会報 28号

第28号 2013年11月10日発行

 Rise28

職場の闘いが自衛官の決起を生み出した

さらに国鉄10万筆署名を進めよう!

11・3労働者集会で新たな闘いが始まった

11月3日、5600名の大結集で勝ち取られた11月労働者集会は、闘う労働組合を全国に作り出す巨歩を踏み出し、新自由主義を打ち破る歴史的突破口を切り開きました。
本紙26号で宣言した、4ヶ月国鉄決戦の力で動労千葉鉄建公団訴訟「9・25判決」に勝利し、最高裁決戦を引き寄せたのです。
この勝利は外注化阻止・非正規職撤廃、解雇撤回を、動労千葉と一体となって全国の職場で国鉄闘争をたたかい実践した2012年‐2013年の階級的労働運動の路線的勝利です。
動労千葉の反合理化・運転保安闘争は全労働者階級の闘う大方針です。それは今や、鉄道事故、トラックやタクシー労働者など運輸全般の事故、医療事故、過労死や長時間労働と闘う路線として巨大な奔流になろうとしています。自衛隊における闘いも全く同じです。

戦争を阻止し、兵士を獲得するストライキ

自衛官は若年退職制と任期制の不安定雇用労働者で、駅頭での訴えに耳を傾けています。二曹の定年は53歳。士の任期は1年9ヶ月です。(海・空自は2年9ヶ月。ただし二任期以降は2年)。
さらに2004年12月閣議決定した『平成17年度以降に係る防衛計画の大綱について』以降、自衛隊業務外注化(アウトソーシング)、安全軽視、低賃金化が進んでいます。
経済苦やいじめで、制服組を含め毎年百人近い自殺者が続き、矛盾の集中したイラク派遣帰還兵からは25人もが自殺しています。これらに対しても沈黙を打ち破り、海自護衛艦「たちかぜ」裁判(東京高裁)、空自「女性自衛官の人権」裁判(札幌地裁)、陸自格闘訓練死「命の雫」裁判(札幌)、陸自朝霞駐屯地「暴行・自殺事件」裁判(前橋地裁)、空自「イラク派遣負傷事件」裁判(名古屋地裁)など、本人や遺族の勇気ある決起が始まっています。
安倍の改憲と戦争政策の強行は自衛隊内部の反乱を不可避としますが、それをもっとも促進するのは労働者学生、農民の決起です。
1950年朝鮮戦争への米軍出兵に対し、アメリカの主な2つの鉄道労組が8月に軍需物資輸送阻止の史上最大級のストライキにたち、約2年間にわたり米軍を揺さぶりました。1994年の朝鮮危機には韓国の鉄道労組が6日間ストを決行、民主労総創立を促進します。こうした米韓の闘う労働組合を結ぶ動労千葉の国際連帯闘争は史上最強の反戦闘争であり、軍隊に反乱を組織する基礎的な力です。
11月労働者集会で切り開いた地平からさらに、職場で地域で思い切った実践に踏み出そう。それは必ず隊内の決起を生みます。自衛官との団結は職場の団結から生まれる。 (猪熊)

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(写真 朝鮮戦争で軍需物資輸送阻止のストに決起した米鉄道労組の労働者【1950年8月】)
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戦争国家・改憲に突進する安倍政権を労働者階級民衆・兵士の団結した怒りで打倒しよう!

国家安全保障会議・特定秘密保護法・国家安全保障局・集団的自衛権の全面的容認・武器輸出三原則撤廃は一体の攻撃!

滝山

国家安全保障会議(NSC)は憲法無視

冒頭、強力に訴えます。
臨時国会(10月15日~12月6日)上程の反動7法案(①国家安全保障会議設置関連法案、②特定秘密保護法案、③産業競争力強化法案、④国家公務員制度改革関連法案、⑤社会保障改革プログラム法案、⑥国家戦略特区関連法案、⑦国民投票法改正案)は、各法案の詳論批判は省きますが労働者階級・兵士にとっては、全て、安倍政権もろもと粉砕の対象であるということです。

まず、国家安全保障会議(日本版NSC)設置関連法案・特定秘密保護法案をめぐる安倍政権の動きを時系列にみてみます。
9月3日 法案概要を決定
9月17日 森雅子少子化相を担当相に任命
10月22日 与党が法案を了承
10月25日 閣議決定
11月7日 日本版NSC創設関連法案・衆院可決。
11月7日 特定秘密保護法案国会審議入り。※一気呵成だ!
12月6日 会期末

