会報 特別号2012/4/1

特別号 2012年4月1日発行

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世界恐慌と3・11情勢下
プロレタリア革命への
反軍闘争

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目次

第一章 新自由主義における侵略戦争

(1)戦争の民営化・外注化

①民営化は資本の最大限利潤の追及
②大幅ピンハネと使い捨ての派遣兵士
③戦争の形態変化
④サイバー戦争の激化

(2)米帝の敗退とPTSD

①62万人の米兵がPTSDと脳に障害
②戦死を上回る兵士の自殺

第二章 米帝の新軍事戦略

(1)統合エア・シーバトル構想

①新軍事戦略の戦略構想―自由な作戦エリアの確保
②西太平洋海域の軍事拠点の強化
③沖縄海兵隊のグアム移転の軍事・政治目的

(2)TPP、沖縄・本土米軍基地化と一体の新軍事戦略

①「今後10年はアジア・大平洋にシフトする」
②沖縄米軍再編強化と本土基地化の攻撃

第三章 脱落日帝 「国家滅亡」の崩壊的

(1)求めれてるのはプロレタリア革命とその実現

①全人民に「死」を強制する日帝ブルジョアジー
②日帝の脱落を確定させた米帝の「トモダチ作戦」

(2)自衛隊兵士の高線量被曝とPTSD

①述べ112万人以上が原発作業で被曝
②松島基地・空自兵士の14%がPTSDを発症

(3) 帝国主義軍隊の階級的犯罪性

①帝国主義軍隊は民衆を守らない
②隊内におけるテロ・リンチ、暴行事件

第四章 革命党として、、反軍として、われわれはどう闘うのか

(1) 国鉄闘争・反原発・非正規職撤廃、階級的労働運動路線で徹底的に勝負する

(2) 兵士をマルクス主義・党綱領・プロレタリア革命で獲得する

(3) 日米安保強化粉砕・改憲阻止!

(4) 改憲攻撃を全力で粉砕しよう!

(5) 革命党と労働者階級はどう闘い、どう勝利するのか

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新自由主義における侵略戦争

 

戦争の民営化・外注化

 

民営化は資本の最大限利潤の追及

(1)国鉄分割・民営化にはじまり、郵政民営化、公立保育所・幼稚園の民営化、教育、医療、福祉、社会保険庁の「廃止・解体=民営化」、新自由主義における民営化は、「戦争(軍事)の民営化」にまで進行している。イラク・アフガン戦争は大企業の最大限利潤の獲得として「戦争の民営化・外注化」として行き着いている。従来の軍需産業は侵略戦争によって膨大な利益を上げてきたが、民間軍事会社(PMC)は戦場に直接、戦力(武器と兵士・失業労働者)を送り込み帝国主義軍隊の代行として第一線の侵略戦争の遂行主体会社として拡大している。
米ブルッキングズ研究所国家安全保障問題研究所は、民間軍事会社(プライベート・ミリタリー・カンパニー、PMC)を三つの形態に分類している。 第一は、「軍事役務提供企業」で、実際に武装した戦闘部隊を派遣して戦闘行為を請け負う。
第二は、「軍事コンサルタント企業」で顧客の要請に応じて軍事訓練や軍事的助言を与える。
第三は、「軍事支援企業」は兵士の食事、弾薬や食料の補給、兵器のメンテナンス、兵舎の構築や管理などを請け負う。
米国防省の報告書には「民間警備員は必要に応じて契約や解雇ができ、同じ能力・規模の戦闘員を確保するのに正規軍より速やかな配備が可能。予算も節約できる」と記している。しかも民間軍事会社は米軍と同じように武装しているが、武器の範囲や使用規則など、状況に応じて定めた米軍の「交戦規定」には縛られない。
09年12月、米国議会調査局(CRS)が初めて国防省が公開したデータをもとにイラク・アフガンで活動するPMC(民間軍事、警備会社)に関するデータを発表した。09年9月時点でイラク・アフガンで国防総省と正式に契約を結んでいる派遣兵(戦争請負人)の総数は、24万2230名(当時の駐留米軍は約20万人)。内訳、イラク・11万3731名(駐留米軍は約13万人)。アフガン・10万4101名(駐留米軍は6万3950人)。PMCの派遣兵は正規兵とはカウントされない。公表されている駐留米軍以上の民間の軍事力がイラク・アフガンに「派兵」されていることになる。しかも2万5000ドル以下の契約、勤務期間が30日以下の派遣兵の登録は義務づけていないため低賃金で働く外国人・現地人の派遣兵は、全て、除外されている。
国防総省は、派遣兵の死傷者数やPTSDに関するデータは一切、公開していない。
◇ 米国内のPMCは60社を超えている。仕事は、米軍人・外交官や基地の防衛、イラク・アフガン軍や警察当局の軍事教練。ブラックウォーターUSA(株式非公開)は、年間4万人の「社員」を訓練。米政府から入札なしで10億ドル以上を受注。ハリケーン・カトリーナ後は米国土安全保障省とも契約を結んでいる。
◇ イラクではブラックウォーターの警備員が米外交官の車列を警備中、周囲に一方的に発砲し、市民17名が死亡する銃撃事件を引き起こしている(07年9月)。無関係のイラク人を何人殺害しても訴追を受けないという法的地位も問題になった。
◇ ブッシュ政権下、CIAがアルカイダ幹部の暗殺を外注。パネッタが議会に報告。
しかし米政府全体での「戦争の外注化」がどの程度行なわれ、現在、何人くらいの民間人が戦争に従事しているかの正確な数値の統計は取られていない。
唯一、米国議会図書館の専門機関である「政府説明責任局(GAO)」がまとめた08年10月の報告書の内容によれば、PMCの三大発注先は、①米国防総省(DOD)、②米国務省(DOS)、③米国際開発庁(USAID)であるが各省庁が独自に契約し、いずれも請負会社任せで戦闘兵の把握システムが構築されていない(正確な情報は不明)。

大幅ピンハネと使い捨ての派遣兵士

(2)「戦争の外注化」で民間軍事会社に投じられる国家予算(米議会予算局・CBO)を見てみよう。
①03~07年に米国防総省が支払った費用は、およそ760億ドル(約6兆8400億円、1ドル・90円換算)。
②07年~08年上半期までは、イラクに50億ドル(約2兆2500億円)、アフガン約50億ドル(約4500億円)、と急増している。イラク・アフガンで米軍の敗勢に比例して、PMCが急増している。
「戦争の民営化」は、「9・11以降、米軍の負担が激増して、人員・費用ともたえられなくなったため」とされているが、ペトレアス元司令官(陸軍大将)の年収は18万ドル(1900万円)、アメリカ系PMC社員に支払われる金額は1年契約で36万5000ドルとされている。また米政府がブラックウォーター社員に支払う1日の日当はおよそ1220ドル。この内、派遣兵が受け取るのは500~700ドル(08年当時)である。原発労働者に対するピンハネとまったく同じ構造だ。命を的にして最前線で「戦闘」している労働者や、生きるために被曝覚悟で原発作業を行っている労働者からピンハネし、大企業とその系列下にある会社がぼろ儲けする新自由主義そのものの在り方が民間軍事会社にも貫かれている構造になっている。巨額の米国家予算が民間軍事会社に流れており、決してイラク・アフガン戦争は「安上がりな戦争」にはなっていない。「戦争の民営化」によって民間軍事会社が儲けそこの派遣労働者は安い金額で使い捨てられているという構図が見えてくる。

