会報 第51号

Rise 第51号 2018年10月10日発行

アメリカ帝国主義の対中国軍事戦略

改憲・戦争を止めよう!

安倍を倒そう!

       

写真上:2014年の「リムパック」。各国から参加した艦艇や潜水艦を率いる米海軍の空母「レーガン」
写真下:「日本にオスプレイはいらない!」。陸自木更津駐屯地で米海兵隊のオスプレイを機体整備。日米でオスプレイが計画どおり日本に配備されれば、いずれ51機が整備で木更津に飛来する

【I】 国境を超えた労働者階級の国際連帯で プロレタリア革命へ

滝山

 安倍政権の凶暴性は脆さの現れ

 戦後最大の階級決戦に突入した。9ー10月改憲決戦から11・4、2019年統一地方選、改憲・天皇代替わり、参院選の全過程が戦後最大の階級決戦である。改憲・戦争への安倍政権の突進は日帝の脆さ、脆弱性の現れである。総裁選の結果は安倍圧勝とはならず政権の脆さを晒した。自民党支持者からも安倍は「信頼できない」として拒否された。改憲・戦争に向け突進すればするほど、そのすべての過程と凶暴性が安倍政権の脆弱性に転化する。安倍は盤石な体制で突進できていない。

改憲・戦争反対は全労働者の思い

 改憲・戦争反対は全労働者階級人民の圧倒的な思いである。
 安倍が強行する労組解体ー総翼賛化攻撃、働き方改革ー総非正規職化攻撃への労働者階級の怒りは全国の職場・生産点で噴きだしている。新自由主義への怒りは全社会・全世界で巻き起こっている。沖縄7万人の決起や沖縄県知事選の結果は、安倍政権への根柢的怒りを示した。
 新自由主義は労働者一人ひとりの人間性を破壊し、生きることすら奪っている。労働者階級への分断と破壊攻撃に対する怒りと反撃が全世界で噴き出している。労働者は新自由主義・帝国主義と闘うことによってしか生きられない。

戦後史を画する革命の時代

 米中戦争、朝鮮戦争の切迫情勢は、戦後史を画する新たな戦争と革命の時代である。
 南北会談、米中会談、中朝会談はそれぞれの自国ファーストの利害からバラバラに進み、そして破綻する。南北会談の真の狙いは、労働者の決起が朝鮮革命に発展することの圧殺にある。朝鮮半島の分断国家という歴史的特質から民族統一という「民族の念願」を利用し、煽り、体制維持と朝鮮革命の圧殺という共通の目的に韓国・文在寅と北朝鮮・金正恩が手を結んでいる。
 没落米帝の国内矛盾の爆発と残存スターリン主義の根本的矛盾の爆発は、それぞれが反労働者的凶暴性を激化させながらさらに深まっていく。戦後体制の崩壊と矛盾の根本的解決は、プロレタリア革命によってしか不可能だ。本気で革命に挑戦し、マルクス主義と行動で革命を戦いとるということだ。
 労働者階級は歴史的存在である。 階級情勢はこれまでとは画然と異なり、今までの在り方、闘い方においても画然たる飛躍と変革を求めている。改憲・戦争阻止の闘いが、戦争か革命かをめぐる階級戦争そのものとして全国で動き出している。11・4へ上りつめる大行進運動を前進させる行動と、反戦政治闘争と闘う労働組合・労働運動を全国でさらに甦らせていく拠点づくりの行動に絞り上げられている。
 
 戦争国家化にむけた戦争動員・労組解体ー総翼賛化攻撃に対し、「教え子を再び戦場に送らない」と教育現場の労働者が動き出した。「戦争の手先になることを拒否する」と自治体労働者が現場から改憲・戦争反対の闘いに立ち上げっている。
 改憲推進・徴兵制賛成のUAゼンセンの反動・反革命を職場で解体・粉砕する闘いも力強く前進している。
 職場で、街頭で、地域で、全社会で、安倍政権を打倒する改憲・戦争阻止の大運動を全国でつくり上げよう。社会のすみずみで溢れている安倍政権への根柢的怒りを一つに束ね、安倍を打倒しよう。 

改憲・戦争絶対阻止と池田自衛隊裁判は一つ

 改憲を推し進めようとしている今の流れを変えよう。
 憲法は「最高法規」。これに違反する法律はすべて憲法違反だ。「周辺事態法」や「安保関連法」、「働き方改革法」も憲法違反だ。そして戦争も憲法違反だ。安倍政権が強行成立させている法律は全て憲法違反だ。だから安倍は改憲に突進し、戦争法と自衛隊を合憲にさせ、さらに軍拡で戦争をやれる国家に変えようとしている。その行き着く先が「国及び国民の安全守る」という口実による「自衛」という名の侵略戦争と核武装だ。「国民」とは「日本国籍をもつ日本人」を意味する。在外日本人は約131万7078人(2015年外務省統計)。この「国民の安全を守る」ための「必要な自衛の措置」として戦争が世界に拡大する。
 「被爆国」である日本の首相・安倍が「核兵器禁止条約」への署名を拒否しているのはそのためだ。差別の根源・天皇制に反対し、韓国と沖縄、そして戦争と核に反対する全世界の労働者民衆と連帯して、改憲と戦争を絶対阻止する。池田自衛隊裁判と戦争絶対反対は一つである。青年と兵士の獲得へ。階級的労働運動の前進が改憲と戦争を止める武器である。池田自衛隊裁判が「戦争の実態」を示している(前号参照)。

(写真 「ミサイルNO」。南西拠点化に向けた宮古島のミサイル基地建設現場。「ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会」とともに闘おう。基地撤去。ミサイルもいらない!)

緊急事態条項は内閣の憲法停止権限=ナチス的独裁

 安倍は10月臨時国会での「短期決戦」で改憲を強行する腹を固めている。野党の無力性は「周知の事実」だ。安倍はこの野党の無力に助けられて延命できている。
 自民党の「改憲素案」では、「大地震その他異常かつ大規模な災害」が起きたときは、内閣は「国民の生命、身体及び財産を保護するために政令を制定することができる」とある。「政令」とは国会で議決されるのではなく「内閣」が制定し、権利停止や徴用などを全「国民」に強制する法律となる。「緊急事態」「非常事態」宣言で憲法を事実上停止する。ここに安倍政権の狙いがある。
 素案ではあたかも「災害」が発生した時に「緊急事態」を布告するかのような印象を与えているが、2012年の自民党改憲案にその中身が示されている。①外部からの武力攻撃、②内乱等による社会秩序の混乱、③地震等による大規模な自然災害、④その他の法律で定める緊急事態と規定が大幅に拡大し、「財政上必要な支出その他の処分」を行うことができる、と明記している。
 そして国民保護法では、武力攻撃を「武力攻撃災害」と定義している。「災害」とは、武力攻撃により直接又は間接に生じる人の死亡又は負傷、火事、爆発、放射性物質の放出(※核戦争)その他人的又は物的災害と規定している。 要するに③の地震等による大規模な自然災害は緊急事態条項を新設するためのオブラートだ。ペテン的に記載されているにすぎない。 そもそも帝国主義の「地震」「大規模な自然災害」とは徹頭徹尾、治安問題であり、住民を救出するための規定ではない。西日本を襲った豪雨被害、北海道を襲った地震に苦しむ住民を安倍政権は放置し、見殺しにしている。
 9条への「自衛隊」明記、「緊急事態」条項新設の次は、必然的に「徴兵性」「軍事(法廷)裁判所の設置」へと突き進む。
 自衛隊現役の幹部・将校クラスは「天皇の軍隊」化を要求している。臨時国会で労働者の怒りで国会を包囲し、実力で改憲を阻止し、安倍を打倒するということだ。

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戦争切迫で米軍横田基地と、陸自木更津駐屯地も変貌する

 2018年4月5日、CV22オスプレイ5機が米軍横田基地に着陸。米帝は2015年5月、CV22横田配備を「2017年後半に3機、21年までに計10機を配備する」と、日帝に一方的に通告(接受国通報)。そして18年10月1日、10機の内、5機の配備を強行した。米帝は2012年10月、米海兵隊普天間基地にMV22オスプレイ24機の配備を強行。そして陸自が導入するMV22Bオスプレイは17機。内5機が、2018年秋、整備工場のある陸自木更津駐屯地に配備され、定期整備も同駐屯地で行われる。反対住民と共に闘おう。
 現在、日米のオスプレイ配備計画(予定)と配備済の計は51機となる。欠陥機が日本上空を低空飛行し(7つのルート)、整備のため51機が木更津に集中する。2012年1月10日、米アラスカ州から米陸軍兵約100人がC130から横田にパラシュート降下。その後パラシュート降下訓練が激化した。訓練は年間、延べ600人から1000人。物資を積んだ大きな箱の投下訓練も横田基地でおこなわれている。夜間パラシュート降下訓練は、対朝鮮・中国戦争を見据えた特殊訓練だ。2017年11月、パラシュートから外れた物資が基地内に落下、18年4月羽村第3中学校のテニスコートにパラシュートの一部が落下、訓練による事故が多発している。

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極右安倍が恐れているのはプロレタリア革命

 改憲・戦争攻撃の根底にあるのはプロレタリア革命への恐怖。
 古今東西すべての侵略戦争は、「自衛」の名で行われ、1%の支配階級の利益のために行われてきた。それは現在も同じだ。そのために資本家と安倍政権は、労働者民衆の分断と支配を強化し、非正規職化で搾取と収奪を極限化させ、青年・学生を貧困に追い込み、戦争にかりたてていく。東京オリンピックヘの大規模な「ボランティア」という名の「滅私奉公」は戦時動員の訓練である。「滅私奉公」がオリンピックへの「疑問」から「反対」に転化し始めている。
 労働者民衆の間に国家主義、民族主義、排外主義、偏見のイデオロギーの楔を打ち込み分断し、相争わさせることで戦争に引きずり込んでいく。労働者民衆の利益とは無関係な資本家の利益のために「国民」や「兵士」に命を捨てさせ、あるいは奪わさせることによって侵略戦争が遂行されている。
 池田自衛隊裁判は、国家が戦場に出た「兵士」を守らないことを示している。「沖縄戦」では国家は民衆を守らないことを歴史的に示した。

 世界と全社会を実際に運営しているのは労働者階級民衆だ。
 労働者民衆の真の敵は資本家・帝国主義とスターリン主義国家権力である。この真の敵に労働者民衆と兵士が団結して闘う。このことによって戦争を阻止することができる。そして労働者・兵士の団結、統一した闘いで安倍政権・国家を打倒することができる。
 韓国の労働者民衆の「ローソク革命」がパククネを監獄に叩きみ、打倒した。安倍政権と全ブルジョアジーはこの力を心底から恐れている。
 新自由主義の総破綻が世界を覆い、全労働者民衆を低賃金の非正規職化に叩き込み、人間として生きられない、結婚や子供を産めない賃金を強制している。新自由主義の破産が戦争(世界核戦争)を引き寄せ、生きらないところに追い込まれている労働者階級民衆は闘うことによってしか生きられない。革命によってしか人間性を回復できないところに突き当たっている。「戦争か革命か」という情勢を加速さている。
 
 改憲と戦争で労働者階級民衆の闘いを解体し、革命を圧殺する。極右・日本会議の安倍政権の狙いはここにある。そのための働き方改革=労組解体攻撃、革命労組解体・階級的労働運動の解体攻撃である。だがそれは無理だ。なぜなら労働者階級人民の怒りは必ず革命に転化する。人類の歴史は、圧倒的な被抑圧階級人民の非和解・非妥協の闘いによって社会が革命されてきたことを示している。

安倍政権を倒し、国際連帯で全世界の労働者の未来を切り拓こう

安倍政権を倒し世界の 労働者の未来を掴もう


(写真  日本・世界の空にオスプレイはいらない。オスプレイ木更津配備反対・現地闘争 「池田自衛隊裁判をともに闘う会」も「住民の会」とともに決起【2016年11月】)

 大嘘と開き直りでどこまでも生き延びようとする安倍政権を打倒することは、日本のみならず、アジア、全世界の労働者民衆の命・生活・未来がかかった課題である。
 このことを韓国、アメリカ、中東、世界の労働者同士で確認し、労働者階級の国際連帯の強化で自国帝国主義を打倒する。世界の労働者は階級として一つ。労働者に国境はない。世界の全労働者階級と被抑圧民衆が一つに団結したとき、真の敵である全ての帝国主義ブルジョアジーを、スターリン主義を打ち倒す国際的軍勢として、プロレタリアートの同盟軍に発展させることができる。労働者民衆一人ひとりが国際的な兄弟姉妹として、国際的軍勢として自覚して闘うことによってすべての戦争は阻止できる。全ての労働者と被抑圧民衆の団結と国際共同行動で世界戦争を阻止し、すべての核を廃絶する。

国際連帯の力強い発展で核戦争の危機を打ち壊そう

 米朝会談は破綻し、最後的には決裂せざるを得ない構造になっている。その基底にあるのが米中の貿易戦争の激化がある転換点で軍事対決に転化する(後述)。米帝の没落は経済問題などすべてを「安全保障問題」に公然と転化せざるを得ないところにまで追い込まれている。そこからの巻き返しをかけた貿易戦争は、軍事的対決へと突き進まざるをえない。米中貿易戦争は3度目の世界戦争(核戦争)への歯車を加速させている。今求められているのはこの歯車の回転を止め、歯車そのものを打ち壊す労働者階級民衆の国境を超えた国際連帯の力強い発展である。
 米・日・中・韓労働者階級の国際連帯の前進・強化が不可欠であり、それが革命の土台となる。分断された労働者の一人ひとりの力は無力かもしれない。だが、世界単一の階級として団結した労働者の力は無限の力を発揮する。この力を世界史的に初めて示すのはロシア革命を発展させる労働者階級のこれからの課題だ。
 一人ひとりが決断し、決然と国際連帯の自覚で国際共同行動にともに起てば戦争の根源である帝国主義ブルジョアジーを倒すことは可能である。国境を超えた「労働者と兵士の団結」で世界革命を! それが唯一、世界核戦争を阻止する道である。
 池田自衛隊裁判(前号参照)は、改憲・戦争阻止の闘いと一体であり、労働者と兵士が団結をつかみ取るための闘いである。

星野同志奪還闘争を水路に改憲阻止の大行進運動を

 階級闘争の核心は、いずれも力関係で決するということだ。だからこそ「運動と組織を拡大する」実践・行動の中に革命の展望がうみだされる。
 全国で切り拓かれている「星野闘争」を水路にしながら「改憲・戦争阻止」の大行進運動を全国で拡大するということだ。求められているのは1000万人と結合する総合的力である。総合力とは職場・生産点の労働者が求める全課題に革命党と階級的労働運動が総力で応える組織的力である。

池田自衛隊裁判は全労働者階級の共通の闘い

 池田自衛隊裁判は、安倍政権の改憲と戦争国家化と対決する闘いである。1%の支配階級の利益のための米中戦争へ自衛隊員とその家族を動員する安倍政権と対決する闘いである。したがって池田自衛隊裁判は、戦争を拒否する全労働者と兵士の共通の闘いだ。池田自衛隊裁判を共に闘い勝利しよう。

帝国主義軍隊は崩壊する

 2015年6月5日付けの政府答弁書では、イラク戦争で在職中に自殺した自衛官は56人である。 2001年のテロ特措法でインド洋上での給油活動に派兵された海自隊員の内、25人が自殺している。延べ動員数でみれば、海自が約1万900人、空自が約2900である。
 2003年のイラク特措法で派兵された海・空自衛隊員29人が在職中に自殺した。
 延べ動員数は陸自が約5600、空自が約3630人、海自が約330人。
 2008年の補給支援特措法で派兵された海自隊員の自殺は4人。内2名はテロ対策特措法に基づく活動に従事し、自殺した。延べ動員数は海自約2400人。
 2014年内閣府統計の年間自殺者と比較すれば約12倍の高率である。
 イラク・アフガン帰還米兵200万のうち60万人以上がPTSDを発症。12年の帰還米兵の自殺は320人。この年の米兵の戦死者は311人(米陸軍公衆衛生司令部公表)で自殺が戦死を上回っている。帰還米兵の自殺者は1日に22人だ!これは過去2ヶ月間の平均数だ。単順に計算すれば年間の自殺者は8000人になる。1%の利益のために行われる戦争が、兵士と家族、労働者を根底から破壊している。だがそれ自体が帝国主義軍隊を内部から崩壊させている。帝国主義軍隊を階級的労働運動の前進と革命で解体し、池田元三等空曹とともに闘い、兵士を革命に獲得する。池田自衛隊裁判を兵士獲得・組織化の武器に転化しよう。

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「池田自衛隊裁判をともに闘う会」の」新リーフが出来ました。「ともに闘う会」会員拡大にぜひ活用してください。

池田元3等空曹のアピール
「改憲で9条に自衛隊を明記することで、『自衛のため』と隊員も国民も騙して戦争に向かわせようとしています。どこの国の労働者市民に対しも銃を向けることを隊員は望んでいません。外に向かって戦争はしないというこれまでの約束を踏みにじる安倍政権を何としても倒しましょう」

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【Ⅱ】アメリカ帝国主義のインド太平洋戦略
対中国軍事戦略は リバランス戦略

米中戦争

 トランプ政権の「国家安全保障戦略」と「国家防衛戦略」は、2001年9・11同時テロ以降のブッシュ政権がシフトした対中東戦略ー「非対称戦争」の二正面戦略、そしてオバマ政権がシフトしたアジア・太平洋への「リバランス戦略」からの「インド・太平洋戦略」への転換である。

