会報 25号

第25号 2013年5月10日発行

 RIse25

階級的労働運動と国際連帯の前進で改憲・戦争の安倍政権を打倒しよう!

賃下げに現場の怒りが爆発

地方公務員の基本給7・8%と一時金10%の削減に現場の怒りが爆発している。それは公務員である自衛官にとっても他人事ではない。「賃下げ絶対反対!」「生活は火の車だ!」4・26全国各地の自治体職場で歴史的なストライキ・職場集会、ビラまき等が闘い取られた。4・28には、安倍政権による「主権回復式典」を糾弾する怒りの沖縄現地集会と結んで、本土においても4・28全国集会を闘い取り、改憲と戦争に突き進む安倍政権打倒の本格的決戦への扉を押し開いた。続く5・1新宿メーデーは、青年労働者を先頭に、外注化・非正規職化に突き進むJR資本に巨大な怒りを叩きつけ、国鉄決戦を基軸とする5月階級決戦に突入した。

自衛官は1%の利益のために命を落としてならない

安倍首相は4月23日、国会答弁で「憲法96条の改正を7月参院選の焦点にする」と宣言し、沖縄へのオスプレイ7月追加配備、辺野古新基地建設、南西諸島への自衛隊配備を押し進める一方で、国の財政収支上の制約を無視し、経済のインフレ的浮揚に一切を賭け、TPP参加を決定した。それは脱落日帝の破滅的な戦争への道だ。朝鮮半島をめぐって戦争の危機が激しく火を噴いている。戦争に駆り立てられ傷つき命を落とすのは青年労働者(自衛官)だ。1%の資本家階級のために侵略戦争で命を落としてはならない!
「アベノミクス」の満展開で株高と円安が進む一方で燃料・原料が高騰し庶民の台所を直撃している。安倍政権はTPP参加によって日本の農業と農民の生活を根底から破壊する方向に舵を切った。施政方針演説では「世界で一番企業が活躍しやすい国を目指す」とする一方で「力の行使による現状変革は何も正当化しない」とうそぶき、「憲法改正に向けた国民的な議論を深めよう」と言い放った!
それは「労働運動を押しつぶし戦争動員してでも1%の(資本家階級の)利益は守る」という国家主義・排外主義の破滅の道だ! 断じて許す訳にはいかない。

階級的労働運動で 6・9国鉄集会へ

「賃金破壊・首切り自由」「原発推進・戦争推進」のファシスト的転換を絶望的・暴力的に押し進める安倍政権・資本家階級に対する労働者階級の怒りが巨大な規模で爆発し始めている。4 ・26ストライキはその始まりにすぎない。階級的労働運動路線のもと、巨万の怒りと結びつき国鉄決戦を基軸に5月階級決戦を断固闘い取り、6・9国鉄集会に突き進もう!

今こそ階級的労働組合を甦らせ、職場生産点を中心に労働者人民の階級的団結の力で大失業と改憲・戦争に突き進む安倍政権を打倒しよう! 国境を越えた労働者民衆の自衛官・兵士を含めた階級的団結こそが戦争を阻止しプロレタリア革命を引き寄せる!団結して共に闘い前進しよう!
(杉橋)

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世界恐慌の進行と戦争前夜情勢をプロレタリア暴力革命に転化しよう

(1)戦争と革命情勢への本格的突入

世界は革命情勢である。改憲と戦争に突き進む極右超反動安倍政権を労働者階級の怒りと強固な団結、階級的労働運動の前進で打倒しよう。
脱落日帝安倍政権は、全労働者階級への階級戦争の激化で改憲と戦争に突き進んでいる。改憲・労組解体・総非正規化攻撃に対し、党と労働組合の一体的建設、党と労働者階級の一体的前進、階級的労働運動と国際連帯闘争を全力で推進する不屈の闘いが労働者階級を階級として力強く形成する力であり、帝国主義ブルジョアジーを根底的に打倒していくプロレタリア革命への大道である。
大恐慌と3・11情勢がもたらす大失業と戦争国家化、改憲攻撃そのものがプロレタリア革命情勢への急速な接近を意味する。言い換えれば恐慌と3・11情勢と3・11以降世界で進行している全情勢そのものが革命情勢であり、革命情勢の成熟である。そして革命情勢をプロレタリア革命に転化する闘いが安倍政権打倒である。プロレタリア世界革命という労働者自身の事業は労働者階級による安倍政権の暴力的打倒という飛躍の試練によって前進する。

