選挙」だ。

開始した「現代革命への挑戦」の本格的挑戦・発展はこれからだ

世界大恐慌は大失業と戦争、そして革命を生みだす。大恐慌の深化と3・11情勢は、「新自由主義の破綻と崩壊」によってひきおこされ、今日、帝国主義間・大国間争闘戦を全面的に爆発させている。世界戦争への危機をはらんで進行しているクリミヤ情勢はその現れだ。都知事選への決断は、戦争を拒否し、社会の真の主人公である労働者階級によって戦争を革命に転化する闘いを都知事選挙という場所と空間を活用し、全労働者と全職場、全地域に拡大する挑戦が本格的に始まったのです。その挑戦は選挙戦の全過程で発揮された。青年労働者と学生らの創造的で自己解放的な活き活きとした力が街頭での老若男女を問わず新たな決起を生みだし、結合し、その場で選挙ボランティアが生みだされ、選挙戦の全過程が実に感動的であった。資本、国家権力と非和解で闘っている青年労働者・学生には、崩壊し腐りきった新自由主義社会を根底から変革する力を持っている。決断し、開始した歴史的挑戦は、労働者階級が力ある革命勢力として、権力を奪取する実力ある勢力へと飛躍する挑戦である。闘いはこれからである。1万2684票は、小なりとはいえ開始した「現代革命への挑戦」を飛躍的に発展させる「基礎」となります。

国鉄決戦と国際連帯の強化で戦争に突進する安倍政権を打ち倒そう

安倍政権を打倒する力は、国鉄決戦を基軸とする階級的労働運動の飛躍前進です。2010年代中期階級決戦は、改憲と戦争、労働者派遣法改悪・労働組合破壊、民営化・総非正規職化、国鉄労働運動解体をめぐる一大階級決戦として無限に爆発し、発展しようとしている。新自由主義の崩壊が、4大産別で、労働者階級の全ての現場で激しく進行し、労働運動の巨大な流動化が到来している。労働者階級と党が一体で生きる希望、闘う希望をつかみとったとき革命情勢は地殻変動的に変わる。それが階級的労働運動の前進なのです。労働者の資本との戦場は職場での日常闘争であり、兵士の戦場は隊内での日常的闘いである。団結した力として行動に組織する力と能力に挑戦し、その力で職場・隊内に拠点を建設し、ストライキとゼネストで安倍政権を打倒しよう。
(滝山)
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ウクライナ情勢 戦争をプロレタリア革命に転化しよう

階級的労働運動の飛躍的前進で 世界単一の党を!

 世界は革命情勢である

安倍政権の集団的自衛権の全面的容認、武器輸出原則の撤廃、原発推進、改憲など「戦争国家」への突進は、世界大恐慌の深化と帝国主義間、大国間争闘戦の激化の中で起きている。東アジアにおける日中、米中の争闘戦の激化、日韓の歴史問題での激突が戦争にむけ突き進んでいる。
他方、ウクライナの内戦とヤヌコビッチ政権の崩壊に対するロシアの軍事介入も米帝、EU、ロシアがウクライナの権益と勢力圏化をかけた非和解の激突として生起している。これら争闘戦の戦争への進展が世界的展開力を喪失した米帝の没力によって激しく促進させている。

米国家財政の危機が国防予算の削減を強制し、米陸軍兵力が第2次大戦後、最小規模に削減される(52万が44万に)。米海軍は、新型沿岸海域戦闘艦(LCS)の調達計画を、当初の52隻から32隻へ削減。空母11隻体制を維持するとしながら、予算削減が16年も継続されれば、原子力空母G・Wは退役となる。米空軍は、ステルス戦闘機F35、無人偵察機グローバルホークの調達計画は維持するが、AI10攻撃機を全廃し、U2偵察機も退役となる。ヘーゲル米国防長官は「これが現実だ」と危機感を現している。
3月4日に発表された「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」では、海軍艦船60%をアジア太平洋地域に重点配備し、在日米海軍の強化と同盟強化が基軸的にだされているが、ウクライナへの軍事介入を正当化するロシアとの全面対決は前提としていない。プーチンはクリミア半島の「実効支配」を拠点にウクライナ東部への軍事的介入をも意図している。要するに米帝オバマには単独でアジア(対中国・北朝鮮)はもとより、ロシアのクリミア半島への軍事介入に対応できないところにまで米欧の国家的危機が深化しているということである。ロシアは「住民投票(16日)」による実効支配の正当化を計っている。だが「投票」は住民から出された要求ではない。住民の要求は「戦争反対」である。
安倍政権の対米対抗的な「戦争と改憲」への突進は、世界恐慌の深化とその戦争への進展を不可避とする世界情勢に突き動かされたフアッシスト安倍の絶望的なまでの衝動だ。そしてその根底には解決不能の3・11福島原発事故、新自由主義の破綻と崩壊の現実がある。だが明確なことは、安倍政権が描く「未来」とは、労働者・兵士が生きられる社会ではないということだ。断じて労働者階級が目指す未来ではない。