戦争の形態変化

(3)新自由主義における戦争の変化として戦略的・戦術的無人爆撃機による無差別大量空爆と無人ステルス機によるスパイ偵察がある。さらに弾道弾に代わる非核攻撃ミサイル(CSM)がある。これは極超音速巡航ミサイルで地球半周を45分で飛翔する。
アフガン・パキスタンでは無人機偵察とステルス・ヘリコプターによる暗殺攻撃が激化し、最前線ではスマートフォンが兵士自身によって先行的に導入されている。暗殺したビンラデンの本人確認も暗殺現場での指紋や瞳孔など現場で採取したデータとネットで取り寄せたデータ(指紋と顔・瞳孔など)で照合し一致を確認していることが明らかにされている。
米陸軍はこの事を追認するかたちで11年2月より「ipad」と「アンドロイド」OS搭載型スマートフォンを統合型戦闘指揮計画(JBC・P)用端末として導入するため、旅団規模での実地検証を開始している。4月、陸軍は当面「アンドロイド」搭載型スマートフォンを使用すると発表した。
(写真 空母艦載機型無人ステルス爆撃機 「X―47B」)

サイバー戦争の激化

(4)さらに戦争の変化としてサイバー戦争の激化がある。サイバー戦争の軍事目的は、敵国司令部・中枢機能を停止させ作戦遂行能力を無力化することである。
3月11日、米国議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は「中国のコンピューター網作戦とサイバー・スパイ活動」という報告書を発表した。同報告書は、中国軍がサイバー攻撃を対米軍事戦略の中枢に位置付け、実際に攻撃能力を画期的に増強している詳細な内容を報告している。報告書は、中国人民解放軍が米帝を主目標とし、対米戦争でも戦闘開始前と初期に米軍の「指揮・統制・通信・コンピューター(C4I)」機能にサイバー攻撃を仕掛けることを不可欠と見なすと至った、と述べている。

(5)米帝のイラク・アフガン戦争の敗北と撤退、米兵以上の民間軍事力―派遣兵の投入、膨大な民間労働者の派遣と負傷、世界恐慌とイラク・アフガン戦争による巨大な赤字国家財政の危機、これらすべての現実が示していることは米軍の崩壊であり、米帝の没落である。

米帝の敗退とPTSD

米帝はイラク・中東からの敗退を強制される中でエジプト革命の波は米国内にまで波及し、ILWUの港湾労働者のストによる戦争物資の輸送を阻止し、オキュパイ運動の拡大など米国内階級闘争は爆発している。一方では兵士の反戦決起、兵士の自殺、PTSDが拡大している。

62万人の米兵がPTSDと脳に障害

英・医学誌「インジュリー・プリベンションン」(12年3月7日)掲載の米軍医療組織のリポートから見る。
① 米陸軍兵士の自殺が04年以降、増加し、08年の自殺者は140人になっている。04年から80%も増加している。陸軍兵士の自殺者数は、97年から03年には減少傾向にあったが04年を境に増加に転じている。
② 自殺した兵士の大半は男性で、年齢は若く、軍での階級は低い兵士たちである。08年には現役兵士の自殺率が同様の年齢・性別の民間人を上回っている。03年に始まったイラク戦争が自殺者を増加させている。
③ 自殺率の上昇に伴い、心理カウンセリングや治療を受ける兵士も増加している。08年のデータでは、5分の1以上の現役兵が精神面の問題で診察を受けている。08年には自殺した陸軍兵士の3分の1は出征経験のない若い兵士たちである。
米陸軍公衆衛生統括本部は自殺の増加について、「米陸軍の記録上、過去30年間で類を見ない」と指摘しているほどである。
④ 01年以降にイラク・アフガンに配属された米兵160万人を調査したランド研究所の報告書では、イラク・アフガン帰還米兵のうち30万人(米当局の推定は12万人)が、激しいPTSDによるうつ病と機能障害を患い、その他32万人が脳に障害を負っていることが判明している。PTSDによるストレスと重いうつ病を患う割合は、女性と予備役兵に高い。
このランド研究所の報告書は、国防省と帰還兵訴訟の記録なども活用し、数値を出している。08年1月に完了した報告書。

戦死を上回る兵士の自殺

(2)米陸軍が12年1月18日、10年に続き「米軍兵士や退役者」を対象にした二度目の報告書を作成している。
①報告書の序文で、米陸軍参謀本部副議長は「兵士の多くは、多くの戦闘に起因する怪我、病気で苦しんでいる」ことを認めている。
②「報告書」は 陸軍兵士の自殺の急増を示している。10万人あたりの自殺率が、03年は11・5、09年は21・9へと倍増し、08年以降、民間人の自殺率を上回っている事実を示している。10年は退役兵の自殺が6500人を超えている。同年、陸・海・空・海兵隊の戦死者が462人で自殺者が468人で、自殺者が戦死者を上回っている。自殺者は06年に100人を突破し、09年には、一気に162人に達している。
③ 凶悪な性犯罪も倍化している事実が示されている。06年から11年にかけて陸軍兵士が加害者となった凶悪性犯罪は665件から1313件と倍化している。
④ 07年と09年の調査で、イラク・アフガン退役兵のPTSD発症率は、ベトナム退役兵の1・9~3・1倍となっている。
⑤ 薬物使用(発覚)は、06年~11年にかけて、毎年7千~8千件で、この間の合計で5万件を超えている。同期間の薬物所有や販売を加えると、年間、1万1千~1万2千件に上る。
◇11年12月15日、オバマのイラク終結宣言時、帰還米兵の6割が失業中である。

軍隊内における自殺者の比率は海・空軍に比べ、陸軍と海兵隊が高い。原因は「戦闘に関連したストレス」である。不正義の戦争が長期化すればするほど兵士・人間に与える破壊性と自殺が拡大していく事実を明確に示している。これらは同時に根底的には米軍、とりわけ米陸軍と海兵隊が帝国主義軍隊としては崩壊的な危機の中に叩き込まれている現実を示している。
不正義で反階級的、反労働者的戦争から兵士を解放する唯一の道は、労働者階級との団結と兵士のプロレタリア革命運動への合流であり、それへの呼びかけである。
(写真 2012年3・25三里塚現地闘)

