会報 31号

第31号 2014年05月10日発行

 rise31

鈴コン分会勝利・国鉄  万署名を武器に、JR体制打倒・安倍打倒へ!

世界大恐慌の深化の下で、米帝の没落、EU・ユーロの解体、中国バブルの崩壊が進み、世界はウクライナと東アジアを最焦点に帝国主義間・大国間の大争闘戦が激化し、軍事化・戦争の危機を激生させ、脱落日帝を直撃している。
生き残りを賭けた日帝・安倍政権の絶望的な改憲・戦争と解雇・非正規職化の攻撃は、逆に全国の労働者民衆の生きる為の根源的怒りと闘いに火を付けている。人間が生きることそのものを破壊する新自由主義に対して、日本をはじめ世界各地で労働者階級の怒りと反撃が爆発している。

200人を超える犠牲者を出した韓国「セウォル号」の沈没事故は、崩壊しつつある新自由主義がつくり出した人為的事故だ。新自由主義の安全崩壊が、世界的規模のものであることを突き出し、韓国労働者と家族の怒りがパク・クネ政権を痛撃している。セウォル号船長をはじめ乗務員が低賃金の非正規労働者だった。金儲け優先・規制緩和で安全が無視され、救助訓練もなく、船は改造され、過積載だった。職場に闘う労働組合が絶対に必要だ!

JR体制・安倍政権を痛撃する国鉄10万筆署名運動は国際連帯の闘いでもある。1~3月決戦から4月決戦の重層的闘い、5・1メーデー闘争を通じて体制内労働組合幹部の制動を打ち破り、JRを中心とした4大産別や全国の職場・地域で、現場労働者・青年・学生の根源的な怒りと団結を組織して益々前進している。この国鉄決戦と一体で東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の闘いが、4・16東京地裁で、非正規職3人の解雇無効 (地位確認)と判決確定までの仮払いを命じる歴史的判決を勝ち取った!国鉄9・25判決戦取の地平をさらに巨大に押し広げ、階級的労働運動路線の下、2010年代中期階級決戦大爆発への展望を大きく切り開いた。

オバマ来日の4月23日には、護衛艦「たちかぜ」高裁判決で、「自殺予見は可能であった」「適切な指導を行っていれば」「自殺を決意する事態は回避された可能性がある」「被控訴人ら(国・防衛省)は1等海士の死亡について損害賠償責任を負う」として国・防衛省の国家賠償責任を認定する判決を勝ち取った。当初被告側だった3等海佐の反乱決起(自衛隊の証拠隠滅の暴露)は決定的だ。

日帝・安倍政権による鉄道・原発・武器輸出、解雇の自由化・総非正規職化、集団的自衛権の行使容認など絶対に許さない!青年労働者を絶望的な競争・戦争に駆り立てようとする安倍政権・1%の支配階級に対する激しい怒りが職場で渦巻いている。「戦争は職場でおきている!」職場に闘う労働組合をつくろう!労働者民衆の階級的覚醒が巨大な規模で巻き起こっている。鈴コン分会の解雇撤回の偉大な勝利をバネに解雇撤回・職場復帰の国鉄10筆署名をなんとしてでも達成し、6・8国鉄集会の大成功勝ち取り、JR体制打倒・安倍打倒に断固突き進もう!       (杉橋)

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ウクライナと東アジア情勢が示す争闘戦の軍事化・戦争化情勢の到来

資本主義・帝国主義はすでに終わりを遂げている

ウクライナ情勢は、世界恐慌の深化と新自由主義の破綻・崩壊による米欧とロシアの争闘戦がついに軍事化・戦争化に行き着いていることを世界に示しています。その根底には戦後世界体制の基軸国であったアメリカ帝国主義の没落と「世界の警察官」としての軍事的展開力の喪失がロシア、中国、日本帝国主義、ドイツ帝国主義の突出と争闘戦の軍事化・戦争化を引き出しているのです。