深まる脱落日帝の危機

世界大恐慌は、歴史的な大争闘戦時代へ突入し、金融緩和戦争・為替戦争を激化させている。アベノミクス、日銀・黒田の「異次元の金融緩和」は、バブル宣言であり、1%のブルジョアジーを救済するものでしかない。日銀・黒田の超金融緩和策と国債買い取りは、国債の暴落と金利の急高騰として爆発するのは不可避であり、バブル崩壊は必至である。加えて公務員大幅賃下げをテコに全労働者への総非正規化と賃金破壊攻撃の上に、悪性の輸入インフレが全労働者におそいかかる。
G20では、日帝の膨大な財政赤字に対して各国から「信頼に足る中期財政計画」の策定を突きつけられ、「金融緩和策が受け入れられた」という安倍政権のペテンは吹き飛んでいる。そもそも「基礎的財政収支赤字の15年度半減」「20年度黒字化」は2010年6月に財務省の財政運営戦略で明記された「国際公約」である。だがこれはすさまじい「緊縮政策」となり、ギリシャや欧州をこえる財政赤字削減策なしにはあり得ない。それは脱落日帝をさらに争闘戦から突き落とすと同時に、労働者階級への犠牲転嫁の攻撃はさらに極限化し、労働者階級の怒りは爆発し安倍政権打倒へと突き進む道である。
G20で突きつけられている財政赤字削減要求は、10%の消費大増税でも及ばない。安倍政権はさらなる増税、医療・社会保障の解体、そしてなによりも公務員7・8%賃下げ、クビキリ、JR貨物労働者への8%賃下攻撃など、公務員賃下げ攻撃を突破口に全労働者への低賃金化攻撃と総非正規職化を国家暴力の発動で襲いかかっている。
要するに安倍政権は、構造的に突破不可能な脱落日帝の危機突破に向け労働組合の破壊攻撃をテコに、戦後的あり方を根底的に破壊する攻撃に打ってでたということだ。国家主義と排外主義を真っ向から掲げ、7月参院選で改憲と戦争、国防軍化、革命党と労働者階級解体の「公約」で突破せんとはかっているということ。だが安倍政権は必ず破綻する。なぜならこれらの全攻撃が激化すればするほど労働者階級の怒りは大反乱となって爆発し、その反乱は、強力な目的意識性によって階級的労働運動を土台にゼネストと武装蜂起の道を発展させプロレタリア革命に転化する。そして安倍政権の凶暴化と国家暴力の発動は革命への闘いを前進させる促進剤に転化する。

(2)革命党と労働者階級が目指すものはプロレタリア革命

r25_3_12012年度の貿易赤字は過去最大の8・1兆円(財務省)。アベノミクスの円安にもかかわらず、3月の貿易赤字は3624億円。3月ととしては過去最大である。 要するにこの破綻的実体は、輸出産業の凋落と産業の「空洞化」であり米日欧帝国主義が陥っている構造である。3・11福島第一原発事故による原油・天然ガス輸入増による構造的破綻が日帝危機を絶望的に促進させている。
2012年の日帝の液化天然ガス(LNG)輸入総額は約6兆円、原発事故前より2・5兆円の増加だ。これを理由に各電力会社の電気料金の値上げが強行され、怒りが激化している。日帝はLNGを含めた天然ガスの世界最大の輸入国である。しかも世界で最も高いコストで輸入し、欧州の3、4割も高い。安倍は日露首脳会談(4・29)においてエネルギー面での戦略的関係強化を対米争闘戦的に目指したが輸送システム問題で展望は出ていない。これが3・11で破綻している日帝の脱落した現実である。
アベノミクスの「第3の矢」成長戦略の柱が「原発・水・インフラのパッケージ輸出」、「戦略特区」「大胆な規制緩和」攻撃などである。安倍は、産業競争力会議でも「戦略的特区制度」を、「世界一ビジネスのしやすい事業環境を実現するため、国の主体的な関与を高める方向でこれまでと次元の異なる抜本的な強化を検討する」とぶちあげている。