米帝の新軍事戦略

 

統合エア・シーバトル構想

没落帝国主義からの巻き返し、それが対中対決路線と新軍事戦略「統合エア・シーバトル構想」である。米帝は10年2月、QDRで新戦略構想を正式に認めている。
米帝オバマの「二正面戦略」からの転換としてある「統合エア・シーバトル戦略構想」とは、①国家独占資本主義政策の破綻、②そこから生み出されてきた新自由主義とその破綻がもたらした世界恐慌と米帝の経済危機と国家財政の危機、③そして情報型「軍事革命」、「IT革命」がもたらした帝国主義侵略戦争の「形態変化」が生み出した帝国主義軍隊の崩壊的危機という現実から引きずり出されてきたのが「統合エア・シーバトル構想」なる新軍事戦略である。
したがってまずわれわれが米帝の新軍事戦略を見据える場合、第一に新自由主義の破綻のうえに打ち立てられた軍事戦略であり、本質的に根底的に脆弱な土台の上にある極めて脆弱な軍事戦略であるということ、第二に、脆弱であるがゆえに絶望的な凶暴性をもった軍事戦略であることを確認しておく必要がある。破綻性と凶暴性は戦略的・戦術的無人機による無差別大量爆撃、通常型弾頭搭載型打撃ミサイル(CSM)、攻撃型サイバー戦争の拡大(全社会的混乱をも不可避に引出す)が明確に示している。
要するに米帝の新軍事戦略の展開が激化・強化すればするほど世界中の労働者階級人民の生命と生活がますます破壊されていくということである。そして新軍事戦略とその発動と激化が進めば進むほど、全世界の労働者民衆の怒りをひきだし、プロレタリア革命への道を帝国主義ブルジョアジーみずからがおし拡げていく結果を引き出すということである。

新軍事戦略の戦略構想―自由な作戦エリアの確保

(1)世界恐慌下、米中にとって西太平洋地域が資源・市場争奪戦の中心をなすエリアとなってる。米帝歴代政権は、過去60年以上、政治・経済・安全保障面で西太平洋海域が重要な国家利益を有するとしてプレゼンスを維持・強化してきた。中国スターリン主義の国家的利益もこのエリアに集中している。
新軍事戦略構想は、中国の接近拒否戦略を打破し、第一列島線内へ封じ込め、米帝の自由な作戦エリアを確保し続けるという軍事戦略である。
戦略構想は、第一に、 中国の衛星及び作戦ネットワークの情報システムを撹乱し、攻撃し、中国軍の中枢・指揮コントロールシステムや攻撃能力を崩壊・無力化ないしは弱めることにより、米軍の空海軍に制空権、制海権を奪取し主導権を握る。
第二に、空母機動部隊の機動性を組み合わせ、中国の防空の弱点に切り込み、中国内陸のミサイル基地などの軍事戦略の中心に対して全縦深打撃を実施する。
第三に、中国海軍の潜水艦を攻撃し、各種の潜水艦探知システムや水中無人機を運用して中国の潜水艦活動に関する情報を探り、その情報を空海軍の空中対潜部隊に伝達し、中国の潜水艦を攻撃し、撃滅する。

西太平洋海域の軍事拠点の強化

(2)そのために具体的には、第一に、西太平洋海域の軍事拠点整備の更なる強化である。09年、米帝は巨費を投じてグアムの空軍基地の拡張、及び、海軍施設の整備を行い、米軍の主要な最前方作戦基地とした。
第二に、グアムの空海軍の常駐兵力の増強である。米海軍はグアムに一個空母打撃群の配置を計画し、既に攻撃型原子力潜水艦を15隻にまで増やした。 米空軍は爆撃機6機、F15E戦闘機48機、無人偵察機「グローバルホーク」3機、空中給油機12機、及び、最新型のステルス戦闘機F/Aー22ラプターを増備する。
第三に、西太平洋海域の空海合同軍事演習の強化である。米軍は最新鋭の原子力空母ジョージ・ワシントンを横須賀に配備し、「同盟国、友好国」との東中国海、黄海、南中国海における空海合同実働演習を頻繁に繰り広げ、中国の軍事力を威嚇、牽制する。
第四に、アジア・太平洋地域における基地建設の強化である。既に、米軍はマレーシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナムなどの東南アジア諸国及びオーストラリアで新たな基地の建設、及び、インドの軍事基地の借用を計画し、中国包囲網と西太平洋海域における危機対応力の強化を目指している。

沖縄海兵隊のグアム移転の軍事・政治目的

(3)沖縄海兵隊4700人のグアムへの先行移転の軍事・政治目的は、第一に、中国の軍拡に即応する米軍再編を急ぐ、米帝の安全保障上の要請である
第二は、新軍事戦略の具体化である。
米帝は日帝に、沖縄の第3海兵遠征部隊(3MEF)司令部と主力戦闘部隊の第31海兵遠征部隊(31MEU)を沖縄に残し、主に歩兵・砲兵からなる第3海兵師団の多くを海外に移転する新たな配置案を提示している(3・12)。 これは自衛隊との連携強化を図った米帝的日米安保の強化措置である。
第三は、米国家財政の危機―軍事費削減の議会決定のもと、日帝・野田政権に対する米軍普天間飛行場の整備・強化―辺野古建設推進と海兵隊移転費用の日帝負担圧力の軍事外交政策である。
この背景には中国スタ―リン主義の「台頭」による「脅威」がある。要するにアジア・太平洋地域のパワーバランスが崩れている現実に規定されている軍事戦略構想の具体化である。
①在沖縄海兵隊のハワイ、オーストラリア、フィリピンへの移転配備。

②移転配備は、各基地固定配備ではなく、秘密裏のローテーション型の巡回移動型配備を構想している。

③24時間型の有事即応体制の構築である

④中国の中距離弾道ミサイル攻撃に対応した前方展開戦力の分散などなど。

◇       ◇

◇米国防費削減による影響(米下院軍事委員会の「国防費削減評価」から)