日本版NSC・特定秘密保護法案は違憲・憲法無視そのものです。
(一)NSCの核心は、日帝の国家安全保障戦略・政策を一部の国家中枢に一元化するための「4大臣会合(首相・官房長官・外相・防衛相)」の設置である。それは、同会議の通称を戦争国家の「司令塔」(国家中枢会議)と表現していることに鮮明です。この「司令塔」に自民党の憲法改正案で規定している自衛隊の「国防軍」への転換、「敵基地攻撃能力」が一体化する。戦前は「高度国防国家」という軍大化によって中国侵略戦争が強行された。安倍政権はその戦争国家への道に突進している。反動7法案がそれです。
世界恐慌を戦争(国家)によって突破しようとする日帝支配階級と安倍政権の絶望的な危機感とあがきが反動7法案であり、その軍事的突破口としてあるのが日米の軍事的一体化・日米同盟の強化です。
安倍政権にとって同盟強化の前提が「国家安全保障戦略」の年内策定、NSC、日米軍事機密の「保護・防衛」の特定秘密保護法制定である。国家の軍事機密がザルのように漏えいすれば帝国主義国家としても、また日米同盟の強化・日米の軍事的一体化は進展しないという危機感である。要するに脱落日帝の延命が閉ざされるという危機感である。ここに日帝ブルジョアジーと安倍政権の絶望的な焦りがある。だがこれらはすべて違憲であり、内閣の連帯責任を規定している憲法にも 違反し、憲法無視のクーデターそのものである。
しかし安倍のクーデター的戦争国家への突進、推し進めている日米の軍事的一体化とは、所詮、土台が根底から崩壊している日米帝国主義の本質的に脆弱な軍事的一体化でしかないということです。

(二)NSCは国家機密を一元的に扱う国家の中枢中の中枢となる。
国家権力が特定秘密情報を漏らしたと認定した公務員や労働者に懲役10年の厳罰を科す、したがって7日から国会審議に入った「特定秘密保護法」はNSCと両輪、一体をなしている。
機密保全法は、1985年に自民党が「国家機密法案」を国会に提出し廃案になったが繰り返し浮上していた。安倍政権が臨時国会で一気に成立せんと目論んでいる。労働者階級の怒りでなんとして粉砕しなければならない。日本の階級闘争と労働者階級民衆にはその実力があります。

NSCと特定秘密保護法で日本版NSAが動き出す

CIA元職員・スノーデン氏の告発により、米帝オバマによるドイツ・メルケルなどEU各国首脳の携帯電話の盗聴、政府機関の情報収集、ブラジル国営の石油会社・ペトロブラスなど各国企業の盗聴・電子メールの傍受が不正に行われ、、外交・経済・科学技術の分野で日本や中国が重点監視対象国であることも暴露されています。米国内でも米国家安全保障局(NSA)による通信傍受が暴露され、ワシントンDCでNSAへの怒りの抗議が爆発している。NSAはグーグル、ヤフーの通信網にも侵入し、いわゆる「メタ・データー」と呼ばれている送・受信者情報や文書、音声、映像などのデータを大量に不正入手している。その量は2013年1月の時点で、1ヵ月間に約1億8000万件に上っていた(ワシントン・ポスト)。国家が堂々と不正入手している。NSAの監視対象リストには、イランや北朝鮮、キューバ、そして同盟国といわれている仏、独、日本、ブラジルも含まれている。仏や独に対しては「外交上の優位性」、日帝やブラジルに対しては「経済上の優位性」を確保するために通信傍受活動を行っている(NYタイムス)。
オバマは米労働者のみならずグーグルやフェイスブックなど米IT企業の最高経営責任者(CEO)らの怒りをも引き出している。フェイスブックのマーク・ザッカーバーグは、公の席で「米政府は僕達の努力を台無しにした(The government blew it!)」と怒りを露わにしています。オバマにとってグーグルやフエィスブックの世界的展開が拡大すればするほど膨大な情報が不正に入手できる。
要するに米帝オバマは、軍事費の強制削減・戦力の大幅削減という国家的危機の中で、サイバー戦争を強化し、世界中の通信網に侵入・傍受し、外交・防衛・経済・科学技術・対テロ・「反社会的」な「有害活動」など全分野にわたる全情報を収集し、帝国間・大国間争闘戦と治安弾圧強化の「武器」に転化しているのです。
安倍政権もそこに向け突き進んでいる。NSC設置と特定秘密保護法を制定することによって日本版NSAを発足させる(後述)。 NSC、特定秘密保護法は戦争国家法であり、治安弾圧強化の法案であり、労働者階級の怒りで徹底的に粉砕しなければならない反革命法です。

