会報 第16号

第16号 2011年11月10日発行

守るべきは「国益」ではない 労働者階級の団結と闘いだ!

11月6日、歴史を分かつ新たな国際的階級闘争の先頭に、フクシマの根底的怒りと結合した闘う労働組合・労働者、農民、漁民、そして元自衛官達が起った。さらに世界各地の闘う労働組合・労働者が大挙結集し新たな戦闘宣言を発し、大地を揺るがす断固たる大デモを勝ち取りました。本格的全面的な階級的労働運動の白熱的爆発はこれからです。青年労働者を先頭に原発再稼働阻止!野田民主党・連合政権打倒!に断固突き進もう!

9・11ー9・19の明治公園を埋め尽くす反原発全国一斉行動の後、「チェルノブイリ・ハート」を見ました。原発事故後に生まれた赤ちゃんの内、生まれながらにして心臓に穴が空いているその深刻な症状を「チェルノブイリ・ハート」と呼ぶそうです。実に重く深刻なノンフィクション映画でした。内部被爆・放射能汚染の現実。それは、過去の話ではなくて、チェルノブイリに続く福島第一原発事故がもたらしている現在進行中の深刻な問題です。おおげさな話ではなくて、人類の命と未来が、子供達・青年達の命と未来がかかっているからです。

すべての原発をただちに停止・廃炉にするということは、原発・核を必要とする今日の社会の在り方を、世界の労働者民衆の階級的団結で根本から変えてゆく絶対に譲れない問題であり闘いです。経済を優先する限り、また、国益をめぐる軍事的衝突では、事態は益々、取り返しのつかない破滅の事態に陥って行きます。
世界大恐慌が益々、激しく深刻化し、政府・資本家連中・体制内労働組合指導部は、「日本経済が破綻してもいいのか!」と権力を嵩に弾圧します。わたしたちは「それでいいのだ!」と断固言い切らねばなりません。そんな社会は根本からひっくり返さない限り、人間らしく生きることはできないからです!大恐慌下の3・11から8ヶ月。今、人類に突き付けられている問題と課題は、そういうことだと思います。
そうした時、原発・核・大失業・戦争を押しつけようとする政府権力・大資本・体制内労働組合指導部との非和解的激突とならざるを得ません。既にその階級的非和解の闘いは、日本で韓国で中国でヨーロッパでアメリカでも始まっています。 その闘いの成否が、まさに日本の闘う労働組合と労働者階級の固い階級的・国際的団結とその闘いにかかっています。自衛官とその家族のみなさんとの団結もその中にあります。

自衛官の皆さんに特に訴えます。時代はまさに、国家的破綻を革命に転化すべき時代を迎えています。守るべきは「国益」ではなくて、「国益」を越えた労働者階級の団結と闘いです。弾圧する側にまわっては絶対にいけない!労働者階級の一員として団結しよう!ということです。そこにこそ本当に命を懸ける価値があります!
団結し、原発再稼働阻止!野田民主党・連合政権打倒に断固突き進もう!
(杉橋)
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隊員の大量被曝で危機深める自衛隊