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(写真 クリミア半島に展開するロシア軍【2・28】)

「住民保護」を口実にしたロシア・プーチンの軍事介入

24武装襲撃ヘリは、クリミア半島に駐留するロシア海軍歩兵部隊の第810海軍歩兵旅団はこのヘリコプターを保有していない。同ヘリはロシア西部軍管区の海軍歩兵部隊にしか配備されていない。要するにロシア本土から陸軍部隊の増援がクリミア半島へ投入されているということである。

「クリミア自治共和国」で新たに首相に任命されたアクショーノフはロシアへの接近とウクライナからの分離独立の動きを強め、ロシアの黒海艦隊と行政府庁舎などの共同警備で合意し、既に兵が配備されている。
3月2日、ウクライナ海軍トップのベレゾフスキー司令官はアクショーノフに忠誠を宣誓し、「クリミア海軍」創設を表明。ヤヌコビッチ前政権下のデモ鎮圧「特殊部隊ベルクト」は対テロセンター「クルィムスキー・ベルクト(クリミアのベルクト)」を設置して雇用する方針を打ち出している。ロシアの軍事力を背景に事実上、クリミア自治共和国独自の軍事組織の結成にむけ動き始めている。
プーチンの軍事介入を議会が承認した3月1日以降、クリミア半島の軍施設すべてに兵を送り込み、ウクライナ軍関係者に身分保障を約束し無抵抗での武装解除を要求。「(3日)過去2日間で駐留ウクライナ軍将兵5千人以上が投降した」と報道。投降を拒否した部隊にはロシア軍との「共同管理」で懐柔が行われている。 3月3日、ロシアのメドベージェフ首相はクリミア半島とロシア南部のタマン半島間のケルチ海峡(約4・5㌔)に兵站ルート確保の連絡橋(海底トンネル)の建設を指示した。
2月26日から3月3日までロシア西部とウクライナ北方の国境付近で行われた陸海空ロシア軍15万人の軍事演習部隊に対し4日、プーチンは撤収命令を出すと同時に記者会見で「(ロシア系)市民を守るために全ての手段を使う権利を保持している」、「軍隊をウクライナに入れる可能性はある」と明言している。

3月3日、首都キエフを訪れたヘイグ英外相はクリミア半島情勢を「欧州での21世紀最大の危機」と表現。日米欧のG7とEUは2日、声明を発表。ロシア南部ソチで6月に開催予定のG8首脳会合に向けた準備会合欠席を表明。声明はさらに、ロシアの軍事介入は「G7とG8の原則や価値観にも反する・・国際義務に違反する」としながら、G8からのロシア排除には言及していない。プーチンはG8に関しても「(欧米各国が)望まないのなら出席する必要はない」と突き放している。オバマは声明で「ウクライナの主権と領土保全へのあらゆる侵害は地域の不安定化を引き起こす」と危機感を示し、米国防総省は軍事行動を検討していない立場を表明した。6日、EUは制裁に向けた「3段階のアプローチ」を決定。だがこれらは無力だ。