保護法案の概要に対する15日間での「意見公募」に対する回答

回答数:9万480件
反対 77%
賛成 13%

 米国家安全保障局(NSA)とは

NSAは1952年に暗号解読を目的にした組織として設置された。本部はメリーランド州フォートミード。3万5000人態勢で、約108億ドル(約1兆800億円)の年間予算をもつ組織です。
世界に約80カ所の拠点があり、「日本、韓国にもNSAの活動拠点がる」(スノーデン氏)。通信傍受と解析を主任務としている。HPではコンピュータ・ネットワーク・オペレーターを「年俸4万5000ドル(約450万円)以上」で募集。但し米国人のみ。周知の「エシュロン」を運用しているのもNSA。
通信傍受には外国情報監視法(FISA)で規定するFISA裁判所の令状許可を必要としているが、2001年同時テロ以後、ブッシュ政権下で「令状なしの通信傍受」がまかりとおっているのが実態です。

日本における無線傍受の担当は防衛省情報本部電波部である。北朝鮮、中国、ロシアなどが発信する電波を収集しているが、分析は米のNSAが行っている。安倍政権は分析した情報の一部を受け取り共有しています。
日本版NSCと特定秘密保護法が制定すれば、米NSAが違法な手段で入手した防衛・外交・対テロ・治安対策上の情報など、安倍政権の国家安全保障会議が共有した場合、その全ての情報が特定秘密保護法で闇の中に葬り込まれることにります。30年後においても内閣が秘密指定を承認すれば、革命による体制転覆か、内部告発でもなければ永久に明らかにならないということです。

各国の国家秘密の保護における罰則(最高刑)

国    一般的な漏洩    外国勢力への漏洩
日本    10年    10年
アメリカ    10年     死刑
イギリス    2年        14年
ドイツ        5年~10年    1年~無期
フランス    7年        15年

日本版NSAの設置

日本版NSCの下に、「事務局」として「国家安全保障局(日本版NSA)」が設置されます。設置当初の態勢は、外務・防衛・警察の各省庁からの出向で60人程度の規模だが、米NSAのように「諜報機関」として、拡大するのは明白です。
「外務・防衛・警察の各省庁からの出向者」で構成する「事務局」が単なる「事務取り扱い」でないことは明らか。安倍政権は明確に日本版NSAを目指し「事務局」を設置しているということです。
軍事での日米一体化とは、戦力・装備・兵力の一体化であると同時に情報の一体化であり、それは公開されることなく情報機関の組織拡大と日米の合同化・統合化へと争闘戦として突き進む。

小泉政権下の2002年、国家公安委員会で、裁判官への令状請求を不要とする「行政傍受」が議論され、同政権下の05年頃、米NSAをモデルにした海外での通信傍受の構想が検討されました。いずれも法制度が壁になり断念している経緯がある。 今日、世界恐慌の戦争への突入情勢は、米帝の「財政の崖」からの転落によって激化しています。
帝国主義間・大国間争闘戦の激化に根底的に規定されている安倍政権が、日本版NSAへと「事務局」を強化・拡大を死活的に推進させることは明白です。日本版NSC・特定秘密保護法・日本版NSAは一体であり、究極的には労働者の闘いとプロレタリア革命を圧殺せんとする予防反革命体制への移行・転換そのものです。労働者階級民衆・兵士の怒りで法案を安倍政権もろとも根底から粉砕・打倒しよう!

 特定秘密保護法

改めて特定秘密保護法案のポイント見てみます。
(一)①防衛、②外交、③特定有害活動の防止、④テロ活動の防止の4分野で、「国の安全保障に著しい支障のある情報」と判断した全ての情報を「内閣に置かれる機関(内閣府を除く)及び内閣の所轄の下に置かれる機関(※行政機関・各省庁)」の長(閣僚)が「特定秘密」に指定できる。国会や第三者のチェックは受けない仕組みになっています。国家権力にとって不都合な情報は全て隠蔽できるということです。

