会報 第17号

第17号 2012年1月10日発行

 会報17号PDF

——————————————————————–

2012年、職場・軍隊内にプロレタリア革命への軍勢を建設しよう

激動の二〇一一年は、チュニジア・エジプト革命の波が中国・欧州・米大陸・中東へと世界をかけめぐった。開始された国際的内乱・内戦は、新自由主義の攻撃に対する労働者階級人民の根底的怒りの爆発であり、社会の根底的変革への非和解的決起の始まりである。
米帝はイラク戦争に敗北し撤退した。アフガン戦争からの敗撤退も既定である。未曾有の財政赤字は国際帝国主義を例外なく国家的破滅の危機へと追い込んでいる。世界大恐慌の深化がそれに拍車をかける。誤解を恐れずに言えば帝国主義支配の矛盾の一切を世界戦争によって解決せんとする余力は国際帝国主義ブルジョアジーにはすでにない。新自由主義という帝国主義支配のあり方そのものが帝国主義支配の最後的崩壊の現われなのだ。加えて3・11情勢は、日帝ブルジョアジーを奈落の底に叩き込み、帝国主義として完全に没落している。それだけに日帝ブルジョアジーは全面的に凶暴化する。それがTPPと安保強化、原発収束攻撃と経済特区、原発再稼動と原発輸出、沖縄基地強化と自衛隊の南西拠点化、自衛隊の構造改革と改憲、PKOなどの国家政策だ。

革命の二〇一二年は、予測可能・不可能な進展の中でプロレタリア革命情勢が限りなく成熟する。
昨年の国際階級闘争の特徴は、労働者の一片の肉、一筋の腱、一滴の血からさえも極限的に搾り取らんとする新自由主義攻撃と根底的に闘う労働者が世界中に登場し、帝国主義を根底から打倒すまでやまない革命への決起が開始されたということである。そして二〇一二年は帝国主義国家が破滅する時代であると同時に国際的動乱の激化と世界革命の時代である。新自由主義の攻撃は、一切のブルジョア的虚構と幻想を自ら剥ぎ取り、剥き出しの「資本と賃労働」の非和解的対立を世界中で生み出している。
大恐慌と3・11情勢の中で日帝ブルジョアジーに残されている道は帝国主義としての没落と国家的破滅でしかない。だが没落と破滅の行き着く先としての世界戦争の道に労働者階級人民・兵士を引きずり込むな!ということだ。大恐慌と世界戦争をプロレタリア世界革命によって終止符を打つ。それが労働者階級人民・兵士の未来を切り拓く唯一の事業である。
「賃労働と資本」の戦場は職場・工場だ。労働者階級解放の事業は資本と非和解的に闘って勝利する以外に実現はできない。 そして労働組合は資本との非和解的闘いの貫徹によってのみ甦える。  兵士の主戦場は軍隊内だ。軍服を着た労働者を帝国主義軍隊兵士に改造せんとするのが軍隊組織だ。その国家暴力との戦場が軍隊内である。
兵士一人ひとりの非人間的兵士化と帝国主義戦争からの解放の道は唯一、労働者階級のゼネストと結合した兵士自身の自己解放的決起としての隊内反戦決起である。
この全労働者階級と兵士、全人類の解放という普遍的事業の実現に向け、二〇一二年、職場・工場と隊内にプロレタリア革命への軍勢を組織し、建設しよう!
(滝山)