項目
現状
40億ドル削減
1兆ドル超削減

海軍と海兵隊の兵員
約77万人
約65万人
約57万人

陸軍大隊
100
78
60~70

海軍艦隊
288
263
238

空軍戦闘機
1990
1739
1512

戦略爆撃機
135
118
101

戦略・戦術空輸機
651
572
494

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◇米軍による『関係強化の取り組み』

日本
・防衛施設の共同使用、共同訓練や監視活動の強化
・サイバー攻撃 について協力を提案

韓国
・サイバー攻撃への戦略政策対話の創設
・次官級の統合防衛対話の創設

豪州
・サイバー攻撃に安保条約で共同対処
・軍事施設の共同使用、米軍物資の集積

シンガポール
・最新鋭沿岸海域戦闘艦(LCS)を配備

ベトナム
・空母も動員した軍事交流を強化

インドネシア
・海洋監視用新型レーダー導入

ASEAN
・海洋の安全保障を米軍が支援する枠組みの構築
・拡大国防相会合の毎年開催を提案

TPP、沖縄・本土米軍基地化と一体の新軍事戦略

「今後10年はアジア・大平洋にシフトする」

(1)米帝はTPPと新軍事戦略で突破口を開こうとしている。
「中国が軍事力の近代化を急速に進め、しかも透明性を欠き、東シナ海や南シナ海で威嚇的な行動を取っている」、「米国のこれまで10年のイラクとアフガニスタンでの軍事努力は、その重点を移し、今後の少なくとも10年はアジア・太平洋にシフトする」、その原因は西太平洋海域での「外交・経済、軍事戦略の各面での関与が必要になった」として、その背景には「中国の軍事力の近代化と拡大」「中国の軍事的意図の不透明さ」という口実を前面に押し出し、米帝のこうした戦略転換を「新しい世界の現実への対応である」としている(『米国の太平洋の世紀』クリントン国務長官)。
そして「米国はアジア・太平洋での軍事プレゼンスを強化する」(パネッタ)ことを宣言している。
(2)「安全保障と経済連携は表裏一体。安全保障は日米同盟、経済の繁栄は東アジア共同体でなどという不整合は成立しない。日本が独立を守り自由を守り、民主主義を望む限り、TPPに裏打ちされた日米同盟以外に選択肢はない。TPPはこうした大局的、戦略的枠組みの中で論じられるべきものなのだ」「不動の日米同盟が安全保障を担保し、TPPがその経済的裏付けとなった時に初めて、中国は紳士的な隣人となるだろう」(JR東海会長・葛西敬之)。
TPPとはアジア・環太平洋経済圏による米帝の新軍事戦略と一体で推進される「中国包囲網」であり、世界・アジア・太平洋戦略としてのTPPであり、中国スターリン主義主導の「東アジア共同体」構想を牽制する米帝の新軍事戦略と一体で推進される「外交・経済、軍事戦略」である(クリントン)

沖縄米軍再編強化と本土基地化の攻撃

(1)世界恐慌と3・11情勢下の沖縄米軍再編とは第一に、普天間基地の強化・固定化と辺野古基地建設推進による沖縄基地の再編強化攻撃である。
沖縄米軍基地は、九州―台湾―フィリピンを結ぶ中国の「第1列島線」に対するハブ基地である。海兵隊の先行移転は、グアムの米軍基地を、小笠原諸島から連なる「第2列島線」のハブ基地としての機能強化をはかるためだ。そして「06年合意の見直し」合意では米軍嘉手納基地より南にある5つの米軍施設・区域の返還を普天間移設から切り離し、先行させる方針を明記している。
だが軍事機能上、基地と施設は部隊構成や運用上、一体であり普天間基地が強化・存続=固定化されるかぎり『整理・統合』が行われたとしても『返還』はありえない。沖縄米軍再編は、オバマが昨年11月に「アジア太平洋地域を最優先」とした新国防軍事戦略の延長線上にある。

(2)世界恐慌と3・11情勢下の米軍再編とは第二に、沖縄基地再編強化と一体で推し進められる日本全土の米軍出撃基地化の再編計画である。
その具体化の第一が、沖縄海兵隊の岩国移転案である。06年合意の在沖海兵隊8千人の内グアムへ4700人、残りの3300人はハワイ、豪州、フィリピン、米本土の軍事施設に移転することで「基本合意した」とあるが、米帝は岩国基地移転の断念を表明していない。逆に岩国以外の国内移転―配備の協議をも打診している。
沖縄海兵隊は、06年合意当時、1万8千人であった。だがイラク・アフガン戦争で定員が3千人も増加している。仮に06年合意通り8千人の移転が行われたとしても、実際的には5千人の移転でしかない。増加した3千人は本土移転が計画されているということである。

具体化の第二が、新垂直離着陸大型輸送機MV22オスプレイの本土在日米軍基地と自衛隊基地への配備である。米帝は12年10月の沖縄普天間基地配備を前倒し、米軍横田基地、岩国基地、三沢基地への先行配備を計画している。沖縄へは普天間基地に10月、12機配備し、最終的に24機普天間に配備する。
日米帝のやり方は、「一時駐機で合意した」として、それが継続され、常駐化し事実上の配備として固定化されていく。沖縄海兵隊も06年合意の時よりも定員が増加しているがその事実は一切、明らかにされてこなかった。
沖縄県民と労働者階級の唯一の立場は、沖縄から、日本全土から、全世界から米軍基地全面撤去である。「労働者は死んではならない、死すべきは基地である」。

脱落日帝 「国家滅亡」の崩壊的

求めれてるのはプロレタリア革命とその実現

全人民に「死」を強制する日帝ブルジョアジー

米帝の11年経常赤字は4734億4千万ドル(約39兆5千億円)となり、前年比0・5%増、3年ぶりの高水準にいたっている。12年1月の日帝経常赤字(速報)は4373億円。この赤字はリーマン・ショック後の09年1月(1327億円の赤字)以来で、赤字額は比較可能な85年以降、最大である。 米帝の没落、日帝の脱落、EU解体の現実化、中国バブル経済の瓦解、これらが示しているのは世界大恐慌の本格的・全面的爆発への動きが激化し、深化するということである。
米帝以上の危機の中に叩き込まれているのが脱落日帝である。世界恐慌下の3・11東日本大震災と福島第一原発事故、そして米帝の「トモダチ作戦」が、日帝に「国家滅亡」の危機と国際帝国主義としての争闘戦からの脱落、帝国主義としての崩壊的危機の現実を根底的に突きつけた。3・11から1年、日帝の帝国主義としての脱落と支配体制の崩壊的危機はますます深化している。
3・11とは日帝の全面的破産の結果であり、その全面的露呈である。2万人の死者。警戒避難区域の解除と除染というペテンの上に住民を帰還させ高線量被曝と住民に死を強制しているのが日帝・野田政権と1%の帝国主義ブルジョアジーである。99%の労働者階級人民は死んではならないのだ。労働者階級人民の血の一滴からさえ極限的に搾りとるだけではなく、全人民に被曝と死を強制し、膨大な労働者人民の命を奪っても1%の帝国主義ブルジョアジーが生き残ることしか考えないのが新自由主義である。その端的な現われが「経済特区」である。
原発事故は未だ収束していない。がれき処理は解決の目途さえ立っていない。宮城県のがれき処理は約6%、岩手県では約9%。福島県では手つかずというのが現実である。全ては原発事故によって解決不能状態に叩き込んでいるのだ。被曝労働も全産別の労働者に拡大している。「人類と原発・核は共存できない」ということが全社会的・全世界的に、そして全労働者の職場で普遍性をもって明確になっている。
労働者階級人民が直面している現実は、社会の根底的変革なしでは最早、労働者階級が生きることが出来ないということである。新自由主義・帝国主義を根底から打倒するプロレタリア革命戦略とその実現の中にしか労働者階級人民も、被災地住民もフクシマ県民も生き抜くことが出来ないということが3・11から1年の今日の現実によってますます鮮明になっている。