 だがこの転換は、没落米帝が中国の台頭と「一帯一路」戦略に対抗したものであるが、しかし米帝の対中国軍事戦略の基幹は、オバマ政権時に米帝が策定した「リバランス」の「エアーシーバトル」戦略であろう。
 トランプ政権は1・29「米国家防衛戦略」で北朝鮮やイランを「ならず者国家」と評し、中国・ロシアの台頭を「修正主義勢力」と規定し、世界体制を変える勢力と批判、弾劾している。
 そして米国防総省はこれらの世界の「脅威」に対抗するため「米軍再建」と「核戦力の近代化」路線を押し出した。トランプは一般教書演説で、「核兵器のない世界」(2010年・オバマ)を修正し「核兵器の近代化と再建が必要だ」と強調し、新NPRで低爆発力の戦術小型核の新規開発と配備を発表。これは無制限の小型戦術核配備やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)への配備を含んでいる。オバマの「NPTを順守する非核保有国への核先制不使用」宣言も否定した。
 オバマは米国家財政の膨大な赤字で「現存しない脅威のために予算を割かない」と新たなミサイル防衛技術の開発計画を打ち切ったが、トランプ政権はこれも転換した。対中(露)戦争を見据えた「宇宙戦略軍の創設」、「レーザー兵器」による弾道ミサイルの破壊、迎撃ミサイルの多弾頭化など、「新弾道ミサイル防衛戦略」も発表した。
 米国防総省は、2020年までに「宇宙軍創設」を表明。構想はペンス米副大統領が示した。構想の背景は、中ロの急速な宇宙開発に対する危機感である。
 米帝は情報収集から陸海空における部隊連携、精密誘導爆撃、ミサイル防衛に至るまで、米軍の活動・作戦運用は衛星などの宇宙資産に依存することで成立し、優位性を保持してきた。
 中国は「衛星攻撃兵器」の開発を進めており、「衛星の無力化」を軍事課題にしている。中国はすでに自国の「使用済み衛星」を宇宙での破壊に成功している。米空軍は現在、GPS衛星31機を保有しているが、これらの衛星は攻撃を受けることを前提には製造されていない。レーザーやミサイル攻撃に対して容易に破壊されたり、妨害電波で無力化される弱点を持っている。
 ウィルソン米空軍長官は6月、米議会で「将来起こり得る戦争は、必ず宇宙空間を巻き込むと想定すべきだ」と証言し、指揮・統制・情報や「先制攻撃の無力化」などを目指した宇宙兵器の開発に乗り出している。無力化された一方が、あるいは無力化される前に核攻撃に至る可能性が高まることになる。
 米帝トランプの国家安全保障戦略は、世界戦争=世界核軍拡への突進であり、本質的には世界プロレタリア革命の圧殺・解体戦略である。それは同時に労働者階級人民と人類を破壊に導く国家戦略だ。トランプ政権の現状破壊的「国家戦略」は、没落米帝の危機の深さを現わしていると同時に没落米帝の危機と破滅をいっそう促進させ、全世界の労働者階級人民の根柢的怒りを引き出し、プロレタリア世界革命情勢を加速させる。労働者階級に求められているのは革命に転化するプロレタリアートの国際的力と自国帝国主義を打倒する組織的実力だ。


(写真 習近平は2016年、「7大軍区」を「5戦区」に人民解放軍を再編し、陸海空軍を一体運用する統合作戦の指揮機構を「戦区」内に設置。陸軍中心の軍隊を改変し、30万の兵士を削減。国防省前で抗議デモを行う人民軍兵士。)

米中貿易戦争の激化は軍拡と戦争を促進している

 帝国主義間・大国間争闘戦で今日もっとも深刻で危機的なのが、米中の対峙・対決、米中の争闘戦の激化ー米中戦争である。米中戦争は世界核戦争の危機をはらんでいる。トランプは大恐慌で促進された基軸国としての没落を世界の暴力的再編成によって突破するという方向へ舵を切った。
 トランプ政権は、周知のとおり7月、中国からの輸入340億ドル(818品目)に25%の追加関税をかける第1弾を発動した。これに対し中国は即、米からの輸入340億ドル(545品目)に25%の報復関税で応じた。8月、米帝は第2弾として160億ドル(279品目)に25%の追加関税を発動し、中国は同時に160億ドル(333品目)に25%の報復関税を発動した。9月24日米帝は第3弾として輸入金額2000憶ドル(5745品目)に10%の追加関税を発動。第3弾は、これまでと比べ、ハンドバッグや家具など生活関連の品目が多い。製品価格の上昇で個人消費に影響が出るため、年末商戦を控えて年内は10%の関税を上乗せし、来年1月から税率を25%に引き上げる。
 これに対し中国商務省は、発表済みの液化天然ガス(LNG)など計5207品目の米製品に5%か10%の関税の上乗で報復し、米中の貿易協議の中止を表明。中国側は追加関税以外の報復手段として、米の産業に重要な素材や部品の対米輸出制限にも言及。
 これに対しトランプは第4弾として2670億ドル相当の輸入品に制裁を講じると声明。発動すれば中国からの全輸入5050億ドル分すべてに追加関税を課すことになる。ますます泥沼化していく。そして米帝議会は中国への人権問題での制裁措置など、あらゆる口実を通して中国・習近平に屈服を迫っていく。経済戦争の軍事への転換が迫っている情勢である。
 トランプは日帝・安倍政権にも「ディール(取引)がまとまらなければ大変なことになる」と脅しをかけ、日米の軍事的一体化への争闘戦を激化させている。
 米中の経済関係は相互依存化してきた。中国が対米貿易黒字から蓄積した外貨準備を基礎に米帝の土台をゆるがすほどの大きさで米国債を大量に保有し、そのことを事実上の武器として人民元の国家管理をもって為替戦争を展開し、米国市場になだれ込んでいた。中国にとっては人民元問題は死活的な大問題である。元高が一定の限度を越えるならば、中国国内の企業が次々と倒産する事態となる。「一帯一路」の資源は、人民元変動とも関係してくる。人民元価値が下がれば、対外投資の元金が増大するだけでなく、国内から国外への資本流出に歯止めが利かなくなる。
 今日の中国は、低賃金と強権的スターリン主義支配の重圧の下で労働者階級人民を抑えつけ、治安強化で維持できている。膨大な国内治安政策費は「隠れた軍事費」とさえ言われ、労働者のストと蜂起が中国全土に一挙に拡大する危機をはらんでいるという現実に直面している。さらに中国スタ・習近平は、新疆や中央アジアに民族問題、テロ・治安問題といった政治リスクを抱えている。
 これらのため習近平は、北朝鮮・金正恩体制の護持とともに貿易戦争と人民元レート問題は米帝・トランプに絶対的にゆずることができない死活問題であり非和解的対決に打って出ざるをえない。
 これに対し米帝・トランプは、外交・経済分野での制裁を極限化させていくことで基軸国からの没落を突破する道として世界の暴力的再編に踏み込んだ。


(写真  中国の新型ICBM「東風-41」近く実戦配備される。最大射程は1万2000㌔。5・27に10回目の発射実験)

中国 「一帯一路」の破綻

 だが中国も引けない。引けば国内政治・経済危機が拡大し、挫折している「一帯一路」の破綻が拡大する。「一体一路」に対しては、「中国版植民地政策」といわれ、途上国からは「悪徳金融」といわれ、中国銀行・国内企業からは「投資ノルマ」や「債務不履行」に不満と怒りが爆発している。
 マレーシャのマハティールは8月、返済不能になる借金を回避するために「一帯一路」に関連する鉄道建設など大型事業の中止を表明した。中止によりマレーシャは中国に47億ドルの賠償金を支払い、3ヶ月以内に借款と利息を完済しなければならない。他にもガスパイプライン建設計画など共同プロジェクトは総額800億ドルに達し、取り消しは負担が大きいが返済不能による国家破綻のリスクを回避する道を選択した。
 スリランカは南部の港の開発事業の借金が返済できず、昨年末に99年間の港湾運営権を中国に奪われた。港は中国の軍事拠点となる。 南太平洋のトンガは8月16日、中国に対し「団体交渉」で債務取り消しなどを求めようと周辺国に呼び掛けている。

中国・習近平軍事力の強化で対抗

 中国の国内矛盾はすでに爆発している。砂漠を横断するような高速鉄道や高速道路の機能維持、メンテナンス費用は膨大になる。長期戦略として党規約の前文にまで「一帯一路」を明記した習近平には、国内反対派を粛清しつつも軍事力の強化で対抗するしかない。 実際、中国スターリン主義は、人民軍の再編強化・統合指揮、軍拡と南中国海、東中国海の人工島建設と軍事拠点化を急速に進め、「A2/AD(接近阻止・領域拒否)」の軍事力の強化に突進している。地対艦ミサイル、地対空ミサイル、レーダー網、戦略爆撃機(H‐6K爆撃機+長距離対地巡航ミサイル)、ステルス戦闘機、空母、潜水艦、宇宙・衛星攻撃兵器、サイバー空間など軍事予算も拡大している。
 米中の経済戦争は軍事力の行使という戦争に転化する世界史的情勢が始まったということである。米中貿易戦争を元に戻すということはあり得ない。帝国主義間・大国間争闘戦は、それぞれが後のない死活的レベルに達している。それだけに非和解的に激突していかざるをえない。戦後基軸国である米帝の没落・衰退、ロシアの衰退、中国の台頭と国内外政策の破綻が示している現実は、「恐慌と戦争」への道を加速させている。

改憲・戦争に突進する安倍を監獄へ

 日帝・安倍の改憲・戦争への突進は、米中戦争を基軸とするこの世界史的情勢に規定され、衝き動かされているということだ。安倍政権は米帝の没落の速度と一体で対米争闘戦を激化させつつ、日米の「軍事的一体化の強化」で延命する道しかないという矛盾に満ちた脆弱性を全面的にさらしている。日帝・安倍政権に残されているのは改憲・戦争と核武装への突進か、労働者階級民衆の怒りで監獄にぶち込まれるかのいずれかだ。
 言い換えればこの世界史的情勢は、プロレタリア世界革命情勢として真っ向から捉え返し、「ゼネストで革命へ」を実現する階級的労働運動を全国と全世界の労働現場・生産点で建設するということである。
 労働者の解放は労働者自身が行う世界史的事業である。労働者階級は国境を超えた世界単一の階級である。国際連帯の強化とプロレタリア世界革命への突破口が改憲・戦争阻止、国際共同行動の11・4労働者集会だ。

米中貿易戦争の軍事転換の切迫

 米中貿易戦争の軍事への転換が切迫している情勢下、改めて、明らかになっている米帝の対中軍事戦略とその軍事的展開を見ておきたい。
 オバマ政権下の2016年1月、ワシントンのシンクタンク、「戦略国際問題研究所(CSIS)」が「アジア太平洋・リバランス 2025」という報告書を公表した。そして、同年8月、シンクタンク、「ランド研究所」が米中戦争をリアルに予測した「中国との戦争」という報告書を公表した。
前者では、「政権のリバランス戦略への取り組みが、米国の利益を確保する上で不十分である恐れがある。中国や北朝鮮は日常的に米国の信頼性に挑戦し、地域における軍事バランスは米国にとって不利な方向に移行している」として、中国が2030年までに複数の空母打撃群を保有する可能性が高いと指摘し、「米国にとってのカリブ海やメキシコ湾と同じように、南中国海が事実上、中国の湖になる」と警告を発した。具体的には、中国が弾道ミサイルや巡航ミサイルを含めた「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」能力を向上させていると指摘した上で、(1)米海軍横須賀基地などを候補地として西太平洋への2隻目の空母を配備する、(2)自衛隊と米軍による統合作戦司令部を設置する、(3)ミサイル攻撃への米空軍・嘉手納基地、グアム・アンダーセン空軍基地の脆弱性に対処するためオーストラリア、フィリピンの基地活用などを提言している。


(写真 核実験が行なわれたネバタ州の核施設 米帝・トランプが昨年12月、核実験を強行。「核兵器を使える兵器にする」(トランプ)。5年ぶり、28回目の臨界前核実験。「製造から時間が経過した核兵器の信頼性を評価することが目的」とされているが、小型戦術核配備に向けた核実験だ。今年12月にも新技術の性能核実験が計画されている。)

ランド研究所「中国との戦争」

 後者の「ランド研究所」の報告書は、「中国との戦争」の予測期間は2025年までと限定しながら、その報告書の概要・結論は、近い将来に米中戦争が起きた場合は米帝が「有利」だが、2025年に近い時点での戦争では米帝が「不利」になるとの予測を発している。また別の機関では2030年頃にはGDPでも米中逆転が起こるという予測もある。一つの大国が永遠に大国であり続けることは不可能である。
 以下は「ランド研究所」の報告書をベースに米中戦争に対する米帝の軍事戦略を見ていく。
(1)報告書は、米中戦争の規模などは以下のようになるだろうと予測している。
①米中戦争は非核の通常戦力による戦闘となる。通常兵器での戦闘が激しくなっても、核兵器は使われないだろう。
②戦闘では主に水上艦艇、潜水艦、航空機、ミサイルが用いられる。宇宙とサイバー空間も戦場となる。
③戦闘は東アジアで始まり、東アジアで続くが、西太平洋の広大な地域も戦場となる。
④中国は米本土への攻撃は行わない。
⑤米は逆に中国本土へ激しい攻撃を加える。
⑥地上戦闘はほとんど起きない。

(2)報告書は以上のように米中戦争の展開を予測し、さらにその「戦闘の形態」については、①「短期で激烈」、②「長期で激烈」、③「短期で軽微」、④「長期で軽微」の4つのパターンを挙げていた。
それぞれのパターンついて、経済や政治など非軍事面での両国の損失を推定し、戦争の帰趨までを予測している。
 その予測では、数日から数週間の「短期」の場合、そして今から近い将来に戦争が起きた場合には、米帝が圧倒的に有利との判断を下し、一方2025年に近い時期に米中戦争が起きた場合は、中国軍が「A2/AD(接近阻止・領域否定)」戦略の戦闘能力を着実に強化している現状で、勝敗の決まらない膠着状態となる可能性が高いという評価予測である。
(3)硬直状態は日帝の参戦で、米帝に有利となる
 報告書は、米中戦争の帰趨についても日帝の動向ー参戦が決定的な要因になるとして以下の点を強調している。
①米中戦争において、米国の同盟国、友好国の動きはきわめて重要だ。中でも日本の役割は決定的となる。特に2025年近くの米中戦争では、日本の潜水艦水上艦艇、戦闘機、ミサイル、情報・監視・偵察(ISR)などの能力は米側にとって不可欠な基本戦力となる。
②米中戦争が長引けば長引くほど、日本の軍事的な対米協力の効果が大きくなる。日本の参戦で、米軍は他の地域の米軍部隊を中国との戦争に転用する必要が減るだろう。中国軍にとって、日米連合の部隊と戦うことは困難になる。
③中国軍は2025年頃までには、年来の対米軍戦略の基本である「A2/AD」戦略の能力を大幅に高め、対米戦を勝敗のつかない長期戦に持ち込むことができるようになる。しかし、日本が米軍を全面支援することで均衡は変えられ、米軍は有利になる、としている。
 米中貿易戦争の激化は、同報告書の予測・評価にむけた米中戦争の現実性を示している。

(写真 第一列島線と第二列島線は、中国のアメリカ帝国主義に対する防衛ライン。真珠の首飾りはインドに対する戦略拠点。)

トランプ政権の登場米帝危機の深化

 だが報告書が作成された2016年当時との決定的相違がある。それは恐慌の深化と没落米帝の危機の深化の中から現状破壊者としてのトランプ政権の登場である。
 報告書は「通常兵器での戦闘が激しくなっても、核兵器は使われないだろう」と予測し、「中国は米本土への攻撃は行わない」が、「米は逆に中国本土へ激しい攻撃を加える」という軍事的展開を見積もっている。だがトランプは戦術核の小型化と配備に踏み込みこんでいる。
 崩壊的危機の淵に立った北朝鮮・金正恩が延命と体制保障のための対米戦略として「核とミサイル」を武器にしたように、没落米帝の最後の武器もまた「核と核戦争」である。戦術核の開発と配備の具体化がそれを示している。

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◆前方展開戦略とは、積極的介入、米一国単独行動。 同盟国の役割は、前方展開基地の提供・防護。

◆オフショア・バランシング戦略は、「新興国の経済成長による米国の経済支配の崩壊に伴い、米国が優位性を維持できない状況において、米国による覇権戦略に代替する」というもの。言い換えれば戦争を起こさないために中国の地域覇権を認め、米帝の「安全のみを最優先する」可能性が秘められた戦略。「新孤立主義」ともいえる。この戦略における同盟国の役割は、「米軍事力の肩代わり」。同盟国、友好国に、「米軍事力の肩代わり」を要求するこの戦略には、韓国の米陸軍第2師団及び在日米空軍・在韓米空軍の撤退が視野に入っている。 米日韓豪などによる対中バランスオブパワーの維持。これは「領土を守る意志のある国」と組みながら中国の海上貿易を阻止し、決定的な軍事上の勝利よりも、「手詰まりと停戦をもたらすことを目標」にする。日帝の軍拡と戦争国家を促進する。