29年恐慌から、第二次大戦をへて、アメリカ帝国主義基軸の戦後世界体制の行き詰まりが74~75年恐慌として爆発し、帝国主義の最後の延命形態として登場したのが新自由主義でした。新自由主義の核心の第一は全労働者の非正規職化です。第二の核心が全労働者の非正規職化を推進するための絶対的必要条件としての労働組合の解体です。なぜなら労働組合は労働者が生きるために必要な賃金と権利を資本から闘いとるための組織であり、労働者の闘う団結形態なのです。米・レーガン、英・サッチャー、日本は中曽根の時代にこの労組解体を狙う民営化・外注化攻撃が世界的に強行されました。民営化・外注化攻撃とは労働者を丸ごと転籍・出向などで一旦解雇し、低賃金と非正規職で再雇用し、労働者の団結、生活と権利を破壊・解体して資本が利益を得る仕組みです。労働者が賃下げと非正規職での再雇用がいやなら会社を辞めろということです。

日本での大量解雇・賃下げ・非正規労働者化の始まりが国鉄の分割・民営化です。この過程で国労が解体されました。そして1995年日経連は「プロジェクト報告」で全労働者の9割を非正規労働者に突き落とす宣言を表明しています。その結果が4大産別における外注化で4~6割の労働者がすでに非正規職化され、3ヶ月という短期の非正規雇用のありかたが大手を振っている社会になっているのです。この現実は連合や労働組合の幹部が資本に屈服することにより、憲法で保障されている労働組合の闘いと権利を放棄し、労働組合が労働組合として闘わないことによって新自由主義の民営化・外注化による全労働者の非正規化の推進が可能になっているのです。

新自由主義の本質は社会の安全や労働者の命を犠牲にしても利益を得られないものはすべて、文字通りすべて切り捨てることにあります。笹子トンネル事故、JR尼崎事故、北海道で頻繁に起きているJR鉄道の事故や川崎東北線事故、たびたびに起きている高速バス事故、そして韓国の旅客船セウォル号の沈没事故などにすべてそれが現れています。旅客船セウォル号の船長、乗組員が非正規雇用労働者であり、救難訓練も受けていないことが明らかになっています。先日、格安航空ピーチの航空機が墜落寸前でしたが空の安全もすでに崩壊しているのが現実です。それだけではありません。労働者を生きられないところに追い込み、福祉を切り捨て、貧困から抜け出せない制度をつくり貧困ビジネスで生きられない労働者からも利益を吸い上げる社会構造を制度的に築き上げようとしているのが新自由主義であり、安倍政権です

ホームレスの数は減少しているがネットカフェに住所を置いての生活者が激増しています。安倍が推進している女性の社会進出や30%の女性役員化の本質も非正規の女性労働者からの低賃金収奪です。この現実は世界的規模で進行しています。日本の労働者の現実は世界の労働者の現実であるということです。だから世界の労働者の怒りは国境を超えて共通の怒りが世界の労働者の怒りとして根底的に爆発しているのです。要するに資本主義が資本主義として「発展」する道がすでに閉ざされているのが新自由主義であり、現代社会の現実はその新自由主義がすでに崩壊し、資本主義・帝国主義がすでに終わりを遂げているということです。
ここでの結論は、闘う労働組合を職場・地域につくり、職場、地域で新たな闘いを開始しようということです。労働組合は労働者の団結組織であり、労働者階級が唯一、資本・国家と5分と5分の対等でゼネストで闘うことができる戦闘組織なのです。それが本来の労働組合です。労働者が団結して闘えば必ず勝利できます。

帝国主義間・大国間争闘戦の軍事化・戦争化に転換する情勢の到来

世界恐慌の深化と争闘戦の激化が、ウクライナ情勢と東アジア情勢を軍事化・戦争化の時代を到来させています。
米・オバマのQDR(4年後との国防計画の見直し)は、アジア・太平洋基軸のアメリカ帝国主義の政治・経済・軍事外交政策です。戦後基軸国から陥落したアメリカにとっての世界戦略は台頭する中国との対峙・対決であり、米日韓軍事同盟の強化を軸とする中国包囲網の形成による対中国対決の戦略であり、その基軸が日米同盟です。この米・オバマの戦略に真っ向から挑んでいるのが実は安倍政権なのです。安倍は国家主義・排外主義を全面的に押し出し、歴史認識問題でも日中、日韓関係を対決的に押し出し、オバマの安倍への牽制にも靖国参拝という行動でオバマのけん制を拒否で示しています。
安倍政権の戦争国家への突出も「戦後世界体制との激突」へと突き進みます。安倍の「戦後レジームからの脱却」論とはアメリカ帝国主義と戦後体制に真っ向から激突することになるのです。日米首脳会談でオバマがTPP合意を強烈に突きつけたのは安倍政権への米帝戦略への屈服の要求です。
日米首脳会談は日米帝の危機と対抗性を示しました。大恐慌と争闘戦の激化、陥落米帝の現実が、安倍を突出させているのです。ドイツ帝国主義も「紛争地域へのドイツ軍の派遣」宣言という戦後的転換の突出を開始しています、ウクライナ情勢がドイツの突出に拍車をかけています。