ロシアの軍事介入は破綻への道

プーチンはクリミヤからのロシア軍撤収の明言は避けている。黒海艦隊基地の維持、ウクライナを通る欧州向け基幹ガスパイプラインの権益、ロシア企業によるウクライナへの投資の安全確保は死活的となる。プーチンの「ユーラシア経済同盟」は、旧ソ連第2の大国で約4500万の人口を抱えるウクライナを不可欠としてきた。ウクライナがNATO加盟となればロシアにとっては緩衝地帯の喪失となる。さらにセバストポリは黒海をへて欧州と地中海をにらみ、欧州の米帝主導のミサイル防衛(MD)と対峙する重要拠点。要するにヤヌコビッチ親露政権の崩壊に追い込まれたプーチンが没落米帝の現実を見据えながら軍事的に突出しているが、米・EU・ロシアの共通の核心は、ウクライナの内戦と労働者の決起がプロレタリア革命へと発展することを抑えこむことにある。
ウクライナの体制変革を求めた内戦とヤヌコビッチ政権の崩壊は新自由主義の破綻、ロシア残存スターリン主義の破綻と崩壊の中で労働者民衆の怒りが爆発したものである。
労働者階級には国境も領土も国益もない。ウクライナをめぐる情勢は、階級的労働運動の飛躍的前進を基礎に、労働者階級の国際連帯の強化と世界単一の労働者党の建設が飛躍的に求められているといういことである。戦争を革命に転化しよう!

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集団的自衛権容認の5条件

①日本と密接な関係にある国が攻撃を受けた場合
②日本の安全に大きな影響が及ぶと判断した場合
③攻撃を受けた国から明示的に要請があった場合
④第三国の許可があれば他国の領海・領土を通過できる
⑤首相が総合的に判断して決定した場合、国会の承認を 受ける必要 (※ 国会承認は曖昧な表現)
※北岡伸一安保懇座長代理が講演で明示(2月21日)

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群馬 オスプレイ反対の闘い

猪熊

オスプレイ反対で新たな反戦の闘いが

昨年12月防衛省が、「2月下旬から3月にかけて、新潟と群馬の自衛隊駐屯地で、米海兵隊と自衛隊の共同訓練をする。そこにオスプレイが参加する方向だ。」と発表しました。
これに対してただちに、「とめよう戦争への道 百万人署名運動・ぐんま連絡会」が反対の取り組みを呼びかけ学習会を始めました。
12月23日には「原発とめよう群馬」の仲間と一緒に、高崎で200名以上のデモが実現し、デモの後の学習会にも多くの方が参加してくれました。(『東京新聞』記事写真)
年が明けて、2月22日と23日には平和委員会系と平和運動センター系がそれぞれ高崎でデモを呼びかけ、ここにも参加しました。
またこの過程で、毎年の11月労働者集会に参加している労組や群馬合同労組の組合員が先頭に立って取り組んだ「オスプレイ反対」署名が330筆、「動労千葉最高裁新10万筆署名」が141筆集まりました。これらの署名に協力していただいた人たちの7~8割は、市民運動という形のデモに参加している労働組合員とそのOB・OGでした。
今回私たちは「群馬でのオスプレイ反対の全体の気運を作って、その力で必ず勝利する」ことをめざしました。これを可能にしたのは、東京都知事選挙での鈴木たつお弁護士の立候補の決断と、1千万人に呼びかけて百万人を組織する」「労働組合の軸を作ることを目指して推進する」闘いから学んだことでした。

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(写真 高崎での原発、オスプレイ反対デモを報 じる 東京新聞【2013・12・23】)

沖縄の負担軽減は 真っ赤なウソ

こうして、オスプレイという、一つの兵器をめぐる運動が、これほど短期にこれほど集中的に取り組まれたのは群馬では初めてです。
このような反対運動の新たな高揚と、アメリカ帝国主義の危機の深さ(国防予算削減)、東アジア情勢の激動によりオスプレイは来れませんでした。(米韓・米タイ合同演習に回された)こうして当日は、在沖米軍のCー53ヘリ2機での日米共同訓練となりました。28日の日米共同訓練そのものは写真のように「雪上訓練」です。これが沖縄でできようはずもなく、「沖縄の負担軽減」という口実は真っ赤なウソであることが明らかです。

オスプレイは新自由主義の絶望的兵器

オスプレイとは何か?まさに欠陥機です。飛行中にエンジンが止まるトラブルがあった際に、飛行機であれば滑空か、ヘリコプターならばオートローテーション機能で緊急着陸することも可能ですがオスプレイはそれができません。その絶対的な構造的欠陥をわかった上で採用されたのがオスプレイの特徴です。
戦前、特攻隊を指揮した大西中将を美化するエピソードに、彼が「特攻は統率の外道である」と語ったとされるものがあります。
兵士が帰還できない作戦や兵器は、もはや作戦でも兵器でもありません。オスプレイの採用自身が、戦前の軍国主義以下なのです。
今日、労働者が使い捨てにされています。
ワルはワルで、奴隷主は奴隷主なりに奴隷を生かそうとする。新自由主義にはそれもない。
帝国主義者にとってオスプレイは「10機飛ばして、何機か落っこちても、敵をやっつければいい。味方兵士も使い捨てでいい」のです。オスプレイは新自由主義そのものです。

