会報 第44号

2016年11月10日発行 第44号 会報44号。PDF

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朝鮮戦争を絶対 阻止しよう!

南スーダンPKO即時 撤退!

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(写真 パク・クネ政権を崩壊に追いこんだ韓国民主労組の20万ゼネスト。鉄道労組の無期限ゼネストと国際共同行動がパク完全打倒へ、労働法制改悪阻止へ、朝鮮戦争・東アジア―世界核戦争阻止へ、そしてプロレタリア世界革命に向けゼネストがうなりをあげて継続・拡大している。写真は今も無期限ゼネストを闘う鉄道労組の労働者)

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(写真 朝鮮戦争切迫情勢と南・東中国海情勢下、グアム・アンダーセン米空軍基地にB52配備に加えB1B、B2ステルス戦略爆撃機が追加配備。アジア・太平洋地域を含めアメリカの3機種の戦略爆撃の同時配備は史上初。対朝鮮、対中国への統合任務に就くためにアンダーセン空軍基地を順次、離陸する左からB1B、B52、B2ステルス戦略爆撃機。戦術核兵器を搭載している。B1Bは米軍保有の爆撃機で最も多くの爆弾を搭載する)

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ロシア革命から100年

国際連帯と国際共同行動で朝鮮戦争・世界核戦争を阻止しよう!

滝 山

没落米帝が軍備強化へ転換

 

朝鮮半島に米核戦略兵器を常時配備

米韓は10月20日、定例安保協議(SCM)の場で、朝鮮半島に米本土並みの核抑止力を適用する戦略兵器の常時、配備で合意した。 配備される戦略兵器とは、米戦略軍司令部が率いる核兵器部隊と、核を搭載する兵器が含まれる。米戦略爆撃機B1BやB52、B2ステルスの交代配備と、イージス駆逐艦や原子力空母、原子力潜水艦なども配備されることを意味する。大陸間弾道ミサイル(ICBM)は含まれないが、有事の際、命令があれば、30分位内に米カリフォルニア州から朝鮮半島にむけ発射する訓練が行われる。
また、これまでは米軍の戦略兵器の運用・展開に関する議論は合同参謀と連合司令部レベルの作戦協力機構(OPT)で行ってきたが今後は、危機管理特別協議体(KCM)を新設し、KCMで扱うとしている。
米韓合意は、海軍の協力強化、米日韓の弾道ミサイルの探知・追尾演習の定例化も合意した。北朝鮮・金正恩体制の崩壊を促進させる軍事的重圧の強化合意である。
カーター米国務長官は、米本土や韓国に対する「北朝鮮のどのような攻撃も退けられ、どのような核兵器を使用しても効果的かつ圧倒的な対応に直面することになるだろう」と、米帝の「拡大抑止」戦略の韓国への適用で北朝鮮と中国を牽制しているが、SHAAD韓国配備決定に続く核戦略兵器の韓国配備への転換は、朝鮮戦争と東アジアー世界核戦争情勢を大きく加速させている。

ヘイデン元CIA長官 日米による対北朝鮮強硬策への転換を提示

ブッシュ前政権でCIA長官を務めたマイケル・ヘイデンが対北政策の根本的転換を提示した。  ヘイデンは北朝鮮が「今後、3~5年で核弾頭を搭載したミサイルを(米西海岸の)シアトルに撃ち込む能力を確保する」との見解を示した上で、「北朝鮮に外交的圧力を加える現行政策」とは別個に、日米が、「強硬策も含めたプランB(代替案)を検討すべきだ。国際社会が対北朝鮮政策の変更を急ぐ必要がある」と朝鮮戦争の超切迫情勢を促進させている。