南中国海で中越が激突開始

中国外務省は、日米首脳会談でオバマが「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象」と明言したのに対し、「安保条約の適用には断固として反対する。安保条約は冷戦期の産物であり、第三者に向けられるものではない」「釣魚台(尖閣諸島)は中国の固有の領土で、中国軍には完全な防衛能力がある」とする一方、「大統領は中国を囲い込むような発言を慎重に避けた。主権問題で新たな変化はない」として、「政治・経済・軍事大国として」「新たなタイプの大国(米中)関係」の形成という戦後体制の変更を拡大した軍事力を基礎に掲げている。

その一方で中国は、南中国海のパラセル(西沙)諸島付近の海域では中国の実効支配を強化し、5月2日に掘削設備を現場海域に搬入し石油の掘削を開始している。中国は掘削地点から半径3マイル(約4・8キロ)以内への外国船の進入を禁じることを一方的に通告していた。
、5月2日から7日にかけ掘削作業の護衛船約80隻とベトナムの海上保安船など約30隻が衝突し、ベトナム側の船員6人が負傷しベトナム船8隻が損傷した。ベトナム当局が公開した映像では中国船がベトナム船に体当たりしている状況が映し出されている。ベトナムは「平和的手段で解決を目指す」、だが「中国船が体当たりをやめなければ、報復もあり得る」と警告を発し、中国外務省の華春瑩報道官は7日の記者会見で、同諸島は「中国固有の領土」、「ベトナム側は国際法などに違反し、中国の主権と管轄権を侵犯している」と掘削とベトナム船の海域からの排除を正当化しています。
ウクライナ危機はすでに東アジアの争闘戦の軍事化情勢に突きすんでいるのです。中国の行動もウクライナ情勢を見据えた上での中国バブルの崩壊と国内体制の危機突破をかけた突出を開始したということです。

労働者階級には「国境も領土」もありません。労働者は唯一、世界単一の階級です。国際連帯の強化と闘う労働組合の力で戦争と改憲に突進する安倍政権を打倒しよう。
その最大の武器が国鉄10万署名です。地裁・高裁で国鉄分割民営化で強行された1047名解雇は不当労働行為であると認定させた。6・8に向け解雇撤回・現職復帰の最高裁10万署名を全国の職場・地域で達成しよう。解雇撤回の力が戦争を革命に転化する力に発展するのです。

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5・15  沖縄現地闘争(5・17~19 )―6・8 国鉄集会に決起しよう!

在本土沖縄労働者会議 宮里勝博

「普天間基地即時撤去!辺野古新基地建設反対!」労働者は団結して闘おう!

昨年4月28日、本土の地で沖縄現地と一体となって闘う組織として在本土沖縄労働者会議を結成しました。そして安倍政権の4・28「日本の主権回復の日式典」を弾劾しました。沖縄では4・28は沖縄が本土と分断された「屈辱の日」として闘われた日です。これは明らかに「基地との共存」への屈服攻撃であり、断じて許すわけにはいきません。
今年、安倍政権は式典を開催しません。これ以上式典を続ける(続けるといってもこれまでも数回しか式典は開かれなかった)と沖縄闘争の爆発を恐れて中止したのが現状です。
昨年、安倍政権は普天間基地の辺野古移設へ、沖縄選出の自民党国会議員を「辺野古を含むあらゆる可能性を排除しない」として「転向」させました。そしてこれを受けて自民党沖縄県連も「辺野古容認」へとかじを切りました。さらに仲井真知事は「公有水面埋め立て認可」を強行しました。しかし、保守勢力が屈服するのは想定内のことです。
「保守総崩れ」で「民主党政権で辺野古問題は終わるから、保革を超えたオール沖縄を」という沖縄「革新」(社民・社大・共産)の路線も最後的に破産しました。それは沖縄問題を「構造的沖縄差別」として描き出してきた路線の行き着いた先とも言えます。

