会報 第41号

2015年11月13日発行  第41号 会報.PDF

ゼネストと国際連帯で朝鮮戦争 阻止!

日米「新ガイドライン」「作戦計画5015」一体化して始動

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(写真・上)2015年11・1労働者集会 韓国・民主労総のゼネストに連帯し、5700人が結集
(写真・下)2010年から日本周辺で大規模な「対中国」日米共同統合軍事演習を開始(4万4000人、艦船60隻、航空機400機)、この時、韓国が初めてオブザーバー参加。以後、米韓合同演習後に中国を仮想的とする大規模演習が規模を拡大し、繰り返されている。写真は2012年の日米共同統合軍事演習

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戦争絶対反対・改憲阻止・安倍倒せ!

ゼネストと国際連帯で革命を

滝山

「作戦計画5015」が始動

日米中枢で安保新機関の運用開始

日米は11月3日、4月に再改定した日米防衛協力指針(ガイドライン)に明記された協議機関、「同盟調整メカニズム」の運用を開始した。

この「メカニズム」は、有事だけではなく平時から常設される。
要するに「平時」から「あらゆる事態」に「切れ目なく対応」する日米一体の意思決定と日米同盟の強化が実態面で動き出すことを意味する。
「調整」機関は、三つの各レベルで設置される。
(1)「同盟調整メカニズム」の構成は、日帝から国家安全保障局、外務省、防衛省・自衛隊の局長級メンバーが参加し、米帝からは国家安全保障会議、国務省、国防総省、統合参謀本部、太平洋軍司令部、在日米軍司令部の局長級メンバーで、「朝鮮有事」を軸に地球的規模での全体を協議する。
(2)「共同運用調整所」は、防衛省・統合幕僚監部と米太平洋軍指令部の幹部が意思疎通を図る機関として設置される。
(3)「調整所」は、自衛隊(陸・海・空)と米軍(陸・海・空・海兵)が部隊ごとに情報を共有する機関として設置される。
情報の共有とは、日米一体で、「同一の敵」に「同一の軍事的対処」を共同で実施することを意味している。

「緊急事態」への「共同計画」の策定

また同日、日米は「緊急事態」への対処方針を定める「共同計画」を日米の制服組みが策定することも決めた。
そして「共同計画・行動」は、「周辺事態」から「地球規模」に拡大される。
要するに朝鮮戦争「作戦計画5015」と一体化する自衛隊の「共同計画」も具体化し、始動することを意味する。

「作戦計画5015」の主要設定は、①「先制攻撃を最大の柱」にして、②北朝鮮の「核・ミサイル基地を破壊する」ために「核攻撃を行使」する、③あらゆる「局地戦」を「大規模空爆で全面戦争へ拡大」させ、④「金正恩暗殺の特殊部隊を投入」する、⑤日帝・自衛隊の参戦ー朝鮮半島への上陸を前提にしている。
核心は、北朝鮮の軍事拠点(核・ミサイル)と指揮・中枢部を先制的に攻撃し、無力化し、ピョンヤンを占領し、新義州、元山など重要拠点を確保しつつ、北朝鮮を一挙に制圧・統一するという日米韓の全面的な軍事作戦である。
韓国陸軍特殊戦司令部は9月23日、「戦略的な重要施設」を攻撃する特殊部隊の編成に着手し、特殊部隊を北朝鮮まで輸送する特殊作戦航空部隊の編成を推進することを明らかにした。要するに「作戦計画5015」そのものの中に、朝鮮半島有事の切迫性と戦争突入の現実性がある。
体制崩壊の危機にある北朝鮮・金正恩が激甚な「一触即発」的対応を起こすのは「当然」ともいえる。「作戦計画5015」は、2015年6月、チェ・ユンヒ合同参謀議長とカーチス・スカパロッティ米韓連合司令官が署名し、8月の米韓合同演習で発動された。「作戦計画5015」の「先制攻撃」は、「4D作戦概念」と合わせていることが明らかになっている。米韓は今年4月、ワシントンで開催された第7回米韓国防統合協議体会議で、「4D作戦概念」を「作戦計画」に発展させる別組織・「米韓抑制戦略委員会」発足に合意し実戦化に踏み込んでている。
「4D」とは、「探知(detect)、防御(defence)、撹乱(distrupt)、破壊(destroy)」を意味し、北朝鮮の「核とミサイル」に対応する米韓の先制攻撃作戦である。米韓は5月、「4D作戦概念」に北朝鮮の潜水艦がSLBMを発射する前に撃滅する先制攻撃を追加した。探知レーダーの追加導入で韓国海域全体の監視と潜水艦や艦艇のソナーも高出力に入れ替える具体化策をすでに決定している。