労働者階級本体の本格的決起が開始

3月11日の東日本大震災、福島第一原発事故の発生から8ヶ月。「冷温停止状態」とか「避難準備区域解除」の宣伝とは正反対に、破壊された格納容器から放射性物質が放出され続けています。10月24日の「産経新聞」ですら、原子炉建屋への地下水流入が続き、高濃度の水素が複数の配管内にたまり爆発危機が続いている、これらは「いずれも放射性物質の大量放出につながりかねない問題」と報道しています。溶融した核燃料が格納容器底部を突き破り厚さ3㍍のコンクリートをどれほど侵食しているのか、核燃料の現在の状態も定かではありません。
確実なことは、放射能は東日本全域に拡がり数千万人が被曝していることです。セシウム137の海洋流出量は「東電発表の20倍」で過去最大規模(仏研究所)。大気中への放出量も過去最大規模。文科省は6~7月の調査で、福島第一原発から100㌔圏内の100ヶ所で土壌を採取し45ヶ所でストロンチウムを検出、それは郡山市と福島市のはるか北の宮城県境でも検出しています。プルトニウムは浪江町、飯舘村など6ヶ所で検出し、専門家は「非常に小さい粒子になり運ばれた」としていて超重大です。
(※半減期50日のストロンチウム89が「6~7月時点で検出」とあり、いつ放出されたものなのか?3月爆発時の放出量は?)。
事故直後の水素爆発などが続いていた時期、政府の情報隠蔽によって、浪江町津島や赤宇木、飯館村には、原発10キロ圏内や南相馬市の住民計8000人以上の避難者が地元住民とともにとどまっており、内部被曝している可能性が非常に高い。政府の情報隠蔽によって、福島市や郡山市の子供と親たちも野外で被曝している。福島の子供からは甲状腺異常が報告され始め、南相馬市の内部被曝検査では、小中学生(529人中)の半数からセシウム137を検出。さらに被曝は清掃、食肉、水道、輸送など東日本のさまざまな労働現場に広がっています。しかし政府は、「100㍉でも安全」とか「除染は合理性の範囲で」「汚染土の処理に30年」「廃炉に30年」などと発表しています。だから、もはや資本主義の「経済性」の枠内では、解決できる問題は一つもない。
『絶対に解決するために必要なことは必ずやる』という立場でしか実現しない。労働者が団結し社会を再組織していく以外ないということです。
それには「福島の怒り」で私たちが本当に決起することだと思います。9・19明治公園6万人集会に示されたように、「福島の怒り」と固く結びつき、体制内労働組合指導部をのりこえた、労働者階級本体の反原発・反失業の本格的決起が遂に開始されています。10年を超える動労千葉の外注化阻止闘争の勝利と動労水戸の「広野町までの営業運転再開反対」「被曝労働阻止」「検収業務外注化阻止」ストライキの勝利が反原発・反失業、プロレタリア革命勝利の展望を示しています。

階級的労働組合運動の前進が兵士への階級的援助と連帯

3・11に真っ向から立ち向かい、階級的労働運動の土台における前進とプロレタリア革命の勝利の立場にたち、自衛隊兵士との団結をかちとっていくことができるのだと思います。
第12旅団、13旅団、第一空挺団、中央即応連隊、44普連(福島)などの自衛隊兵士は、3月の事故発生直後から3ヶ月間南相馬市の「サテライト鹿島」などに駐屯し、宿営生活を続けていました。中特防の除染所は南相馬市でも警戒地域の小高地区に隣接した「馬事公苑」にあり(県道の「立ち入り禁止」の検問所は100メートルも離れていない)、若い兵士が野外で活動していました。やはり第一空挺団が駐屯していた「原町高校」は、今月開校のための「除染」作業を進めたと新聞記事にあります。「サテライト鹿島」から6号線を南下した「小田島」交差点に打ち上げられたままになっていた漁船もボランティアによって「除染」が「始まった」と新聞記事にあります。要するに「危険ゾーン」だということです。
自衛隊員も、飯舘村や浪江町の避難民や住民と同じように被曝しているのではないか。若い兵士たちの状態は、使い捨てにされている非正規の労働者と全く変わらないと実感しました。彼らは遺体捜索で原発直下まで入り、写真や財布などの遺留品を収拾しています。市民が遺留品展示場に入ってそれを見る時には、マスクとゴム手袋をつけることが要請されていました。
(写真 高濃度汚染区域に向かう第一空挺団)