「成長戦略」がプロレタリア革命を引き寄せる

「成長戦略」に求める日帝ブルジョアジーの要求とは、①円高是正、②経済連携の推進(TPPは安保防衛政策と一体)、③法人税減税、消費税大幅増税、④社会保障制度の解体、⑤エネルギー・環境政策の転換、⑥労働規制緩和などである。
大幅規制緩和は国内に膨大な大失業者を生み出すと同時に「解雇自由」「残業代ゼロ」「準正社員制度=解雇自由」攻撃などの法制化として推し進められている。

「成長戦略」の核心は、国家破滅の危機の全てを全労働者階級に極限的に犠牲転嫁し、労働者階級を死に追いやる攻撃だ。労働法制の最後的解体と民営化・外注化への突進、その戦略的攻撃が前記の公務員労働者の賃下げを突破口に全労働者への賃金破壊と総非正規化攻撃だ。だが労働者階級は断じて座して死を待つ存在ではない。 生きていけない現実、職場で殺されていく現実そのものが、全労働者階級のプロレタリア革命への決起として始まる。それがプロレタリアートである。安倍は「成長戦略」の具体化(6月)に向け突進しているが、労働者階級の怒りは4・26ストとして全国的に開始されている。明らかなことは、アベノミクスは必ず破綻するということである。

6・9国鉄全国運動で安倍を打倒しよう

党と労働者階級は何を目指しているのか。ずばり、プロレタリア革命である。問題はそのアベノミクスの破綻に対応できる闘いと組織拡大を党と階級が準備できるか否かである。破綻の爆発をプロレタリア革命に転化できなければ階級足りえず、革命党足りえない。 プロレタリア革命を党の階級の正面課題として目的意識化すればするほど、新自由主義攻撃の核心と正面対峙しなければならない。対峙し、安倍打倒ープロレタリア革命のもとに労働者階級の団結と組織拡大をはかる。ここでの挑戦を飛躍的に前に進める。そのためにも常に時代認識を捉え、党と階級の変革が問われているということを1ミリといえども曖昧にせず、常に前に進む。飛躍と変革なくして革命運動は前進しない。求められているのは世界恐慌と3・11情勢下でアベノミクスの破綻に対応するプロレタリア革命への大胆な飛躍と変革である。6・9国鉄全国運動全国集会への全労働者の総結集を組織し、6・9で安倍政権を打倒しよう。

(3)革命情勢の急速な接近世界情勢は革命前夜情勢

新自由主義は最末期帝国主義の絶望的な延命形態である。その新自由主義の破綻が世界大恐慌と3・11である。米日欧帝国主義の国家的破綻と破滅的な金融緩和政策の突進。没落米帝の財政の崖からの転落は米新軍事戦略の破綻、米軍の世界的展開力の喪失という事態に米帝を叩き込んでいる。EU体制崩壊の危機、最弱の環・日帝の破綻と脱落の深化、そして世界大恐慌の進行は大失業と戦争へと突き進んでいる。朝鮮情勢もシリア情勢もその現れである。
世界で進行している事態は革命情勢の急速な接近である。繰り返すが、それは同時に党と労働者階級に目もくらむような飛躍と変革が突きつけられているということである。これに背を向ければ敗北する。目もくらむような困難な闘いへの挑戦、目もくらむような飛躍と変革、この実践と行動のなかに世界を転覆するプロレタリア革命への力が宿っている。 資本との非和解的戦場は職場生産点である。階級的労働運動の実践と総括によって職場闘争が前進するように、飛躍は主体の決断に拠って、変革は主体の目的意識的総括によって前進する。その根底にあるのが時代認識と路線の不断の一致だ。