◆オフショア・コントロール戦略は、核保有国である中国の「A2/AD」戦略に対して、米帝が「エアシーバトル」を適用し、中国本土を攻撃することは核の応酬にエスカレーションする可能性があるのでリスクが大きすぎる。中国の弱点である輸出依存経済に着目し、第一列島線を使って中国海軍を東中国海と南中国海に閉じこめつつ、中国の戦闘能力の届かないマラッカ海峡やスエズ運河、パナマ運河など遠隔地域(オフショア)で中国の輸出コンテナ船を臨検・進路変更させ、経済的に中国を疲弊させることで、「中国のメンツを立てつつ原状を回復して戦争を終結する」というもの。
だが中国の南中国海での人工島の建設と軍事拠点化の強化が進行している。「自由の航行」の脅威はすでに現実のものとなっている。この戦略における同盟国の役割は、「第一列島線の制海・制空権」を確保することである。

◆前方パートナーシップ戦略は、前方展開重視の従来戦略を海軍力と特殊作戦部隊で維持しつつ、同盟国やパートナー国の共同作戦能力を強化し、地域で同盟国やパートナー国の主導を促すという新たな要素を加えたものである。米国家財政の危機と歳出の強制削減により、米帝は「より少ない資源・戦力でより危険な世界に立ち向かう必要がある」ことから、パートナー・同盟国の責任分担の増加、パートナー国との「自由貿易協定等による経済強化」により、パートナーシップの拡大強化を図るという戦略、この考え方が米帝中枢に根を下ろしつつあるといわれてきた。この戦略における同盟国の役割は、「海軍・特殊部隊の前方展開基地の提供、有事基盤の提供」である。

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4つのオプション

 核保有国である米中が核戦争を回避するために米軍は中国本土への攻撃を行わないという分析や「相殺戦略論」者もいる。 また米帝のアジア・太平洋戦略における「4つのオプション」として、「前方展開」、「前方パートナーシップ」、「オフショア・コントロール」、「オフショア・バランシング」戦略などが論じられている。だがこれらのオプションは没落米帝が「米中戦争を有利に終結させる」ための苦肉の戦略である。没落米帝の現実的な力関係では容易でない。  冷戦で旧ソ連を崩壊に導いた米帝が中国に対して「新たな冷戦」を開始したという評価もあるが没落米帝と米軍にはその力は最早ないのが現実であろう。だから米帝・トランプは戦術核の小型化開発と核戦争への道筋を敷いているのだ。労働者階級人民によって打倒される道しか帝国主義、スターリン主義には残されていない。

 要するに、これらの戦略は没落米帝の現実から、いかに米帝が延命するかを模索し、もがき、あがいている「軍事戦略」が浮き彫りになっている。そしてこれらの戦略に共通するのがイラン、北朝鮮、ロシアなど「ならず者国家」「修正主義国家」への経済制裁による経済危機と疲弊を強制し制圧せんとする戦略が一体であるということだ。
 北朝鮮・金正恩は延命のために全存在をかけて没落米帝の現実を逆手にとっているということだ。 ※イラク、中東などで米特殊部隊が現地の軍隊を訓練し、育成し、反政府勢力との戦闘を維持・展開させる戦略を実施している。これは「前方パートナーシップ戦略」の転用といえる。

 米中戦争勃発の契機

 ランド報告書は、2016年当時の「米中戦争が勃発する契機」として以下の事態を想定している。
①東中国海の釣魚台(尖閣諸島)などをめぐる日中両国の軍事摩擦。
②南中国海での中国のフィリピンやベトナムへの軍事威圧。
※海自は9月13日、南中国海で潜水艦と護衛艦3隻の計4隻による日中、米中戦争を想定した潜水艦攻撃の訓練を実施し、公表した。
③北朝鮮の政権崩壊に伴う米中双方の朝鮮半島への軍事介入。
④中国の台湾に対する軍事的な攻撃あるいは威嚇
⑤「排他的経済水域(EEZ)」とその上空での艦艇や航空機の事故、などである。
※上記の「契機」を超え、2年後の2018年、既に「米中直接戦争」情勢に突入している。

米帝の北朝鮮先制攻撃の破産

 2016年、北朝鮮が5度目の核実験を強行した。
 米本土に届く弾道ミサイルも発射していた。翌17年には「水爆実験に完全に成功した」と発表(国営テレビ)。当時オバマは国家安全保障会議(NSC)にサイバー攻撃による先制攻撃で核開発計画の無力化の検討を指示し、国防総省に対しては北朝鮮の核施設への軍事攻撃の検討を指示した。
 サイバー攻撃は、北朝鮮のサーバーが中国にもあり、中国のサーバーを攻撃せざるを得ないことが判明した。中国のサーバーを攻撃し、中国からの報復が実行された場合、「反撃をすべて食い止められる保証はない」という報告を受け、オバマはサイバー攻撃を断念した。
 核施設への軍事攻撃に関しては、「施設の85%は無力化できる」。だが、残る15%の施設から核ミサイルが1発でも発射されれば韓国人数万人と在韓米軍が犠牲になる。さらに核施設への軍事攻撃の最終的な手段としては「地上軍の投入ー侵攻」しかないとして、国防総省の報告でオバマはこれも断念においこまれた。
 金正恩暗殺(作戦計画5015)に関しては、CIAがステルス爆撃機による複数の計画を進行させていたが、計画は実行されていない。
 要するにこれらの事実は、「100%の確率」で「軍事目的が100%達成」され、更に「敵からの反撃がゼロ」でなければ、米帝といえども発動できないことを示している。
 政治・軍事目的が100%、確実に達成できなければ、先制攻撃後のリスクが巨大なものに転化するという危険性があるということ。。
 オバマが断念した根底には、北朝鮮への先制攻撃の発動が生み出す結果によって、オバマが打倒され、世界の労働者の怒りが革命に発展するという事態の前に、米帝オバマは作戦を断念したということだ。


(写真 2016年、中国が西沙諸島の最大の島、永興島に地対空ミサイルを配備。中国がこの種のミサイルの最初の配備先として永興島を選んだのは、北西250マイル先に潜水艦基地・海南島があるから。中国は1990年に滑走路を建設し、15年には、J-11戦闘機を配備。西沙諸島周辺の空域をコントロールしている。)

米帝の対中戦略と安倍政権の参戦策動

 米戦略予算評価センター(CSBA)や 国防大学(NDU)、海軍大学(NWC)で策定さている「改良エアシーバトル(ASB)」と相殺戦略(OSS)が米帝の対中国軍事戦略・戦術の骨幹とみなされている。
 その前提には、「空母は敵に発見されやすく撃破されやすい」という認識と、「宇宙ももはや米国にとって聖域ではない」という軍事的前提がとられている。

改良エアシーバトル

 改良エアシーバトルでは、中国との開戦当初、海兵隊を含む海空戦力はグアム以東に後退するとともに、核戦争になることを抑制するために中国本土への攻撃は控える、としている。
 戦略爆撃機や空中給油などによる長距離攻撃と数か月から1年を視野に入れた長期戦(海上封鎖を含む)に勝利を求めている。さらに原潜、艦船、哨戒機などによる水中の制圧・支配と電子戦による中国軍の指揮・命令・情報の無力化を重視している。
 要するに「核戦争を回避するため」に中国本土への攻撃を行わず、主戦場を海洋に限定し、潜水艦を含む軍艦を沈めることで勝利する、という米海軍の戦術を発展させ、中国軍の攻撃を回避するために米軍をグアムなど広域に分散させ、中国のミサイル攻撃を回避できる長距離から多数の対艦ミサイル攻撃により艦船を撃滅し、中国軍を第一列島線内に封じ込め、衰退させるという戦略である。
 中国本土を直接攻撃しなくても、中国艦隊を撃滅すれば中国の軍事的覇権の意思を断念させることができるという考え方に基づいて策定されている戦略である。台頭し、軍拡を進める中国との戦争は、米帝にとっても生き延び、勝利するのは容易ではないという認識が示されている。

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◆第三の「相殺戦略」の概念は、戦後の「米国の平和(パックス・アメリカーナ)」を支えて来た米帝の軍事力の優位を再び取り戻そうということである。中露に対する「最新通常兵器」とは、空中の無人機、海中の無人潜水艦、そして敵の戦闘管理ネットワークを無力にする陸上の最先端システム、つまりサイバー攻撃技術である。さらに小型レールガン(音速の7倍で弾丸を発射)や現在より小型の高性能爆弾などを挙げている。

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自衛隊の参戦が前程

 米中戦争には日帝・自衛隊の参戦が前程、不可欠となっている。
 米中戦争の主戦場となる第一列島線とは日帝が主張する「日本の領土・領海内」を含んでいる。南西諸島への自衛隊の配備、レーダー基地と地対艦ミサイル(SSM)、地対空ミサイル(SAM)の配備、強襲揚陸艦と日本版海兵隊部隊ー水陸機動団の創設・配備が日帝独自の軍拡であると同時に米帝の対中軍事戦略に即した計画的配備であることが明解となる。
 2018年8月のリムパック(世界最大級の多国間「環太平洋合同訓練」)では、中国軍の参加を排除した。そして南中国海・東中国海における中国艦艇・戦闘機を撃滅する訓練として陸自の地対艦ミサイルの実射訓練、地対空ミサイルの実射訓練を取り入れ実施している。米軍には地球規模での地理的関係から地対艦ミサイル配備の必要性が排除ないしは軽視されてきた。米中戦争の切迫と対中軍事戦略上、米帝は陸自の地対艦ミサイルに着目し、その能力を実射訓練で確認しているということだ。
 ハリス元太平洋軍司令官が南西諸島への自衛隊の配備ーレーダー、長距離地対艦・地対空ミサイル配備に着目し、これを米陸軍にも採用し、「中国軍の船を沈めよ」という号令で米中戦争の軍事戦略を集約させている。南西諸島、フイリピン、豪など第一列島線に陸自や当該国軍隊、米陸上部隊を配置し、長射程の地対艦ミサイル、地対空ミサイルで「阻止線の壁」を構築し、これに守られて米海軍・空軍の各種対艦ミサイルの飽和攻撃で中国艦艇を撃滅するということである。
 要するに南西諸島や第一列島線の軍事拠点化の質量的な規模によって対中軍事戦略の作戦の持久力が決まり、「対中軍事戦略」の成否を決するという米軍の考え方が示されている。
 
 米戦略予算評価センターの構想は、同盟国・友好国に、①「潜り込む不正規軍による攻撃の破砕」、②「同盟国によるA2/ADネットワークの構築」を要請している。日帝・自衛隊の「南西諸島の拠点化」がそれに当たる。安倍政権は敵基地攻撃用の「日本版トマホーク」の開発に踏み込んでいる。
 そして米軍は、①「遠距離作戦」②「封鎖作戦」を実施し、長期戦で勝利を追求するとしている。
 要する日帝独自の軍拡が、米帝の対中国戦略に不可欠であるということである。そして米帝の予測を超えて戦争が泥沼化し、疲弊すれば、核戦争に行き着くことも明白である。米帝はすでに広島、長崎に原発を投下した経験を持っている。

(写真 ルーマニアに配備された地上イージス)

戦争・改憲・軍拡に突進する極右・安倍

 安倍内閣の2019年度防衛予算を見てみよう。
 2019年度一般会計総額(概算要求)は102兆円台で 過去最大だ。5年連続100兆円超。来年10月の消費税率10%引き上げを巡る対策経費は「別枠」扱いのため予算規模はさらに膨らむ。
 防衛省は約5兆3000億円を要求。18年度当初予算比2・1%増。5年連続で過去最大を更新。第2次安倍政権以降、6年連続で増加。安保関連法、北朝鮮「脅威論」、米中戦争など、改憲と戦争に突進している安倍政権の思惑で防衛予算が肥大化している。
 秋田・山口配備計画の「イージス・アショア」2基調達で2352億円。イージス艦搭載予定の改良型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の購入に266億円。「SM6」調達費として111憶円。F35ステルス戦闘機6機を916億円で追加。
 ローン支払いに当たる「後年度負担が2兆708憶円で約4割を占めている。
 海自の護衛艦、潜水艦、敵基地攻撃能力をもつ「スタンドオフ・ミサイル」も導入する。宇宙、サイバー、電磁波を扱う電子戦の3分野にも重点的に予算を振り向けている。宇宙分野は大気圏外から宇宙空間を監視(破壊)する人工衛星の打ち上げを視野に調査研究を進める。電子戦では、F15戦闘機を相手のレーダーに捕捉されにくくするための改修を施す。サイバー分野では、自衛隊の専門人員「サイバー防衛隊」を増員する。海自「いずも」の空母改修は見送る。
 2018年度のFMS(対外有償軍事援助)による米帝からの武器購入が当初予算の約4000憶円が概算要求で約5000憶円弱に膨らんでいることを見ても、2019年度の防衛予算がさらに肥大化するのは明白。
 
 2030年頃から退役する日米共同開発の空自F2戦闘機の後継機の開発関連では、ロッキード・マーチンがステルス戦闘機F22とF35の電子機器やステルス技術を組み合わせたハイブリッド(混合)型を提案している。1機当たり2億ドル(約220億円)前後の高価格を提示している。F2後継には複数の企業が名乗りを上げているが、防衛省はロッキード案を最有力視している。しかし調達コストが想定より高額。核心技術の開示などを含め日本企業主導の国際共同開発が可能か不透明なため、正式決定の先送りも検討している。代替案としてはF35の追加調達も検討。いずれにしろ防衛予算は天文学的に肥大化するし、すでにしている。防衛予算は1%。トランプの要求どおりに武器を購入し続ければ、米帝が要求する2%への拡大はすぐだ。

 防衛費の巨費に見合う効果はあるのか。はっきり言ってない。だが効果がないことが判明した場合、更に確実性を高めるという理屈で防衛費はさらに巨大化していく。
 これが軍事の世界だ。核心は軍需産業の利益と、腐敗した利権・賄賂の世界だ。

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◆F2後継機がロッキード案でいけば、90機調達すれば約2兆円だ。
 航空自衛隊の戦闘機はF15(約200機)、F4(約50機)、F2(約90機)の3機種のほか、F4後継機のF35A(1機)がある。F2は日米で共同開発され、00年度に導入。現在は空自三沢基地などに配備されている。米中戦争の切迫下、老朽化が進むF2の切り替えが日帝にとって大きな課題となっている
◆日帝の「空母保有計画」がほぼ確定した。ヘリ搭載護衛艦「いずも」型をほぼ原型のまま活用し、垂直離着陸戦闘機「F35B」を搭載する。任務に応じて、F35Bと対潜水艦ヘリコプター「SH60」を積み替える。要するに1隻で空母と対潜水艦戦が主目的の護衛艦という多用途艦とする全容が明らかになった。大軍拡だ。米軍の作戦と一体で艦載機を変更するということだ。
◆アメリカ帝国主義中心のMFOは1979年のエジプト・イスラエル平和条約に基づき、82年からシナイ半島に展開。エジプト、イスラエル両軍の展開や活動状況の調査、停戦監視が主要な任務と謳っている。現在、米、英、仏、伊、豪など12カ国、約1200人の軍人が派遣されている。日本帝国主義は88年以降、「財政支援」で介入している。

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シナイ半島に日本隊(軍)

 安倍政権は、エジプト・シナイ半島でイスラエル、エジプトの停戦監視活動をする「多国籍軍・監視団」(MFO)に、陸上自衛隊員の派遣を決定する。
 年内に官邸、外務省、防衛省による現地調査団を派遣し、「安全の確保が出来ると判断」したら2019年初頭に司令部要員として陸自幹部数人の派遣を決定する。 安保法に含まれる「改正国連平和維持活動(PKO)協力法」は、①「強制措置」として、「住民・被災民の保護」のための巡回や警護(文民保護)と、他国軍要員を含めた関係者の緊急の要請に応じて行う生命及び身体の保護(駆け付け警護)を任務に追加し、②「国家建設・復興支援」として、国防組織の設立や再建、さらにそれらに必要な教育訓練、立法・行政・司法事務についての助言・指導、刑務所の運営に関する助言・指導・監視などが任務に追加。また、③規定される様々な業務の企画・立案と、そのための調整・情報収集などの任務が実施可能となる。
 要するに「国連PKO」としながら「安保関連法」は、「日本隊(軍)」としてその国の立法・行政・司法への独自裁量をもつ法的根拠を与えている。
 自衛官を国連PKO司令官として派遣することなども新たなに規定された。また国連が統括せず、国際機関などの要請に応じて自衛隊を派遣する「国際連携平和安全活動」を初めて認めた。来年年明けに司令部要員を派遣するとしているが、次の段階として陸自部隊の派遣が既成事実化されていく。

 国際連帯の強化で戦争が始まる前に阻止しよう

 戦争を始まる前に絶対、阻止する。止めなければならない。開始された米中戦争の危機は、革命情勢であり、革命に転化できる情勢として成熟している。世界で労働者階級人民の決起も開始されている。階級的労働運動の前進と拠点建設、大行進運動と星野闘争を一体化して勝負する。国鉄・自治体・教育労働者の現場の闘いを軸に全産別で改憲と戦争攻撃に対決し、勝負する。池田自衛隊裁判をともに闘い、「軍服を着た労働者」・兵士と労働者の団結で勝負する。  国際連帯の強化ー国際共同行動、の拡大、改憲・戦争阻止で安倍政権を労働者階級民衆の実力で打倒し、プロレタリア革命運動を前進させよう。 (滝山)

会報 第50号

Rise 第50号 2018年8月10日発行

  

改憲・戦争阻止!

イラク派兵で負傷-池田・自衛隊裁判の勝利へ、共に闘おう!

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投稿

9条改憲・戦争絶対阻止!