政府と防衛省が自衛隊員の被曝で明らかにしているのは、3月12日の1号機爆発関連で被曝した郡山駐屯地と福島駐屯地の12名の隊員、3月14日の3号機爆発時に被曝した中特防の4名の隊員のみです。しかし自衛隊員は3月11日の直後から第一原発と第二原発で対処活動を続け、3月17日のヘリ放水、その後長期に敷地内での地上放水活動を展開しています。9・1の「朝雲」1面報道で、被曝とPTSD問題が自衛隊にとって「総合的、中・長期的課題」であるとまで確認しています。兵士の大量被曝問題とPTSD問題が自衛隊と国家を揺がす大問題になっているのです。兵士の被曝実態を徹底的に明らかにさせていこう。
最後に絶対に曖昧にできないことは、3月14日午後から15日にかけて発生した2号機の大爆発と東電の県民置き去りの「撤退通告」、統合任務部隊司令部による「100キロ退避」発令と郡山駐屯地まで撤収という事実です。文科省などの原発関係者も福島県庁に引き揚げています。9月9日「東京新聞」記事に明らかなように、国家は200万県民だけに事実を知らせず棄民したという厳然たる事実です。この時菅首相が東電に訓示したことは、「第一原発が崩壊し東日本が壊滅してもとどまれ」そうしないと「外国がのりこんでくる」「日本が国家として成り立たなくなる」だった。数千万人を犠牲にしてもなお成立をはかるような国家は即刻打倒しよう!分割・民営化以降25年膨大な労働者が非正規に突き落とされ殺され、01年対テロ戦争突入で多くの自衛隊兵士がPTSDや自殺に追い込まれ殺され、3・11では遂に2万人に迫る人民が虐殺された。そしてさらに、原発危機で体制の存亡の土壇場までおいつめられた日帝は、自国の数千万人の労働者人民を被曝にさらして延命する方針を意識的にとったのだ。3・11で日帝は激しく「転換」した。第一師団の前方展開配置方針に明らかなように、労働者人民の怒りの爆発を前に治安出動態勢に完全に入った。しかし労働者と兵士の怒りは同じだ。共通の敵は日帝だ。兵士の皆さん、団結して日帝打倒に決起しよう!
(長野原)
(写真 爆発で崩壊した3号機建屋に放水する陸自

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動的防衛力への構造改革推進と南西諸島への自衛隊配備を
反原発と階級的労働運動の前進で阻止しよう

8月、「防衛白書」と共に構造改革推進委員会が「防衛力の実効性向上のための構造改革推進に向けたロードマップ」の報告書(以下「報告書」)を出した。
報告書を貫くのは、陸海空自の「統合機動力の運用体制の実効的強化への改革」である。そのために「人的基盤の抜本的改革」を打ち出している。要するに戦争のできる軍隊化であり、そのために兵士の「精強化」を目的に年齢構成の見直しと活性化の制度改革を打ちだしている。

帝国主義軍隊化に向けた兵士・部隊の精強化

自衛隊23万人の総力動員という3・11の実戦と教訓に踏まえ、①五方面隊の全国単一の統合指揮運用への組織構造改革、②南西諸島への陸自、空自の配備と南西方面の出撃拠点基地建設、③日帝政経中枢防衛にむけた対テロ部隊の3キロ圏内への前方配備、これらを中心に、④国家財政の危機による装備充足の遅れを民間力の動員で強化する(輸送力など)、⑤高々度無人機導入の本格化と通信・情報態勢の強化、⑤武器輸出三原則の見直し、そして⑥対原発対処兵力として陸自109人増員などの構造改革の推進を打ち出している。

人的基盤の見直し

実戦部隊化への人的基盤の見直しと制度改革は、①士の増勢、幹部及び、幹部曹士の活性化、階級・年齢構成の見直し、准尉の廃止と上級曹長(仮称)の新設である。これは、「高齢化する自衛隊の現実」を見直し、18歳から27歳未満の青年自衛官の比率を上げるということだ。 要するに世界恐慌と3・11情勢下で問われている自衛隊の軍隊化・精強化=若返りを確保・育成する基盤を構築し、これまでの自衛隊のあり方の根底的転換を目指している。②士の増勢は年齢と階級構成比率の変化を伴い、幹部・曹クラスの早期退職制度が導入される。制度導入にあたっては、「旧国鉄改革や国の行政機関における配置転換、国家公務員中途採用者選考試験の事例を参考に」推し進め、早期退職者の「生活基盤の確保」という名目で、自治体など公的部門の組織に退職自衛官を送り込むことが目論まれている。これは、有事対応、危機管理、自治体労働者の総動員体制の実効化をも目指す構造改革である。さらに③後方任用制度の導入である。「新大綱」「新中期防」では、「第一線部隊等に若年隊員を優先的に充当するとともに、その他の職務について『最適化』された給与等の処遇を適用する制度を設計・導入するなどの人事制度改革を実施する」とある。具体的には「身分変更型(新たな再任用型)」「処遇変更型」が導入され、24時間勤務体制、「検証・評価」制度、「適正化」による給与削減と非正規化だ。これは自衛隊内への新たな分断と競争原理の導入である。