(1)ヘイデンは、1994年の「米朝枠組み合意」は、「北朝鮮の核放棄」という目的を達成し得なかったが、「北朝鮮の核計画を一時的に遅らせることができた」と評価したうえで、クリントン、ブッシュ、オバマは何の成果を上げることができていないと批判している。その結果もはや、「北朝鮮が投射可能な核兵器を開発することを阻止する手立ては何もない」とまで絶望的に断言している。
そして「日米が現状で『許容できるリスク』の下で行動する限り、こうした北朝鮮の行為を阻止することは出来ない」として、「熟慮の上で」、北朝鮮への先制攻撃を「決断しなければならない」と核先制攻撃を押し出した。
その軍事力行使の必要根拠として「北朝鮮は3~5年で核弾頭を搭載したミサイルをワシントン州シアトルに撃ち込む能力を確保することになる」との危機感を煽り、それへの対処としては日韓へのTHAAD配備は、あくまでも「やるべきことの一つだ」とし、現行政策を超えて「より大きなリスクを負うことを覚悟した『プランB』の策定」とその実行を促している。
要するにヘイデンの根底にある問題意識は、「米帝戦略の基軸」としての「米本土防衛」であり、本土防衛の危機が現実化する前に北朝鮮への先制攻撃に踏み込む「プランB」に転換せよと迫っている。そしてその背後には、対中戦争が組み込まれているということだ。ランド研究所の対中戦争提言報告書と軌を一にしている。

(2)一方、中国スターリン主義に対しては、米中戦争に突入する前に、戦後、「帝国主義に屈服したスターリン主義」であることを思い起こせと恫喝し、北朝鮮に対し「本当に必要なのは歯科医による根幹治療なのに、中国はそれを嫌がり、鎮痛剤を飲み続けている」と苦虫を噛んでいる。

(3)ヘイデンは、「現行のプランA」が行き着く先は米帝の体制崩壊であるとして、プランBは、「強硬策に加え、北朝鮮を核保有国として認知する選択肢も検討材料になり得る」としている。要するに核先制攻撃を押し出しながら、他方では、北朝鮮を核保有国としての認知をも選択肢に入れているというところに今日の没落米帝の末期的危機が示されている。

(4)中国スターリン主義の防空識別圏(ADIZ)の設定に関しても、米帝は「確固とした対応」をとれていないとし、「航行の自由作戦で、より多くの艦船や航空機を全域に投入し、中国の主張に積極的に対抗すべきだった」と、オバマを批判している。南中国海は、米中双方にとって「核心的利益」であると位置付け、そして中国の「最近の軍事行動」の背景としては「経済的停滞や社会的不公正などで国内に鬱積している不満の矛盾を外に向ける狙いがある」という古くて新しい対外侵略戦争論を中国がとっているとしている。

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B2戦略爆撃機に搭載される爆弾類

B2ステルス爆撃機はレーダーに捕捉されない上、核爆弾を搭載できる戦略兵器に数えられる。下の写真で示す「B61‐7、B61‐11、B83‐1」が戦術核弾頭である。現在、B61‐12新型核弾頭が開発されている。再給油なしで1万キロメートル以上を飛行でき、グアム島から出撃すれば、朝鮮半島で作戦を行って帰還できる。B2はレーダーに補足されにくいため、敵地の奥にまで侵入できる。今年1月6日に北朝鮮が核実験を行った直後、米韓は朝鮮半島上空でB2爆撃機を飛行させ、9月の第5回目の核実験後は、B1Bを韓国に飛来させ、核実験後ヒラリーは、「脅威が増しており、戦略の再考が必要だ」と強調
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米帝の「第三の相殺戦略」

米国防総省がロシア、中国の軍事能力の向上を相殺する新ハイテク通常兵器の開発を推進している(8・16付ワシントンポスト)。
(1) ワーク国防副長官は、中露に対する「第三の相殺戦略」による米帝の技術的優位の確保を挙げている。「第一の相殺戦略」は、1955年代の戦術核。「第二の相殺戦略」は、1970年代の精密誘導通常兵器。ワークの「第三の相殺戦略」の背後にあるのは中露の軍拡と米帝の没落という現実である。
ワークは4月のブリュッセルでの演説で、「新しいドクトリンと考えを打ち出す時が来た」と述べ、米帝が「十分な技術的優位を保たなければ、通常戦力の抑止が弱まり、危機に際して不安定が増し、米国の将来の軍事作戦のコストが大幅に高まる」と危機感を表わしている。