日帝の脱落を確定させた米帝の「トモダチ作戦」

1)3・11直後、菅政権とブルジョアジーは10万7千人の自衛隊兵士を出動させ、航空と高速道路を制圧し、燃料と食糧を独占した。そして被災住民への救援は全て後まわしにした。まさに「戒厳令なき治安出動」で全被災住民を軍事力で強圧した。被災現地の視察直後、「すべては治安問題である」と言い放った警察庁長官のこの言辞のなかに帝国主義支配階級が抱いた恐怖のすべてが語られている。
原発とは地上に設置された核爆弾である。それが3基、爆発したのだ。だが日帝国家権力は、3・11から3・15にかけての福島第一原発事故対応の初動において対応不能の無力性をさらけ出している。帝国主義国家権力として、核への戦争的準備も、体制も、方針もなく、東電資本さえ指揮できないという対応不能状態と無力性をさらけ出した。
周知のとおり1号機と3号機の「水素爆発(核爆発)」後の、2号機の大爆発が予測された3月14日午後9時過ぎには、自衛隊統合任務部隊(JTF)司令部は福島県民を置き去りにした「100㌔以上退避」を発令し、原発対処部隊の郡山駐屯地への総引き揚げを行っている。要するに原発(核)の爆発の危険性のまえに対応不能の無方針と大混乱とともに軍中枢司令部が「敗走」を開始していたのである。

米帝の「トモダチ作戦」とは、中国・北朝鮮戦争における核戦争を想定した「日米実戦共同作戦」である。日帝の自衛隊10万7千人の出動命令は事実上の自衛隊23万の総出動命令であり、民間の動員を合わせて捉えかえせば事実上の「国家総動員体制」である。「非常事態宣言」や「戒厳令」なき「国家総動員体制」による日米共同の核戦争作戦が憲法停止・無視状態で強行されたということである。だが日帝菅政権(当時)は首相官邸での米軍指揮を拒否しながら日帝独自の原発対処と指揮の無力性を米帝・米軍の前にさらけ出した。最弱の環・日帝の無力性が全面的に露呈し、暴き出されたのが「トモダチ作戦」である。その端的な現われが住民を置き去りにしたJTFの100キロ圏外への敗走命令である。日帝ブルジョアジーとその軍隊は、治安対策も住民対策も出来ないという事実が、米帝・米軍の前に全面的に暴き出されたのである。
原発事故(核)対処での破産は、原発大国から核大国への道、核燃料サイクルを通じての核武装化への道の根幹を断たれることを意味する。これは帝国主義としての脱落そのもである。日米の核戦争共同実戦作戦において日帝国家権力は「戦争指揮が出来ない国家」「戦争のできない軍隊(統合幕僚部)」という弱点を米帝にさらけ出すと同時にその無力性を突き付けられてということである。
それだけに日帝野田政権は、その巻き返しをかけた「原発事故収束宣言」のペテン、避難区域解除宣言と住民の帰還=高線量被曝と死の強制、全労働者への被曝労働と兵士の被曝を強制しても原発再稼働攻撃と原発輸出、経済特区、TPP、労組絶滅と改憲攻撃に死活をかけ、全力を挙げている。
だが、これは労働者階級人民の怒りの火に油を注ぐ結果しか引き出さない。1周年目の3・11郡山1万6千の労農学市民の怒りの決起がその本格的爆発の始まりであることは明確である。

自衛隊兵士の高線量被曝とPTSD

現地に出動命令を受けた10万7千人の兵士が被曝し、原発事故対処、警戒避難区域での捜索にあたった兵士は高線量で被曝している。

(1)3・11直後の第一原発直近での兵士の被曝。
① 3月12日、1号機が水素爆発した。敷地内で注水活動を行っていた福島駐屯地、郡山駐屯地の兵士20人の内12人が高線量の被曝を受けている。兵士の被曝は、最高で80・72㍉シーベルトが記録されている。作業に就いていた労働者も90人が被曝し4人が負傷している。
② 3月14日3号機が爆発した。中央即応集団の中央特殊武器防護隊の隊長を含む6人が爆発に巻き込まれ、防護服は切り裂かれ負傷し被曝している。しかし外部被曝(22ミリシーベルト)しか測定されていない。視界は爆発の粉塵で塞がる状態であった。粉塵を吸い込み高線量での内部被曝は明白である。
③ 3月11~21日にかけ福島駐屯地の第44普通科連隊の隊員は相馬市、南相馬市、第一原発直近の双葉町など、10㌔圏内で捜索、住民誘導などの活動を続け高線量の被曝を受けている。
④ 21日に上記、普連と交替した12旅団30普連(高田駐屯地)270人も高線量で被曝している。
⑤ 双葉町の「自力避難困難者」の老人など200人を東北方面航空隊のヘリ6機で川俣町への空輸活動を行っている。パイロットと同乗兵士が住民とともに高線量の被曝を受けている。
⑥ 3・11直後から、中央即応集団(朝霞)を主力とする原発対処部隊(木更津のCH47輸送ヘリ団)が毎日、技本専門家らと各原子炉上空を飛行し、温度の計測活動に継続従事している。これらの兵士らが高線量を被曝している。
⑦ 空自は連日、偵察航空隊(百里)のRF4E偵察機を飛行させ、原発の上空から精密航空写真を撮影し、集塵ポッドを付けたT4練習機を百里基地から飛行させ、観測を続け、高線量の被曝を受けている。
⑧ 12旅団(相馬原)の兵士は、半径20キロ以内の避難勧告地域内を車両で巡回し、避難できない住民たちに退避勧告し、安全な避難場所への輸送活動を行っている。彼らが住民とともに高線量の被曝を受けている。
⑨ 12月、福島、郡山両駐屯地の兵士、化学防護隊員で構成する部隊900人が警戒避難区域など4市町村の拠点役場の除染活動に投入され高線量の被曝を受けている。
日本原子力研究開発機構が実施している除染モデル事業は警戒区域でも行われている。ゼネコンの下請け労働者が除染作業で被曝している。11年8月19日、文科省は大熊町で、1日8時間屋外にいたとする換算で年間積算線量の推計値を508・1ミリシーベルトと公表していた。これは一般人の人工被曝の年間許容線量の500年分に相当する。
(写真 空自松島基地 F2戦闘機18機が水没、再起不能)