———————————————————————-

元「情報小隊」兵士からの訴え
自衛隊の治安出動を階級的労働運動の前進でぶち破ろう

世界は革命情勢

大恐慌下で起きた3・11東日本大震災と福島第一原発事故という未曽有の事態に対し、被災地の「生きさせろ!」の根底的怒りと結び付き、「挙国一致」の総翼賛攻撃をぶち破り、2012年、国鉄決戦を基軸に全産別で非正規職撤廃、反原発闘争を全面的に発展させるべく階級的労働運動の戦略的前進を切り開き、東北被災地をはじめ各地に新自由主義と闘う労働組合を甦らせよう。
大恐慌下の「3・11情勢」に加えて発生した北朝鮮金正日の死は、戦後世界体制を支え続けて来た朝鮮南北分断体制の根底的崩壊の現実的始まりです。北朝鮮兵士6名の脱北・内2名の射殺はその象徴に他なりません。 世界大恐慌の底なしの激化、朝鮮南北分断体制の崩壊的危機、エジプト革命をはじめとする現体制打倒の世界的広がり。世界はまさに、「戦争か革命か」をめぐる歴史を分かつ階級的大激突情勢に突入しました。その最大の焦点が東アジアに他なりません。まさに日本の階級闘争、階級的労働運動、国際連帯の闘いの前進いかんにかかっています。今こそ、脱落帝国主義の烙印を押された日帝の根底的打倒に向って、階級的労働運動路線を徹底的に押し進める時です。

この革命情勢の到来は、崩壊しつつある日米安保体制との大激突でもあります。それは、米・韓・日の対中国・朝鮮侵略戦争への突入と自衛隊の治安出動情勢の決定的煮詰りです。階級的労働運動路線の徹底的貫徹と一体の自衛隊解体・兵士獲得の闘いの死活性がいいよいよ現実問題となっています。戦争と治安出動は究極の団結破壊です。職場生産点での資本との絶対非和解の闘いを基軸として、もっと広くもっと深く団結を求めて闘うべき時です。そして、軍服を着た労働者=自衛官と家族との団結を今こそ勝ち取っていかねばなりません!
原発事故対処で労働者も自衛官も大量に被曝しており、亡くなった方もいます。内部被曝、PTSD、自殺があいついでいます。解雇・賃下げ・非正規職化・安全無視、そして戦争と治安出動などあらゆるしわ寄せが労働者・自衛官に押しつけられています。起きている事は、資本家階級延命のための労働者・自衛官の「使い捨て」「切り捨て」です。労働者も自衛官もモノではありません。「生きせろ!」の怒りは当然の事です。

兵士は労働者民衆に銃口を向けるな

「治安出動」とは紛れもなく自国の労働者民衆に銃口を向けることです。2000年12月、防衛庁と国家公安委員会は「治安維持協定」を46年ぶりに改正しています。首都圏防衛の「ビック・レスキュー2000」は、「防災」に名を借りた自衛隊の「治安出動訓練」です。 警察と自衛隊による「治安出動における治安の維持に関する現地協定」は2002年5月の段階で、47都道府県の警察の内、約半数が既に同様の「協定」を締結していると言われています。2007年、防衛大臣直轄の中央即応集団が創設され、政府から治安出動命令が出された場合には警察と自衛隊が円滑、かつ連携して任務を遂行する、としています。

自分が自衛隊に入隊したのは、1970年を前後して安保・沖縄・ベトナム反戦闘争が激しく闘われていた時期です。PKOもイラク派兵ももちろんありませんでした。だから、今日の自衛官の皆さんが置かれている緊張情況とは大きくかけ離れていたのは事実です。ただ、自衛隊の階級目的は変わっていないと思います。今日、重要な事は、自衛官にとっても労働者同様に益々「生きにくい」現実となっている事だと思います。

情報部の「都市斥候」とは、内乱鎮圧の情報収集

自分は陸自です。前期・後期6ヶ月の教育期間が終わり、普通科教導連隊の情報小隊に配属されました。情報小隊の基本任務は「戦場斥候」と「都市斥候」です。集中力、記憶力、注意力、判断力が要請され、地図判読、歩幅距離計測、目測、冨士樹海でのコンパス行進、レーダー訓練等もやりました。
驚いたのは「都市斥候」です。自衛隊は誰を敵・敵性としているのか、その具体的教育内容でハッキリしたからです。デモ人数の数え方、集会等で立っている場合と座っている場合の人数の数え方を教わったからです。2004年自衛隊がイラクに派兵される時、高校生も含め多くの労働者民衆が海外派兵反対で立ち上がりました。この反対動向を自衛隊の「情報保全隊」が監視していた事実が暴露され、当時の久間防衛相は「自衛隊が情報を収集して分析する事は悪いことではない」と開き直っています。