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(写真 相馬原での日米共同訓練 雪上【2104・2・28】)

自衛隊の原理的転換とオスプレイ

昨年末に発表された、安倍政権の「防衛計画の大綱」により、今回の日米共同訓練はオスプレイを自衛隊が導入することを前提にした訓練であることが明らかとなりました。
安倍政権がやろうとしていることは何か?
日銀のトップ・法制局のトップ・海上保安庁のトップ・NHKのトップを変え、今また最高裁長官と判事のクビをすげ替えています。
その狙いは、アメリカとも事を構えられる、戦争する国にしようとしているのが安倍です。
そのために「殴りこみ部隊」といわれる米海兵隊との共同訓練で、建前上は「専守防衛」の自衛隊を、侵略軍隊に変えようとしている。その原理的な転換が、今、自衛隊内での訓練や「いじめ」を旧軍なみに陰湿にしています。
今でも自衛隊では毎年百人前後の自殺者が出ており、群馬出身の自衛官のご遺族をはじめ現在9件の裁判が争われていますが、隊内暴力がさらに拡大する道につながります。

新自由主義を打ち破る青年の決起

しかしここに決定的な「弱点」があります。自衛官が反抗しないことを前提にしていることです。これが新自由主義全般の弱点です。
今、全国の職場で「こんな低賃金で生活できない。こんな長時間労働で生きられない。」の叫びが広がっています。労働組合への結集が始まっています。闘って勝利しています。
動労千葉をはじめとした国鉄(JR)での「車両の検査や修理を外注化して危険な運転をさせるな」の要求は、「危険な欠陥機・オスプレイを飛ばすな」と全く同じです。この間のあい次ぐバスの事故や、京浜東北線の衝突・横転事故も同じです。職場でのこれらの闘いをさらに強めることが、青年自衛官の隊内での「こんな危険なオスプレイに乗れるか!」の決起を必ず生み出していきます。なぜなら、もっとも犠牲が集中するのが彼らだからです。

農地強奪とオスプレイ

オスプレイは農家が農地や山林を奪われ、生活を破壊されていくことにつながります。
相馬原演習場はもともと、江戸時代から榛名山ろく全体が入会地だったところで、地元農民たちに共同使用されていました。それが明治始めの「中野まぐさ場騒動」を機に天皇御料地として奪われ、明治43年に旧日本陸軍が演習場になります。戦争中は、毒ガス部隊も置かれました。追い出された農民たちがしかたなく「満州移民」を強制されて同地に作ったのが満州の相馬村です。敗戦後、1945~58年に米軍が駐留。「ジラード事件」が起こります。52年に自衛隊の前身・旧保安隊の部隊が併設され、米軍撤退後の59年、陸自相馬原駐屯地となりました。2001年には12師団が12旅団に改編され、ヘリ中心の空中機動部隊が置かれました。
今、演習場に隣接する「ブドウ郷」は、復員した農民たちが政府と闘って取り戻した農地です。「ジラード事件」の当時、農地を基地に奪われた農民たちが、村議会議員夫人のAさんも家族が食べていくために農民の当然の権利として演習場に入ったのです。1952年3月7日の国会議事録では、多い日には5百人の村民が演習場内に「侵入」していたと報告されています。農地が奪われ耕作ができないので、米軍の薬きょうを拾い、売って生活する権利を実力で勝ち取っていたのです。
相馬原駐屯地をオスプレイ基地にするには滑走路(現在500メートルを整備)を1500メートルに整備しなければならず、それを口実に工事・拡張問題が出てきかねません。
新自由主義と戦争は、「震災特区」のように、土地強奪と一体で進みます。戦前の群馬も、県内各地で農地が軍用地に接収されて戦争に至りました。農地死守こそ戦争反対なのです。農地取り上げ攻撃と48年間闘い抜いてきた三里塚、市東孝雄さんの農地を守る闘いもまた、戦争をさせない決定的な取り組みです。