(2)第三の相殺戦略の概念は、戦後の「米国の平和(パックス・アメリカーナ)」を支えて来た米帝の軍事力の優位を再び取り戻そうということである。
中露に対する「最新通常兵器」とは、空中の無人機、海中の無人潜水艦、そして敵の戦闘管理ネットワークを無力にする陸上の最先端システム、つまりサイバー攻撃技術である。さらに小型レールガン(音速の7倍で弾丸を発射)や現在より小型の高性能爆弾などを挙げている。
米国防総省は、「これらは過去1年に明らかにした極秘兵器計画であるが、対中露との戦闘の有効性を維持するために他の計画は秘匿している」としている。
だが、「他の計画は秘匿」とする計画の内容はともかくとして、前記内容の「極秘の兵器開発計画」が中露の軍事的台頭を相殺し、帝国主義間・大国間の関係を「安定化させる効果を持つものでしかない」という程度のものでしかないことは米国防総省が認めるところである。。

(3)なぜならIT技術の優位性は常に脅かされ、崩れていくものでしかないからだ。
サイバー攻撃による先端技術の奪取も頻繁に行われている。技術の優位性も維持できる時間が短くなってきているのが軍事の世界の現実だ。中露の軍事的・技術的優位性が高まれば、再び米帝の優位性が崩れ、「第三の相殺戦略」の無力性が露呈する。つまり「第三の相殺戦略」の「他の極秘兵器計画」の核心は、「小型戦術核弾頭」である。
没落米帝にとっては、爆発威力を自由にコントロールできる「新型戦術小型核弾頭」が「最新型通常兵器」として開発されていると言っても過言ではなかろう。
帝国主義間、大国間における軍事の最先端技術の開発とは、常に、そして究極的にも新型核弾頭開発であり、その小型化である。安倍の政治・軍事・経済戦略のすべてで破綻に直面しながら原発再稼働と核燃料サイクル維持を絶望的にに打ち出しているのは帝国主義である限り選択肢はないからだ。
10月27日、国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障問題)で、核兵器禁止条約を交渉する国連会議を来年に招集するとした決議案を123カ国が圧倒的に賛成した。だが米・英・仏・ロと共に反対した安倍に弾劾の声があがっている。

米帝、リバランス戦略の破綻と軍備強化

米国防長官カーターは9月29日、対中戦争を見据えたリバランス政策の戦略的軍備増強の具体策を発表した。対朝中戦争を見据えた軍備強化で、新型戦略爆撃機の開発・生産、対艦・対潜能力の増強が柱になっている。

(1)具体的には、① 「新型戦略爆撃機B21」の開発生産に5年で120億ドル(約1兆2000億円)以上、② バージニア級攻撃型原潜(排水量約8000トン)に搭載する巡航ミサイルの増強や水中無人機の開発などに400億ドル以上、③ 最新鋭ステルス戦闘機F35を400機以上取得する費用として560億ドル以上、④ 次期空中給油機KC46Aに約160億ドル以上などの投資を発表した。さらに艦対空ミサイルSM6に長射程の対艦攻撃能力を付与し、対地・対艦ミサイル能力も向上させることも表明している。対朝・中戦争を見据えた戦略的軍備増強だ。