ある日、「都市斥候の実地訓練」ということで東京市ヶ谷駐屯地に行くことになりました。私服に着替え2人組となって四つのグループで出かけました。予定通り市ヶ谷駐屯地に集結し、小隊長からグループごとの具体的任務を提示されました。斥候すべき場所は山手線主要ターミナル駅です。私の場合は新宿駅だったと記憶しています。「何で駅なのか?」当時は良く解っていませんでした。ターミナル駅斥候の目的は、自衛隊による鎮圧行動の「実行性確保」のための事前の情報収集でした。
「自衛隊が情報収集している事を悟られてはならない」として、全過程を私服で行動し、現場でのメモはしない事とされ、極力記憶するよう命じられました。斥候すべきポイントは、駅と周辺を見下ろせる高所(指揮所の選定)、駅構内の構造、電源の位置、消火栓の位置などでした。決められた時間に再び市ヶ谷駐屯地に全員集結し、大きな白模造紙を広げ、記憶を呼び起こし、できるだけ詳しく書き込んでいきました。それを「資料」として完成させ小隊長に提出しました。「都市斥候」は治安出動の先兵です!これが自衛隊の姿です。

「テロ対策」という言い方は、階級的労働運動・革命運動から労働者民衆を分断し、排外主義を植え付ける意図を持った表現です。「テロ」にも種類があります。何を目的としているのか、その階級目的を見る事が大事だと思います。
自分が自衛隊にいた時、安保・沖縄・ベトナム反戦闘争の全世界的爆発に恐怖した三島由紀夫が、盾の会数名をつれて市ヶ谷駐屯地に突入し、自衛隊の治安出動を訴え「天皇陛下万歳」を三唱して自決しました。けれど自衛隊は動きませんでした。自衛隊当局も政府も、「治安出動」が同じ労働者民衆に銃口を向ける事だということは十分認識しているからです。自衛官だって感づいている筈です。だから、日帝権力は「テロ」=「悪い事」と植え付け、「治安出動の正当性」を確保しようと必死となるのです。

兵士との階級的団結を

この時期、多くのベトナム帰還米兵は兵役拒否の態度を表明し、反戦デモに合流しました。沖縄県民も決起しコザ暴動が闘われ、日本本土では、佐渡駐屯地や、その他にも治安訓練を拒否して起ち上がった自衛官がいたと聞きます。政府・自衛隊内部は騒然となりました。「国のため」に戦争を遂行すべき軍人が任務を拒否し、戦争に反対する労働者民衆と合流した事実にです。「戦争も弾圧もできない!」支配階級にとって「あってはならない事態」が実際に起きたのです!労働者と兵士は必ず団結できます!兵士が階級性に目覚めた時、世界は大きく動き出します!「国のため」とは一握りの支配階級の利益のために他なりません!大震災と原発事故を経験した多くの自衛官は感づいている筈です。本当は必死で階級的団結を求めているのです。「挙国一致」ではない、階級的団結を2012年は絶対に勝ち取っていきましょう!
(S)
————————————————————————