「特定有害活動」とは、要するに安倍政権にとって有害な活動を指すということです。「公になっていない情報のうちその漏えいが我が国の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを取得するための活動、核兵器、軍用の化学製剤若しくは細菌製剤若しくはこれらの散布のための装置若しくはこれらを運搬することができるロケット若しくは無人航空機又はこれらの開発、製造、使用若しくは貯蔵のために用いられるおそれが特に大きいと認められる物を輸出し、又は輸入するための活動その他の活動であって、外国の利益を図る目的で行われ、かつ、我が国及び国民の安全を著しく害し、又は害するおそれのあるものをいう」とある。
定義は、兵器やロケット、無人航空機の開発・製造と実に物々しくそこに目が奪われる。だが、最後に「その他の活動」が挿入されています。要するに無限定であり、日帝ブルジョアジーと安倍政権にとって不都合な「活動」は全て「有害破壊活動」として「指定」され、国内法で刑事罰を科す方向に突き進むということです。

(二)公務員らが漏えいした場合、最高10年の懲役を科し、欺きや脅迫など不正手段で取得した側も懲役10年。漏えいの教唆や共謀した場合も5年以下の懲役。情報の研究や調査活動、知る権利を行使した場合も罰則が適用される。国民の「知る権利」や報道・取材の自由への配慮を明記しているがあくまでも「原則として」でしかない。特定秘密に接する国会議員も罰則対象となり、議員の調査権も排除している。

(三)特定秘密の指定期間は5年で何度でも更新できる。30年を超える場合は「内閣の承認が必要」とあるが、承認されれば永久に公表されることなく「闇の中」に葬り去ることができるということです。

(4)特定秘密を扱う人間の適格性の有無を確認する「適性評価」に、「特定有害活動及びテロリズムとの関係」が滑り込ませている。。条文では、「テロリズム」の定義を、「政治上その他の主義主張に基づき、国家若しくは他人にこれを強要し、又は社会に不安をもしくは恐怖を与える目的で人を殺傷し、又は重要な施設その他の物を破壊するための活動」としている。
「社会変革」や「プロレタリア革命」はもとより、「脱原発運動」、「政治上やその他の主義主張」、「国家に強要する」ことに結びつくイデオロギー、主義主張を全て排除し、弾圧する法律であり、文字通りの革命圧殺法です。

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(写真 新自由主義と闘う労働組合の全国ネットワークを!国鉄決戦で勝負! 11・3労働者集会に5600名が結集)

集団的自衛権の全面的容認と日本版NSC・特定秘密保護法・日本版NSAは一体である

憲法を無視した安倍政権の日本版NSC・特定秘密保護法の制定は、集団的自衛権の全面的容認への憲法解釈の変更と一体であり、それは同時に「国防軍」を規定した改憲攻撃そのものです。国家安全保障会議・特定秘密保護法・集団的自衛権の全面的容認で地ならし、憲法を無きものにする(空文化)国家安全保障基本法の2014年制定を目論んでいる。日米同盟の強化をテコにしながら安倍政権が目指す戦争国家への突進です。
2005年10月の日米安全保障協議委員会(2プラス2)で出された在日米軍再編への中間報告では、米軍と自衛隊の軍事的一体化と世界安保への転換を明らかにしている。具体的には「国家戦略レベルの情報協力」「共有された秘密情報を保護する措置」が明記されています。
安倍が言う「積極的平和主義」とは、日米同盟の世界安保への具体化であり、戦争国家への実戦的体制構築の具体化です。安倍政権は、年内に戦後初めて策定するとされている「国家安全保障戦略」に「武器輸出三原則の撤廃」を盛り込むことがすでに明らかになっています。戦争国家への道に武器輸出三原則は足かせになるということです。

9月17日、首相官邸で安倍の私的諮問機関・「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保懇)」(座長・柳井俊二元駐米大使)が7カ月ぶりに再開され、集団的自衛権の行使を全面的に容認する報告書が年内に提出される。
集団的自衛権の行使対象を米帝だけではなく、拡大し、対象国を「安全保障上、日本と密接な関係がある国」と定義し、「密接な関係がある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶ時」に集団的自衛権が行使できるとの提言が出る。
具体的には中東からの石油輸送のシーレーン防衛・確保など、集団的自衛権を行使する対象国を世界に拡大する内容である。憲法を無視したすさまじい踏み込みです。安倍政権の明確な動向は、年内の国家安全保障戦略の策定、集団的自衛権来春実施、2015年「国防軍」確立(改憲)をめざしている。だが安倍政権と戦争国家法案への労働者階級の怒りは、職場で、官邸・国会前で爆発している。極右・超反動だが脆弱・最弱の安倍政権を労働者階級と兵士の団結と怒りでなんとしても打倒しよう!