要するに自衛隊の帝国主義軍隊化を防衛予算における総人件費の抑制、つまり早期退職=首切りと非正規化で強行しようとしているのだ。これが没落・破綻した日帝・新自由主義の帝国主義軍隊化路線であり、徹頭徹尾、兵士と労働者への犠牲と使い捨てのうえで延命せんとあがいている姿である。まさに「経済特区」「成長戦略2011」「報告書」は一体であり、一体的推進が目論まれている。

指揮・命令系統の暴力的徹底化と絶対服従の強化

この構造改革は、同時に、指揮命令系統の暴力的徹底化と任務への絶対服従の軍令強化として貫徹・推進されていく。すでに具体化している。陸自北宇都宮駐屯地での「勤務計画に違反した」として陸曹3人が停職と戒告の懲戒処分を受けている。3・11情勢下の総力動員と駐屯地警戒任務で「方法と時間の変更」を上級司令に「報告することなく実施した」ことにより「結果的に警戒しない場所や時間が生じた」として、中央即応連隊約700名が配属されている宇都宮駐屯地で1等陸曹(46)定職8日、3等陸曹(29)同4日、2等陸曹(女性40代)に戒告の懲戒処分が下されている。

南西海域方面への自衛隊配備

「新大綱」「中期防」、「防衛白書」「報告書」は「動的防衛力」への転換として対中戦争の最前線拠点化として「南西諸島への配備」を前面に推し出している。

 南西諸島配備の具体的内容

(1)与那国島の掃海拠点化
オバマは9・11米同時テロ10周年を前に9・11以降、展開してきた世界的規模の対テロ戦争を転換した。新戦略は情報機関や特殊部隊の活動を重視し、国際テロ組織アルカイダとその系列組織に焦点を絞った対テロ戦争を進める方針を打ち出した。この戦略転換の根底にはチュニジア・エジプト革命と米帝の国家財政の危機、そしてイラク・アフガン戦争での敗北がある。同時にそれは、激化する対中国情勢に規定された中国に対する経済的軍事的包囲網強化への絶望的な転換でもある。
米議会の米中経済安全保障再検討委員会で、米軍の対中国有事に対応する上で機雷と対艦ミサイルは脅威の一つと認定している。与那国島の自衛隊配備・拠点化は、中国の機雷を除去し、米艦隊の自由な作戦行動を確保すると同時に、大型艦が入港可能な石垣港も含め先島諸島全体を前方展開の重要拠点化が策定されている。
自衛隊の南西拠点化は、日米「共通戦略目標」(2プラス2)の対中国・朝鮮半島戦争に向けた戦略的再編の一環であり、3・11以降、南西海域への配備・拠点化の動きは沖縄辺野古基地建設と嘉手納・普天間基地の再編強化攻撃と一体で推進されている。野田政権はアセスメント評価の年内提出で辺野古基地建設攻撃を推し進め、与那国島の土地購入と新駐屯地建設費の一部として15億円を防衛費に盛り込み、「配備時期は2015年度末」と4年後までに隊舎やヘリポートを整備し、武装部隊が中国艦船の監視にあたる具体的方針を打ち出している

(2)3・11直後の陸・海・空自統合指揮運用部隊と米4軍統合の合同作戦という戦後空前の「国内戦争」を頂点に、すでに昨年末から3・11以後も実戦的な「離島奪回作戦」という「上陸訓練」が推し進められている。

(3)釣魚台(尖閣列島)・東中国海をめぐる勢力圏化で情報収集・警戒監視体制の整備・強化に加え、①与那国島に約100名規模の陸自・沿岸監視部隊を配備する。空自配備の準備も進められている。現在、南西方面における空自の最先端配備基地は宮古島分屯基地。与那国島への部隊配備は対中国戦争の戦略的な最前線基地となる。②中国有事に備え初動実戦部隊を新設する。宮古・石垣両島への陸自部隊の段階的配備である。200人規模で編成される普通化中隊で「武装ゲリラなどの侵攻に対する初動対処を任務」とする部隊だ。有事の際は北海道の戦車大隊を含む陸海空自兵力を沖縄・南西海域に輸送する民間輸送力の動員と法整備も進められている。③移動警戒Xレーダーを与那国島に配備し、2000m以下の低空で接近する航空機とともに海面を航行する船舶を監視する。Xバンドレーダーは波長が短く細かい識別が可能だ。与那国島の最高峰・宇良部岳(231メートル)に設置すれば、夜間・濃霧時でも情報収集は可能となる。④南西方面に早期警戒機(Eー2C)を配備する基盤整備を行い、常時継続的運用態勢をも確保する。Eー2Cの航続距離は短い。Eー2Cの南西方面におけ24時間空中監視態勢構築に向け3000メートル滑走路を備えた下地島空港の使用やEー2Cの移駐配備が画策されている(※ 71年屋良覚書の破棄)。報告書はこの4点を示し平素からの臨戦・戦時態勢の構築を目指している。
これらを阻止、粉砕する根底的で普遍的な力は、本土・沖縄を貫く反原発闘争と階級的労働運動の一体的前進である。労兵の人間的解放もこの中にあります。労兵は、共に進撃しよう!
(滝山)