国家破滅の危機

日帝は世界最大の財政破綻国家であり、恐慌と3・11情勢下で争闘戦から脱落した世界最弱の帝国主義国家である。世界最大の財政破綻と最弱の帝国主義国家であるが故に安倍政権には余裕がない。だから超反動化し、凶暴化し、改憲と戦争国家化へ突進する。総非正規化攻撃とは改憲と戦争に向けた全労働者の存在否定(憲法停止)である。総非正規化攻撃とは全労働者の人間否定であり、人間労働を根底的に破壊する攻撃である。 それは帝国主義ブルジョアジーが拠ってたつ基盤そのものを自ら破壊する道である。国家破滅の危機にある新自由主義の全労働者階級への攻撃はすでにそこにまで行き着いている。
労働者階級はなによって労働者性、人間性を取り戻すことが出来るのか。 また革命情勢下で革命党と労働者階級は何をするのか。それは唯一、反スターリン主義・革命的共産主義運動を基礎とするプロレタリア革命である。プロレタリア世界革命に拠ってしか労働者階級は価値創造的な労働と人間性の奪還、労働者自己解放を実現することはできない。

ストライキ・ゼネストでプロレタリア暴力革命へ

世界中の帝国主義国家が、すでに国家的破滅という現実の中にたたき込まれている。リーマンショック以降、過剰資本・過剰生産力状態のまま膨大な金融緩和を推し進め、新自由主義の破綻を弥縫してきた。米欧日帝国主義が国家破滅の財政危機に陥るのは至極、当然だ。国家破滅の危機は階級戦争を非和解的に激化させ、階級的労働運動の前進が全産別、全職場でのストライキ、ゼネストへと発展する。それが職場生産点を拠点とする一斉武装蜂起とプロレタリア革命への突破口となる。
一方、帝国主義・新自由主義の破滅の危機は、必ず、体制内派勢力との非和解的激突を今まで以上に激化させる。なぜならきょう・あすの利益しか追求できなくなっている新自由主義ブルジョアジーは労組破壊の徹底化、それに屈服した連合・全労連・全労協幹部がますます全労働者階級への反動的・反革命的敵対物として純化する道を選択するからである。だが職場生産点・現場で資本と一体化した体制内派との非和解的激突が、闘う労働組合を甦らせ、革命党と労r25_4_2働者階級の強固な団結を生み出し、党と労働組合、党と階級の一体的建設と職場細胞組織建設を推し進める力となり、プロレタリア革命運動を推進する力となり、4大産別を先頭に全産別・全職場の労働者を一つの巨大な革命勢力、革命的軍勢・革命軍へと意識的に成長・発展させる道となる。プロレタリア革命の軍勢はストライキ・ゼネストによって生み出され成長する。労働者階級はこの全課程で帝国主義の国家暴力装置・軍隊と警察権力との暴力的激突をとおして武装強化し、軍隊解体・兵士獲得の道を前進する。
(写真  戦車に乗りアピールする安倍  4月27日)

(4)革命への実践的道筋

革命情勢下の行動原理

「革命党の綱領」を生きた現実の指針にまで高める。革命党の綱領は、労働者階級自己解放の闘いの全面的な貫徹とその完全な勝利を実現する実践的指針である。その実践的指針を職場生産点における生きた現実の実践方針として柔軟に適用し、労働者階級の階級形成とその全社会化を闘いとる。これがマルクス主義の戦争と革命情勢下の行動原理である。