1月19日に名護市長選挙が行われ現職の稲嶺氏が当選しました。しかし、「基地反対」を言いながら、労組を破壊し外注化を強行する。これは社会を資本に売り渡す行為であり、自分で自分の基盤を掘り崩すようなものです。稲嶺は名護市役所の民営化・外注化=名護市職労破壊を推し進めている張本人です。オスプレイ配備反対県民大会実行委員会の共同代表である翁長那覇市長も、那覇市職労を敵視し、那覇市の新庁舎から組合事務所を撤去した人物にほかなりません。安倍政権に「屈服・転向」したのは既成政党であり、沖縄の労働者階級は膝を屈したわけではありません。
いまだ、新たな基地は建設されておりません。辺野古新基地建設反対の闘いは、沖縄と全国の労働者階級の闘いとして勝利しています。いよいよ、今や一切のあいまいなものがなくなり、日帝・安倍政権と沖縄の労働者階級とがむき出しの直接対峙する情勢が到来しているのです。

今年の5・15沖縄闘争

今年の5・15沖縄闘争は、
「解雇撤回、非正規職撤廃! 基地撤去、改憲・戦争阻止!
新自由主義と闘う労働者の国際連帯で安保・沖縄闘争の勝利へ!」というスローガンで闘います。それは「万国の労働者、団結せよ!」の復権をかけた闘いです。
沖縄闘争はもともとその闘いの中に国際連帯闘争という要素を含んでいました。それは、戦後における沖縄の労働運動の闘い、1952年の土建争議や60年~70年前後の「復帰」闘争の渦中で闘われた全軍労闘争など、基地労働者を先頭とする沖縄の労働者階級の闘いは、「基地の島」をめぐる闘いであり、それは国際連帯闘争として闘われたということです。4・28沖縄デーは国際連帯闘争として世界各地で闘い取られていました。
今、新たな沖縄闘争が階級的労働運動路線を軸に据え、国際連帯闘争として全面的に解き放たれたときに、沖縄闘争の勝利と全世界の労働者階級の解放が一体的に勝ちとることができるということです。
資本主義・帝国主義の最後のあがきとしての新自由主義そのものが破綻している現在、まさに今、国際プロレタリアートの団結の力で資本主義・帝国主義を根底から転覆することが可能な時代に入っているのです。 「沖縄闘争を闘う」ということは、新自由主義と対決し、闘う労働運動をよみがえらせる中に、沖縄の基地を撤去し、戦争を止め国境を越えた労働者の団結・全世界の闘いを団結させていく力があると確信します。その革命(世界革命)勝利の核心にあるのは「万国の労働者、団結せよ!」の復権です。

「民営化・外注化粉砕!非正規職撤廃!」で労働者は団結して闘おう!

沖縄だけでなく、本土でも、全世界でも膨大な労働者・青年労働者を、非正規職化と、劣悪な労働環境のもとに突き落とされています。あるいは仕事を奪い失業状態に落としこまれています。これが全世界の青年労働者の実態なのです。今や「民営化・外注化粉砕!非正規職撤廃!」は全世界の労働者の共通のスローガンになっています。国際連帯を掲げた労働者階級の闘いがこの腐敗を極める資本主義社会を根底から覆していく時代が始まったのです。

沖縄では今、非正規青年労働者の新たな闘いがはじまっています。3月31日(日本IBM・ビジネスサービス労働組合〔IJBS労組〕)書記長が雇い止め=解雇されました。
3月31日、4月1日の2日間、沖縄のコールセンター関係の非正規職の職場で労働組合IJBS労組書記長への雇い止め=解雇撤回闘争を闘いました。それには全国から仲間がかけつけて支援してくれました。また、定期大会には全国の組合・有志から激励と会社への抗議が多数寄せられました。

IJBSは日本IBMが100%出資する子会社です。コールセンター業務など企業の一部門を丸ごと企業から請け負う、外注化に特化した新自由主義企業です。そのもとで99%が非正規職で労働法も解体された、異常な職場です。IJBS労組はこの現実と真っ向から闘い、職場の労働者の支持を拡大してきたのです。だから、この書記長解雇撤回闘争は日本と世界の労働運動を塗り替え、新自由主義を根底から覆す決定的な位置を持っています。
この労働組合書記長である非正規労働者・青年労働者に対する雇い止め=解雇攻撃を、断じて許してはなりません。この攻撃は、米帝と日帝が「基地の島」沖縄を何としても維持するために、何よりも沖縄の労働者階級の闘いを圧殺するためにかけられた攻撃です。この攻撃は「沖縄振興策」の破綻を労働者解雇で隠蔽し、さらなる若年非正規労働者を貧困におとしめるものです。