池田自衛隊裁判に勝利しよう

元自衛官・東京西部ユニオン 杉橋幸雄

はじめに

 イラク派兵で重傷を負い、国・自衛隊の安全配慮義務違反、治療妨害、パワハラ・退職強要と闘う池田元3等空曹の国家賠償請求訴訟は、9条改憲をめぐる激しい階級激突の真っただ中で、予定される公判再開に向かって大詰めを迎えています。
 弁護団は未だ開示されていないイラク派兵に関する「空自日報」の開示請求や、池田さんに対するパワハラを立証する「警務隊記録」の文書提出命令を求めて闘い抜いています。そうしたさなか、去る7月11日、池田国賠裁判勝利に向けた学習会が行われ参加してきました。

原告の主な主張

(1)原告は、被告・自衛隊自身が参加を推奨し、上官の許可のもとでクエートにおけるマラソン大会に参加中、米軍委託の大型バスにはねられて負傷した。しかし、被告は交通統制不十分なマラソンコースでの原告の生命・身体の危険から保護する為の人的・物的措置を何ら講じていなかったこと(安全配慮義務違反、国家賠償法上の違法性あり)。

(2)負傷した原告に対し、適切な治療を施さず、且つ、原告を早期に帰国させなかったこと(後送義務違反)

(3)帰国後、原告が十分な治療を受けられるよう配慮せず、原告の病状を無視した職場配置を行ったこと。

(4)症状が治癒(症状固定)していないにもかかわらず、原告に対し執拗に症状固定の同意を求め圧力をかけ療養補償給付を打ち切ったこと。

(5)パワーハラスメント等の違法行為をもって原告を退職に追い込んだこと。

 以上のような違法行為を行ったことを理由として、国家賠償法第1.条1.項に基づき、損害賠償を請求している事件である。

イラク派兵で負傷

(1)陸上自衛隊は04年~06年にイラク南部のサマワに計5500人を派兵。航空自衛隊は04年~08年にイラク隣国のクエートに計3600人を派兵した。

(2)原告の池田元3等空曹は06年4月、イラク派兵でクェートのアリ・アッサーレム空軍基地に通信士として派兵され、7名の通信士のクルー・チーフに選ばれた。

(3)06年7月4日、原告は自衛隊が参加を奨励した米帝の独立記念行事のマラソン大会に、上官の許可を得て参加し、米兵を追い抜いてトップ・グループを走っていたところ、米軍委託の大型バス(民間軍事会社ハリバートンの子会社:KBR社)に後方からはねられ、左半身を強打、意識不明となった。

事故後の経緯

(1)被告は十分な治療も後送もせずイラクに留め置いた。

後送(帰国)拒否

 負傷から23時間後、池田さんはようやく意識を回復したが、「首や肩に激痛がありました。足を見ると血だらけで、口を開けようとした途端、激痛が襲った。鏡を見た。左顎が斜めに歪んでいる。どうやっても口が開かない。上下の歯の間がものの1センチも開かない。全身が痛い」。
 空自衛生隊の医官に症状を訴え、病院への搬送を求めたところ「米軍にひかれたんだから、米軍のところで診てもらえ」と言うのみで病院搬送を拒否された。現地副司令官からは「公務上災害だから安心しろ」と言われたが、現地空自衛生隊にはレントゲン設備すらなく、触診・首のコルセット・精神安定剤のみで十分な診察・治療が受けられなかった。負傷した池田さんは通信員としての職務を果たすことがほとんどできなくなった。 不安になった池田さんは、再三後送(帰国)を求めたが受け入れられず、空自派遣期間満了となる2006年8月末までイラクに留め置かれた。隊員の負傷など顧みないこうした扱いが池田さんの容態を悪化させたのだ。
 
(2)適切な治療の怠り・公務災害認定手続きの怠り・安全配慮義務違反。

治療と公務災害の拒否

 06年2月25日、池田さんは任務終了で小牧基地に帰国。自衛隊は当初、池田さんの公務災害の認定手続きを怠り、「海外保険」で対応させていた。しかも、当初は勤務時間内の通院を認めなかった。また、本来自由に利用できるはずの休暇を利用して通院することを強制した。
 
 同年8月28日、小牧市民病院(整形外科)受診、「頸部捻挫、左肩挫傷」と診断。同年9月4日、小牧市民病院(脳神経外科)受診。
 同年9月8日、浅野外科内科への通院リハビリ開始。この時も、上司は「勤務終了後の通院」を指示。そのため、仕事の疲れと診察待ちの疲れが重なり、帰宅時間も遅くなり、かえって症状が悪化していった。
 同年9月11日、小牧市民病院(口腔外科)受診、「外傷性顎関節症」と診断。両側顎関節部の開閉口時の疼痛及び開口障害。開口量20ミリで顎関節部に疼痛及びクリック音。最大開口量42ミリあるも、開口量20ミリ前後で顎関節のロック及びクリック音()。
 担当医師からは「なぜもっと早く受診しなかったのか」と厳しく咎められた。
 同年9月21日、不眠症が改善しなかったため、小牧市民病院(精神科)受診。「反復心因性うつ病、不眠症」と診断された。
 担当医師に「仕事がきつい、(職場に)行きたくない」と訴えた。激しい痛みと不安から自動車の運転もできなくなった。

※クリック音とは
 顎を開いたり 閉じたりする時に、顎の骨が、ずれてしまった関節円板に引っ掛かかり、それを乗り越えるときに起こる「カクッ」や「ガクッ」といった音のことを言います。

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イラクでの空自の任務は武装米兵の輸送

 2004年3月3日から2008年12月12日の間、空自(のべ約3,600名)のイラクでの活動は、輸送回数:821回、輸送人員:約46,479名、輸送貨物:約673トンである。輸送した人員の半数以上の23,727人が武装米兵である。国連職員の輸送はわずか6%だ。「イラク復興支援特別措置法」は、イラク復興のための支援を「人道復興支援活動」、治安維持を行う米軍などへの後方支援を「安全確保支援活動」と二つの活動を定義し、さらに細部を定めた基本計画で「人道復興支援活動が中心」と“人道”に力点を置くことを明記している。だとすれば、池田さんが所属する空自の活動は、「航空機により人道復興支援物資等を輸送する」(同計画)ことでなければならない。だが事実は、真逆である。
 空輸計画部長を務めた一等空佐は、「多国籍軍のために輸送力を提供しているのは日本だけ。空輸している人数は、イラクにいる人数を反映して国連職員より米兵が圧倒的に多い」。基本計画に従えば、空輸の優先順位は、(1)人道復興支援物資、(2)国連などの国際機関職員、(3)米兵などの多国籍軍兵士、となるはずだが、現実には逆の順番になっていることを認めている。防衛省は「米軍の武器そのものは空輸していないが、武器を持った米兵を運ぶことはイラク特措法で認められている」と武装米兵の空輸を公然と認め、安倍は日米一体のイラク侵略戦争を「あくまで、イラク特措法に基づく輸送だった」と 居直り、改憲と戦争、核武装に突進している。「改憲・戦争阻止大行進運動」で安倍を倒そう!
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医師・「特別配慮」を要請

 同年10月1.日、池田さんの症状悪化をみかねた浅野外科内科の担当医師は自衛隊通信隊長宛てに「(池田さんの)勤務時間等について」「特別な配慮を」要請する書簡報告を提出。これにより、ようやく「勤務時間中の通院」が許された。
 同年11月7日、MRI検査。 その結果、左顎の関節中にある関節円盤という軟骨が前方にずれている状態(関節円盤前方転移)と判明。治療に3~6月ヶ月程度要するとの診断。
 同年12月末、これまで、自衛隊が公務災害認定手続きを怠って池田さんに「海外保険」で対応させていたが、その「海外保険」が終了となった。そのため、池田さんは翌年1月からはリハビリ通院が思うようにできなくなってしまった。

(3)治療妨害、突然の異動、公務災害認定されるも症状悪化。

(写真 イラクPKOで空自派遣に向けた編成完結式で整列した自衛隊員。後方はイラク派兵仕様のC-130輸送機=2003年12月24日、航空自衛隊小牧基地。池田元三等空曹も当時、小牧基地所属)

治療妨害

 07年1月、池田さんの公務災害認定手続きを進めるにあたって小牧基地の上司は、「うつを直せ」「(担当医師に)完治したと書いてもらえ」と執拗に指示した。   やむなく池田さんは、小牧市民病院(精神科)通院時に「アゴは公務災害が認められた。その後よく眠れる」と嘘をつき、カルテに「心因性うつ病、不眠治療完治する」と虚偽の記載をしてもらった。 そして「嘘のカルテ」を自衛隊に提出することにより、小牧市民病院(精神科)への通院治療ができなくなってしまった。まさに、踏んだり蹴ったりであり、明白な治療妨害である。断じて許されるものではない。
 そうした矢先の同年3月20日、突然、新潟救難隊への異動を命じられた。
 同年4月20日、新潟大学医歯学総合病院(顎顔面外科)受診。
 同年5月31日、イラク派兵で負傷してから約10ヶ月経って、ようやく公務災害として認定された。(顎部捻挫、左肩挫傷、外傷性顎関節症)。

症状悪化

 しかし、08年になっても開口障害に改善がみられず、生活障害が著しいため、新潟大学医歯学総合病院に入院、顎両側関節円盤除去手術を行った。ところが、退院後、十分な回復とリハビリを施す暇も与えられず、すぐに職場復帰を命じられた。このような理不尽な扱いにより、同年8月中旬頃から不眠、動悸、不安が増悪し、同年8月24日、パニック発作で新津親愛病院に救急受診となった。開口量徐々に減少。
 同年11月21日、うつ状態、不眠症が続いていたため、新潟大学医歯学総合病院(精神科)を受診し、通院を始める。

(4)執拗で悪質な公務災害治療打ち切り攻撃。
 
 10年11月16日、入間基地から公務災害担当2名が新潟救難隊に来訪。開口量15ミリ前後とされ、「本人が頑張る意志があるようであれば今後も通院とする」という記録あり、症状が治癒(症状固定)の段階ではなかったことを裏付けている。

悪質な治療打ち切りと、脅し

 ところが、同じころ、新潟救難隊の上司らから呼び出され、「症状固定」「治療打ち切り」に同意するよう執拗に説得された。その際、過去に負傷して何年も通院した自衛官が、後に過去5年間遡って治療費の返還を求められたことがあると脅された。
 しかも、上司は新潟大学歯学総合病院に出向き、担当医師に「上司としては、症状改善がなければ症状固定として扱い、公費負担は中止したい」と申し入れた。
 しかし、池田さんに対する公務災害治療打ち切り攻撃はこれにとどまらなかった。
 同年11月29日、埼玉県入間基地にある中部航空警戒管制司令部厚生班長の1等空尉、業務班長、通電班長、3等空曹らから呼び出され、「症状固定」とするよう説得された。しかし、池田さんは同意せず、「現在の状況から継続して治療することを望む」「公務災害が治癒となった場合、今後自己負担で治療を継続しなければならない為、金銭面で不安を感じる」と正直に述べた。

(写真 サマワの宿営地に入る自衛隊員【2004年】)

症状固定の強制

 同年11月30日、再び、入間基地の中部航空警戒管制司令部厚生班班長の1等空尉他1名がやってきて、池田さん同席のもと、新潟臨港病院の主治医と面談。カルテには「入間基地 症状固定・・・返還の可能性 顎関節症がmain
か」と記載されている。
 同年12月20日、三度、入間基地の中部航空警戒管制司令部厚生班班長の1等空尉らが、「症状固定」の「診断書の下書き」持参で新潟救難隊を訪れ、池田さん同席のもと、新潟大学歯学総合病院の主治医と面談。
 池田さんは同1等空尉らの退席を求め、主治医に「精神外にて・・職場から圧力がかかって・・・ 幹部に囲まれて・・ 乗り物が怖くて・・ 絶対出勤してこいと・・・」と愁訴している。しかし、やむなく「症状固定」とする診断書の作成に同意した。
 そして四たび、同年12月21日、同1等空尉らは、池田さんを伴って新潟臨港病院を訪れ、主治医と面談。この際も「(症状固定の)診断書の下書き」を持参していた。この時も、池田さんは同1等空尉らの退席を求め、主治医と話した。主治医からは「症状は改善していないし、悪化しているのに、本当に治癒の診断書を書いて良いのか」と念を押された。
 池田さんは、カルテ作成に政治的な圧力が働いて、今回、治癒の診断をすることにやむなく同意した事実を記載してもらうことにした。

公務災害給付の打ち切り

 自衛隊側の異常な執念とも言えるこれら圧力により、10年12月、池田さんの公務災害療養給付は打ち切られた。まさに「労災つぶし」であり、違法そのものだ!

(5)人事異動の裏切り、M3曹の暴行・通信班からの締め出し、示談の強要。

異動内定の取り消し

 11年2月上旬、新潟救難隊の業務小隊長から「3月末で小牧基地に異動させる」との内示があった。内示を受け、池田さんは同年3月に家族を先に小牧基地近くに引越しさせた。ところが、3月末になって、同小隊長から「3月末の異動はなくなった」と告げられた。異動がなくなったのは「小牧でゴタゴタがあった」からだという意味不明な説明である。池田さんは「約束と違う」と強く抗議したが、同小隊長は「今回はなかったが、8月末には必ず(小牧に)帰してやる」と言い訳した。池田さんは3月末の「異動なし」により、4月から庁舎内居住となった。

暴行事件と脅し

 同年6月29日、池田さんが携帯電話で納品業者と調整していたところ、後輩のNから「うるさいから外でしゃべって下さい」と言われ、池田さんが「業者との調整中にうるさいとは何事か」と返答したところ、近くにいた後輩のM3曹が突然割って入り、池田さんの胸を掌底で強打した。しかも、強烈な痛みにうずくまっていた池田さんに対し「それでも自衛官か」と吐き捨てた。池田さんは全治2週間の「前胸部圧挫傷」を負った。
 池田さんが病院から帰ってくると、上司の班長と係長と3人で話し合うことになった。この時点では、係長のK2曹は、M3曹が池田さんの胸を掌底で強打したところを「確かに見た」と答えた。
 ところがその後、新潟救難隊隊長ら7人の幹部から池田さんのみが呼び出され、「今回の件はお前が悪い」と一方的に罵声を浴びせられた。しかも、ついさっきはM3曹の暴行を「確かに見た」と言っていた係長のK2曹は「見ていません」と白を切ったのだ。

(写真 2008年4月17日、名古屋高裁が、イラクでの空自活動を「武力行使の放棄を定めた憲法9条1項に違反している」と断じた。自衛隊の存在や活動が憲法9条に違反するとの「違憲判決」が確定したのは、戦後、初めて。1973年の長沼ナイキ基地訴訟は二審で原告が逆転敗訴し、最高裁は上告を棄却した)

「警務隊を呼んだら、自衛隊におれなくする」

 どうしても納得がいかなかった池田さんは「では、警務隊を呼んで下さい。警務隊に白黒つけてもらう他ありません」と幹部らに告げた。すると新潟救難隊隊長は突然いきりたち「お前、警務隊を呼んだ時には自衛隊におれなくしてやるからな」と言い放った。

通信班からの排除

 そして、「M3曹の暴行事件」の翌日、池田さんがいつものように通信班に出勤したところ、入室用のパスワードが使えなくされていた。
 中にいた若年隊員から「池田さんは、ここには入れません」と言われ、通信班長からは「池田、お前は今日から庶務班だ」と一方的に告げられた。 公式な異動内示もないまま、通信班から締め出された。

 同年7月2日頃、池田さんは、M3曹の暴行の件を警務隊に通報した。
 その翌々日、通信班所属の池田さんは、前例のない庶務係への異動を命じられた。
 そして、部下に対するイジメで有名なY空曹長のもとで働くよう指示された。
 庶務係のY空曹長は池田さんが体の痛みから重いものが持てず、走ったり肉体訓練ができない事を知っていながら、無理難題を繰り返し押し付けた。

 同じ7月、「8月には必ず」小牧基地に異動できると確信していた池田さんに対し、上司から小牧基地への8月末異動が無くなったことを告げられた。突然の「異動なし」に驚いた池田さんは、その理由を訊ねたところ、「小牧で裁判をしている実例があるから」と理由にならない理由を述べた。3月と8月、池田さんは二度にわたって裏切られたのだ。

暴行事件の示談強要

 同年8月1日、入間基地にある飛行群司令のK1佐がわざわざ新潟救難隊にやってきて池田さんを呼びだした。通された部屋には飛行群司令のK1佐、新潟救難隊隊長のS1佐、そして池田さんに暴行したM3曹がいた。K1佐は池田さんに対して「お前のためだけに来てるんだぞ」と言い放ち、「池田お前、シロだったんだから気がすんだだろ」と述べた。池田さんは「肉体的には治りましたが、精神的には治っていません」と述べると、K1佐は「面白いことを言うな」と述べ、面倒臭そうに「示談してくれや」と言いながら、持参した「示談書」に署名するよううながし、且つ、入間基地警務隊隊長に電話して「示談書」の文面を読み上げるよう迫った。
 隊員間のもめごとに飛行群司令が介入すること自体、極めて異例であり、パワハラの極みに他ならない。池田さんは、やむなく「示談書」に署名し、入間基地警務隊隊長に電話して「示談書」を読み上げた。この時の池田さんの心中はいかばかりであったろうか・・・。
 
 同年8・月26日、身も心もずたずたにされた池田さんは、自衛隊に退職を申し出、同年10月31日付で自衛隊を退職した。そして、12年9月、名古屋地裁に提訴した。

(写真 違憲判決後、帰国のためにC130輸送機に乗り込む空自隊員=2008年12月17日、クウェートのアリ・アッサーレム基地)

帝国主義軍隊=自衛隊は隊員を守らない

 学習会を通じて改めて痛感したことは、自衛隊はどんなにきれいごとを並べても帝国主義軍隊に他ならず、絶対に隊員を守らない、ということです。
 そして「安全配慮義務」とは隊員を「戦場に送り込む為の口実」に他ならず、国・自衛隊は「安全配慮義務」すら守らない、ということです。
 何故なら、自衛隊は1%の資本家連中の延命の為にあるからです。「生産性」が優先され、一旦負傷したら「厄介者」として扱われ、その尊厳さえも踏みにじられ、職場から強引に排除される。「資本の論理」そのものです。
 理不尽で実に許しがたい自衛隊の対応に対し、隊内にあっても池田さんなりに必死に闘ってきたのだと思います。退職に追い込まれはしたが、階級性に目覚め、断固として提訴に踏み切った。それはまさに「生きさせろ!」の闘いそのものだと思います。しっかりと受け止め、団結して共に闘い抜いていきたいと思います。
 被告である国・自衛隊は「空自日報」や「警務隊記録」の提出・開示を拒んでいます。やましい事があるからです。そこに、労働者の一員である隊員にとって、戦争とは国家とは自衛隊とは何かという階級的・本質的姿が隠しようもなく示されています。

国際連帯で戦争阻止・兵士獲得、池田裁判の勝利へ

 国際連帯のもと9条改憲・戦争絶対阻止!安倍打倒の闘いとして、自衛隊解体・兵士獲得の闘いとして、国・自衛隊の本質を徹底的に暴き出し、居直り・隠ぺいを許さず、団結を打ち固め、池田国賠裁判に絶対に勝利しましょう!