述べ112万人以上が原発作業で被曝

(2)3・11以降、「収束」に向け原発作業に就いている労働者は、延べ112万人を超ている。この労働者が高線量の建屋内と敷地内作業で連日、被曝し、すでに死者も出ている。
3月27日、福島第一原発2号機の格納容器内で、最大で毎時7万2900ミリシーベルトという高放射線量が計測された。6分で人間が確実に死亡する高線量である。「収束宣言」のペテン性はこの数値が明確に示している。
警戒避難区域・浪江町の住民は風向きで放射線が飛散した高線量地域にわざわざ避難誘導され、被曝線量を無用に高めていたことも判明している。
東電、歴代政権と菅―野田政権、御用学者・マスコミ・大学・裁判所など新自由主義・帝国主義に対する怒り、兵士や労働者、住民を被曝させ、被曝を強制し死に追いやっていることへの怒り、被曝作業・被曝労働への怒り、医療特区攻撃と高線量地域への帰還強制で住民被曝と死を強制する野田政権への根底的な怒りを爆発させよう!

(写真 途方にくれ、茫然とする幹部自衛官)

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調査人数(回答)
①トラウマ症状
②うつ病
発症人数(①+②)

陸自
58050人
3・3%
2・2%
5・5% 3192人

海自
6112人
4・3%
※PTSD 5人
4・3%+5人 262人

空自
6148人
7・5%
6・5%
14% 464人

※ 海自は、「うつ病」としての調査ではなく、PTSD(5人)として発表している。
※ 空自は、「宮城県松島基地の隊員に限定した調査のため、数値が高くなっている」(防衛省)としている。松島基地は津波で崩壊した基地を「出撃拠点化」のため、米軍主力の日米共同作戦で総力を挙げて回復させた空自の基地。

松島基地・空自兵士の14%がPTSDを発症

(3)防衛省は3・11被災地に派遣した兵士に対し初の大規模調査を行った。調査結果から兵士が「トラウマ症状」や「うつ病」などを発症する危険性が高くなっていることが判明している(3月7日)。調査結果は上記、表に示されている。
今後、自衛隊兵士の中に、米兵の現役兵士や帰還兵士に現れているPTSD、トラウマ、うつ病などが多く発症してくるであろうことに注意を払っていかなければならない。

帝国主義軍隊の階級的犯罪性

 

帝国主義軍隊は民衆を守らない

(1)帝国主義軍隊は民衆を守らない。これは沖縄戦など、歴史の教訓である。国家とは帝国主義ブルジョアジーが労働者階級人民を搾取するための道具である。
そして軍隊とは、搾取するために労働者階級人民を抑圧・鎮圧する国家の暴力装置である。
だが実際の兵士は、「人を殺す」ために軍隊に入るわけではない。「生きるため」のやむなき選択が、銃を握らされ、自国の労働者や派兵された国の労働者民衆に銃を向け、『殺さなければ殺される』という新自由主義社会における矛盾を、一身に、極限的に担わされる。それが兵士である。内戦下の南スーダンに派兵された兵士も然りだ。
「自分は、誰を守るための存在なのか。誰のために命を危険にさらしているのか」、また兵士の家族は、「夫や息子は何を守るための戦いで命を危険にさらし、命を落とそうとしているのか」という自問自答に、常に苦悩している。だが国家のために命を捨てようと考えている兵士は、一人もいない。 兵士とは労働者階級人民の一員である。世界恐慌下、世界の労働者は「生きるため」にやむなく軍隊に「就職」しているにすぎない。

隊内におけるテロ・リンチ、暴行事件

(2)自衛隊内では「訓練」と称するいじめやしごき、女性差別によるテロ・リンチ、暴行事件が横行している。これらは幹部自衛官の黙認どころか、反抗的兵士に対する意識的なリンチとして強行され自殺に追い込まれた兵士、虐殺されながら闇から闇に葬り去られている兵士が決して少なくはない。ここでは自殺に追い込まれた家族の怒り、や暴行を受けた本人らの怒りによって提訴され係争されている民事裁判を列挙するにとどめるか、家族や本人による提訴とは帝国主義軍隊への反乱・決起であることを確認したい。

① 護衛艦「さわぎり」いじめ自殺事件訴訟。
99・11・8 佐世保基地の自衛艦「さわぎり」艦内で三等海曹(21歳)が上司らのいじめを苦に自殺した。

01・6・7  長崎地裁佐世保支部に両親が息子の名誉回復と再発防止を求め提訴。05年請求却下。

05・7・11 福岡高裁に控訴。

08・8・25 高裁はいじめと自殺の因果関係を認め、国に損害賠償350万円支払い命令。勝訴確定。

②護衛艦「たちかぜ」いじめ自殺事件訴訟。

04・10・27 横須賀基地の護衛艦「たちかぜ」乗組一等海士(21)が隊内のいじめが原因で京浜急行に飛び込み自殺。バッグから遺書が見つかった。

06・4・5 両親が国と元上司を相手に横浜地裁に提訴。慰謝料など1億3千万円請求。

11・1・26 横浜地裁は元上司の言動と国の監督責任を認め440万円の支払い命令判決。

11・10・5 自殺に追い込んだ国と自衛隊の責任の明確化を求めて、控訴、10月5日控訴審開始。

③空自浜松基地・いじめ自殺事件訴訟

05・11・13 空自浜松基地の三等空曹(29)が先輩隊員の強要・パワハラをうけ、鬱となり自殺。

08・4・14  親と妻、生後4ヶ月の長男ら遺族が静岡地裁に事件の真相究明を求め提訴、21回の弁論。

11・7・11 静岡地裁浜松支部はほぼ原告請求額通りの賠償を命ずる判決を下した。控訴期限の7月25日北沢防衛相が原告に面会して謝罪し、控訴しない旨伝えた。原告勝訴が確定。

④陸自真駒内基地・徒手格闘訓練暴行死事件訴訟。

06・11・21  陸自真駒内基地で島袋英吉一士(20)が徒手格闘訓練中、投げ技を複数回かけられ、頭部を強打し死亡。肋骨が折れ、内臓損傷もあった。

10・8・3 両親が札幌地裁に真相を求め提訴。12年1月20日までに7回の口頭弁論が行われた。1月18日には検察審査会が隊長と教官、訓練相手の隊員に対する札幌地検の不起訴は不当の表決を出している。専門医の「死因に関する意見書」も提出されている。

⑤女性自衛官暴行・強制わいせつ訴訟

06・9  空自基地の女性自衛官(空士、当時20歳)が06年9月、深夜、三等空曹にボイラー室へ呼び出しを受け、飲酒を強要され、暴行・強制わいせつを受ける。上司に相談すると退職を迫られた。退職強要や隊内のいやがらせで体調を崩した。