党と階級の決断

革命情勢下における党と階級の決断が「5・1新宿メーデー」の勝利として結実した。闘いを放棄した連合・全労連・全労協に伍して、ついに革命派が決断し、単独で労働者階級の前に闘う勢力として独自の隊伍を組んで登場した。その決断の根底にあるのが「時代認識と路線」であり、「大恐慌と3・11情勢下」、反原発、反合・運転保安闘争・被曝労働拒否の闘いとその闘いの前進の中で実践方針が確立した。青年労働者の闘いの前進が党と階級に退路を断つ決断を引き出した。

プロレタリア革命の道筋

(1) プロレタリア革命への道筋は、労働組合、階級的労働運動を通してしか不可能である。そして階級的労働運動と戦闘的大衆闘争、戦闘的学生運動を結合させ、さらに階級的労働運動と兵士の結合、新自由主義攻撃とその破綻からうみだされてくる全社会的な闘い全てを階級的労働運動と結合させる。
(2)マルクス主義と国際主義の思想で武装し、イデオロギー闘争に勝利することで一体化と団結を強化する。革命党は、全ての闘いをプロレタリア革命に向けた準備として目的意識的に強力に推し進める。したがって革命党と階級の実践・方針・行動、機関紙・誌、パンフ・ビラなど路線と宣伝・扇動の全てはプロレタリア革命に向けたものとしてある。
(3)党と労働組合の一体的前進、党と労働組合の一体的建設の闘いをとことん前に進める。
そのために、①党と労働組合は階級の指導部建設、特に青年指導部建設の実践で一致していく。
②革命党と全党員はプロレタリア革命に向け、全労働者・全階級の課題を自分のものにする。
③労働者党員は職場権力の奪取に向け階級的労働運動を全職場で実践する。地区党は一体化して前進する。
そのためには全労働者党員は、①    自らの職場の課題だけではなく、全労働者階級全体の課題を見据え、主体化する。産別主義は強固で強力な党建設と階級の団結を阻害し、プロレタリア革命は実現できない。階級全体・全産別の課題を見据え主体化し、一体的に闘争化する。敢えてい言えば、産別主義は党と階級の一体的建設とプロレタリア革命に向けた階級的労働運動の前進を阻害する敵対物に転化する。
②地区党は、全労働者・全階級の課題を自らの課題として主体化する。そこに一人ひとりの飛躍と変革の道がある。地区党は最良の労働者の結集体であり、最良の労働者が結集する。それが地区党である。
③常に、党組織と全党員はマルクス主義・国際主義で武装し、イデオロギー闘争で全労働者階級を思想的に獲得する。
(3)革命党の組織三原則と機関紙活動は、全組織・全党員一人ひとりの正面課題である。これを曖昧のする組織は弱体化し、いずれ崩壊する。
①これら一つひとつの課題は片手間ではできない。真剣な主体的取り組みによってのみ前進する、党・組織の死活のかかった正面課題である。
②非合法・非公然配布網の建設。これは一斉武装蜂起への指令系統・指令網の組織建設である。上記、全ての着実で、堅実な実践と前進がプロレタリア革命への実践的道筋である。

階級戦争は非和解

戦争とはいずれかが白旗をかかげない限り、「敵を殲滅・解体」するまで終わらない戦いである。帝国主義戦争には「講和条約」が成立するが、階級間戦争に「講和」はない。したがつて古今東西、階級闘争の歴史は、支配階級と被支配階級の非和解的激突を永続的に繰り返してきた。同時に階級戦争の歴史はプロレタリア革命勢力と帝国主義支配階級に屈服した体制内党派、民間反革命勢力らとの暴力的激突を非和解的に展開し、それに勝利することによって前進してきた。敵の意思を上回る強力な非妥協性・徹底性を培かおう!