日米一体の侵略戦争を居直り9条改憲狙う安倍政権を倒そう!

 2003年3月20日に強行されたイラク戦争は、米帝CIAのデマを根拠とした紛れもない侵略戦争でした。この犯罪的で破滅的な侵略戦争を真っ先に支持した小泉政権は、2004年4月から「イラク復興支援」の美名の下に多くの自衛官をイラクに派兵し、侵略戦争の片棒を担がせ、揚句に自殺やPTSDに追い込んだ。
 イラク現地で重傷を負った池田さんもその一人に他なりません。しかも、安倍政権はいまだ総括も検証も一切行わず、日米一体を示す「空自日報」を隠したまま「働き方改革法案」を強行採決し、福祉予算は切り縮め、防衛費を増大させ、敵基地攻撃能力等の一大軍拡と9条改憲・戦争への道に絶望的に突き進んでいます。断じて許すことはできません。9条改憲狙う安倍政権を労働者・兵士の団結で絶対に打倒しよう!
 了

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軍隊の崩壊とプロレタリア革命

滝山

帝国主義軍隊は内部から崩壊する

 米軍をはじめ帝国主義軍隊は、すでに、戦争維持が困難なところにまで崩壊的状態に陥っている。
 「戦争の担い手」は、兵士=労働者だ。その兵士・労働者が帝国主義支配階級の利害のために戦場で、また日々の隊内勤務の中で、「訓練」と称する国家暴力によって破壊され続けている。それを明解に示しているのが池田自衛隊裁判である。池田裁判は同時に、闘えば勝てることを示している。
 軍隊内や帰還兵のなかで、膨大な数で発現している「反乱」や自殺、PTSDが示していることは、1%の支配階級の利益と延命のための帝国主義侵略戦争が、兵士と99%の労働者階級人民の人間性を破壊し、死に追いやっているという現実である。そもそも軍隊という国家暴力の組織を構成する中核は軍服を着た労働者だ。

帝国主義軍隊の根本的矛盾

 帝国主義軍隊が抱える根本的矛盾は被抑圧階級である労働者階級の家族が国家暴力の担い手であるということだ。1%の支配階級の利益と延命のために、99%の労働者階級が半強制的・強制的に動員されているという社会的構造=階級的構造である。職場・生産点における資本との非和解の階級対立と同様、それ以上に暴力が支配する軍隊内「職場」は生産点現場以上に階級対立が非和解に激化する「階級間戦争」の現場である。

極限化する帝国主義軍隊の内部崩壊

 人間は自らの行為が階級的な社会的正義に基づかなければ自己の行為を継続・維持することはできない存在である。「国を守る」「自衛のための戦争」という排外主義イデオロギーのもとで兵士が己以外の人間を殲滅する行為に疑問を抱き、帝国主義戦争の不正義性に怒りが瞬間的に生じた場合でも軍隊の崩壊が始まる。「前線」と「後方」における「兵士の反乱」「命令拒否」「発病」「自殺」「逃亡」「訴訟」どはその現れだ。
 防衛省は2015年5月27日、3月末時点で、「イラク特措法で派兵された陸海空自衛隊員29人が帰国後自殺し、「テロ特措法」でインド洋上での給油活動に派兵された海空自衛隊員25人が自殺したことを明らかにした。イラクに派兵された自衛隊員は、陸海空で約9310人。インド洋に派兵された空海の自衛隊員は、延べ約1%万3800人だが実数は明らかにされていない。これらを前提にすれば、418人に1人が自殺し、自衛隊全体(13年度)と比べても約7・1倍である。14年内閣府統計の年間自殺者と比較すれば約12倍の高率だ。
 イラク・アフガン帰還米兵200万のうち60万人以上がPTSDである。12年の帰還米兵の自殺は320人。この年の米兵の戦死者は311人(米陸軍公衆衛生司令部)で自殺が戦死を上回っている。帰還米兵の自殺者は1日に22人だ!これは過去2ヶ月間の平均数だ。単順に計算すれば年間の自殺者は8000人になる。1%の利益のために行われる戦争が、兵士と労働者を根底から破壊し、それ自体が軍隊の崩壊である。

労働者・兵士の行動で安倍を倒そう

 安倍は改憲・戦争、核武装に突進している。
 米朝会談の破綻が、核戦争の危機を高めている。侵略戦争は、「議会内のお喋り」ではなくプロレタリア革命に向かう労働者階級の実力によって阻止できる。昨年3月、韓国の「ローソク革命」圧殺の軍事クーデーターを韓国労働者と軍隊内兵士の実力で阻止した。
階級的労働運動の前進で兵士と共に、安倍政権を実力で倒そう!

会報 第49号

Rise 第49号 2018年06月10日発行 Rise0049,PDF

「ナチス・ファシスト 安倍打倒!

米朝共同声明は破綻する

帝国主義戦争情勢下のボリシェヴィキの反軍闘争(下)

 

(写真 1917年ロシア革命に武装して決起した労働者とレーニン)

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朝鮮・アジア、米・中東労働者の国際連帯の強化で プロレタリア革命へ

滝山

労働者階級の実力で安倍を倒そう 森友・加計疑獄の開き直りは ナチスの手法

森友・加計疑獄の開き直りは ナチスの手法

 愛媛県は5月21日、、2015年2月15日に安倍が加計理事長から獣医学部新設計画の説明を受け、「そういう新しい獣医大学の考えはいいね」と語ったと記された文書を含む関連文書27枚を公表し、参院予算員会に提出した。
 安倍は翌22日、面会や計画に関するやりとりなど全てを否定した。加計学園も21日、県文書の内容を否定するコメントを出した。柳瀬は、安倍と加計理事長の面会に同席したとの県文書に「同席した覚えも、この話を聞いた覚えもない」と否定。
 追い詰められた安倍・加計は31日、加計学園事務局長・渡辺良人を愛媛県庁と今治市役所を訪問させ、安倍と加計理事長が2015年2月に面会したと伝えていたのは虚偽だったとして謝罪させた。
 どこまでも嘘と開き直りで延命せんとする安倍政権に対する怒りは巷に充満している。
 加計問題の「疑惑は晴れていない」が83%。安倍内閣支持は36%(4月31%)。不支持44%(同52%)。安倍の続投反対が53%(
4月53%)、続投容認が33%(同31%)。働き方改革関連法案の今国会成立反対が60%、成立させるべきが19%(朝日)。毎日の調査では内閣支持が31%、不支持が48%。いずれも5月末調査。
 森友問題でも財務省が徹底して安倍の関与を隠蔽していたことが明確になった。廃棄したとさる約950ページ、217件の交渉記録が復元され国会に提出された。約3000ページの決裁文書の改ざんと記録の廃棄で安倍と昭恵の関与を徹底的に隠蔽した。財務省は、昨年2月17日に安倍が「妻が関与していたら首相も国会議員も辞める」の発言後と24日、佐川が「保存期間は1年未満・・交渉記録はなかった」の国会発言後以降に交渉記録を廃棄したこを財務省が認め、決裁文書の改ざんも昨年2月から4月にかけて佐川の指示で行ったことも税務相が明言し、安倍、佐川の答弁とつじつまを合わせるためだったと説明している。要するに財務省は、組織ぐるみで「忖度」し、隠蔽と改ざんに奔走したことを認めている。だが改ざんに抵抗し、作業から外された職員もいた。

「忖度」は立証困難

 「忖度」をめぐる疑惑の立証は、それ自体は困難といえる。
 「忖度」は、安倍という極右・フッアシストとその「意を汲む」官僚どもによって生み出される腐敗した巨悪の「システム」である。
 「忖度」による行動には、「忖度させる側」と、「忖度する側」の利己的な思惑、利害、腐敗、野望がその根底に渦巻いている。
 あえて言えば「明示な指示・命令」がなくても「忖度する側」に己の野望、欲望、思惑が一体化すれば成立する巨大な悪・不正義のシステムと化す。安倍は「内閣人事局」の設置でそれを現実化した。「忖度させる側」は「決定的な証拠」さえ隠し、認めなければ政治的に追い込まれながらも開き直りが続けられる「システム」である。そして「忖度する側」も「忖度し行動する」全過程のなかに自身の野望と思惑を忍び込ませて推進しているために己が真実を明らかにできないのである。
 「忖度」が起こる国家、社会は、実に危険である。それは個人にとっても社会にとっても危険だ。特に労働者階級民衆には相容れられない社会だ。「忖度させる安倍」は、一見強力なように見えるが、「忖度」がもたらす「事態」を安倍自身が対応できなくなる脆さと危険性が巨大化する。だから安倍は、「私は知らない、知らないから指示もできない」と厚顔無恥に開き直る。言い換えれば安倍自身が「忖度」のシステムの巨大化のなかで極めて脆弱な存在と化す。

ナチス・ファシスト安倍政権打倒!

 「忖度」は「忖度する側」の利己的思惑によって巨大化し、一人歩きするシステムと化す。腐敗・堕落した反人民性は巨大悪の反階級的国家システムと化し、「基本ルール」と化している。それが現在の森友・加計疑獄問題の本質だ、日大問題も同質・同根である。日大問題はすでにそのシステムが巨大化していることを示している。これがナチス・ヒトラーの手法だ。
 
 アウシュヴィッツ強制収容所の元所長、アドルフ・アイヒマンは数百万人のユダヤ人を移送する任務を担い、虐殺した。戦後、アルゼンチンで逃亡生活後、60年モサドに連行され、エルサレム裁判で死刑判決を受け絞首刑になった。 裁判で大きな争点となったのが、大量虐殺がヒトラーの直接・間接の命令を受けていたのか否かであるが、これは不明のままだ。だがアイヒマンがヒトラーの「意志」を「法」とみなし、このおぞましい大量虐殺を粛々と遂行したのは確かだ。まさに「忖度」だ。安部や麻生が「ヒトラーの手法を学べ」というひとつがこれだ。日大問題にも見られるようにこれが国家と社会にシステム化しつつあるという現実に、われわれは正しく戦慄し、怒り、暴露し、1000万の怒りと結びつかなければならない。問われているのは、あらゆる職場、あらゆる分野で結びつける総合的なわれわれの飛躍である。安倍もろとも日帝とその社会を根底から徹底的に変革しなければならない。それが革命であり、労働者階級人民が生きられない今の社会は革命によってしか変えることができない。新自由主義の総破産が世界にこのような社会を現出させている。「おしゃべり小屋(国会)」では安倍を打倒できないことが日々、明らかになっている。本来なら「忖度」を生み出すようなシステムそのものが弾劾され、粉砕しなければならない。「おしゃべり小屋」では、この根本的なところでの追及すら放棄している。あべはそこにつけこみ改憲と戦争に突進することで延命せんとしている。求められているのは労働者階級人民の怒りと結びつき、安倍を実力で打倒する力、組織力である。
 米帝・トランプへの労働者階級人民の怒りは、米・中東・アジアー世界で爆発している。米大使館のエルサレムへ移転強行がパレスチナ人民の怒りの総決起として爆発している。米帝への怒りは中東から全世界に拡大している。米帝のイラン核合意からの離脱が、朝鮮半島の核戦争の危機と一体化し、新たな世界核戦争情勢を促進している(後述)

中東で米帝への怒りが爆発

 トランプの最新支持率が39%。支持しないが57%。共和党も支持率が低迷。トランプは11月中間選挙と2020年大統領選を見据え、5月14日エルサレム移転を前倒しで強行した。
 ガザでは移転が強行された14日、パレスチナ全土で「怒りの日」と定められ、4万人が自治区の各地で米帝・イスラエルへの抗議行動が爆発。イスラエルが実弾を発砲。子供や女性を含む60人が虐殺された。2014年ガザ戦闘以来、1日の死者としては最大である。14日に続く15日は大規模なゼネストで抗議デモが戦われた。銃撃で新たに1名が死亡。15日は1948年のイスラエル建国で70万人以上が難民となって故郷を追われた「ナクバ(大惨事・大破局)」から70年の節目。ゼネストで抗議が拡大している。5月17日時点で死者は62人。負傷者約3000人に達している。イスラエル軍の銃撃・虐殺と対決しながらパレスチナ人民の不屈な戦いが拡大している。
 ガザの対イスラエル境界沿いでは3月末から毎週金曜日、70年前に故郷を追われたパレスチナ人の帰還を求める「帰還の行進デモ」が続いている。イスラエル軍の銃撃による死者数はこれまでに計100人以上に達し、9000人以上が負傷している。
 没落米帝の中東支配は完全に破綻し、追い詰められているが故の移転強行だ。トランプは「移転記念式典」のビデオ演説で「「我々の偉大な望みは平和」とほざき、中東支配の破綻と崩壊を戦争の拡大で突破しようとしているが、それ自体が没落米帝の危機を促進し、トランプ自らが戦後世界体制の崩壊を破壊的に激化させている。

 米、イラン核合意から離脱

 米帝トランプ政権は5月8日、2015年の「イラン核合意」から離脱を表明し、「史上最強の経済制裁の実施」を宣言した。米帝の対イラン新政策は、イランの核開発阻止である。米帝の要求は、IAEAによる全ての核関連施設への査察実施、ウラン濃縮の完全停止、核プログラムなど軍事について全ての申告、検証可能で恒常的にこれらを放棄する、シリアのアサド政権を支援するイラン部隊の撤退、弾道ミサイ開発の停止、米国人の人質解放など12項目を突きつけている。
 その上でを欧州や日帝・安倍政権に「史上最強の経済制裁」の同調を要求している。米帝の口実は「イランがシリア内戦に介入し、イエメンのイスラム教シーア派武装組織フーシ派や、レバノンのシーア派組織ヒズボラを支援し、中東情勢の危機を激化させている」というものだ。「史上最強の制裁」とは核戦争である。
 英仏独は「イラン核合意」維持を表明した。その背景には欧州企業のイラン進出がある。トランプは、イランと取引をした第三国も制裁の対象とする「二次的制裁」を復活させる意向を示し、欧州企業への制裁も実施するとしている。
 米帝のイラン核合意の離脱は、イスラエルとイランの更なる軍事的激突に発展する。イランは6月月5日、ウラン濃縮能力の拡大計画の着手を国際原子力機関に通告した。イスラエル軍によるイラン核関連施設への空爆開始が検討されている。これはイスラエルを尖兵とする中東での新たな米帝の侵略戦争の始まりだ。米帝の狙いは、原油・金融制裁でイラン国民を締め上げると同時に、核戦争によるイラン、北朝鮮の「体制転換」である。没落米帝の中東支配・世界支配の破綻の中で激化している新たな資源争奪戦・勢力圏化を核戦争で乗りきろうとするものだ。世界は戦争と革命情勢を加速さているそれは同時に中東の革命情勢を引き寄せることになる。だが帝国主義に展望はない。2018年~20年の激動過程で国際連帯の強化と帝国主義足下のプロレタリア革命の爆発は不可避であるからだ。

(写真 在イスラエル米大使館のエルサレム移転に反対し、抗議するパレスチナ人民 (2018年5月14日、パレスチナ自治区ガザ地区))