「自衛権の発動」という名目での「先制攻撃」

「作戦計画5015」の最大の柱が「先制攻撃」である。北朝鮮の核・ミサイル発射の兆候と「判断」したら、30分以内に先制攻撃を「行使する」という韓国軍の「キルチェーン(Kill Chain)」の概念も、「作戦計画5015」に含まれている。韓国国防部は4月、北朝鮮の核・ミサイルを探知して破壊する武器を確保するためのキルチェーンおよび韓国型ミサイル防衛(KAMD)体系の構築に、2016年から5年間に8兆7000億ウォン(約9600億円)の予算投入を決定した。
韓国国防部は「北朝鮮が核・ミサイル攻撃を行う前に、あらかじめ軍事的に対応して被害を予防することは、先制攻撃ではなく、自衛権に基づく対応」であるとして、「先制攻撃」は「自衛権の発動」であることを押し出している。
古今東西、戦争は、常に、その時の支配階級の利益と被抑圧・搾取人民に対する支配体制護持のための戦争を「国家・自衛のための戦争」として強行されてきた。
日米韓支配階級にとって北朝鮮・金正恩体制の崩壊は、朝鮮半島と東アジア全域を大激動情勢に叩き込むことになる。それは同時に戦後、南北分断体制のもとに封じ込められていた全朝鮮人民の怒りと解放へのエネルギーを一挙に解き放つ巨大な力に転化する。日米帝の朝鮮侵略戦争は、東アジアにおける新たな世界革命の波を真っ向から叩き潰すことに最大の核心がある。その巨大な力が民主労総を先頭とした朴槿恵政権打倒の闘いと結びつくとき、それは巨大な朝鮮‐アジア革命情勢へと、発展する。日米韓支配階級はそれを最も恐れている。
とくに目帝・安倍にとっては、朝鮮革命は日本革命に直結することを心底から恐怖している。安倍の凶暴性は、日本革命への恐怖である。

朝鮮戦争が韓国・朴槿恵政権と北朝鮮・金正恩体制への労働者階級人民の怒りとして爆発し、その怒りが韓国民主労総のゼネストと結合したとき朴槿恵打倒の革命情勢を一挙に引き寄せるものとなる。
そして朝鮮有事はこの革命と内乱を鎮圧する「階級戦争」としても発動される。
帝国主義とスターリン主義による南北分断という歴史的特殊性は、朝鮮戦争を革命に転化する巨大な革命の火種となって燃え続けている。金正恩体制の危機、反乱と内乱の危機にある北朝鮮の制圧という「作戦計画5015」は、戦術核攻撃をも含む先制攻撃による北朝鮮の短期全面制圧によってしか米日韓支配階級が延命できないところにまで追い込まれている。
「作戦計画5015」の凶暴性とは帝国主義戦後世界体制の最後的崩壊と米韓、中国スターリン主義体制の体制崩壊の現れである。

言い換えれば、韓国民主労総の朴槿恵打倒に向けた11~12月ゼネストに連帯し、戦争法強行成立から改憲に突進せざるを得ない日帝・安倍政権を国際連帯の強化で打倒する闘いを力強く推し進める絶好のチャンスであり、まさに革命情勢の到来を意味している。
この情勢に締め上げられているのが日帝・安倍政権だ。安倍が墓穴を深めながら強行成立させた戦争法‐集団的自衛権行使は、日米安保を水路に朝鮮戦争への参戦が核心であり、東・南中国海における資源争奪とシーレーン防衛=世界大的展開への軍拡と軍需産業の戦略化路線の突破口として位置付けている。その道筋が日米新ガイドラインである。

だが日米韓労働者階級は、日米韓支配階級が策動する戦争を断じて容認していない。戦争と戦争への動員と軍拡競争に労働者階級民衆は同意していない。労働者階級人民が戦後、守り続けてきた戦争絶対反対の階級的意思が、安倍への激しい怒りとして爆発し、その怒りが数百万、数千万人の労働者の「安倍倒せ」の行動としてすでに爆発している。
「作戦計画5015」は、暴露されればされるほど労働者階級人民の怒りの火に油を注ぎ、全労働者階級の国際連帯の強化に転化する。朝鮮戦争・改憲、原発再稼動、非正規職化への怒りはひとつになり、安倍打倒・新自由主義打倒へ広範に爆発していく。
中期階級決戦の爆発へ、安倍への怒りを組織し1000万のゼネストへ!階級的労働運動の前進へ