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「経済特区」攻撃粉砕・新自由主義打倒
ストライキで階級間戦争に勝利しよう

「復興特区」攻撃は「惨事便乗型資本主義」そのもの

10月28日、日帝・野田政権は、「復興特別区域(復興特区)」法案を閣議決定し、国会に提出しました。「復興特区」攻撃は、原発の再稼働、TPP(環太平洋経済連携協定)と一体であり、日帝ブルジョアジーの延命をかけた絶望的な新自由主義攻撃です。3・11大震災と原発事故を利用し、「復興」の名のもとにあらゆる規制を撤廃・緩和し、民営化をさらに推し進め、非正規化を推進し、道州制の導入をめざすものです。 この攻撃の核心は、労働基本権の剥奪による労働組合の解体・絶滅であり、工場法以前の労働環境を強制する中で資本が搾取と収奪のフリーハンドを得ようというものです。
ナオミ・クラインが、彼女の著書『ショック・ドクトリン』の中で、新自由主義の本質を、戦争、津波やハリケーンなどの自然災害、政変などの危機につけこんで、あるいはそれを意識的に招いて、人びとがショックと茫然自失から覚める前に過激な経済改革を強行し、人々を支配していく「惨事便乗型資本主義」と暴いていますが、まさに「復興特区」攻撃は「惨事便乗型資本主義」という新自由主義の極致ともいうべき攻撃です。

「復興」とは、日帝ブルジョアジーの「復興」=延命のこと

「復興」とは、被災地の復興では断じてありません。日帝ブルジョアジーの「復興」=延命ということであり、反革命攻撃・階級戦争そのものです。 5月27日、日本経団連は「復興・創生マスタープラン~再び世界に誇れる日本を目指して~」(以下「プラン」)を発表し、9月16日には「経団連成長戦略2011‐民間活力の発揮による成長加速に向けて‐」(以下「成長戦略」)を発表しました。これらこそ、3・11情勢下の日帝ブルジョアジーの延命のための行動指針であり、野田政権の反動政策の基底にあるものです。一読しただけで心底から怒りがこみあげてきます。絶対に粉砕あるのみです。
「プラン」は、〈Ⅰ.被災地域の復興〉、〈Ⅱ.日本経済の創生〉の二部で構成されています。日本経済の再生こそ根本であり、それを一切の価値基準として「復興」を考えていくこと、そのためにはこれまでの社会の在り方、すなわち労働者の基本的権利や小商品生産者、農民、漁民の在り方の根本的転換をやって、グローバル競争に勝ち抜けるような地域、国を「創生」すると宣言しています。ここには幾万人もの犠牲者を出すに至ったこれまでの地方の分断・切り捨てへの一片の反省もなく、居直り、むしろ大震災を奇貨として「政治の強いリーダーシップの下で」(=強権的に)、資本の下に地域を支配・経営させろ(=道州制)と、日帝ブルジョアジーどもの「復興」の基本姿勢を「提言」しているものなのです。

労働基本権の解体

「プラン」の核心になっているものは、「震災復興特区の指定」ということであり、本文とは別に添付されている「別添2『震災復興特区制度の骨子』」の「特例措置の例」で、全面的な規制緩和と労働基本権の解体をあからさまに列記しています。とりわけ「雇用の維持・確保に関する措置」として、「36協定限度時間の緩和、特別条項に定める時間外労働時間の延長時間規制の緩和」、「1年単位の変形労働時間制の弾力的運用」、「期間の定めのある労働者の雇用期間上限緩和」、「労働者派遣法における専門26業務に関する弾力的運用」と挙げていることは重要です。労働基本権を解体し、「9割非正規化」をおこなって、収奪・搾取を資本のほしいままにするということです。