米朝会談は 核戦争への道米朝共同声明は破綻する

 第2次大戦終結後、日帝の植民地支配から解放された朝鮮人民は革命に決起し、「人民共和国」の樹立を宣言した。だがこの革命は帝国主義とスターリン主義の戦後世界の分割支配体制のもとで暴力的に圧殺され、南北分断の支配体制は今日まで固定化されてきた。「ローソク革命」は「積弊清算」とともにこの南北分断支配体制を打ち破る朝鮮革命の火柱として爆発している。火柱は東アジア・中東ー全世界の労働者の怒りを解き放つプロレタリア革命への号砲である。
 「積弊清算」を掲げ、社会の全面的で根底的な変革を求め、パク・クネ政権を実力で打倒し、イミョンバク元大統領をも監獄にぶち込んだ韓国労働者階級民衆の決起が、分断の歴史に終止符を打つ革命への巨大な力となって噴出し始めた。この「革命」を求める力が南北の両政権に首脳会談を強制し、「板門店宣言」を出させた原動力である。言い換えれば、韓国・文在寅と北朝鮮・金正恩は韓国労働者階級人民の決起の前に南北首脳会談開催と「板門店宣言」に追い込まれたのである。歴史と世界を動かすのは労働者階級人民の闘いと実力である。
 南北の統一と解放を成し遂げるには、帝国主義とスターリン主義など「朝鮮半島の統一と平和を望まない」全勢力と徹底的で非和解で闘い抜く階級的実力が不可欠である。文在寅、金正恩、そして米帝・トランプが目指すものは体制延命のための韓国・朝鮮革命の圧殺にある。帝国主義とスターリン主義の恐怖は、韓国民主労総を先頭とする韓国労働者階級人民の「ローソク革命」のうねりが朝鮮半島全体へ、アジア、アメリカ、世界へ波及することへの心底からの恐怖だ。パク・クネを打倒し、監獄にぶち込んだ韓国労働者階級民衆の闘いと実力への恐怖である。帝国主義支配階級どもが打倒される恐怖である。そして最大の恐怖に陥っているのが極右・ファシスト安倍と日帝ブルジョアジーだ。森友・加計疑獄の開き直りは恐怖の裏返しの現れである。
 朝鮮半島の真の統一は、戦後73年にわたり分断を強いてきた元凶である帝国主義とスターリン主義をともに打倒することによってこそかちとられる。

(写真 「マックス・サンダー」に参加したF22ステルス戦闘機。昨年は参加していない)

米帝の核戦争戦略

(1)米帝トランプの国家安保戦略(NSS)見直しは、①米本土を防衛する、②米国の繁栄を増進する、③力による平和、④米国の影響力を拡大する、の4本柱で押し出した。
(2)核戦略の見直し(NPR)の中期指針は、ロシア、中国に対する「圧倒的な優位」を確保するために、「局地戦攻撃」で戦術核攻撃を前提にした低爆発力の小型核の開発・配備だ。これを弾道ミサイルに搭載する。通常兵器より核兵器の役割を拡大し、核攻撃の抑止・反撃に限定しない方針を中期指針に盛り込んだ。新指針は大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機の「核戦略の三本柱」を更新しながら、一方であらゆるレベルの「抑止力を保つ」ために「柔軟な核能力」を持つとしている。北朝鮮、イラン・中東などの核・ミサイル施設への戦術核攻撃はもとより、米帝の核以外の戦略的拠点・施設への攻撃、市民や基幹インフラへの攻撃、核施設などへの通常兵器による攻撃が行使された場合も戦術核による攻撃を明記。核使用の「緩和」などというレベルではなく、「核」を「通常兵器」として使用することを宣言した。トランプは、サイバー攻撃にも戦術核攻撃の行使を明言している。
(3)弾道ミサイル防衛見直し(BMDR)では、中国、ロシアを対象に、10年先の脅威にも対抗できるミサイル防衛技術の開発を加速させると明記。「同盟国の防衛」を押し出しながら、核心は米本土ミサイル防衛(NMD)が土台である。
 具体的には無人機から高出力レーザーを照射し、発射直後の弾道ミサイルを破壊する技術開発や、多弾頭迎撃ミサイル(MOKV)開発などの推進をぶちあげている。

「マックス・サンダー」に激甚に反応

 北朝鮮は5月16日、米韓空軍演習「マックス・サンダー」に激甚に反応した。南北閣僚級会談を中止し、米朝会談についても「トランプ米政権が一方的な核放棄だけを強要しようとするなら、われわれはそのような対話にもはや興味を持たないだろう」と表明。
 「マックス・サンダー」は100機の戦闘機が参加する「斬首作戦」の先制核攻撃訓練として強行された。例年と同規模とされていたが、昨年にはF22ステルス戦闘機とB52の参加はなかった。 北朝鮮の反応で16日午前、韓国国防部長官と在韓米軍のブルックス司令官(韓米連合軍司令官兼務)が会談し、計画されていたB52の参加を見送った。
 「ヴィジラント・エース」ではB1戦略爆撃機(核兵器は搭載できない)2日連続で参加しているが、B52の参加は作戦当初から外されていた。このことをみても今回の「マック・サンダー」が例年以上の「史上最大規模」で「斬首作戦」として計画されていたことが明らかになる。金正恩はこれに激甚に反応した。

 米帝・トランプの「最大の制裁と軍事的圧力」の目標は、対中戦争を見据えた朝鮮革命の圧殺と金正恩の屈服・体制転換である。

 北朝鮮の「南北共存」と「非核化」への「路線転換」は、体制崩壊の危機に追い詰められた結果からの対応である。金正恩は米帝に対抗し、北朝鮮の「体制延命の唯一の武器」として核・ミサイル開発に全力を挙げてきた。だが金正恩体制とっては、核・ミサイル開発を継続し、米帝との対抗に突き進んでも、「路線転換」による非核化=米帝への「恭順・屈服」の道を選択したとしても、いずれにせよ体制崩壊・転覆の危機は回避できない。「リビア方式」とは金正恩の抹殺まで含まれている。そしていずれ労働者階級人民によって打倒されるのである。米帝トランプは、米朝会談を当初から金正恩体制の解体・転覆に向けた「非核化」と「体制保証」という具体性のない包括的合意として設定している。米朝会談が長期化しても会談が破綻すれば、それを口実にして北朝鮮への核戦争に突入する。米帝にとって「会談破綻」は織り込み済みである。
米帝の北朝鮮「非核」絶対化

 米帝トランプとボルトンは、北朝鮮の非核化を絶対化している。
 トランプは、北朝鮮の非核化に向けた歴代政権の段階的措置を「誤り」と批判し、「効果がない」と断じ、金正恩が「体制保証や平和協定締結」を要求するなら、「核兵器の完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄」を譲らない強固な戦略をとっている。ボルトンは「リビア方式」の適用を繰り返し主張している。北朝鮮の核兵器を除去するには軍事行動が必要という強硬策が持論だ。「リビア方式」とは、「見返り・補償よりも先に核放棄」である。「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」、「核、ミサイル、生物・化学兵器の完全廃棄」である。
 「核弾頭や核関連物質、ICBMの一部を、半年以内に国外に搬出する。搬出する数量については、米朝首脳会談前の実務協議で調整を進める」、その後「数年内に全てを搬出させる。核物質は米国またはフランスに搬出させる」、「不可逆的な非核化」の担保として「核開発技術者(数千人)を海外に移住させる」などをトランプは金正恩に要求している。要するに核・ミサイル関連のあらゆるものを根こそぎ剥ぎ取るということを北朝鮮に突きつけている。これらに応じれば、「『テロ支援国家』指定の解除を検討する」立場だ。
※「北朝鮮は12個以上の核爆弾、50キロ以上の兵器用プルトニウム、数百キロの高濃縮ウランなどを保有」と報道されている。

(写真 板門店で4月27日、警護隊に囲まれながら韓国側に歩いて向かう金正恩)

北朝鮮の要求「核保有国認定」

 これに対し北朝鮮は、「核開発の初期段階にあったリビアを『核保有国』であるわが国と比べること自体が愚か」と対抗し、北朝鮮の「核保有国認定」の上での「在韓米軍の完全撤退=韓国からの米核兵器の撤収」「米韓軍事演習での核搭載可能な戦略爆撃機の飛行中止」「相互不可侵」「平和協定の締結=朝鮮戦争の終結宣言」「米朝国交正常化=平和条約の締結」などを要求している。
 要するに北朝鮮・金正恩の要求は「斬首作戦・作戦計画5015」の中止、核先制攻撃の中止要求だ。言葉を換えれば「完全かつ検証可能で不可逆的な体制保証」の要求である。板門店宣言には「核のない朝鮮半島」という文言があるが、トランプも文在寅も、北朝鮮の「在韓米軍の完全撤退」要求には応じない態度を明確にしている。

 6月4日サンダース大統領報道官は、1日にトランプに渡された金正恩からの親書の内容には踏み込まずに「対北朝鮮制裁を維持する。制裁は非常に強力であり、北朝鮮が非核化を実現しない限り、解除することはない」と明言。

北朝鮮スターリン主義は 核を放棄しない

 金正恩スターリン主義は核を放棄しない。なぜなら体制保証を実現する唯一の戦略として、「核・ミサイルの開発・保有」を堅持しているからである。核は北朝鮮の「宝剣」である。「体制の安全が保証されれば、核を保有する必要がない」、これは金正恩が3月に訪朝した韓国特使団に述べた言葉である。だが、米帝トランプは「北朝鮮の非核化=核完全廃棄」の先行実施の合意が前提としている。
 5月9日のポンペオ米国務長官と金正恩会談で、「トランプ大統領が望んでいるのは、北朝鮮が核兵器を完全廃棄するのを見ることだ。その代わりに、我々は北朝鮮の人々が豊かになる機会を得るという確約をする用意がある」「核弾頭やICBMなどを半年以内に国外搬出すれば、テロ支援国家指定を解除する」可能性も伝えたと報道されている。
 米帝とスターリン主義の戦後の「平和共存」体制が米帝の没落で「崩壊」している現在、金正恩の体制延命をかけた米朝対決は、基本的に非和解的とならざるを得ないであろう。金正恩は中国・習近平をも引き込み延命しようとしている。その根底には朝鮮革命の圧殺・解体と南北分断体制の維持=南北共存の狙いがある。これがスターリン主義だ。

米国 項目 中国
約72兆円 国防予算 約18兆4000億円
約127万人 総兵力 約220万人
約890隻 艦艇数 約740隻
約70隻 内、潜水艦数 約60隻
11隻(※) 空母 2隻(※)
約3600機 戦闘機 約2700機

(※)さらに1隻を建造中
数字は2017年版防衛白書から。米国防予算は要求ベースで約7兆円の戦費も含んでいる。

中国・習近平の「共存路線」

 習近平は二度目の中朝首脳会談(5・7~8))で米朝間で「非核化の合意」に達した場合、中国は北朝鮮に対し、「段階的な経済支援に乗り出すことが可能」とした。「米朝の非核化合意」が前程であると同時に、米朝間での「包括的合意」の重要性を金正恩に通告している。会談後、習近平はトランプとの電話協議で、北朝鮮が主張する「段階的で歩調を合わせた措置」に米帝が応じ、「米朝双方が段階的に行動」する「平和共存策」を要求している。北朝鮮が「核完全放棄」に合意した場合、中国の「核の傘」の下に入ることも取り沙汰されているが、それ事態、アジアにおける米中戦争の新たな軍事的対立の激化となる。

米国防総省、「リムパック」から中国軍排除

 米国防総省は5月23日、6月下旬から開催する環太平洋合同演習(リムパック)への中国の招待を取り消した。中国は、南中国海の南沙(スプラトリー)に対艦ミサイル、地対空ミサイル、電波妨害装置を配備。西沙(パラセル)諸島の永興(ウッディー)島に爆撃機を派遣。中国・習近平は4月、海南島沖で空母を含む最大規模の海上閲兵式を行い南中国海での活動を強化している。5月18日にも、爆撃機「轟6K」が南部海域の島しょうで離着陸訓練を実施。米帝は軍事システムの撤去を要求し、中国のリムパック参加を取り消した。併せてトランプ同日、輸入自動車への関税を25%に引き上げ貿易戦争を激化。

 没落米帝・トランプを先頭に、帝国主義列強が「自国第一主義」を掲げ、中露を加えた資源・市場・勢力圏化の強奪戦争がアジア・中東・ウクライナの三正面を焦点にしながら世界で貿易戦争として既に火を噴いている。それは同時に世界三正面での戦争と世界核戦争の危機として急速に転化し始めている。そして米朝会談の破綻がその転化を促進する。
 労働者階級に求められているの「平和への幻想」ではなく反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア革命である。

韓国・民主労総の闘いに連帯し、安倍政権を打倒しよう

 世界の労働者階級の国際連帯と団結した全労働者の行動が戦争を止める唯一の力だ。韓国・民主労総の非和解の闘いがそれを示している。
 戦争と革命情勢の中でハン・サンギュン前委員長の出獄を勝ち取った。「ローソク革命」をプロレタリア革命に進展させる巨大な力になる。ハン・サンギュン前委員長の出獄を勝ち取ったが未だ多くの同志が、文在寅によって監獄に閉じこまれたままである。ハン・サンギュン前委員長は、「すべての労働者の民主労総として、この地の労働者階級がこれ以上政治家の脇役でなく世の中を変える主役となることができるよう共に闘うことを約束します」と述べ、「同志たちとともに再びはちまきをしっかりと結びます」と出獄の所感を世界の全 労働者に送っている。
 「戦争を始まる前に止める行動」とは、自国帝国主義・安倍政権の打倒である。これがハン・サンギュン前委員長と韓国民主労総の闘いに連帯する日本の労働者階級人民の課題であり、その実践である。
 戦争を始まる前に止める行動とは、非和解の階級戦争である。階級戦争とは侵略戦争を止め、侵略を内乱・内戦に転化し、自国政府を打倒する革命戦争である。
今こそ60年代から90年代の全過程と、2010年代の全ての闘いを革命的に発展させ、安倍政権を打倒し、プロレタリア革命への歴史的な闘いに進撃しよう。その実力を飛躍的に闘いとろう。
 1917年ロシア革命以降、ロシア革命を発展させる最高、最大の反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア革命の世界史的チャンスが到来している。このチャンスは安倍政権の改憲と戦争への突進を職場・生産点で阻止する闘いを拡大するチャンスである。分裂・解体状況にある連合を打倒し、全労働者を階級的労働運動のもとに組織できるチャンスである。勝利の核心と展望は、国際連帯と階級的労働運動の巨大な前進と現実の闘いの中にある。改憲阻止・戦争阻止、「働き方改革=過労死法案」成立阻止、安倍打倒を国鉄決戦とすべての職場闘争の基軸に据え、階級的労働運動の拠点を全国に建設しよう。

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モスクワ蜂起とボリシェヴィキの軍隊工作(下)

滝山

 第48号(上)からのつづきです。紙面の都合で、中見出し、写真は全て割愛しました。そのつもりでお読み下さい。一読、二読をお願いします。ボリシェヴキの軍隊工作は、現在の職場拠点建設の戦略的な基本的在り方を示しています。

兵士の生活に入り込む努力

 ボリシェヴィキは、各地方委員会に軍隊に対する働きかけの中心箇所を選び出し、その部隊のあらゆる特質、上官に対する不満の度合い、過去の革命活動への関わり、決起とその結果などを掌握することをすすめている。兵士の間で宣伝・煽動を実らせるためには個々の党組織は、深く兵士の生活に入り込み、隊内生活の現実そのものを詳細に批判しなければならないと指摘している。
 この時期にロシア社会民主労働党の第3回大会がロンドンで開かれている(05・4・12~27)。
 大会は、軍隊を労働者人民の側に移行させる問題を検討し、軍隊内にボリシェヴィキの強固な非合法組織を建設する場合にのみ軍隊を労働者人民の味方に引き入れることができるという結論を導き出している。
 隊内に党組織が存在するということは蜂起ープロレタリア革命のときに決定的役割を果たす。
 それだけではない。隊内革命党組織が蜂起の軍事技術的な準備に関わる諸課題で、労働者人民に多大な援助を与え、必要な時期に小隊・中隊を労働者人民の同盟軍として引き入れるためにも決定的で、重要な役割を果たすのである。これが軍隊内非合法組織の任務である。
 この任務を非合法的に遂行するためには、隊内組織に対する各地方・地区委員会の指導を確立しなければならないことは明白である。第3回大会においてこれらが党の一般的見解として出されている。

 モスクワ委員会は、守備隊兵士の構成の調査を重視した。1905年4月、ボリシェヴィキの反軍組織に技術部が設けられた。技術部は出版物の配布のほかに各小隊の人的調査を行い、モスクワ市各地区のメンバーは次の情報を定期的に党に提出することになった。

①何人の兵士が労働者の弾圧に参加したか
②いわゆる治安出動で「鎮圧」の際、各支隊はどう行動したか
③労働者の射殺に憤慨した兵士の名簿
④兵士の出身県
⑤各部隊に労働者と農民が何人いるか
⑥軍隊に召集されるまでに何名の兵士が革命運動に参加して弾圧を受けたか。その名簿。
⑦召集前にロシア社会民主労働党の組織に参加していた兵士はいるか。その名簿、などである。

 革命情勢の中で各地区委員会のメンバーがここまで踏み込んだ隊内工作をおこなっていた。

戦艦ポチョムキンの武装決起 

 5月から6月にかけて革命の波は高まった。メーデーは警官、軍隊と激突した。
 5月のストライキには全ロシアで20万人以上の労働者が決起した。オデッサ、ワルシャワ、リガ、ロッジなどの都市ではストライキに決起した労働者と軍隊が衝突した。ロッジ市の労働者は数十のバリケードを市街に構築し、3日間、軍隊と市街戦を展開した。このような情勢の下でボリシェヴィキの軍隊工作は一段と強化されていった。
 6月の「戦艦ポチョムキン」の武装決起に対し、レーニンは「ポチョムキンは・・・革命の不敗の領土になった。この軍艦の運命がどうなるにもせよ、われわれの面前には疑うことの出来ない輝かしい事実ー革命軍の中核形成の試みーがある」と、真向から、評価した。
 この頃モスクワ守備隊での革命への雰囲気が高まり、「全予備兵諸君に訴える」「一社会民主主義者=水兵の手紙」「兵士の要求」「立ち上がれ、兵士諸君」というビラ・パンフレットが撒かれている。
 7月には第21東部シベリア山砲隊の事件が起きた。モスクワ地区委員会はこの山砲隊の兵士達とも連絡を維持し、彼らにビラや出版物を配布し続けていた。この出
版物の配布によって大規模な組織活動が展開されていた。
 だが、兵士の手紙の中にボリシェヴィキのビラが一枚入っているのを憲兵によって発見され、その兵士が逮捕され(拷問)、さらに10数名の兵士が逮捕された。そして蜂起は、残念だが、鎮圧された。