07・5・8 札幌地裁に提訴、1千100万円の損害賠償提訴。

10・7・29  札幌地裁で580万円の損害賠償命令、国側控訴断念・勝訴確定。しかし女性自衛官は再任用拒否され自衛隊を追放された。

⑥陸自朝霞基地・少年自衛官自殺事件訴訟。

07・11・19 教育訓練後の8月、「除隊したい」と申し出た少年自衛官に対する暴行と除隊の引き延ばしが行われ、11月19日朝霞駐屯地通路で自殺しているのが発見された。

08・4・ さいたま簡易裁判所は、少年自衛官に暴行を加えた隊員に有罪判決を下した。

10・7  両親が前橋地裁に慰謝料などの請求を求めて提訴。11年6月8日に第6回弁論が行われた。

⑦海自江田島基地・徒手格闘訓練集団暴行死事件訴訟。

08・10・13 徒手格闘訓練名目で15名の隊員による暴行で10月13日三等海曹が死亡した。両親が松山地裁に提訴し、 現在係争中。

⑧「セクハラ偽証強要」事件訴訟.

11・12・27 セクハラの疑いをかけられた同僚をかばったために上官に退職を強要されたとして、陸自真駒内駐屯地(札幌市南区)所属の元自衛官の女性が、国に約1千100万の損害賠償を求めて提訴した。

12・3・12  第1回口頭弁論(札幌地裁・千葉和則裁判長)が開かれた。国は「控訴棄却」を要求。女性は「セクハラがあったように証言するよう上司から強要された。裁判で真実を明らかにする必要がある」と述べている。
※ 上司が同僚の男性自衛官を退職に追い込めるために、女性自衛官にセクハラの偽証を強要した事件。

これらは、氷山の一角でしかない。
兵士や家族の怒りを国鉄運動の前進の中で兵士・家族の相談窓口を開き、国鉄運動の全国的展開の前進と一体で、兵士・家族と結合できる窓口を全国に建設していく、ということである。革命派が裁判闘争をも主導することなくして兵士の獲得は空論と帰す。

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左右の写真を見比べてください。
右の写真は、1951年の米核実験とそれを至近距離で見つめる米兵です。
左は、昨年、3月14日に爆発した福島第一原発3号機の爆発の様子を捉えた写真です。3号機が核爆発であることが、はっきりと分かります。

(写真 ビキニの核実験 爆発の周囲に船舶が見える)

(写真 爆発で崩れた福島第一原発3号機)

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革命党として、反軍として、われわれはどう闘うのか

国鉄闘争・反原発・非正規職撤廃、階級的労働運動路線で徹底的に勝負する

(一)世界恐慌と3・11情勢下、国鉄と反原発闘争の飛躍的前進で勝負する。階級的労働路線路線で徹底的に勝負する。
非正規労働者の現実に肉迫する。非正規労働が新自由主義攻撃の核心である。極限的搾取と収奪。人間として生きることを全否定しているのが新自由主義であり、青年労働者が生きられない今日の現実社会を造りだしたのが新自由主義である。
『新自由主義とは何よりも、強力な私的所有権、個々人の企業活動の自由とその能力とが無制約に発揮されることによって支配階級の富と福利が最も増大する政治経済的実践の理論である。国家の役割は、こうした実践にふさわしい制度的枠組みを創出し維持することである。また国家は、私的所有権を保護し、市場の適正な働きを、必要とあらば実力を用いてでも保障するために、軍事的、防衛的、警察的、法的な仕組みや機能をつくりあげなければならない。さらに市場が存在しない場合には、市場そのものを創出しなければならない。必要とあらば国家の行為によってでも創出しなければならない』というのが新自由主義である。まさに「ショック・ドクトリン」である。『そのために必要なのは、労働者と労働組織・労組を従わせ、新しい社会秩序に順応させること』。ふざけるな!ということだ!。
非正規労働者の現実に肉迫すれば兵士の現実に肉迫する。非正規労働者と団結し、職場で非正規労働者を組織することが、兵士の現実に肉迫し、兵士と団結し、兵士を獲得できる道である。
まさに職場の労働者と兵士との団結・組織化は同一、同質である。
兵士も非正規労働者である。1年9ヶ月の雇用契約。戦場で殺されれば使い捨てである。政治活動を行えば処分・解攻撃が襲いかかる。上官に歯向えば即、訓練という口実で徹底的ないじめとリンチ・虐殺が待っている。

(写真 2011・12・9 警戒区域内・富岡町で除染作業を行う兵士)

兵士をマルクス主義・党綱領・プロレタリア革命で獲得する

(二)兵士をM主義、綱領、プロレタリア革命で獲得する。これ以外に兵士を組織し、隊内細胞組織を建設し、兵士を武装蜂起へと組織することは出来ない。
ここにやむことのないエネルギーを投入する。投入しなければ兵士を真に獲得することもプロレタリア革命に組織することはできない。軍隊の解体とは、兵士をM主義とプロレタリア革命で獲得するということである。青年労
働者の獲得も同じである。
繰り返すが、職場生産点の労働者、仲間をM主義とプロレタリア革命で獲得し、組織する闘いの苦闘と兵士獲得と組織化は、同質の闘いである。

日米安保強化粉砕・改憲阻止!

(写真 2011年10・9三里塚現地闘争)

(一)恐慌と3・11情勢下の日米安保体制の強化とは、沖縄・普天間基地の固定化プラス辺野古建設による沖縄米軍基地の再編強化プラス日本全土の米軍出撃拠点基地化である。

(二)脱落帝国主義・日帝は、日米同盟論の強化と米軍再編―沖縄基地強化・日本全土基地化の安保防衛政策の強化で活路を図っている。
そして沖縄基地再編強化・日米安保体制の強化×原発再稼働・原発輸出の国家政策は日帝の核武装路線であり、帝国主義争闘戦から脱落した日帝がはい上がる道は、核武装化への絶望的突進の中にしか残されていない。日帝には、帝国主義としてこの選択肢以外の道は残されていない。さもなくば全面的に、米帝の軍門に下ることになる。