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(写真 秘密保護法に反対し結集し怒りをぶつける労働者【10・29】)

自衛隊と特定秘密保護法

(一)特定秘密保護法の「別表」に掲げる「防衛に関する事項」には次のように明記されています。
イ 自衛隊の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究
ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ 防衛力の整備に関する見積もり若しくは計画又は研究
ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む)の種類又は数量
ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
ト 防衛の用に供する暗号
チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途
要するに、一読で明らかなように自衛隊に関する情報は、100%、文字通り全て、末端の情報までが秘密扱いになり、闇の中に放りこまれるということです。

(二)その上で、現在でもすでに自衛隊に関する「防衛機密」のうち、秘密指定の解除後も国立公文書館に移され保管されている文書が一件もないことが判明しています。いうまでもなく公文書館は、建前上、重要な文書を保存し、、公開する施設です。だが2002年以降、1件も公開されていないのだ。
「防衛秘密」は02年施行の改正自衛隊法で定められた。防衛相が指定する。①自衛隊の運用や計画 ②防衛力整備計画 ③武器や航空機、船の種類・数などで2011年末現在で3万752件ある。
公文書管理法により一般の行政文書は、保存期間が30年未満。終了後か、不要となった時点で公文書館に移すか廃棄する。廃棄には首相の同意が必要となっている。。
だが、「防衛秘密」の扱いは異なる。保存期間は1年未満から30年で延長は可能。期間途中で、「秘密要件なし」と判断すれば秘密指定解除。歴史的に重要と判断されれば公文書館に移管されなければならないが移管された防衛機密扱いの文書は1件もない。保存期間を終了した文書は、廃棄か期間延長するが、それは省幹部の承認で済む。
判明している数字としては、07年からの5年間で計約3万4300件が廃棄され、闇の中である。
防衛省防衛政策局調査課は、「公文書館に移管するかどうかは省の判断に委ねられている」、「保存期間が満了すれば管理者の承認で廃棄することは、自衛隊法施行令や訓令(内規)」で運用しているから問題なし、としている。
要するに08年以降、強化されている日米合同軍事演習や「離島奪還」を名目とする「日米強襲上陸統合訓練」など、報道機関に公開された部分は明らかになっているが「訓練の核心的目的やシナリオ」、「検討過程」、「隊内実態や兵士の状況」などは全て廃棄されているということです。
「防衛秘密」は特定秘密保護法の制定で統合され、国家が「兵士と国民の志気向上に必要と判断」したもの以外は、これまでの部分的公開も含め、全て「秘密指定」になる。兵士の隊内生活や実態も秘密指定となる。

訓練内容やいじめ・自殺も秘密指定となり、家族の提訴も「秘密の漏えい」につながるとして阻まれることになる。これらの暗黒の反動法・反革命法は労働者階級民衆・兵士の団結と怒りの決起で、なんとしても粉砕するしかない代物です。

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(写真 小牧基地ゲート前を制圧して ”イラク派兵を拒否しよう”と自衛官に訴える労働者 【04年1月】)

特定秘密保護法を歓迎する米帝・オバマ

(一)「日米同盟では情報交換が極めて重要だ」(ズムワルト国務副次官補)。
米帝は自衛隊の情報漏えい事件などを挙げ、日帝に「情報共有の前提」として「情報管理と法整備」を2005年以降、突きつけていた。2013年10月3日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)の共同声明では「情報保全の強化」で「両国間の情報共有が質量双方の面でより幅広いものとなり続ける」ことを明記し、特定秘密保護法の早期制定を確認しています。

(二)日米は2007年、「軍事情報包括保護協定」(GSOMIA)を締結。協定は機密情報に米帝レベルと「同等の保護」を日帝に突きつけた。漏えい罰則も懲役10年とした。
「特定秘密保護法案」では、国家公務員法の「懲役1年以下」より格段に重罰規定し、「懲役10年」とした。特定秘密保護法案の内容も米国内法がベースになっている。