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3・11から2年

全国 世界に発せられた福島の怒りと思い

福島から  長沢 宏

あの3・11からもう2年。しかし危険な状態が依然続く第一原発の状況、過酷な避難生活と厳しい被曝の現実。事故責任をないがしろにし、県民を踏みにじる政府や東電。こうした中で今年の3・11をどう迎えるか?これは私たち福島県民はもとより全国の労働者人民にとっても極めて重要な選択を迫るものでした。
そしてまた昨年の3・11集会の大成功と反原発闘争への発展に対し、これをなんとか圧殺したい政府や東電などの財界‐資本家たちは、巻き返しのために総力をあげて様々な攻撃を行ってきました。福島では、県や市町村など行政機関、マスコミ、商工会、観光協会やJAなど県内の様々な団体をフル動員し、膨大な金を投入し、一大「復興キャンペーン」を繰り広げ、いわば「原発事故は忘れ、これからは復興が何より大事、3・11に反原発行動などとんでもない」、というような状況を作り出そうとしました。しかし県内の心ある人々は、こうした動きに対し、「3・11は、8・6ヒロシマ‐8・9ナガサキと同じく、決して忘れてはならない日だ。平日だとしても反原発の集会をやらないのはおかしい」、と実行委員会を結成し、全国に「3・11反原発福島行動13」の参加・賛同を呼びかけました。

妨害はね返し、大成功した3・11福島反原発行動

この呼びかけに対し、3・11当日の反原発闘争を期待していた全国各地の人々をはじめ海外からも参加と賛同と激励のメッセージが続々と寄せられました。しかし、一方でこの集会を成功させたくない人々による様々な妨害も3・11直前まで激しく行われましたが、当日はこうした妨害をものの見事にはね返し、参加者は会場通路まで人が溢れる1350人もの大結集となりました。
集会ではちょっぴり涙のプレイベント、コンサートを経て、感動的な発言が相次ぎ、最後に集会宣言「…今日私たちは、〈3・11〉を、反原発メモリアルデーとして8・6広島、8・9長崎に続く、核兵器、原発、すべての核廃絶を誓う日、そして〈3・11〉を忘れない日にすることを、市民、農民、漁民、労働者とともに、ここに宣言いたします」を発しました。そして参加者全員が、この宣言を胸に刻んで駅前までのデモにうって出ました。
今年の3・11は、激しい妨害をはね返してかちとられ、昨年以上の素晴らしい集会内容・デモとして大成功しました。

今なお続く原発事故。福島を繰り返すな!

2年目を迎えた福島は、県民の怒り・苦しみを圧殺し、あの原発事故と今なお続く深刻な被曝、被害の状況を隠蔽し、「復興」を掲げながら原発再稼働と核武装政策を再び推進しようとする政府・東電などとの激しい攻防の渦中にあります。
福島第一原発では、3月には冷却機能が配電盤のショートで長時間停止し、しかも通報、マスコミ発表が大幅に遅れる許しがたい事態になりました。また高濃度放射能汚染水の大量流出も相次いでおり、膨大な量の汚染水が地下(水)に流れ込んでいます。汚染水処理に困り、海への垂れ流しを画策する東京電力と国はこれに対してもまったく無責任、ズサンきわまる対応に終始しています。しかもこの対応作業中、労働者に線量計を装備させないなど被曝労働を強制していたことが先頃、明らかとなりました。
4月には、宮城県沖、淡路島、三宅島など大きな地震がいくつか続き、日本列島はまちがいなく地震の活動期に完全に入っています。政府・安倍政権の原発再稼働などとんでもないことです。一刻も早い全原発の廃止こそ求められています。「福島を繰り返すな」、これは私たちの切なる願いです。

ふくしま共同診療所開院闘いが始まった!