隊内工作の強化を決議

 7月末には、ロシア社会民主労働党北部委員会の第一回会議が行われた。この会議の主題として、「武装蜂起準備機関」の問題が討議された。軍隊内工作の重要性が特に議論され、隊内工作を強力に推進することが決議された。
 7月17日の「プロレタリー」第8号には「軍隊では何が行われるか」という論文が掲載され、第10号では、隊内煽動の重要性とともに方向性を提示し、すべての地方組織に質問事項に対する回答を求めた。
①その土地の軍隊数、兵器の種類別と兵員(県別)
②隊内活動は行われているか。どのように行われているか。手工業的にか、それとも組織的にか。
③組織の性格ーサークル、軍隊グループ、委員会に属しているか、独立しているか(詳細に)。
④兵営との連絡はどのようにつけられたか。
⑤何で軍隊に近づいたか。何から始めたか、兵士の無権利状態の啓蒙からか、それとも戦争の罪悪を暴露することからか。
⑥どのくらいの機関(及びどこで)この工作が行われたか。
⑦兵士出身の活動家がいたか。
⑧組織された兵士の数。
⑨軍隊向けのビラの数と性格(出来れば、それらのビラが欲しい)。
⑩動員の布告を蜂起に利用する試みがなされたか(その模様を書くこと)。
⑪どんな具体的(一般的雰囲気及び個別的)なスローガンが戦争及び蜂起について掲げられたか、又、掲げられているか。
⑫軍隊の一般的雰囲気および蜂起の場合に彼らがとるだろう態度。
⑬どのような工作の改善が必要か。
⑭現在の軍事的革命組織(地区的および地方的)についての情報。
⑮単一の全国組織をどのようにつくるか、などなどである。
 
 1905年秋には、労働者人民の革命闘争への決起はさらに高揚し、発展した。
 レーニンは次のように言っている。「1905年秋には、地主に対する農民の闘争は広範囲に拡大した。農民運動は、全国の郡の三分の一以上に拡がった。サラトフ、クムボフ、チェルニゴン、チフリス、ククイス、その他の諸県は、真の農民暴動の場面となった。それでも農民大衆の襲撃は、まだ不十分であった。農民暴動には組織性と指導性とが足りなかった。
 チフリス、ウラジオストック、タシュケント、サマルカンド、クルスク、スフウム、ワルシャワ、キェフ、リガなどの諸市では、兵士の間にも不安動揺が大きくなった。クロンシュタットでも、セヴァストボールにおける黒海艦隊の水兵の間(1905年11月)でも反乱が勃発した。しかし、これらの反乱はバラバラに起こったため、ツアーによって弾圧された。
 個々の陸海軍部隊に起こった反乱の動機として、将校から受ける極度の酷遇、粗悪な食物(えんどう豆一揆)等によることが珍しくなかった。
 反乱を起こした水兵と兵士大衆はツアー政府打倒の必要や武装闘争を強力に継続する必要があることについて、はっきりした意識をまだ持っていなかった。 
 反乱を起こした水兵と兵士大衆は、余りにも寛大な気分をもち、反乱で拘束した将校達を解放するという過ちをしばしば犯し、且つ上官の誓約をうかつにも信じ、気を許した。
 このような情勢下、監獄から釈放された革命家バウマンがデモ隊の先頭に立ち、政治犯を釈放させようとタガンスカヤ監獄に向け前進したとき「黒白人組」によって襲撃され虐殺された。ボリシェヴィキは10月10日に葬儀を計画し、この葬儀を反政府デモとして爆発させた。このバウマンの葬儀に守備隊選抜兵連隊の40名の兵士および若干の将校が参加した(11月25日付け「ユマニテ」紙)。
 一団の兵士が立っていた兵営の付近を通過するとき、デモ隊の中から「兵士諸君!諸君は誰の味方か!?」という叫びに対し、多くの兵士から「人民と自由のだ!」と応えている。

 ボリシェヴィキの兵士への呼びかけ

 ボリシェヴィキのモスクワ地区委員会は、モスクワ守備隊の兵士に対して、労働者人民の要求を支持し、労働者人民と共に、次の要求をかち取るように呼びかけている。
①労働者と農民に発砲を命ずる国家権力、警察、将軍、将校を一掃すること。
②一般・平等・直接・秘密投票によって選挙される全人民の代議員を選挙すること。
③代議員によって、労働者と農民の利益を守る新しい法律を制定すること。
④蜂起した水兵を釈放すること
 モスクワ守備隊の兵士たちは、このボリシェヴィキの呼びかけと、クロンシュタットやセヴァストーポリにおける水兵の蜂起によって大きな影響を与えられ、兵士は、労働者の集会に参加するようになった。

 ボリシェヴィキはこの情勢下、モスクワ守備隊の各部隊に対する、革命的宣伝・扇動活動と組織的工作を一段と強化した。ボリシェヴィキは第一ドン・カザック連隊と連絡をつけ、選抜兵師団の諸部隊が駐屯し、モスクワ管区工務局があるクレストフスキー兵営に対する工作を成功させ、クレムリンの兵営計画、軍管区司令官官舎のある建物の計画、ホドウインスコエ原の野営地の配置図などを入手している。
 ボリシェヴィキは選抜兵たちに蜂起への決起を呼びかけた。スムスキー連隊およびニェスヴィージスキー連隊の兵士たちは蜂起に加わることを同意した。だが、この会合を警察に探知され、多くの参加者が不当に逮捕された。
 しかし、これでモスクワ守備隊兵士の決起が抑えこまれたわけではない。

兵士の決起と兵士集会

 1905年11月末には、ハモヴニチェスキー兵営に宿営していた第4選抜ニェスヴィージスキー連隊が、日常的要求を掲げて決起した。200名以上の兵士が兵営を出てデモに決起し、ベルノフスキー連隊の宿営地に向かい兵士たちに合流を呼びかけた。これに応えて100人以上の兵士がこのデモに合流した。
 このデモ隊は、スムスキー連隊の兵営の前で武装した将校集団に抑えられたが、10月17日の詔勅によって人民に与えられる「自由」を兵士にも与えよと要求している。将校集団は、「その要求を検討したうえで要求を入れるようにする」と応じざるを得ず、これで兵士たちは兵営別に解散した。
 数日後、ニェスヴィージスキー連隊では、再び兵士集会が開催され、300人以上の兵士が参加した。ここでは次のことが討議された。
①1901年兵および1902年兵を即時除隊にする。
②本年度徴集兵から勤務年限を2年8ヶ月に短縮する。
③余暇を無制限に利用する。
④あらゆる新聞や雑誌を自由に閲読する。
⑤給与および食料を増額する。
⑥満期外勤務を廃止する。
 11月26日には兵士大会を開催した。そこで要求をまとめ軍当局に出している。
 兵士たちは、「政治的な会話をした」という理由で逮捕された兵士の釈放。全予備役兵の除隊。金銭と被服の支給。将校への敬礼(挙手の礼)の廃止。食事の改善。などを要求した。兵士たちはこれらの要求が受け入れられないときは将校を逮捕し、電信・電話を切断し、「反政府武装闘争」への突入を宣言した。
 軍管区司令部は決起を鎮圧する
ために兵士を逮捕すると同時に一方で、兵士たちの細かい経済的要求に関する要求を認め、充足を図った。「飴と鞭」である。
 金銭および被服が支給され、食事が改善された。将校と下士官らの説得で一部の兵士が革命運動から離脱した。
 だが、逮捕・弾圧されても兵士の怒りは根底的であり、怒りは激しく高まっていった。

12月武装蜂起

 1905年12月武装蜂起の直前、二つの重要な組織的前進が闘いとられた。
 ひとつは、ロシア社会民主労働党・北部委員会の第2回会議である(11月21日~23日)。この会議で、隊内工作の重要性を確認し、中央委員会と地方の党軍事組織と恒常的な連絡体制を構築するための専門の軍事組織が創設された。
 もうひとつは、モスクワ市内に各区別および全市の労働者代議員ソヴェト並びに兵士代議員ソヴェトの組織が誕生した。
 レーニンは直ちにソヴェトを武装蜂起の機関、新しい革命権力の萌芽と捉えた。
 モスクワ・ソヴェトは、11月27日の会議で、モスクワ守備隊各部隊にたいし「兵士に訴える」というアピールを決定し、発した。モスクワ委員会は武装蜂起の準備を開始した。武器を調達(購入・獲得・製造)し、労働者の戦闘部隊を組織した。
 ボリシェヴィキのモスクワ地区委員会が長い間、隊内工作を行ってきたモスクワのロストフ連隊が蜂起を開始したのは12月2日である。
 12月3日、ロストフ連隊、ニェスヴィージスキー連隊、エカテリノスラフ連隊、トロイツェ=セルギィエスフク連隊、第1・第2・第5工兵隊、コザック連隊およびその他の諸部隊の代表者と各労働者戦闘部隊長やボリシェヴィキの宣伝・煽動メンバーらの合同会議が行われた。これは実際上の兵士代表ソヴィエトの第一回会議である。
 代表者たちは、異口同音、兵士たちの決起とプロレタリアートの革命運動を全面的に支援し、共に戦うことを確認しあった。
 モスクワのプロレタリアートは、ロストフ連隊の蜂起に対し、集会を開き兵士たちとの連帯と団結を表明し、支援の声明を発した。
 しかし、モスクワ委員会は、軍事問題を討議するためのすべての会議・集会において実践的な組織的決議や政策・方針として結実させることができなかった。要するに一部の指導部が決断できなかったのである。
 また、ロストフ連隊内の革命党組織は未確立でメンバーも未だ少数であった。そしてこの組織には「確固とした決意」と「団結と統一」も未だ弱かった。ロストフ連隊の蜂起は、12月4日、鎮圧された。

ゼネ・ストの宣言

 12月5日、招集したロシア社会民主労働党モスクワ地区委員会は、モスクワ市のゼネ・ストを宣言した。次いでゼネ・ストを全労働者人民の武装蜂起に発展させることを決議した。「革命運動は今や武装蜂起の段階に達した」と。
 モスクワのボリシェヴィキは、モスクワ守備隊の各部隊に対しても、開始された蜂起に対する弾圧のためモスクワに派遣される諸部隊の中でも隊内宣伝・扇動工作を粘り強く、全力で行った。
 そしてまた、12月11日のモスクワ・ソヴィエトの通信で、ボリシェヴィキは「蜂起した労働者諸君への忠告」で次のように訴えている。
「なるべく兵士には手を下さぬようにせよ。兵士は労働者農民、人民の子であり、自分から人民に立ち向かいはしない。将校や最高司令部が、彼らをけしかけているのだ。諸君は、自分らの力を将校と司令部に向けよ。
兵士を労働者の射殺にかりたてる将校は、すべて人民の敵とされ、法律の適用外に置かれる。彼らは無条件に殺してしまえ!」と、明快に記している。

 12月7日、モスクワの大企業でゼネ・ストがはじまり、バリケード戦が開始された。約10日間、武装した労働者と軍隊との市街戦が激しく展開された。そして、プロレタリアートの武装蜂起は、残念だが、敗北した。
 階級闘争と革命運動は平坦には進まず、勝利と敗北の教訓を繰り返しながら前進する。
 レーニンが後に「モスクワ蜂起の教訓」の中で指摘しているように、ツアー政府は、当時、動揺している軍隊・兵士を支配者の側に獲得するために、排外主義と国家主義的思想工作を隊内教育と結び付け、軍隊・兵士を反革命の側に組織する闘争を徹底的に推し進めた。これに対し、プロレタリアートの側においては組織が未だ武装蜂起のための準備がなされていなかったのである。軍隊・兵士の一部分が蜂起したとはいえ、未だ全体としてはプロレタリア革命の条件が成熟していなかった、ということが12月武装蜂起にとって致命的であったといえる。

12月蜂起以後の軍隊工作
警察権力の弾圧と闘いながら推し進められた

 だが、12月蜂起の失敗後、陸・海軍の兵士の怒りと決起は鎮圧されてしまったわけではない。レーニンは地方組織に対し農民、特に兵士の間における革命的工作の強化を指示し、ボリシェヴィキは新たな武装蜂起にむけた準備をただちに開始した。
 この時期のボリシェヴィキの重要な前進は、モスクワ委員会の下に隊内党組織の再建および兵士向けの専門紙の発行である。そしてモスクワ市委員会および各地区委員会は、隊内における反軍工作の全指導を軍隊党組織細胞に集中し、全労働者・全人民的武装蜂起の計画的準備のため、各部隊内での扇動と兵士の組織化の任務を強化した。
 非合法新聞「兵士の生活」は、ボリシェヴィキのモスクワ委員会のは反軍工作の機関紙である。その第1号は1906年2月5日に出された。この機関紙は警察権力によって印刷所が摘発され、2ヶ月しか存続しなかったが計2万部、発行され、兵士たちに影響を与えた。
 それでもボリシェヴィキの軍隊工作の結果、工兵隊およびモスクワ親衛隊の兵士たちは軍当局に対し、経済状態の改善および勤務年限の短縮を要求し、治安出動を拒否しはじめた。
 モスクワ第一親衛龍騎兵連隊(トヴェリ駐屯)の兵士はもっと明確な行動をとった。ボリシェヴィキはこの連隊内に兵士の非合法組織の建設に成功し、約20名の兵士を組織していた。要するにボリシェヴィキは、12月の武装蜂起の敗北後も軍隊工作を強化し、成果を収めていたのである。これはそのひとつの事例である。

統一的軍隊工作の始まり

 モスクワ委員会は、統一的な軍隊工作の必要性から軍隊組織の全国会議招集のため組織事務局をつくった。しかし統一的指導は、必ずしも成功していなかった。軍隊工作は依然、分散的で明確な中央集権的な組織形態をもっていなかったのである。
 この第一回軍隊党組織全国会議は、1906年3月27日、秘密住宅で非公然的に行われた。ここでモスクワ委員会は「ロシア社会民主労働党モスクワ委員会軍隊革命組織規約」を作成し、提起した。

 その内容は次のとおりである。
①革命組織の目的は、軍隊内における社会民主主義思想の計画的な宣伝・煽動、および各部隊内における組織された社会民主主義組織の結成である。
②革命組織の当面の任務は、ロシア専制政府に対する決定的な全人民的行動のため、軍隊のあらゆる革命的分子の戦闘組織をつくることである。
③革命組織は、組織・宣伝・煽動の方法の点、および人員や資金の配分の点で、独立している。戦闘行動に際して、軍隊の革命組織は、他の軍隊グループや軍隊組織との関係の点で独立している。
④革命組織は、連絡および指導への参加のため、モスクワ委員会指名により、そのメンバーをモスクワ委員会に参加させる。
⑤革命組織は、理由のある意義の申し立てがない場合には、単純多数決により互選で補充される。
⑥全般的戦闘行動に際して、軍隊の革命組織はモスクワ委員会の政治的指令に従う。

 しかし、この会議は、やがて警察権力に摘発され、会議の参加者は、会議開始後、全員が逮捕される事態となった。警察権力は、会議の全参加者逮捕につづき、前述のボリシェヴィキの隊内機関紙である「兵士の生活」紙の非合法印刷所である秘密家屋を摘発。逮捕は、軍隊の革命組織と連絡のある兵士たちにもおよび30~40名の兵士が不当逮捕された。
 
 1906年の夏ころには、土地問題での農民の怒りが爆発し、農民の決起が革命運動をさらに高揚させた。しかしツアーリは蜂起した農民を弾圧した。
 タンボフ県知事ボグダダノヴィツチは、なんと、「逮捕を少なくして、射殺を多くせよ」と命令を出していた。断じて許せない!! この命令を受けた郡警察署長は、「説得をやめ、火器で行動せよ。諸君が多く射殺すればするだけ、それだけ上司に対する諸君の功績は大きい」と反革命的扇動を行なっている。だが、ツアーリ政府の農民への無差別弾圧の強化は、支配階級の危機の現れ以外ではない。蜂起した農民を問答無用で射殺する支配階級の弾圧は、ロシアの労働者と兵士の怒りをさらに引き出した。
 ボリシェヴィキは、兵士たちに対し、自分自身で要求を出し、それを当局に突きつけ、容れらないときは労働者人民と結合・団結し一斉にストライキ・ゼネストに決起するように呼びかけた。またボルシェビキの「カザルマ」紙は、「土地と自由のために起ち上がった農民と労働者の弾圧を拒否せよ!自分たちの兄弟の射殺を拒否せよ!」と、兵士に訴えた。革命と反革命のすさまじい流血の激突と攻防戦が展開されている。組織戦においても然りである。
 1906年6月24日、モスクワ委員会は、カザックの集会を組織した。この集会は、単なる宣伝・扇動の集会ではなかった。
この集会には、モスクワのカザック部隊の代表者87名が参加した。集会では兵営内の状態や上官の職権乱用が怒りを込めて討議された。そして3人の委員からなる委員会が結成され、カザック内の反共・反革命宣伝や上官の非行を調査することも決定された。