丸ごと民営化・道州制

さらに「民間活力の活用」ということが非常に強調されています。被災地丸ごと民営化を要求し、復興を資本の利潤追求の場としてやりたい放題をするということです。
またこの「復興特区」は、「成長戦略」の「産業クラスター」と同義であり、道州制の核心です。「復興特区」を突破口として、360万公務員の解雇・非正規化を強行して道州制を導入せんとするものです。

低賃金化

日帝ブルジョアジーにとって、「総人件費」の抑制(=賃下げ)こそ、他帝国主義や中国スターリン主義と競争し、生き残っていくための最も根本的課題です。没落・脱落しつつある現在の日帝には、TPPに参加し、米帝のブロックに入り、アジア並みの低賃金によって競争をして勝ち残っていくことが、今や唯一の延命策ともいえるものです。「立地コストの比較」表を掲げ、「労働コスト(賃金)を100分の7に、法人税を100分の42に、土地代を100分の5に、物流コストを100分の38」に下げろ、と要求しています。被災と原発事故による失業の増大につけこみ、生きることすらできないような低賃金を被災地の労働者に強制し、それを突破口として、TPPによって全国に拡大することを狙っているのです。

TPP

「プラン」はTPPを前提化し、一体となった攻撃であり、農業の市場開放の突破口です。「力強い農業を実現」し、「競争力強化に結び付けていく」ということで、生き残る可能性があるのは一部の農業企業体だけで、競争力のないこれまでの農業は壊滅します。そもそも農業は、高齢化、後継者不足で壊滅の運命にあったのだとうそぶいている。労働者階級と農民漁民の敵は一つです。労働者と農民漁民にとって、TPP粉砕は「生きさせろ!」の闘いそのものです。
原発の再稼働・輸出を狙うこの「プラン」には、「原発事故からの復興」ということが一言も書かれていません。原発事故にふれているのは、〈Ⅱ日本経済の創生〉の「3日本ブランドの復活」の章で「風評被害対策」として言っているに過ぎません。4基もの原子炉が爆発し、メルトダウン・メルトスルーにまでいたり、おびただしい放射能をまき散らして、今なお収束には程遠い、この未曾有の原発の大事故を、「放射能漏洩事故」と言い、大地震と大津波の甚大な被災の上に放射能をまき散らし、職場も学校も、農地も山も海も、生活そのものを奪った原発事故を、「風評」と呼ぶブルジョアジーどもは絶対に許せません。労働者や農民、子供たちが、被曝し、殺されても、利潤追求に転化するのが新自由主義であり、「プラン」で「原発事故から復興」させたいのは、フクシマではなくて「原発」と「原発の輸出」なのです。
「成長戦略」では完全に原発再稼働・原発輸出をぶちあげています。「わが国のエネルギー供給体制の現状を踏まえ、定期点検終了後、停止状態にある原子力発電所を、…順次速やかに再稼働していくことが重要」、さらに「世界最高水準のエネルギー・環境技術に一層の磨きをかけ、競争力の強化を図り、エネルギー関連産業の振興につなげていく。…積極的な海外展開を図る…」。現在、インドやベトナムへの原発輸出の協議が再開・継続。さらにトルコへの輸出交渉も再開されました。10・1「緊急避難準備区域解除」は、原発輸出と再稼働に向けた攻撃そのものなのです。フクシマの怒りと連帯して、再稼働を絶対阻止し、全原発を廃炉にしよう。

反原発・非正規職撤廃の闘う労働運動が、新自由主義の特区攻撃をぶち破る。
「プラン」「成長戦略」の特区攻撃は、3・11の「恐怖と衝撃」につけこんだ新自由主義の攻撃です。フクシマの怒りと一体となった労働組合の闘いが、新自由主義を打ち破る労働者階級の武器だ。ナオミ・クラインは、「ショックに打ち勝つ最善の方法は自分に起こったことを知ること」と言っています。階級的な労働組合ほど、時代認識を鮮明にし、敵・資本の攻撃についてよく知っているのです。外注化と被曝労働に対し、2波のストで闘った動労水戸の闘いに続き、自分の職場・生産点から、闘いに立ち上がっていこう。
(三里塚・川森)

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職場での団結に依拠し、徹底的に闘い労働組合の復権を!