また県民の被曝をめぐっては、甲状腺ガンの子供が3名、ガンの疑いありの子供が7名出たというショッキングな結果が明らかにされました。本当はまだ隠していることがあるのではと多くの県民は疑っていますが、それでも県とあの山下などの御用学者たちは「原発の影響は考えられない」と隠蔽に必死です。絶対に許せません。
現在、昨年12月に開院したふくしま共同診療所には、甲状腺エコー検査を申し込む親子が大勢駆けつけています。山下‐県立医大そしてあのIAEAも加わった被曝治療の圧殺体制の中で、全国の人々の支援で設立された共同診療所は、県民を守るまさに「希望の星」になっています。

産・官・学・軍‐総力あげた「復興キャンペーン」との闘い

中間貯蔵施設をめぐって、これまで双葉・大熊地域で反対を唱えていた双葉町の井戸川町長を引きずり下ろし、推進派を町長にすえるや一転して建設にむけた調査受け入れに踏み切らせています。またこの間、避難区域見直しをさかんに進めていますが、これは「帰還‐復興」とともにもう一方では賠償打ち切りにむけた動きでもあります。原発建設でぼろ儲けした大手ゼネコンがこんどは県内の「除染ビジネス」にむらがっていますが、あのデタラメな除染はこれらの攻撃と一体のものとして押し進められているのです。
政府、財界、マスコミ、県内諸団体が総力をあげて「復興キャンペーン」に乗り出しています。昨年から子供たちを動員した「キッズパレード」や「鼓笛パレード」、「餃子サミット」などの各種イベントをおこない、今年は大河ドラマ「八重の桜」から「花見山」の観光キャンペーン、そして今は6月の「東北六魂祭」(青森ねぶたなど東北6県の祭りを集めたもの)の福島市での開催に全力をあげています。これになんとあの航空自衛隊「ブルー・インパルス」も参加することが決まり、まさに産・官・学に「軍」も加えて総力の「復興キャンペーン」を展開しています。また今年の3・11に陸自第6師団がすべての駐屯地で「初動対処訓練」と称する軍事訓練を一斉にやっていることを忘れてはなりません。
今なお15万人以上の人々が避難をよぎなくされ、子供たちをはじめ多くの県民が被曝の不安に苦しめられています。仮設住宅や県内各地で生活苦と明日への絶望から自殺や孤独死が相次いでいるのが今の福島の現状です。原発事故と賠償の責任をとりもせず、「復興」を唱えるこうした輩を絶対に許すわけにはいきません。「オール福島」の言葉にからめとられる脱原発の人々もたしかに出ました。妨害もありました。しかし、私たちはそれを打ち破り、勝利し、そして新たな闘いのスタートを切ったのです。
首切り、外注化、賃下げ攻撃に対し、動労千葉をはじめ全国の労働者がストライキなどで反撃に立っています。TPP参加‐農業破壊、三里塚の市東さんの農地強奪攻撃にたいし、全国農民会議を先頭に農民も立ち上がっています。戦争・改憲攻撃を進める安倍政権に沖縄をはじめ全国で人民の怒りが爆発しています。

フクシマは闘う‐その過去・現在・未来

福島は、県内各地が戦場となったあの戊辰戦争を別とすれば明治の近代以降はこれまで2回、日本階級闘争の決戦場になった歴史があります。 その一つは明治の自由民権運動であり、当時、福島は高知とならぶ自由民権運動の大拠点であり、三島県令の凶暴な弾圧に激しく抵抗して多くの県民が逮捕・投獄され、爆裂弾で有名な加波山事件では県出身者数名が死刑にもなっています。もう一つは敗戦後、日本労働運動の数ある拠点として電産猪苗代の闘いがあり、そして何より国労福島と東芝松川の労働運動の存在、松川事件と松川裁判闘争があります。今回はそうした歴史からいえば3回目ということになりますが、この歴史的意味をかみしめ、世界でも日本でも労働者人民の総反乱がはじまっている時代の中で、全国の人々と共に戦争を阻止し、すべての原発をなくすためさらに闘っていきたいと思います。