オスプレイ反対で新たに始まった戦争反対の機運をさらに職場に隊内に広げていこう。

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イラク派兵負傷(公務災害)裁判の支援を強化しよう

自衛官・家族の怒りの決起とともに闘う陣形を全国、全職場でつくろう

東海合同労組 小林 丈仁

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(写真 2013年11月労働者集会のデモで笑顔を見せる池田さん)

家族の支えで 元気に出廷

第7回公判が名古屋地裁で開かれた2月14日は、東海地方には珍しい10センチを超える積雪が降り出して、大阪から出発する原告の池田さんが裁判に参加できるか危ぶまれました。池田さんは咀嚼機能を奪われたことによって寒さのなか運動機能も低下し、一日中寝たままでも体温があがらない状態が続いていました。14日の公判が近づく中、関西でも大雪の予報を聞いた池田さんが、雪が降り出す前に高槻を出ることができたのは、車で京都駅まで送ってくれた家族の支えがあったからでした。
12月25日の第六回公判後に池田さんを支援する会が結成され、裁判が始まる前に最寄りの地下鉄でビラまきを始めることになっていましたが、これは残念ながら中止せざるを得ませんでした。

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(写真 5600人が結集した労働者集会 2013年11・3【日比谷野音】)

支援する会の三つの目的・行動方針

支援する会の目的・行動方針は3つです。会員が裁判の傍聴に来ること、傍聴者を増やすことが一つ、国・自衛隊のもみ消しを許さず後遺症の悪化など公務災害への責任をとらせるために裁判当日ビラまきをすることが二つ目の確認。そして、生活保護を受けながら裁判を決断した池田さんを物心両面で支えていこうということが三つめです。

前回の裁判で自衛隊は、①米軍主催のマラソン大会での安全配慮義務はなかった、②事故後出勤しても通信業務につけず長椅子に横になっているしかない池田さんを2ケ月も放置しながら後方送致の必要はなかったと、咀嚼機能がほほ奪われる事故と治療における過失を完全に開き直ってきました。今回の裁判でも自衛隊は、準備書面(4)で池田さんが日本に帰国して以降の「症状固定」や隊内での暴行をともなういじめや強制配転と退職強要について、全面否認してきています。
自衛隊内部だけでなく治療にあたった医者を締め付けて口封じを行ないながら、立証できるものなら立証してみろといわんばかりの態度にでてきています。

不当な後遺症認定で 裁判が長期化

今後の裁判の見通しが明らかになってきましたが、それは数年単位の長期戦になるということです。 12月25日の第6回公判においては、公務災害の後遺症認定が最低ランクにあたる10級であるとの決定が通知されましたが、咀嚼機能の完全喪失に近い池田さんを、年金給付のない一時金だけで切って捨てようということに傍聴者全員から怒りの声があがりました。支援する会の会報一号でも「国家公務員災害補償制度をみても4級以上にあたるはず」との投稿が掲載されています。
この後遺障害認定を不服とした裁判の準備もすすめられていますが、医療裁判の要素も加わって、裁判の長期は避けられなくなってきたといことです。

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(写真 集会・デモに参加し、ここには怒りがある!生きていて良かった!と感動)

支援する会に参加し、支援を強化しよう

次回裁判は4月18日(13時半~)、原告・被告双方から意見を出し合った後、次々会が6月5日(13時半~)となり、証人採用をめぐる攻防に入っていくことになりますが、さらに多くの仲間が支援する会に参加して、支援体制の強化をともに担っていくことを訴えます。