(2)米国防総省の軍備増強方針の一方で、米国家財政の2016会計年度(15年10月~16年9月)の財政収支が5874億ドル(約61兆円)の赤字に陥っている(米財務省発表)。
「赤字額は15会計年度比34%増で財政赤字は悪化している。米財政赤字は、08年のリーマン・ショック後の09年度に過去最大の約1兆4000億ドルに拡大し、連邦政府債務も20兆ドルに近づいている。財政赤字のGDP比は3・2%で0・7ポイント悪化し、歳出は4・5%増の3兆8541億ドル。歳入は3兆2667億ドルと0・6%増でしかない。個人所得税は微増。法人税収は米経済の後退で1割強も減少。オバマ政権は減税の打ち切りなどで「GDP比でみた財政赤字を、最悪期の3分の1の水準まで引き下げた」(ルー財務長官)と主張しているが、16会計年度で財政赤字は拡大に転じている。福祉関連費増と誤魔化しているが国防費の増大である。
軍備増強に転じた米財政は国防費が増大すれば財政赤字の悪化で連邦政府債務は拡大し、債務不履行の危機が再来する。
新自由主義のあくなき極限的利潤追求は、帝国主義各国の国内基本産業の製造基盤を破壊(海外移転)すると同時に戦争に不可欠な国内経済基盤を崩壊せている。
要するに帝国主義に屈服した残存スターリン主義の末路と最末期の没落米帝の絶望的な東アジアー、世界核戦争情勢の加速化への道を絶望的に突進していることが示されている。
これらすべては、プロレタリア世界革命情勢を帝国主義と残存スターリン主義みずからが日々、成熟させ急速に引き寄せているということだ。言い換えればプロレタリア世界革命の不可避性、切迫性への根底的な危機感を没落米帝中枢が表明し、プロレタリア世界革命を圧殺する世界核戦争に突進している姿が鮮明に浮き上がっているいうことです。
2017年はロシア革命から100年。朝鮮・東アジア―世界核戦争を日韓米中の労働者を軸とする全世界の労働者階級の国際連帯と国際共同行動のゼネストで帝国主義と中国スターリン主義を打倒する時代です。国境を超えた世界単一の労働者の党を建設し、階級的労働運動を前進させ、国際連帯とゼネストで革命に突き進もう。

内戦激化の南スーダンから陸自PKO部隊は即時 全面撤退せよ

南スーダンの内戦は7月の戦闘再燃以降 激化

これまでの経過を大まかに見てみよう。
2013年12月、キール大統領派とマシャール第一副大統領派の戦闘が開始(マシャール派のクーデター未遂)。15年8月、内戦終結で合意したがその時点で5万人が死亡。15年8月の和平協定締結を経て、マシャールは今年4月、1500人の兵士と共にジュバに戻った。マシャール派兵士はジュバ郊外の野営地を拠点とし、小型武器の携行のみ許可。戦車や大砲、攻撃ヘリを擁するキール派の軍隊は、マシャール派兵士と同程度の戦力のみを残してジュバ市外に撤退することとなっていたが、今年7月7日、ジュバのグデル地区でキール派の人民解放軍とマシャール派の反政府軍との内戦が再燃、7月だけでジュバ市民が少なくとも300人が死亡し、ジュバで8日以降、自宅から避難を強いられた市民は少なくとも3万6000人に達している(AFP)。一方、自宅にこもっていた住民も多く、食料や水が尽きている。「国民」の7割が支援を必要とし、教会や国連の避難場所に逃れた住民も避難先で砲火にさらされている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は7月16日、内戦状態にある南スーダンから国外に逃れた難民が100万人を超えたと発表。国内避難民も161万人に達している。

難民への襲撃・レイプも繰り返されている

7月に激しい戦闘が再燃したことで、新たに20万人を超える難民が生まれた。2011年の独立以後に登録された南スーダン難民のうち、大多数は2013年12月の内戦勃発以降だ。国外に脱出した人が占めている。石油資源をめぐる帝国主義の介入と内戦で、南スーダンはシリア、アフガニスタン、ソマリアといった国々に並ぶ世界有数の難民国となっている。 政府軍は戦闘後、反政府勢力が武器を捨てて難民のなかに紛れ込んでいる、として難民への襲撃も繰り返され、政府軍部隊による市民へのレイプも頻発している。

1万2000人(8月にプラス「施設防護」の4000人増派決定)の国連平和維持軍のうち半数以上が、南スーダン各地のバラ線だけで囲まれた「国連基地」に避難してきた民間人の「保護」である。ジュバでの避難民は3万人を超えている。ジュバでは戦闘で自宅を追われた数千人が教会の建物にも避難している。