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護衛艦「たちかぜ」裁判を傍聴して

埼玉・山中

3月25日東京高裁第23部民事部(鈴木健太裁判長)で「たちかぜ」裁判の控訴審の第10回口頭弁論が行われました。
「たちかぜ」裁判とは、護衛艦「たちかぜ」艦内での上官(2等海曹)のいじめが原因で青年自衛官(1等海士)が自殺に追い込まれた問題をめぐる裁判です。この「いじめが原因」について05年1月防衛省・海自事故調査委員会は自殺直後のアンケート調査をもとに「いじめと自殺の因果関係は不明」とする報告書を発表しましたが、同年、家族の情報開示請求に対し、防衛省・海自はこの「アンケート」を「破棄した」と回答してきました。

家族の怒りの提訴

いじめの事実を隠蔽する防衛省・海自に対し怒った両親は、06年4月5日、国と元上職を相手に慰謝料など1億3000万円を請求する提訴を横浜地裁に起こしました。この件について11年1月26日横浜地裁は、「いじめは艦内では日常茶飯事、常習的で、本件は氷山の一角」、自殺は元2等海曹の「いじめが原因」と国の監督責任を認めたが、「自殺は予見できなかった」と判断し、被告・国に440万円の支払いを命じる判決を言い渡しました。

3等海佐の決起で控訴審が一挙に加熱

しかし、家族は即日控訴しました。自殺に追い込んだ国と自衛隊の責任究明を求めた控訴審は11年10月5日に開始されました。一審では防衛省・海自の組織的隠蔽工作の中で事実を争うという不利な審理の中で前記のような一審判決が出されたのですが、この控訴審段階での原告家族・弁護団、傍聴人の闘い、さらには国鉄・反原発闘争の爆発の中で、被告側、元指定代理人である3等海佐が国、自衛隊の証拠隠しの事実を告発する正義の決起で控訴審は一挙に過熱してきたのです。この3等海佐の陳述書の提出によって追いつめられた被告国・自衛隊はようやく12年9月12日の第7回控訴審裁判で195点の証拠文書を開示してきたのです。
今回の第10回口頭弁論はその195点の証拠書類をめぐって「いじめと自殺の因果関係」、「自殺の予見可能性」を立証する核心部分に迫るやりとりだったわけですが、国・防衛省は核心に迫る書類の肝心なところを墨塗りにしさらにひた隠ししようとしています。原告・弁護団は事実関係を正確に把握するために墨塗り解除と一審では採用されなかったすべての証人の尋問をやり直すことを求めて闘っています。

国家犯罪を隠蔽する国・防衛省を徹底 断罪しょう

今回私は「たちかぜ」裁判をはじめて傍聴したのですが、一定の書類を読みこんでいった私が“おかしい”と感じた点がひとつあります。それは岡田弁護士(弁護団長)が「今後の審理においては自殺の予見可能性を立証することを目的に書証を3点に絞りたい」と弁論したことです。
3佐の決起によってようやく引きずり出された195点の証拠を全部精査して国・防衛省・海自の責任を追及し、さらに護衛艦内では訓練と称するいかなる「いじめ」が横行していたのか、その中で自衛官がいかに悩み苦しんでいるのか、海自幹部がこれを黙認し、事件が起これば組織的・計画的・系統的に徹底的に隠蔽する。まるで経産省・東電と全く同様のこのような国家犯罪を徹底的に暴ききり、責任者である国家・防衛省、現場責任者といじめの張本人を処罰することこそ求められいると思うのに何故? 私は感じたのです。
03年は米帝のイラク・アフガン戦争の真っ只中で、04年には陸自がイラク・サマワに派遣され、空自がクウェートに後方支援と称して派兵され、そうした中でこの護衛艦たちかぜ事件が起きたということです。この戦争に敗北した米帝オバマは財政危機と米軍の解体的危機の中でアジア重視の対中国対決路線の新軍事戦略・「エア・シーバトル」を打ち出しました。日帝安倍政権はますますこの米帝と一体化して戦争と改憲の道に突進しています。「尖閣列島」をめぐって一触即発の今だからこそ、兵士と労働者は団結し職場から決起し、安倍打倒、反戦、反軍闘争、海自をめぐる「たちかぜ裁判」闘争に勝利することが求められています。支援し、共に闘おう。