フクシマ県民抹殺の「事故収束」宣言を絶対に許すな!
労働者人民・兵士の被曝を拡大する野田政権を打倒しよう

(1)「事故収束」宣言に怒りの徹底反撃を

福島第一は放射性物質を大量放出している。放射性セシウム放出は12月時点の推定で毎時6千万ベクレル。福島第一正門前の空間線量は毎時29㍉SVで爆発前の480倍だ。
溶け落ちた核燃料の位置は不明。「工程表」でも、「循環式冷却」装置で30年~40年間冷やし続ける以外の方針はない。30年以上放射能を垂れ流した上で、核燃料を取り出せる「新技術」開発の展望は不明という無責任極まりないものだ。これで何で「収束」か!
建屋内は線量が高く作業員は作業現場まで走っている。当然中心部には近づけない。8万㌧の高濃度汚染水は、頻繁に溢れ出している。政府は垂れ流す時期を見計らっている。
「循環式冷却」の塩化ビニール製のホースは全長10数㌔にも達し敷地内に張り巡らされている。高濃度汚染水を流すホースは人が近づけないほど放射線が強い。冬本番の1~2月、浪江町の観測所で零度を上回ったのは僅か5日。ホースの耐性温度の下限はマイナス5度。マイナス5度以下の日は15日間。断熱材もまけない。夏草で穴があき、放射能がもれた。冬本番で冷却水が氷り、循環が止り、ホースが破断し、汚染水が垂れ流される確率は高い。再臨界や水素爆発の危機は隣り合わせだ。工程表で4号機の使用済み核燃料を「2年以内に取り出す」(「新工程表」第一期の唯一の方針)としているが、震度6クラスの余震で、核燃料プールや福島第一全体が今度こそ崩壊する危機が続いている。
これほどの危機が継続しているのに、国と東電は「国有化」だとか「リストラ」だとか「電気料金20%値上げは企業の権利だ」などとわめいて、1日あたりの原発作業員を3000人から2000人に削減している。国も東電も、労働者が黙っていたら、福島第一に必要な財政や抜本的な体制をとらず、20㍉SVの地域に住民を強制帰還させ、36万の子供の対策も何ひとつとりはしないだろう(地裁郡山支部は12月16日「疎開の仮処分」申し立てを却下した)。住民を大量被曝させて、闇から闇に葬ることが野田式帝国主義式「事故収束」だ。絶対に許せない!
国と東電の首根っこを押さえつけてでも絶対に奴らに徹底責任を取らせ、全労働者農民漁民人民の生活を「もとに戻させる」。それができるのが労働組合の闘いだ。3・11国労郡山工場支部の闘いを先頭に労働組合がこぞって3・11郡山集会に結集しよう!