解雇撤回が戦争をとめる力

97年の普天間基地移転・辺野古新基地建設という日米帝国主義のプランに対し、辺野古新基地建設阻止闘争は今日まで新基地建設を許してはいません。基地は作られていないのです。その時点で破綻しているのです。
また、それと抱合せて「沖縄北部振興策」と称してブラック企業を誘致して24時間労働、非正規職、最低賃金(沖縄が全国一の最低賃金664円だ)で若年労働者を過労死、病気に追い込み使い捨ての攻撃がかけられてきているのです。IJBS労組結成は北部振興策の破綻を暴き反撃に出たのです。今回の解雇攻撃への反撃もその一環としてあるのです。
この非正規青年労働者の解雇撤回の闘いこそ、階級的労働運動と国際連帯の実践的闘いそのものです。「戦争は解雇攻撃(戦場)として職場で始まっているのです」。この闘いこそ、日帝・安倍政権の戦争と改憲攻撃のもとで進められようとしている辺野古新基地建設攻撃に対して、階級的に対決していく闘いとしてあります。絶対に負けるわけにはいきません。

今回の労組書記長解雇に対する労働者階級の回答は、資本とは非和解・非妥協で職場における徹底的な闘いであり、国鉄1047名解雇撤回闘争と一体化し、最高裁への10万筆署名とともにIJBS解雇撤回を全国の仲間が職場で訴えよう。
今日の大恐慌と戦争情勢の高まりの中で、プロレタリア世界革命の突破口として、沖縄おける階級的労働運動の発展をかちとろう。5・15沖縄現地闘争(5・17~19)ー6・8国鉄集会に決起しよう。

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イラク派兵負傷事件(公務災害)裁判

勝利の核心は闘う労働組合と労働者の闘いの強化

東海合同労組 小林 丈仁

4月18日、イラク派兵中に公務災害で重傷を負った池田さんが自衛隊=国を相手に損害賠償を請求して闘っている裁判が名古屋地裁でひらかれました。裁判に先だって県庁、市役所前の地下鉄出入り口に20名くらいの支援者が集まって、1時間ほどチラシを配布し、池田さんの裁判への支援を訴えました。小牧基地に勤務していたことのある元自衛官に続いて私にもマイクがまわってきましたので、「池田さんは軍服を着た労働者です。今回のイラク派兵中の自衛隊の事故隠しと責任逃れに対して労働組合として一緒に怒り一緒に闘っていきたい」と訴えました。1時からは、防衛省東海防衛支局に要請行動を行ない防衛大臣、航空幕僚長への要請文を受け取らせています。
裁判は今回で8回目になりますが、それぞれ追加の準備書面のやりとりを確認しただけで終わりました。自衛隊側は、マラソン大会、早期帰国、小牧基地での治療などにおいて義務違反はなかったとの主張を繰り返しています。次回は6月20日(金)13時半になります。今回50席の傍聴席があふれて10人くらい廊下で待たされましたこともあり、次回は100人規模の大きな法廷を求めることになりました。傍聴参加者をまわりにひろげなくてはなりません。

裁判の争点

裁判の焦点について、裁判後の報告会で話し合われました。米軍主催のマラソン大会での事故であったことから、直接米軍を訴えることも検討したらどうかという意見も出されています。事故を起こしたのは米軍が雇ったハリバートンの子会社KBRという会社で、運転手の事故報告もだされています。ハリバートンは戦争ビジネスでぼろ儲けしている「死の商人」として悪名高い米国企業です。しかし、日米地位協定の問題とイラクでの交通事故の補償の問題の難しさがあるということでした。

(1) 自衛隊も積極的に勧めていたマラソン大会

事故にあった2006年7月4日のマラソン大会はクウエートのアリアルサラム空軍基地の外周道路で行なわれた。休日に行なわれていて自衛隊は公務外という判断です。このことに関連して業務に関連していることがはっきりすれば安全配慮の義務が当然でてくるということです。体力向上のために上司からもすすめられ大会のポスターもよく見えるところに張り出されていたこと、とくに大会に出る前には勤務時間内にマラソンの練習も認めていたことは、暗示の命令ともいえるものです。勤務シフトの変更も小隊長の同意がなければできませんし、班長からは「勤務編成しておくから参加していいよ」」と言われていたのです。にもかかわらず、イラク派兵航空自衛隊長の西司令は「体力錬成として推奨する立場から、マラソン大会があることを知ってはいたが、呼びかけていたわけではない」とあくまで任意の参加で安全上の義務はなかったと責任逃れを行なっています。