西部ユニオン・鈴木コンクリート分会 書記長 吉本伸幸

私達の職場は、3ヶ月雇用の非正規職場です。ワンマン強欲社長が牛耳る生コン職場で、仕事はミキサー車の運転です。
25年前の国鉄分割民営化から始まった労組潰しと民営化、新自由主義攻撃の嵐の中、小さな民間の生コン職場も偽装請負、非正規化、安全無視、労基法無視が吹き荒れ、賃金や雇用がメチャクチャにされてきた。しかし職場に労働組合を作ろうという動きは皆無。それどころか会社は職場の労働者を分断しお互いを敵視させるように仕向けてきた。それに拍車をかけたのが08年のリーマンショクからの大不況。建設業界も大打撃を受けた。職場も今まで以上に雇用の締め付けが激しくなり、仕事が無いときは雇用条件に無い代休を強制し、極めつけは賃下げの強行です。もちろん有給休暇はなし。残業代はドンブリ勘定、会社にもの言えば解雇の脅し、史上最悪の状態になっていた。
しかし、この独裁会社に労働者の積年の怒りがついに爆発し、クビを覚悟し、団結して立ち上がり、09年7月5日、ついに職場で組合を結成した。
団体交渉や職場での力を労働者が取り戻しかけていました。しかし、経営者は金で仲間を篭絡し、分会員を見せしめに解雇し、組合は壊滅寸前に追い込まれた。だが、組合解体攻撃と仲間の解雇に怒りを持たない労働者は一人もいない。そして、再び6人の仲間が分会を復活させた。、解雇撤回と原職復帰、労働委員会闘争、裏切り者と資本・管理職らとの非和解的闘い、職場での団結強化と組織拡大闘争を続けながら現在に至っています。

ストライキに決起!

残念なことに今年8月、解雇撤回と原職復帰を闘い抜いてきた仲間が急性脳梗塞で亡くなりました。仲間の無念の意志を引き継ぎ、我々分会は会社に対し即時解雇撤回と謝罪を要求した。だが、会社はそれを拒否した。それどころか鈴コン資本は賃下げを強行してきた。我々は会社の一方的賃下げに抗議し、ついにストライキに決起した。その闘いの中から新しく入社した仲間が会社に怒り、分会に結集した。これに恐怖した会社はストライキを違法とし、不当にも分会全員に出勤停止処分攻撃をかけ、なんと新人組合員に対する解雇予告と、その翌日には自宅待機処分をかけてきた。ストライキに対する解雇攻撃は会社の恐怖の表れです。我々分会は出勤停止処分の間、社前闘争、駅前街宣、地域ビラまき、本社抗議行動、労働委員会や労基署、裁判所への提訴を全力で闘い抜いています。
9・19の6万人デモ、NYの「ウォール街を占拠せよ」のデモ、労働者が団結し立ち上がれば必ず社会を変える事が出来る。そして、フクシマ原発事故が示す事実は、国家と東電は資本の儲けのためであれば、人間や生き物の命など一切、考えていないということです。そして、核・原発と人類は共存できないことがわかりました。今こそ世界の原発を全て廃止、廃炉に!迷わず労働者の団結にかけこの道を突き進もう!
鈴コン分会はこの間、資本との全面戦争を闘い抜き確信したことがある。それは会社が恐怖するのは職場の仲間が団結し、労働組合に結集することです。

職場から組織せよ!

2組も存在する。過積載違反に目をつぶり、資本からの特別手当で奴隷になりはてている2組の奴らと、徹底的に闘えるのは我々、闘う労働組合だけです。
職場の仲間の組織化にかけきる。団結の拡大に真の労働組合の姿がある。その力が職場支配権を奪い、社会を変えていく力だ。時代はまさに革命期。職場から地域から労働者の団結に依拠し闘う労働組合を組織しょう。そして労働組合だけでは革命は勝利しません。そこには、労働者党と武装した労働者の仲間、自衛官の闘いが不可欠です。革命の扉は開かれた。職場から組織せよ。今だ!!
万国の労働者団結せよ!

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―自衛官との団結は職場の団結から始まる―

発行:労働者兵士行動委員会
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〒105-0004   東京都港区新橋2-8-16 石田ビル4階 tel:090-1597-7425
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