暴行・事故もみ消し・退職強要に怒り 決起

池田さんが事故にあった2006年7月は、陸上自衛隊がサマワから撤退する一方で、航空自衛隊が武装したアメリカ軍兵士を輸送しはじめた時期です。武装米兵輸送の事実があかるみにでることを恐れて、派遣自衛隊中枢は大怪我をした池田さんを放置し、小牧基地での「帰国歓迎式典」ではコルセットをはずして参加させられるなかで、隊長は「全員無事に帰還しました」と報告しています。帰国後も公務災害の治療費の打ち切り、後輩からの暴行と被害届けのもみ消しなど、事故のもみ消しと退職強要が続きました。
池田さんの決起は、パワハラがつづき自殺者が出ながら闇に葬ろうとする国・自衛隊への怒りの決起そのものです。戦死した隊員を英雄のように持ち上げ、生きている隊員に「滅私奉公」を強制したい自衛隊にとって、闘いに立ち上がった池田さんの存在は闇に葬りたいほど煙たいに違いありません。存在そのものを抹消しようとすることに対して、立ち上がったこと自体が大きな勝利です。
裁判後の報告会で池田さんは、「みなさんに来ていただいて、これまでより10倍痛くても、来てよかった。これからもよろしくおねがいします。」と挨拶しています。岐阜の仲間と一緒に、11月労働者集会の写真も渡すことができました。池田さんが「ここには怒りがある!」「生きていて良かった!」と感じたように、労働者階級の団結した力が、国・自衛隊の分断を打ちやぶる根源的な出発点を形成しています。裁判の長期化にともなう兵糧攻めはいのちと健康の破壊そのものですが、怒りをもってともに闘おうではありませんか!

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(写真 2012年8月初めて島嶼部で日米合同上陸演習が実施された写真は2月米軍の水陸両用艦で訓練を実施する陸自隊員「訓練」と称して隊内暴行・いじめが激化する。)

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護衛艦「たちかぜ」裁判を傍聴して

高村宏行

家族の非和解の怒りとともに

2006年からたたかわれている護衛艦「たちかぜ」裁判に、この1年間欠かさず傍聴してきました。そこに自衛隊兵士・家族の決起に連帯し、団結するたたかいがありました。

今回は第17回控訴審公判=最終弁論・結審が行われました。少し前の傍聴記で、傍聴者を抽選で40名くらいしか傍聴させない東京高裁に対して、「もう少し広い法廷は用意できないのか」と素朴な疑問を呈したことがありました。それが通じたわけではないと思うが、前16回から、何と大法廷が用意された。東京高等裁判所101大法廷だ。100人近くの傍聴者が入れる。調べてみたら、「当事者の人数が多い事件、世間の関心が高く多数の傍聴希望者が詰めかけると予想される事件などで使用される」とある。で、使用されたわけか。
とんでもない。鈴木健太裁判長は、追いつめられ追いつめられて101大法廷を使用せざるをえなかったのだ。全18回のうち、最後の3回だけ大法廷にしたのは、自営隊内のいじめ・自殺事件を出発点にしているが、「これ以上自衛隊員の自殺を増やしたくない。息子の仏前で『自衛隊の責任がすべて認められるまで、これからも闘うから見守って』と話したい」という家族の非和解の怒りが爆発し、被告・国側を徹底的に追いつめてきたのだ。

原告家族の意見陳述は圧巻で感動的

裁判所は家族の怒りと、心からの訴えに真に応えろ

今回の最終弁論で代理人の弁護団2名が陳述したあとの原告のお母さんとお姉さんの陳述は圧巻だった。

お母さん    「二度と、やさしかった息子を見ることができない。こんなにも早い死!10ページもの長い遺書を残した。親として、無念をはらさなければならない気持ちです。いじめは犯罪!もう二度とくり返されないよう、裁判長は公正な判決を」

お姉さん
「遺書を見て、国はどんな考えでいるのかわかった。弟はたった一つの命を断たれ、国がうそをついていることが理解できた。三佐の証言を聞いて、正直に話す人もいると思い、安心しました。私には、小学2年、5年の子供がいる。うそをつくなと教えています。国は、責任をはっきり認め、謝罪してほしい。裁判所に希望を託します。公正な判決を求めます」

息子をなくした悲しみ、その原因をつくった自衛隊、そしてそれを今の今も隠して明らかにしようとしていない国に対する悔しさと憤り、原告家族の怒りは非和解である。傍聴席は、原告家族と一体になり、裁判所を圧倒した。非和解で闘えば必ず勝てると確信した。
次回は、4月23日(水)11時、東京高裁大法廷で判決公判だ。
家族の怒りと団結!立ち上がる兵士達と団結!闘う元兵士たちと団結!しよう。特別公務員といわれながら、実体は自衛隊員も非正規労働者である。兵士との団結は、職場の団結から始まる。
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「たちかぜ」裁判 控訴審判決

4月23日(水)11時 開廷
◇ 傍聴券配布は開廷前30分から ◇
東京高裁 是非 傍聴を!