7月14日、重武装したウガンダ軍の車列がジュバの自国民らを避難させるために南スーダン入りした。約50台のトラックから成る車列は、マシンガンを装備した装甲車に護衛されてニミュールから南スーダンに入っている。
スーダンは南スーダンの不安定化を狙い、互いに対立している複数の勢力を支援し、ウガンダは、キール派を支援するため13年に軍を派遣した。

南スーダンの食料と医薬品のほとんどは援助団体によって提供されているが、内戦激化と政府軍によるNGO職員・支援団体職員などへの襲撃、レイプのため南スーダンから脱出し始めている。
16年7月11日、菅官房長官は記者会見で、南スーダンの国際協力機構(JICA)関係者救出のため自衛隊による陸上輸送やC130輸送機を展開するための準備も進めていると述べていた。だが、JICAは独自にチャーターした民間機で日本人47人を含む93人でケニアのナイロビに脱出した。「自宅などからジュバの空港までJICAの手配した車両を使い、安全なルートを選んで移動した」(JICA職員)。
要するに「警護」なしで脱出したということだ。陸自PKO派遣部隊は、戦闘が激化するなか、宿営地に立て籠っていた。そもそも帝国主義軍隊は市民や「国民」を「防護」する組織ではない。
安倍政権は13年12月以降も、陸自PKO部隊の活動地域で「武力紛争が発生したとは考えてない」と説明してきた。安倍政権は、本年7月の内戦激化に対しても、「南スーダンではPKO参加5原則が破られていない。(内戦は)戦闘ではなく、衝突である」、ゆえに撤退はしないと国会で繰り返し答弁している。現実は中国のPKO部隊2名が犠牲になっている。

「南スーダンでは、武装したPKO隊員の市内パトロールを威圧とみる若者が少なくない。一般市民の間にも国連への不信感がある」( 朝日新聞16・7・11)。
つまり 「若者や一般市民」の国連、外国人への怒りの行動を抑え込むことを目的にした内戦下の治安維持のPKO派遣は必ず破綻するということである。

南スーダン政府軍がNGO職員を襲撃し、WFPの食料を略奪

陸自PKO部隊宿営地の隣ビルで銃撃戦が起きていた7月11日、南スーダン政府軍100人によるジュバのテレイン・ホテルにいたNGO職員など70人への急襲が行われた。政府軍100人はホテルで現地人ジャーナリストを殺害し、NGOや国連職員から金品やケータイなどを略奪、政府軍兵士による少なくとも5人の外国人女性への集団レイプが証言に基づき報道されている。政府軍の中には「大統領警護隊のワッペンを付けている兵士がいた」。襲撃後、南スーダン国家保安庁の将校たちが救出を開始した。しかし「その将校たち自身が、略奪する兵士の仲間だった」(襲撃されたNGO職員)。
ホテルには3重のゲートがあり、各ゲートにはショットガンを持った民間警備員が配置されていたが、政府軍が簡単に突破。襲撃されたNGO職員の数人は、PKO部隊に「駆けつけ警護」の救援を求めた。連絡を受けた現地の国連は、中国とエチオピアの部隊に出動を要請したが、ホテルへの道には兵士や戦車が展開していたため中国、エチオピアのいずれの部隊も動かなかった。中国、エチオピアの兵士は他の戦闘で負傷もしている。 7月大規模な内戦が起きた際、中国のPKO部隊は、数千人の市民が避難していた国連保護施設の防護を放棄する事態も生じている。
8月16日、国連が南スーダンに備蓄していた食料が略奪された。この倉庫には、戦闘再燃前の時点で、難民22万人の1ヶ月分の食糧にあたる4500トン超の食糧や、発電機・トラックなどの救援物資が保管されていた。
米帝は「襲撃は訓練の行き届かない兵士が戦闘に乗じて暴走した」(米国務省)ものとして、NGO職員、米外交官やPKO隊員への政府軍の襲撃に沈黙し、南スーダン政府は襲撃を否定している。