(2)警戒区域への自衛隊再投入と兵士の大量被曝・ 全国の労働現場に被曝労働が拡大
危機にのたうつ野田政権は、自衛隊兵士を動員し、「事故収束」「除染」デマゴギー、「復興イデオロギー」で住民の分断と組織化をはかっている。日本帝国主義は未曾有の危機に突入しているからこそ、自衛隊に軸足をおき、兵士を利用し使い捨て、延命をはかる動きを強めている。軍隊の比重が高まっている。
12月7日から19日まで、地元福島の第6師団44普連(福島)6特連(郡山)900人が、楢葉町、富岡町、浪江町、飯舘村の各役場に入り、文字通り人海戦術で「除染活動」を実施した。6特連の兵士の活動時、富岡町役場の空中線量は毎時7~8μSV(年間換算40㍉SV)、局所的には10μSV。作業は、「全員が防護服とマスク、スコップ・ほうき・金属ブラシなどの手作業で、側溝の泥をすくい、落ち葉を集め、放射性物質がしみこんだ草地を土ごと掘り返し、アスファルト部分は高圧洗浄機を使って洗う」「(汚染された)玉砂利を詰めた10キロほどの袋のバケツリレーする」。しかし「除染」による低減効果は未知数で、連隊長は「目を閉じて掃除しているようなものだ」と証言している。
大規模災害派遣命令終結後の8月1日以降は、地元福島の6特防(第6師団)が中特防(中央即応集団)を引継ぎ、福島第一対応と県内7ヶ所の除染所の運営を指揮してきていた。特に警戒区域への一時帰宅者への除染所開設は兵士にとって一日も休みなしというような状況であった。この第6師団の「4役場除染」時(44普連・6特連+6特防隊員も編入)の12月は、青森の第9化防隊が除染所の配置についた。第6師団の兵士達は3・11原発事故発生時、最初に大量被曝した兵士達だ(最高87・2㍉SV)。原発直下の遺体捜索にも入り、遺体の除染までやっている兵士達だ。日帝・野田政権は、今後も3度4度と「核の戦場」(福島第一含む)への突入を命令し兵士の屍の上に延命を図ろうとしている。これは、原発企業の三菱や東芝、ゼネコンやJRなどをぼろ儲けさせ、福島県民と全人民を被曝させ、全国の労働現場に被曝労働を強制するものだ。闘う労働組合建設が今、兵士を含む全人民の命運を死活に担うものとなっている。
54基の原発のほとんどを建設してきた3大ゼネコンは、今度は1兆円の「除染ビジネス」を独占し、がれき輸送ではJR貨物が10月12日名乗りを挙げた。「瓦礫ビジネス」も何兆円もの市場になろうとしている。瓦礫処理単価は阪神大震災時の数倍に達している。福島県の瓦礫については費用の概算も立っていない状態だ。だが既に、JR貨物は瓦礫輸送を継続し、瓦礫専用貨車の調達を図り、放射能を含んだ瓦礫輸送もOKだとうそぶいている。東京都に続いて大阪市、島田市、横須賀市などが瓦礫受け入れを表明している。
だがすでに清掃工場や産廃処分場ではセシウムなど高濃度放射能を含む焼却灰問題=清掃労働者の被曝と地元住民の被曝問題が柏市など全国で重大問題化している。これまで関東圏からの一般廃棄物の焼却灰を受け入れてきた秋田県の産廃処分場では、7月から受け入れを中止した。焼却灰が関東各地に送り返されている。清掃工場で焼却灰が満杯になり、ゴミ収拾がとどこおり始めている。新自由主義と原発事故は社会生活の基盤と機能をこのように崩壊させている。労働者階級がブルジョアジーを打倒して労働者の権力を樹立し、社会的生産と生活を一刻も早く再組織していく以外ないない状態に入っているのだ。

(写真 楢葉町役場で除染作業する自衛官)

(3)3・11郡山へ

JRは最悪の原発推進企業だ。「事故期は20~100㍉SV」などと称して、常磐線の広野町までの延伸、汚染車両の回送、原ノ町―相馬間の営業運転再開に踏み切り、JRの労働者と地域住民、乗客を被曝にさらしている。高濃度の焼却灰や瓦礫輸送の「震災ビジネス」で延命を策している。しかし、動労水戸の被曝労働に反対するストライキに続いて、国労郡山工場支部は、最高値で毎時1・80μSVにも達する(年換算15・8㍉SV)職場の除染と高被曝作業の規制などを要求して決起している。さらに全国のJR職場で被曝労働を弾劾し、偽装請負、雇い止め解雇強行との闘いが開始されている。鈴コン分会や郵政非正規ユニオンの闘いが続いている。最も過酷な非正規雇用の現場で一人の決起から強固な団結を形成し、団結を維持して闘いぬいている。闘って3・11に結集しよう!
労働組合の闘いの前進こそ、大量被曝とPTSDに苦しむ自衛隊兵士への階級的援助と激励になる。大規模災害派遣終結後の中央即応連隊(宇都宮駐屯地)ではメンタルヘルス相談が3割も増加している。被曝した即応連隊兵士など210名が、今度は世界一危険な南スーダンPKO一次隊の主力部隊として1月中にも出発しようとしている。3・11郡山集会は福島や宇都宮、全国の自衛隊兵士とも連帯する大集会である。ともに闘おう!
(長原)