(2) 適切な治療ができなかった現地の自衛隊衛生設備

事故直後の治療が杜撰すぎます。池田さんは、事故後米軍の治療施設らしいところで錠剤4つぶ出された記憶があるだけで、翌5日に目が覚めたら自衛隊の自分のベットだったそうです。起きようとすると首や肩が痛く、鏡をみると左顎が歪んでいました。口を開けようとすると激痛が走りました。三日間は水しか口に入りませんでした。あまりの空腹に耐え兼ねて食堂まで這っていくことしかできなかったそうです。そうした中でも、通常勤務を命じられたこと自体がが問題です。職場でもソファーで横になって仕事の指示だけしかだせなかったのにです。
自衛隊の衛生隊は「米軍に轢かれたんだから、米軍に診てもらえ」という対応です。まともに治療できる設備がなかったため、痛み止めしか出していないのです。

(3) なぜ、早期に帰国させなかったのか!

早期の帰国について、もっとひどい扱いを自衛隊はしています。池田さんの事故後にテコンドーの練習で怪我をした他の隊員はすぐに後送されています。「はやく帰してほしい」と池田さんが事故直後から頼んでも「帰国便がない」と断られてきたにもかかわらずです。これは池田さんが通信隊に所属しており、米軍を自衛隊機で運びはじめていたことを知っている立場にあったためと考えざるをえません。適切な治療が現地の自衛隊ではできないにもかかわらず、池田さんを日本に送り返さなかったことが、後遺症が深刻化した最大の原因です。
池田さんが帰国できたのは事故から2カ月後の8月25日です。任務終了にともなって他の隊員と一緒の飛行機でした。この時も座っていることができず、横になって痛みをこらえるしかありませんでした。
帰国してすぐ小牧市内の病院で診察を受けます。頸椎捻挫、左肩挫傷、外傷性顎関節症の診断。特に顎の関節は、軟骨がずれていて早期の回復は難しいと判断されるほど重傷でした。ここまで放置したことが手術の機会を奪い適切な治療を困難にしてしまったのです。

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(写真 イラクでは空自のC130、3機がクェートからイラク国内の3空港に約700回、米兵を輸送。離着時には輸送機に取り付けられているミサイル警報装置が頻繁に鳴り、自衛隊員は緊張の連続が続いていた。)

「たちかぜ」裁判、自衛隊の証拠隠しを暴く!

「たちかぜ」裁判でも、自衛官の自殺の原因と隠蔽体質が自衛隊自体の階級的な性格の問題であることが暴かれてきました。国家の侵略戦争の担い手とされ、国内の治安弾圧の暴力装置でもある自衛隊では、「敵を殺し、敵を制圧する」ための訓練が日常的に繰り返されます。原発をはじめとする輸出市場や石油や資源の確保という支配階級の利益のために、組織的行動と強靱な精神と肉体の鍛練が強制されるのです。侵略への抵抗や反戦デモに銃を向けることに矛盾や軋轢が生じないわけがありません。しかし戦争の目的への疑問や人間的な葛藤自体が隊内暴力や、強制配転、いじめの対象になっている現実があります。

そして米軍の空輸というイラク戦争の戦闘行為への直接的な関与が表沙汰にならないように、池田さんの怪我は隠されたということです。「人道支援」という名目で派遣しながら、空自が輸送した米兵は1万7650人にも上ることが判明し、2008年には名古屋高裁で「米軍などとの武力行使と一体化している」として憲法9条1項違反としてイラク派兵からの撤退へと追い込んだのです。

安倍政権の改憲と戦争国家への突進と闘おう

安倍政権は、こうした侵略戦争の実態を隠し、1%のための利権と勢力圏争いを国益として兵士と労働者に強制しようとしています。内部告発や実態調査を特定秘密保護法では違法としようとしてくるでしょう。勝利の核心は、労働者階級の闘いが強化されることです。その軍需産業や侵略企業、ブラック企業の利益を国益として兵士に強制する。しかし資本と非妥協で闘う国鉄決戦を基軸に、階級的労働運動が激しく労使一体や挙国一致をうちやぶってすすんでいます。兵士・家族の自衛隊を相手にした国家賠償・公務災害認定の闘いと、解雇撤回を貫く労働者の闘いを、勝利にむけて一体で闘っていきたいと思います!