軍隊工作の進展と反革命の反動攻撃

 ボリシェビキは、これまでの軍隊工作の経験を考慮しながら兵士・隊内に革命党組織の再建・強化にとりかかった。
 モスクワ守備連隊に対するボルシェビキの非合法印刷物や新聞が大量に配布され、それが兵士たちの決起として物質化されていった。勤務を中止したり、上官に抗議する闘いが次々に組織的に起こった。 特に第6工兵旅団の兵士の行動は大規模であった。また、その時期にタンボフにいた第7騎兵予備連隊の兵士の決起は軍と政府を震撼させた。予備連隊の兵士が練兵場に結集し集会を開始した。その解散を命令した当番将校と連隊長に21ヵ条の要求を突きつけた。 翌日、兵士たちは勤務を拒否し、全連隊の兵士大会を開催し、新しい28ヵ条の要求を連隊長に突きつけた。軍当局は、兵士達の要求には応えつつその首謀者を捜査し、逮捕した。この不当逮捕に兵士たちは怒り、全連隊が決起した。この決起はボリシェヴィキの隊内細胞の指導・扇動によるものである。兵士たちは完全武装で整列し、逮捕された兵士の釈放を要求した。
 この隊内決起に対し、モスクワ軍管区司令部は、蜂起鎮圧のため第217歩兵クロムスコイ連隊その他の兵隊を動員し、派遣し、鎮圧に躍起となった。
 陸軍大臣は、軍隊内での革命運動を調査・分析し、モスクワ軍管区司令官に以下の要求を行っている。
①軍隊内の革命運動の成功の基本的原因は、将校と兵士の間に平常の結びつきがないためである。したがって、将校が兵士のためにもっと多くの時間を割き、兵士の中に居る時間を増やすこと。
②工場から軍隊に入って来た兵士が一番、宣伝を受け入れやすい。兵士の革命的動揺の主たる原因は「経済的窮迫・上官に対する一般的不満・警察勤務に対する不満」である。
③将校たちが訓練の点でも能力の点でも低い。したがって将校たちの粛清をやり、最も忠実な者だけを軍隊に残すようにすること。
 要するに軍隊内治安監視体制と弾圧体制の強化を命令した。

 また、ロシア政府は、モスクワ軍管区司令部その他の軍管区に対して「軍隊内宣伝扇動の原因」の特別調査命令を出している。そしてこの「特別調査報告」によれば、「革命思想とうまく闘争するためには、先ず、これらの思想をあらかじめ研究しなければならない。思想に対しては思想をもって戦わなければならない」と言明している。
 陸軍大臣は、この報告者の提案を受け入れ、モスクワ軍管区司令官に、「軍隊内の革命的宣伝と戦うために、直ちに将来の将校の養成にとりかかり、彼らに社会問題や政治問題を研究させ、必要があれば、いつも兵士達にこれらの問題を説明できるようにすること」と提案し、命令を発している。
 ※今日の自衛隊内においても隊  員への政治活動の禁圧と一体  で反動的宣伝が行われている。
 ロシア政府は以上にとどまらず、労働者人民の間に「愛国心」を植えつけるすべての組織を支持・援助することを表明し、革命に対する体制内化の反革命体制の強化を図った。そのために公開の講演会、図書館や読書室などを組織する協会を利用し、その体制を強化している。
 だがこの「思想には思想をもって戦う」という敵階級の路線は、成功しなかった。当然だ。人類の進歩的思想、マルクス主義とプロレタリア的変革と自己解放の思想と闘いの前進を押し留める思想などあるはずがない。普遍的・究極的な革命思想に反動的思想と対策が対抗できるはずがない。
 プロレタリア革命とは、犠牲を恐れず、鉄の規律と英雄主義で武装し、幾多の反動と反革命勢力の台頭をも粉砕しながら突きすすむことによって、労働者階級人民が、最後的に、必ず、勝利を戦い取る革命である。革命とは労働者と人類の自己解放をかけた、唯一、正義の革命戦争である。

軍隊の革命的工作と組織化における諸問題

 レーニンは「モスクワ蜂起の教訓」で、ボリシェヴィキのモスクワ委員会の軍隊内党細胞組織の中央集権的な組織体制の未形成により、各部隊の武装蜂起が個々バラバラな、自然発生的なものとなり、蜂起が蜂起戦として成功しなかったと総括している。
 このためモスクワ委員会は1906年11月5日、「モスクワ軍隊組織第2回会議」を行った。会議では、主として、軍隊組織の党細胞組織建設の諸問題が検討された。そして次のような組織構成計画案が提示された。
①守備隊内の下部の党細胞とみなさるべきものは「中隊の兵士=社会民主主義グループ」である。小隊には党組織は作られなかった。大隊委員会は、各中隊組織から2名ずつの代表によって構成された。大隊委員会および連隊委員会は、兵士=党員総会で選ばれることになった。
②各地区には、地区会議で選ばれる地区委員会がつくられた。地区委員会は10名からなり、3ヶ月毎に改選され、組織メンバーの多数の要求がある場合には、期限前に改選させることも出来るようにした。
③地区委員会の定例会議は毎週、行われた。その任務は、下部の軍隊の党組織の指導、新規党員採用に関する下部組織の決定(採用は党員2名の推薦による)の確認、地区内にある部隊での新しい党細胞組織の結成、地区軍隊委員会の掌握にある出版物、その他の配布活動などである。
④各地区軍隊組織の代表らは、全市党軍隊会議への代表を選出した。
⑤この会議は20名の委員で構成する評議会を設置した。この評議会は、会議から会議の期間の最高指導機関である。
⑥「市軍隊組織委員会」は、評議会によって任命され、評議会の執行機関であった。この市委員会は、組織部、宣伝部、知識普及部、財政=技術部などで構成された。また、市軍隊委員会からは1名の代表がロシア社会民主労働党モスクワ委員会に、2名の決議権を持つ代表が全市党会議への派遣が決められた。
⑦党のモスクワ委員会からは、1名の代表を市軍隊組織委員会に、決議権を持つ2名の代表を軍隊組織会議に派遣することが決められた。
 第二回会議によって、モスクワ軍隊組織の構成が明確になった。その成果は、モスクワ守備隊の各部隊内におけるボリシェヴィキのその後の組織活動に反映された。

 しかしレーニンは、軍隊内の党の工作を、更に、中央集権化するために11月にフィンランドのタンメルフォルスで、軍隊組織および戦闘組織に関する会議を招請した。この会議の基本問題のひとつは、武装蜂起に関する党の課題の問題と、それに関連した軍隊組織および戦闘組織の任務についてである。
 この会議で決議された武装蜂起の準備期の党の任務は、「第一に、民主的人民層(プロレタリアート、農民、市民)への党の思想的およ13時び組織的影響をできるかぎり拡め深めること、第二に思想および組織的に党にしっかり結びつけられたこれらの大衆を戦闘準備させること(戦闘組織の工作)、第三に軍隊での思想的および組織的な戦闘工作、第四に、一般プロレタリア組織、軍隊組織、および戦闘組織の緊密な連絡と相互作用を確保すること」と規定した。
 また、この会議では、「すべての軍隊組織の中央集権的な、一致した工作によってのみ、軍隊を人民の味方に引き入れることが出来る」と決議した。

隊内工作中止派との闘い

 だが、その後モスクワ軍隊組織の一部のメンバーは、政府の弾圧体制の強化、革命の波が後退したことと関連して隊内工作の中止を主張しつつあった。
 ボリシェヴィキはこの事態を前にして、1907年1月21日、「第三回モスクワ軍隊組織会議」を開催した。この会議では、軍隊内工作の性格、任務および軍隊組織の構成の問題をめぐり激論が展開された。
① 第一の見解、軍隊内に社会民主労働党組織の外に、社会民主労働党組織の周囲に結集させる「兵士同盟」を作るべきである、ということ。
② 第二の見解、兵士の意識水準は低いから軍隊内の宣伝は一般民主主義的なものにとどめ、社会主義的なものは中止すべきである、ということ。
③第三の見解、まず何よりも各部隊内に強固な社会民主労働党軍隊組織をつくること、次に、兵士大衆の間に社会民主労働党の宣伝・扇動を広めること、最後に、武装蜂起に際し、軍隊を人民と結合するため系統的に闘争すること、などが提案され、激論が行われた。
 長い論争の後、「第三の見解」が真に正しい、革命的な見解であると採用された。そして、会議は、党の軍隊組織の任務を次のように規定した。
①軍隊内における社会民主労働党の影響力を強化すること。
②軍隊を、蜂起した人民の味方に公然と移行させるように軍隊を準備し、さらに、実際に軍隊を人民の味方に引き入れること。
 このような任務を達成するために、モスクワ軍隊組織は次の活動を行うことが決定された。
①兵士大衆の中で、口頭および文書による宣伝を行う。
②いろいろな現存の党外の兵組織を活用し、それらの中での党の影響を強化する。
③兵営内の困窮した生活を土台にして起こる自然発生的な兵士の行動や平和的ストライキトと結びつく。
 この会議で各地区の軍隊組織の代表の報告では、12月武装蜂起の敗北後、モスクワ守備隊の各部隊での宣伝・扇動、組織工作は中断されていないことが出されている。

 しかし、1907年4月末、党の秘密印刷所が警察に摘発されたことはモスクワ組織にとっては大きな打撃であった。軍隊内における調査・弾圧体制も次第に組織化されたが、ボリシェヴィキの反軍工作は非公然的により一層、強化され、幾多の困難と試練を乗り越え、1917年10月革命に突き進んだ。
 了 

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戦争絶対阻止!改憲阻止! 池田自衛隊裁判の勝利へ!

次々回:7月11日(水) 午前11時~

13時~裁判争点の学習会

イラク「空自日報」は 全部残されている

会報 第48号

Rise 第48号 2018年04月10日発行 rise0048.PDF

世界核戦争情勢を革命に!

南北・米朝会談は戦争への道

  

(写真上:1917年10月25日、蜂起開始!軍事革命委員会から攻撃命令を待つ赤軍の兵士、写真下:1917年、赤の広場を進軍するボリシェヴィキ兵士)

森友・加計疑獄の核心 求められているのはプロレタリア革命

滝山

佐川証言の破綻

怒り心頭、怒髪天を衝く!

 佐川の国会喚問での証言拒否が、55回。安倍・麻生、昭恵の関与・指示に関しては、きっぱりと否定し、開き直った。14文書、300ヶ所に及ぶ公文書改ざんに関しては「財務局の中だけでやった」と言明しながら、改ざんに関わる証言に関しては「訴追される恐れがある」という口実で逃げ切り、森友疑獄の真実に関しては、ことごとく証言拒否を繰り返した。自殺者の「告発」を受けながら、安倍政権に都合の悪いことは、すべて「証言拒否」で逃げ切り、佐川は安倍政権のしもべであることに徹した。
 安倍も、「佐川証言に関しては「コメントしないというのが政府の立場」とどこまでも開き直り、。「佐川証言をどう受け止めるかは国民の判断」と、労働者階級人民をなめ切った態度に終始した。
 だが安倍は己の首を、万力でギリギリと閉めつけている。労働者階級人民の怒りに心底から恐怖しているのが安倍である。だからこそ徹頭徹尾、開き直るしか手段はないのである。

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会報 第47号

Rise 第47号 2018年02月10日発行  Rise0047.PDF

朝鮮戦争-世界核戦争絶対阻止

国境を越えた労働者の国際連帯で戦争を革命に!

天皇制を打倒し改憲・戦争の安倍を倒そう

     

(写真 リムパック・環太平洋合同演習、空母「レーガン」と各国の艦隊)

朝鮮戦争は核戦争

国際連帯で 戦争を革命に!

滝山

侵略戦争か 革命戦争か

 人類は今、世界史的な分岐と歴史選択のときに直面している。世界核戦争を許し三度、人類を地獄の惨禍のなかに叩き込むことを許すのか、それともその戦争を世界プロレタリア革命に転化し、人類の新たな未来を切り開くのかという歴史的な選択である。
 言い換えれば戦争と人民虐殺によってしか延命できない帝国主義ブルジョアジーと、革命で全人民の人間的未来を獲得しようとするプロレタリアートの「階級戦争」の選択だ。
 さらに言えば、1%の利益のための「帝国主義侵略戦争」か、99%の労働者階級民衆が自己解放的に生きるための「プロレタリア革命」かのいずれの側に身を置くかという世界史的選択である。侵略のための不正義の戦争か、革命のための正義の戦争か、この選択は兵士・自衛官も例外ではない。むしろこの選択は、兵士・自衛官にこそ問われている。

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会報 第46号

Rise 第46号 2017年03月10日発行 rise46.PDF  

軍隊の革命化へ・Ⅱ

ロシア革命から100年 労働者の国際連帯で

プロレタリア世界革命へ

戦争と革命の急接近情勢

ゼネストと兵士の獲得で軍隊の革命化へ

滝山

1917年2月革命と労働者・兵士の結合

 1917年に入るとペトログラードでは1月9日の「血の日曜日」記念日に大規模なストライキが打たれた。
 ロシア革命は、レーニン・ボリシェヴィキの軍隊工作で兵士が労働者のゼネストに合流することで比較的「流血」の少ない勝利を勝ち取っている。
 2月革命の特徴は、大量の部隊が蜂起した労働者の側に移行したことである。プロレタリアートと兵士部隊という二大勢力が一つの力になったことでツアーリの専制政治を打倒できた。要するにツアーリには専制政治を防衛する決定的瞬間に「信頼に足りる軍隊(国家暴力)」を持ち得ていなかったということだ。
 ロシアのプロレタリアートとボリシェヴィキは、1905年―07年革命の時には、労働者と軍隊がバリケードを挟んで激しく対立していた。だが05年の第一次革命の敗北の経験をもとに、軍隊への意識的・計画的な工作を強化した。兵士の獲得という地道な闘いを忍耐強く推し進めた結果、大量の兵士・部隊がプロレタリア革命を担ったのである。そしてここに至る全過程は、同時に権力のボリシェヴィキに対する組織破壊攻撃との闘いでもあった。
 2月革命は、帝国主義戦争という情勢の中で起きた。2~3月の全過程で革命の指導的役割を果たしたのは、第一次ロシア革命と同じくプロレタリアートである。ペトログラード労働者の政治的ゼネストが革命の合図となった。1917年初めは、ロシア全体の革命運動がこのペトログラード労働者と軍隊の態度に規定されていた。ペトログラード郊外に配置されていた26万の軍隊の内、20万の兵士と40万の武器をほとんど持たない労働者が肩を並べて立っていた。ペトログラードは特別軍管区に分割され、司令官はツアーリ本営直属であった。1916年末には親衛連隊と歩兵連隊のかなりの部隊がペトログラードのプロレタリア区に意識的に配備され、首都の革命運動を圧殺する詳細な計画を練り上げていた。
 これに対決する形でロシア社会民主労働党中央委員会ロシア局は、首都守備隊各隊の軍隊内活動の強化に万策を講じ、ボリシェヴィキ組織の力を注ぎ込んだ。兵営内の兵士との直接の接触を確立するするために、労働者と兵士との交流、街頭で出会ったときの交歓、要するに兵士を労働者階級人民の側に引き寄せるためにできることは、可能な限り何でもした。一方、ボリシェヴィキは労働者に対しては、武器を入手するため、軍人仲間との連絡を利用することを勧告している。

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会報 第45号

2017年01月10日発行  第45号 会報45号.pdf

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ロシア革命から100年

ゼネストと兵士の組織化で

軍隊の革命化へ

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2017年 革命の扉は開いた

ボリシェヴィキの反軍活動

滝山

開始された隊内反乱

安保関連法制の強行成立、南スーダンPKOの駆け付け警護任務付与、そして朝鮮戦争の切迫情勢下、日帝・安倍政権は戦争と改憲に突進している。

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会報 第44号

2016年11月10日発行 第44号 会報44号。PDF

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朝鮮戦争を絶対 阻止しよう!

南スーダンPKO即時 撤退!

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(写真 パク・クネ政権を崩壊に追いこんだ韓国民主労組の20万ゼネスト。鉄道労組の無期限ゼネストと国際共同行動がパク完全打倒へ、労働法制改悪阻止へ、朝鮮戦争・東アジア―世界核戦争阻止へ、そしてプロレタリア世界革命に向けゼネストがうなりをあげて継続・拡大している。写真は今も無期限ゼネストを闘う鉄道労組の労働者)

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PKO即時撤退・戦争絶対阻止・改憲と労働法制解体阻止、池田自衛隊裁判はひとつ

南スーダンPKO 即時 撤退せよ!
池田自衛隊裁判をともに闘おう!
国境・民族を超えた国際連帯でプロレタリア革命へ!

수단 PKO 측시 철퇴하라!
이케다 자위대 재판을 함계 싸우자!
구경-민족을 넘은 국제연대로 프롤레타리아 혁명으로!

PKO in the South Sudan, withdraw at once!
Fight together with Mr. IKEDA (soldier of the Self-Defense Forces) in the trial!  Victory of a Proletarian Revolution through international solidarity over borders and nationalities!

PKO部隊とは 侵略戦争の部隊

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会報 第43号

2016年09月10日発行 第43号  会報.PDF

ゼネストと国際反戦闘争で戦争を革命に転化しよう!

11・6-11・12 日韓100万決起へ!

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2016年6月、米海軍が2隻の原子力空母を同時にフィリピン沖に投入。中国の南中国海の軍事拠点化に対決し、米海軍横須賀基地に空母2隻配備態勢も検討されている。左が空母ロナルド・レーガン、右がジョン・C・ステニス。ステニスは米西海岸に拠点がある。今年2月から「航行や飛行の自由を守る」ためとして東アジアに投入され南中国海で活動を継続して展開し、臨戦態勢に就いている。

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