————————————————————————

沖縄のAさんへの手紙
「米軍基地撤去」が「和平拒否」「解雇撤回」「全原発の即時廃止」の闘い

侵略戦争の末路、米帝は叩き出された

沖縄の空はどこまでも青かったとAさんは言いました。2001年の9・11の時は確か高校生でしたか。「テロ絶滅戦争」と称する10年に及ぶイラク・アフガニスタンへの残虐極まりない米帝国主義の侵略戦争は果てしなく続きました。03年以降の米軍の死者は4400人を超え負傷者はPTSD含め数十万人で軍解体状況。一方、イラク側の死者は09年1月までで推計133万9771人、桁ちがいの数です。これが「外からの民主化」の実体です。米帝はアラブ人民の頑強な抵抗・反撃と米帝自身の財政赤字の激増で国力の消耗を深め展望のないまま昨年末、敗退へと追い込まれました。

アジアへの戦争政策の転換。北朝鮮への軍事介入を許すな!

こうした中、11月17日には米大統領オバマはオーストラリア連邦議会演説で「米国は太平洋国家」であると宣言。長期的戦略としてアジア・太平洋地域を「最優先」すると明言。今や世界最大の生産基地・中国との対峙・対決政策に大きく転換し東アジア・太平洋地域の勢力圏や市場の争奪の中で延命しようというのです。この「新安保戦略」に向けて、11月上旬、米国防総省は「エア・シーバトル」(空海戦闘)なる対中軍事戦略の概要と「エア・シーバトル局」の新設を公表。これを「東西冷戦スタイルへと変える重大な転換点だ」と公言しています。北朝鮮・金正日の死はこれらの戦争的重圧の中で起きました。朝鮮半島情勢が現在、①金正日が死亡した場合、②北朝鮮国内で暴動が起きた場合、③・・・に備えた作戦計画「5029」発動下にあることに正しく戦慄しなければなりません。そして、一旦、事有れば労働組合的団結を最大の武器に侵略戦争阻止の闘いに一斉に起ちあがるということです。

沖縄と朝鮮半島の戦場化を許すな!

同じ17日に、米・豪は「オーストラリアのダーウィンに米海兵隊2500人の配置」を発表しました。これは日米安保の最大実態=沖縄の戦場化を前提にした軍事配置です。沖縄への敵の第1撃を想定し、その射程外にも「殴りこみ部隊」である海兵隊を置き、反撃と本格的侵攻に備える。沖縄海兵隊の「グアムへの移設」も海兵隊拠点の分散という同様の意図があります。因みに、グアムもダーウィンも中国の新型弾道ミサイルDF21D(通称:空母キラー)の射程外にあり、沖縄・グアム・ダーウィンのこの3大拠点が持つ軍事的威力は小さくありません。。辺野古新基地は、従来型輸送機の3倍の海兵隊員を搭載し速度は2倍、しかも航続距離が5倍(世界のどこへでも1~2日で強襲的に海兵隊員を輸送)の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを配備した最新鋭海兵隊基地として建設予定。沖縄海兵隊を「佐世保基地の強襲揚陸艦を一旦沖縄に回航して艦載する」では強襲にならない。「直接、新基地でオスプレイに搭載」し出撃する強襲性こそ新安保戦略の基軸になるというのです。そして原子力空母も接岸可能な軍港も備えるなど将来の増強を見越して巨大な軍事基地として建設されようとしています。

沖縄の切捨て・売り渡しとその追認の強制

太平洋戦争敗戦の半年前の1945年2月、前首相近衛文麿は『近衛上奏文』で「軍部赤化論」と「共産革命脅威論」から連合国側との早期講和交渉を昭和天皇ヒロヒトに提案。しかし、ヒロヒトは「もう一度、戦果をあげてからでないとなかなか難しいと思う」と回答(『木戸幸一関係文書』)。そのために沖縄戦では県民の3人に1人が犠牲になり、その後の軍事占領につながりました。
もう一つは、同年9月の連合国軍総司令部(GHQ)政治顧問シーボルトの米国務長官マーシャル宛ての書簡にあるGHQマッカーサーへの「天皇メッセージ」です。「米国が沖縄その他の琉球諸島の軍事占領を継続するよう希望する」「米軍の軍事占領は日本に主権を残したままでの長期租借―25年ないし50年あるいはそれ以上―の擬制にもとづくべきである」と。処刑台から逃れるために沖縄を売ったこの「売国奴」の「私利」(添付のシーボルトのコメントの文言)そのものが、労働者・農民への搾取と兵役と死を強制してきた資本制社会の階級支配の本質です。