(三)米帝の「軍事情報保全の強化と法整備」の突きつけは2000年にさかのぼります。アーミーテージ元国務副長官(共和党)・ナイ元国防次官補(民主党)レポートが日帝に「機密保持の立法」を突きつけています。
「機密保護強化」が「日米防衛協力」とセットというより前提になっているのです。軍事の世界では一般論としても、「機密保護」なき「防衛協力」など成立しないのが常識である。国家の暴力装置である軍隊と戦略、その装備・戦力・作戦などは全て「国民」から「秘密」にするのが国家権力です。なぜなら国家の暴力装置である軍隊の暴力は、兵士の意思とは別個に「侵略戦争と国内治安弾圧」に向けた国家暴力なのです。
2012年のアーミーテージ・ナイレポートでは、「日本の現在の機密保全の法的枠組みは、米国の水準に達していない」と明記し、日帝に日米同盟の深化を言うなら早急に機密保護法を制定せよと踏み込んでいる。それが特定秘密保護法だ。その根底には米帝の没落と破綻している米新軍事戦略への自衛隊員の動員目的があります。

(四)特定秘密保護法に関しては、自衛隊の情報漏えい事件を米帝から叩かれ、一方では2010年、釣魚台(尖閣諸島)周辺での中国漁船と海保の衝突事件の現場映像が流出し、放映されたのを契機にして、民主党政権が「有識者会議」をつくり議論を開始。漁船衝突事件では映像を流出させた海上保安官が停職1年の処分。世論は映像流出をむしろ「良し」とした。
(五)2013年1月のアルジェリア人質事件を契機に、帝国主義として危機感を持った安倍政権が外国政府との情報共有を進めるとして日本版NSC設置と特定秘密保護法制の準備を加速させた。
再度はっきりさせよう。特定秘密保護法の適用は全社会に拡大される。特定秘密保護法が公務員民間労働者を対象に拡大し、全社会的に網をかけ、「適格性調査」として、思想や主義主張で排除することを明記しているところに治安弾圧法としての反革命法であることが鮮明になっている。

国鉄決戦・職場闘争で戦争国家を阻止しよう!

小泉政権下の04年~06年、陸自はイラク南部のサマワに計5500人、空自は04年~08年に計3600人を派兵した。6月、額賀防衛庁長官(当時)が陸自のイラク撤退と「国連物資の空輸開始」を発表。空輸の中身は非公開であったが現地では7月31日から完全武装した米兵のバクダッドへの空輸が空自のC130輸送機で開始され、翌月から米軍は掃討作戦を開始した。08年名古屋高裁は、「米軍などとの武力行使と一体化し、憲法9条違反にあたる」と判断。09年に公表された資料で判明した事実は、輸送人員の7割近くが武装兵士。空自が輸送した米兵は1万7650人に上る。さらにジブチに派遣されいる護衛艦2隻のうち1隻は12月に多国籍軍に編入される。P3C哨戒機の編入も検討中だ。安倍政権による「集団的自衛権の全面的行使」はすでに先取りされている。イラク派兵期間で空自は27名が負傷し、現地での治療もなく、帰還されず放置され、一生残る障害を強制された空曹もいる。怒りに堪えない!防衛省はイラク帰還兵の内、帰還後12年8月までの自殺を25人と公表。04年の派兵当時、4月から7月末までに31人の自衛官が自殺した。秘密保護法でこれらの事実も全てが闇の中に入る。そもそも軍隊とは1%のために存在する国家の暴力装置である。労働者・兵士が団結し、労働運動・労働組合ができる労働者党を強化し、戦争国家阻止!安倍政権打倒へ、非和解の闘いを国鉄決戦で発展させよう!  了

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「たちかぜ」裁判傍聴報告

第14回控訴審口頭弁論の傍聴と、その後の報告集会に参加しました。
傍聴席は40席で、今回は48名の傍聴希望者が集まりました。
今回の裁判は、法定内では、ほぼ証人採用と結審までの期日問題で終始しました。公判後の報告集会での内容を含めて分かったことは、被告=国・自衛隊が証人申請したのは4名。いずれも横須賀地方総監部歴代の法務担当。対して原告側が申請していたのは4名。
一人はS三佐。さらに「山形」という監察官(自衛隊内での調査担当のこと)、さらに「魚住」という自衛隊幹部、それと自殺した一等海士の上司であった「森田」班長。これに対して、裁判所は以下の3人の証人採用を決定した。①S三佐、②横須賀地方総監部・中林、③横須賀地方総監部・金城(1審の時にS三佐と一緒に被告指定代理人とのこと)。裁判官の証人採用は真相究明ではなく、原告・被告のバランスを取っているだけ。だが家族の怒りは非和解である。真実に迫る闘いこれからだ!

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「たちかぜ」裁判・東京高裁

12月11日(水)15時~ S三佐証人尋問予定
12月16日(月) 14時~  中林・金城証人問予定
1月27日(月)11時~ 最終弁論、結審

傍聴に参加しよう!

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