(三)自衛隊の帝国主義軍隊化である。
日帝・防衛省は自衛隊23万人の総力動員という3・11の「実戦と教訓」に踏まえ「戦えない自衛隊」から「戦争の出来る軍隊」への転換を図ろうとしている。具体的には、
第一に、5方面隊の全国単一の統合指揮運用への組織構造改革の着手である。
第二は、南西諸島への陸自、空自の配備と南西方面の出撃拠点基地の建設である。有事即応可能体制の実戦的構築である。
第三は、日帝政経中枢防衛にむけた対テロ部隊の中枢3キロ圏内への前方配備である。
これらを中心に第四に、国家財政の危機による装備充足の遅れを資本と民間力の動員(輸送力など)で強化する国民総動員体制の強化である。労働者の戦時動員の最先兵がJR資本である。 第五は、高々度無人機導入の本格化と通信・情報態勢(サイバー戦争)の強化、宇宙の軍事利用への転換である。
第六は、武器輸出三原則の撤廃。
そして第七は、対原発(核)対処兵力の強化・増員(109人)など、「動的防衛力への構造改革の推進」に着手している。

(四)3・11情勢下、日帝ブルジョアジーにとって帝国主義軍隊化の基礎は、何といっても「兵士の精強化」である。そのため防衛省は、実戦部隊化への人的基盤見直しの制度改革として、「早期退職制度と公的部門への再就職の拡充を図る」としている。要するに青年を中心とする自衛隊への若返りである。
防衛省は今後、「兵士の若返り」の施策として「旧国鉄改革や国の行政機関における配置転換、国家公務員中途採用者選考試験の事例も参考に、検討・調整を進めていく」としている。
新自由主義における帝国主義軍隊化への構造改革も、結局のところ国鉄分割民営化の経験を基礎に強行されようとしている。だが動労千葉の闘いによって分割民営化の貫徹は根底のところで粉砕されており、「兵士の精強化」への制度改革の破綻性はすでに明らかといえる。
そもそも言うまでもなく、古今東西を問わず戦争を遂行する戦力の主体は兵士・人間である。だが日帝ブルジョアジーがいかに「兵士の精強化」を願望し、「若返り」への制度改革を遂行しても必ず破綻する。帝国主義軍隊と戦争は兵士・人間を破壊することはできても変革・育成することは出来ない。

沖縄闘争の爆発で日米安保体制の強化を根底的に粉砕しよう!

日帝の日米安保体制の強化・日本全土基地化・核武装化を、国鉄闘争を基軸とする4大産別の職場闘争・非正規職撤廃×反原発闘争×沖縄闘争の爆発(階級的労働運動×基地撤去・南西拠点化阻止×反原発闘争)で根底的に粉砕しよう。世界恐慌と3・11情勢下で沖縄闘争の爆発が、戦後、最大の決定的で最重要の位置を占めている。
野田政権の北朝鮮ミサイル撃墜・破壊命令の発令、沖縄・日本海へのイージス艦3隻の配備、PAC3を先島諸島の石垣島・沖縄本島・東京に移動配備し、武力攻撃事態におけるの国民保護法の発動をも画策している。
死すべきは基地だ。基地撤去・辺野古基地建設阻止・安保粉砕、南西出撃拠点化建設と戦力配備阻止!。沖縄―本土を貫く沖縄闘争の爆発で日帝・野田政権を徹底的・根底的に打倒しよう!

改憲攻撃を全力で粉砕しよう!

(一)特区攻撃、橋本攻撃、西郡の更地化攻撃は、憲法の全面停止攻撃である。

(二)民営化・外注化―非正規職化攻撃は、憲法で言うところの「生存権」「最低生活の保障」の否定。99%の労働者の生存権を奪い、基本的権利を全面的に否定・剥奪する攻撃である。 特区攻撃は労働三権の剥奪という土台の上にしか成立しない。これは労働三権を明記する憲法停止攻撃である。  労働三権を憲法で明記しているのは「日本国憲法」のみ。3・11情勢下、日帝ブルジョアジーにはこれが桎梏と化している。

(三)憲法審査会の90%が改憲論者である。3・11情勢下、前衆院憲法調査会長・中山太郎は、昨年、憲法に国家緊急事態条項を盛り込む改憲試案を公表し、全国会議員に配布している。
大規模な自然災害やテロなどが発生すると首相は緊急事態を宣言する規定を設け、首相に自治体首長への指示権などの権限を集中させ、国民の「通信の自由、居住および移転の自由並びに財産権」を制限できるようにしている。 緊急権、非常大権であり、憲法停止を明文規定する改憲である。
2月28日、自民党改憲推進本部は「憲法改正原案」を決定した。サンフランシスコ講和条約発効60年目の4月28日までに「国家緊急事態条項」を盛り込んだ改正案をまとめる方針を打ち出している。自民党憲法改正原案は、天皇の元首化、自衛軍・軍事法廷の設置・労働三権の削除・公務員地方自治体の解体など全面的な明文改憲である。

(四)橋下の「船中八策」と改憲、石原の「憲法破棄」論。
脱落日帝にとっては、恐慌と3・11情勢下で憲法そのものが桎梏になっている。憲法停止か、全面改憲か、破棄しかないところに叩き込まれている。 改憲攻撃との闘いが職場・生産点での課題に押し上げられている。恐慌と3・11情勢下で、日帝ブルジョアジーの死活と延命をかけた改憲攻撃との闘いは職場生産点での闘いでしか粉砕できないということである。
橋下は、現憲法下で、国防政策や国策論議をいくらやっても無駄、改憲抜きに政策論議は無駄、改憲が大前提、と叫んでいる。そのために「2年で労組を絶滅する」と宣言している。橋下との対決も職場・生産点である。職場闘争の前進がすべてを決する。

革命党と労働者階級はどう闘い、どう勝利するのか

(一)労働組合でとことん勝負する。階級的労働運動を全産別・全職場で甦らせる闘いに全力を投入する。言い換新自由主義打倒への非和解的闘いである。

(二)その軸は資本との戦場である職場・生産点で、資本との非妥協的たたかいの貫徹であり、その飛躍的実践である。

(三)戦線の闘いの組織化と運動的拡大の課題は、地区の労働者の闘いとの一体化である。ここに戦線独自の課題の突破と組織的・運動的拡大、前進の道がある。これを一ミリの曖昧性なく確信し、怒涛の前進がプロレタリア革命への道である。戦線共通の普遍的課題は労働者階級と全人類の人間的解放である。

(四)反軍を先頭にした全戦線の地区

党建設への総決起の闘いである。地区党こそがプロレタリア革命への戦略的準備と全産別的課題、全戦線的課題を最先端で担い、推進し、切り拓き、党を建設し、突き進んでいく革命党の組織的・中核的存在である。地区党の強化が党中央組織強化の源泉である。

(五)地区党建設の核心は、国鉄を先頭に四大産別・全産別の職場生産点での細胞・組織建設である。それは資本との対決を軸にした職場闘争の非妥協的闘いの前進によって実現できる。地区党建設とは闘う職場細胞建設である。

(六)4月決戦から7月決戦に全力で勝利しよう。その最先端に反軍戦線が立ちプロレタリア革命への戦略的準備として兵士の獲得・組織化の闘いを階級的労働運動の前進と一体でかちとろう!