労働者を搾取し支配するための軍事同盟

日米安保は、そもそも「革命の防止」のための同盟であり日米資本による階級支配と資本主義(帝国主義)の戦後復興と再編・延命のための同盟でした。帝国主義のすさまじい軍事同盟・戦争体制であると同時に、1%の資本家階級による99%への搾取・抑圧・支配のための暴力装置・軍事体制であり、その矛先は国際的存在である世界の労働者階級に向けられてきました。

沖縄の闘いと国鉄・原発の闘い

「史上類例のない戦争の時代」(『本多延嘉著作選』第7巻)、沖縄に戦後はなく常に「戦時」でした。朝鮮戦争、ベトナム戦争、中東戦争、イラク・アフガン戦争と一環して米帝の侵略戦争は沖縄=日米安保を基軸にして遂行。 日帝にとっての唯一のアジア・世界政策である日米安保政策のもとで独自の軍事大国化をめざした中曽根は82年11月、首相に就任。その「戦後政治の総決算」攻撃が国鉄分割・民営化と沖縄への「日の丸・君が代」強制・沖縄闘争の圧殺として強行されました。核開発・原発もこの時期一挙的に推進されました。しかし、「二度と沖縄戦を繰り返さない」という島ぐるみの誓いを体現した沖縄の労働者の闘いが、その後の95年10・21県民大会10万人決起や07年9・29県民大会12万人決起を実現させてきました。15年間、辺野古への新基地建設を阻んできた根源的な力は、基地の「県外移設、国外移設」などにあるのではない。「米軍基地撤去!」の中にあります。これこそ「和解拒否」の「解雇撤回!」の闘いであり「全原発の即時停止・廃止」の闘いです。

「首を切るなら基地を返せ!

辺野古への新基地建設が大破綻する中で、民主党野田政権は多額の交付金(奴らには金しかない)の力で沖縄の中に分断を持ち込み、基地容認・誘致派を必死につくりだそうとしています。56%の地元住民が反対(『沖縄タイムス』)している八重山での育鵬社版教科書採択攻撃もこれと一体です。 子どもたちを放射能から守る福島ネットワークの佐藤幸子さんは「お金を大事にする人たちと、命を大事にする人たちの闘い」と語っています。
この間、福島の人々が「沖縄の気持ちがわかった」と口々に語り沖縄との連帯を求める声が強く上がっています。「資本主義の真の姿に真正面から立ち向かうことであらゆる力ある連帯が生まれる」。国際連帯もそうです。世界には革命の激浪が満ちています。エジプト2月革命からヨーロッパ各国のゼネスト、集会、デモの嵐。そしてロシアと中国にも。米のウオール街占拠闘争は広範な労働組合の支持・参加を通して西海岸のILWU(国際港湾倉庫労組)に伝播しアラスカ、カナダからメキシコ国境まで北米西海岸の全港湾の封鎖・占拠の闘いに発展しています。多くのベトナム帰還兵とイラク帰還兵も労働者としてこの闘いに合流しています。
「かつての全軍労牧港(まきみなと)支部青年部の『解雇撤回・基地撤去』『労働者は死んではならない。死すべきは基地だ』という闘いを階級的労働運動路線(動労千葉型労働運動)のなかで、今こそ復権していくことです」「沖縄では『基地労働者が動くとき、沖縄労働運動も動く』と言われています。問われているのは労働組合です」「基地労働者こそプロレタリア世界革命の主体である」(『Rise』11号「朝鮮侵略戦争下の基地労働者の闘いと課題」基地労働者・M)。労働者兵士行動委員会は基地労働者と共に闘わん!
(岐部)

——————————————————————————

南スーダンPKOへの自衛隊派兵を徹底弾劾する!