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護衛艦「たちかぜ」控訴審 勝利判決勝ちとる!

滝山

家族の非和解の闘いと隊内決起の結合が勝利を切り開いた

4月23日、「たちかぜ」裁判の控訴審で原告が勝利判決を勝ちとった。実に大きな勝利である。勝利の核心は、1等海士を自殺(04年10月)に追い込んだ自衛隊に対する原告・家族の非和解の怒りと防衛省の証拠隠蔽に怒りを発した3等海佐の反乱(12年4月)をはじめとする将兵の正義の・隊内決起がひとつに結びつくことによって切り開かれた勝利である。非和解の闘いと隊内決起が結合したとき「たちかぜ」裁判の勝利は確定していた。不屈・非妥協で闘えば必ず勝利することが「たちかぜ」裁判でも示された。小野寺が上告を断念し判決は確定した。
一審判決は「いじめ自殺」の予見可能性を否定し、国家の加害責任を不問にした。高裁は3等海佐の決起によって開示された200点以上の証拠で被告・国の賠償責任を認定した。上官が被害実態の調査を行い、その時点で暴行を加えていた元2等海曹(懲戒処分)に「適切な指導を行っていれば、自殺は回避された可能性がある」と判示し、「たちかぜ」の上官らが「自殺を予見することが可能であったと認められ元2等海曹の暴行及び恐喝並びに上官の指導監督義務違反との間には相当因果関係があり、被告・国は1等海士の死亡について損害賠償責任を負う」と認定し、被告国・防衛省に約7千330万円の支払い命令の判決を出した。

国・防衛省の組織的証拠隠蔽を事実上不問にした反動

一方、判決の反動性も日帝・防衛省が行ってきた証拠隠蔽に関する判示の中にはっきりと表れている。
190人の艦内アンケート及びメモは本件訴訟の「重要な証拠」である。被告国・防衛省はそれを「隠匿した」と認定しながら、「本件アンケートや上記メモの存在を認識した時点で直ちにこれを証拠として提出しなかったとしても、それが訴訟上の信義則に反するということはできない」として国・防衛省を擁護している。
そして判決は、「破棄した」という大嘘による証拠隠し、3等海佐の決起による証拠隠蔽の暴露、その暴露に基づく証拠開示など、これら「一切の事情を考慮」しても、「父親に対する慰謝料額は、20万円をもって相当と認める」と判示している。
要するにこの判決は、防衛省が組織的に行っている証拠の隠蔽工作を事実上、不問に付しているということだ。それが「20万円相当」に示されている。

2006年4月に家族が提訴し、11年3月に一審判決。父親は05年に行政文書開示請求を行った。だが防衛省は「アンケートは破棄」と回答し、隠蔽した。父親は判決を聞くことなく09年に断腸の思いで死去した。「国が早くアンケートの存在を明らかにしていれば、最後まで裁判を見届けられたかもしれない」(原告・家族)。まさに1等海士の父親も国家と防衛省によって「殺された」といっても過言ではない。判決文には、「破棄した」として証拠を隠し通した防衛省への一片の勧告や警告すらないのだ。この問題で情報公開に関する国の審査会では、防衛省は「組織全体として不都合な事実を隠蔽しようとする傾向があった」とする異例の答申書を出さねばならないほど組織的隠蔽が横行しているのが現実である。

国家秘密保護法廃止と自衛官裁判の勝利は一体

現在、13年4月段階で「たちかぜ」裁判を除き、8件の(元)自衛官本人や家族による非和解の裁判が闘われている。特定秘密保護法による国家権力の組織的隠蔽工作が強化され、隊内決起による証拠隠蔽の暴露も犯罪とされる可能性が高くなる。係争中の自衛官裁判と特定秘密保護法廃止の闘いは一体で勝利を切り開かなければならない。安倍の戦争国家への突進は、自衛隊員と労働者に矛盾と犠牲を強制する。裁判闘争勝利と戦争拒否の闘いはこれからです。