南スーダンPKO軍司令官を更迭

11月1日、国連の潘基文は7月の激しい戦闘で「市民保護」の任務を果たさなかったとして現地軍司令官オンディエキ(ケニア出身)を更迭した。国連の特別調査報告書は、「ジュバで発生した戦闘で国連のミッションを遂行する上での指導力の欠如が混乱した、効果のない対応につながった」と結論付け、「ホテルで襲撃された援助職員からの救援要請があったにもかかわらずUNWISSの平和維持部隊は持ち場を放棄して対応しなかった」。また、「中国の部隊は少なくとも2回にわたり任務を放棄し、ネパールの部隊は国連施設内部での略奪を止められなかった」としている。
ケニアは「国連は問題の解決に取り組む代わりに、不当にも1人に責任を押し付けた」として、1000人のケニア部隊の撤収を発表している。

PKOは侵略部隊

PKOは「住民保護」の中立部隊ではない。
1994年のルワンダでは数カ月の間に約100万人が大虐殺される事態をPKOは阻止しなかった。99年には、アナンが、「住民保護」の任務を遂行するために「PKOは国際人道法に従って行動しなければならない」と官報で告示した。
これは国連が、「国際人道法上の住民保護」を口実にした、名実ともに「紛争当事者=侵略部隊」へ転換する宣言であった。そして2010年に始まったコンゴ民主共和国のPKOでは、「武装勢力が住民に危害を加える前に殲滅」するために、「特殊部隊を投入」した「先制攻撃」が承認されている。コンゴPKOの現場で使われている ROE(交戦規定)は、交戦する相手に、ゲリラなどの「非国家主体」に加えて「国軍」と「警察」も対象に入っている。つまり、政府軍や警察が「住民を攻撃」している場に遭遇したら、殲滅(せんめつ)しろと言っている。要するにPKOとは「平和維持部隊」などではなく、「侵略部隊」そのものであり、日帝・安倍政権がいうところのPKO派遣の絶対条件である「平和五原則」は、絶対的に成立しない構造(=交戦規定)になっているのが今のPKOなのだ。
南スーダンPKOにも「任務遂行のための武器使用権限」が付与されている。「必要なあらゆる手段」と「攻撃が企図されていると信頼できる情報」があれば、「先制攻撃」も認めている。これは8月の4000人のアフリカ増派とともに米帝が提案し採決された。

市民も殲滅の対象

PKO派遣とは、「全敵対勢力」と交戦し殲滅する部隊である。つまり、「住民保護」を口実にした「抵抗する住民」をも殲滅の対象とする主体=侵略軍として戦場に赴くことが大前提になっているということ。国連PKOは、それを前提にしている。
安倍政権が「駆け付け警護」の任務付与で武器使用制限を完全に取り払っても、今の自衛隊には殲滅戦は行使できない。そもそも殲滅戦とは相手を殺す行為である。 帝国主義軍隊とは、敵戦力を殲滅する組織であり、殺人行為を軍法で容認している組織である。仮に陸自PKO隊員が現地住民を殺害した場合、その隊員は、刑法で裁かれる事態になる。軍法‐軍事法廷は、戦場での殺人を合法として容認するが、日本の憲法にはそれがない。つまり、刑法で裁かれたくなければ自衛隊員に殺す前に、殺されろ、ということを安倍政権は、全自衛隊員に突きつけているのだ。同時に、だからこそ安倍は改憲に突進する。陸自PKO部隊は、即時、全面撤退しかない!直ちに撤退せよ! 内戦激化の根本的原因は資源略奪のための帝国主義、大国の軍隊による侵略なのだ。南スーダンも然りである。
安倍・稲田は、現地情勢について「武力紛争の当事者、紛争当事者となりうる、国家に準ずる組織は存在していない」とし、「PKO参加5原則は維持された状況」だと、どこまでも強弁し、7月の大規模な戦闘についても、「戦闘行為ではなかった」(安倍)として、「国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺し、または物を破壊する行為」でしかなく、安倍政権が定義する「戦闘行為には当てはまらない」と怒りなしでは聞けない答弁を繰り返している。 安倍は改憲と朝鮮戦争のためには陸自PKO隊員の死をも利用する輩である。そのための「駆け付け警護」と「武器使用」だ。南スーダンPKOは即時、全面撤退! 改憲と戦争絶対阻止!そして安倍を労働者階級民衆と兵士・家族の怒りで、とことん、打倒しよう!戦争絶対反対、南スーダンPKO派遣反対で闘う池田自衛隊裁判を共に闘い、勝利しよう!