内戦は終結していない

野田政権は11月1日の閣議で、南スーダンPKO(国連南スーダン共和国ミッション・UNWISS)への自衛隊派兵を決定し、新年早々にも派兵が開始されようとしている。来年5月には北部方面隊を主力に330人規模の部隊が送られることになる。
南スーダン派兵は、実はこれまでのPKO派兵の中でも、最も行き当たりばったりの企てだ。秋に派遣された政府調査団の調査結果も評価も明らかにされず、国会での議論もない。派兵に慎重な防衛省を、野田政権・外務省が押し切ったという。
南スーダン派兵の論議にともなって、前原・民主党政調会長が武器使用基準の緩和を主張。今回は基準の緩和を行なわないと決まったが、「一般市民の保護」のために「必要なあらゆる手段」を認める国連安保理決議1996に沿って派兵を強行すれば、緩和は必要との声が噴出する状況に陥るのは明白だ。スーダンの内戦は終結していないのだ。

北海道新聞の社説は、「始まったばかりの国造りを支援する意味は大きい」と派兵を前提化し、「隊員の安全を最優先に」と主張している。安全でないなら派兵すべきではない。どのマスコミ報道も、「南スーダンの住民はイスラム原理主義の圧制から独立で逃れたが、インフラが未整備で大変だから助けよう」と言っているが、その地下に石油などの資源が眠っていることをまったく論じない。
確かに南スーダンは内戦で国土が疲弊し、国連はインフラ整備が急務としている。日本の1・7倍の国土に舗装道路は70キロ。「ニーズは無限にあり、簡単には撤収できない」(防衛省幹部)。政府は、「将来は政府開発援助(ODA)と連携した効率的なインフラ整備への移行によって、部隊撤収の環境整備を図るものとし、当面は半年~1年の活動期間で、現地情勢で延長の是非を判断する」という。どういう状態で完了するか明らかにしていないが、現地に根を下ろすことで地下資源の略奪を狙うということだ。
日本のPKO派兵で初の内陸部への展開となる。政府の説明は、輸送ルートがないため、隣国ウガンダで大型機からプロペラ機へ積み替え、最終的には陸上輸送するしかないなどと実にいい加減で、何の見通しも立っていない。バングラデシュ部隊の撤収後にその宿営地を利用するとの目算も、同部隊の撤収の遅れでいきなり頓挫している。

PKO派兵は石油略奪のための侵略戦争だ

20年の内戦を経て7月に独立、だが8月には東部で民族間の衝突があり、約600人の死者が出た。閣議決定の直前の10月末には、北部で反政府勢力の襲撃事件が起きている。11月には再び北部で戦闘があり、スーダン軍が空爆を行なった。南部の治安は安定していると言われるが、米帝の石油略奪戦略の生み出した新国家の存在そのものが不安定要因なのだ。
スーダンは石油資源やレアメタルの宝庫と言われているが、アメリカによる「テロ国家」指定で国際的に孤立した。その隙をついて90年代末に中国が接近し、最大の投資国になっている。中国はすでに数万人の労働者を派遣し、スーダン軍を育成し、国連スーダン派遣団にも5000人を送っている。

決定的なことにスーダンの地下資源は開発の遅れている南部に集中しており、南スーダン独立にともなう日本の派兵は、中国の独占的利権を掠め取るということである。南の石油資源を、北は放棄するとは言っていない。この派兵は、確実に戦闘に巻き込まれるだけでなく、南西諸島に続く石油をめぐる新たな対立を生みだし、日中の緊張を激化させる。資源略奪のための侵略戦争、南スーダン派兵を絶対に阻止しよう!
(鈴木)