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投稿

戦場では医療チームでさえPTSDを発症する

青森S

心を閉ざしている家族に接していくことをあきらめない

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(写真 11・6労働者集会、5800名が結集。韓国鉄道労組の無期限ゼネストに連帯し、国際連帯とゼネストの国際共同行動で朝鮮戦争を止めよう!労働法制改悪阻止!戦争を革命に転化しよう!と労働者解放への新たな闘いが開始された)

全国各地の仲間の皆さん。
10月30日(日)に、青森市で青森県九条の会が呼びかけた「自衛隊を南スーダンに送るな!いのちを守れ!青森集会」が、全国から集まった1250名の参加のもと闘われました。その後、デモ行進が行われました。
司会および主催者代表は、青森市の陸自第9師団第5普通科連隊を中心とする部隊が、11月20日に青森空港から出発予定であることを明らかにしながら、「殺し殺されることになる駆けつけ警護絶対反対」「東北の部隊が関東軍の主力であった戦前の復活だ」「現政権の独裁政治を許すわけにはいかない」などとあいさつ。
次に、総がかり実行委員会からは、内戦激化の南スーダン情勢報告で「PKO5原則などどこにもない」と指摘し、「憲法が壊されて殺し殺される時代が来ることを阻止しよう」と発言しました。また、集会の応援にきた3名の国会議員たちも、PKO派遣反対を訴えました。
さらに、自衛官の息子を持つ北海道の母親が、演壇から「戦場では医療チームでさえPTSDを発症する」と実際の戦場の過酷さを暴露し、愛する者の命を守ろうと発言。さらに、福岡の一家族もメッセージで「愛する者の命を守るため、遅いということはない。身構えて心を閉ざしている家族に接していくことをあきらめない」と訴えました。

「市民プラス野党共闘こそ唯一の道だ」では 戦争を止めることはできない

私達は、「百万署名運動」ののぼりをもって参加しましました。10月中旬から数度の街頭宣伝・署名活動を独自に行いながら、10月21日に、労働組合と一緒になって「国際連帯で戦争阻止!改憲反対!福島連帯!」をかかげた「10・21国際反戦デー労働者三八集会」を80名の参加で勝ち取ってきました。その勢いをもって、「10・30南スーダン派遣反対」闘争に結集し、全国・県内の仲間と一緒にたたかいました。
しかし、私は「10・30集会」での一部の発言や、「デモコール」の一つに対してものすごく問題を感じました。集会の一部では「市民プラス野党共闘こそ唯一の道だ」という検証抜きの安易な主張が強調されていたのです。しかし、その主張は、支配者たちの一部の動向に依存する立場です。その方法では戦争阻止は無理です。
また、デモコールの一つに、「戦わないのが日本の誇り」という言葉がありました。このような、現実の階級対立を見ない幻の「愛国的非戦」では、帝国主義の「国を守るための自衛戦争論」に容易に飲み込まれて戦争に流されてしまいます。多数派の進む道は、自国政府との徹底対決による国際連帯の実現です。
私は、帝国主義者の「戦争の道しかない」とか、体制内派の「支配階級の一部と連合するしかない」という流れに対して、「絶対反対と階級的団結の実現で、究極的に多数派を獲得」する課題の大事さを改めて強く感じました。