「作戦計画5015」との一体化は「機密扱い」

日米新ガイドラインの「同盟調整メカニズム」「日米共同計画」は「作戦計画5015」と一体の統合軍事行動として推進される。 そして新機関での協議内容は「機密情報」として非公開となる。「調整」グループで扱う情報や、一体運用する情報などは「特定秘密」扱いされ、漏洩すれば罰せられる。
日米一体化の実態、日米同盟強化の質的・量的拡大の具体的内容なども「機密」扱いとされ、日米一体の戦争国家化の実態が「非公開」で推進されることになる。

だがこれらのすべてが日米帝国主義の弱点に転化する。なぜなら
「総力戦体制」の構築とは、全労働者人民の総動員態勢としてしか成り立たないのである。
非公開体制とは、帝国主義国家体制の脆弱性と危機の表現であり、それは戦争を革命に転化する労働者階級人民の巨大な怒りを引き出すことになる

「南中国海」で戦争切迫の危機
米日韓豪比軍事体制強化で一致

ASEAN拡大防衛相会議「共同声明」見送りの異例事態

11月3日に開催された、ASEAN拡大国防相会議(18ヵ国)は、南中国海情勢が焦点となって米日中の主張が真っ向から激突した。その結果が共同宣言見送りである。
11月3日、日米は南中国海を含む海域での日米共同軍事訓練の強化で一致した。一方、日・比は、海上での共同軍事訓練実施で一致した。防衛省はフィリピンへの防衛装備品での協力の推進、日米印三ヶ国協力の前進も確認している。

11月4日、ASEAN拡大国防相会議は、午後の段階で「共同宣言」見送りを決定。共同宣言を採択しないのは同会議が2010年に始まって以来、初めてである。 恐慌と帝国主義の最後の延命形態である新自由主義の総破産が、東アジアで東・南中国海問題として争闘戦が戦争的に激化し、火を噴いているということ世界に示した。
11月18~19日フイリピンで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)、同21~22日クアラルンプールでのASEAN関連首脳会合では、「南中国海問題」の扱い回避を決めている。これこそ危機の現れ、米中激突の激化・拡大を加速させる事になる。

「共同宣言見送り」という異例の事態は、歴史的に見れば第三次世界戦争の「前夜」情勢への突入と言っても決して過言ではない。
米日帝の対中包囲ブロック形成も一枚岩ではない。フィリピンは米帝の「航行の自由」を支持する一方、AIIBに参加し、TPP不参加を表明(3・30)している。

ベトナムはTPPに参加し、中国スターリン主義とは「ベトナム共産党と中国共産党の協力計画(2016~20年)」「ベトナム社会主義共和国と中華人民共和国引き渡し協力協定」「ベトナム国防部と中国国防部の間の『国連平和維持領域協力に関する備忘録』」「ベトナム計画投資部(省)と中国国家発展改革委員会の間の『陸路インフラ設備協力工作組に関する備忘録』」「ベトナム国家銀行と中国人民銀行の間の『貨幣金融協力工作組職権範囲』について」など締結し、「海の新シルクロード構想」への協力を明らかにしている。
11月5日、習近平がベトナムを訪問し、首脳会談で南中国海問題については、相違を適切に処理し、2国間関係に影響を与えないようにすることで一致している。
マスコミ各社は、「米中とも衝突を望んでいないため、これらの機会に解決策を探る可能性がある」と報じているが、事態は「逆」である。「逆」であるからこそ、日米、米中、日中、日韓などを軸に東アジア地域で首脳、防衛相会談が矢継早に行われているのである。、
ミヤンマー情勢も米日中激突となる。
朝鮮有事、南中国海有事を焦点に東アジア情勢が世界戦争への転化という可能性を具体的にたかめている。AIIBをめぐる米欧帝国主義の亀裂、シリア、トルコ空爆による「難民問題」がEUの危機を激化させている。ウクライナ、シリア、トルコ、中東戦争の泥沼化が世界核戦争の危機を加速させいる。だが世界戦争情勢は東アジアと世界中の階級矛盾をも一気に高めていくことになる。それは同時にアジア革命を拠点とするプロレタリア世界革命情勢を巨大な力で引き寄せる。今こそ全世界の労働者階級の国際連帯・国際的団結の強化を推し進める絶好のチャンスであり、世界単一の労働者党建設のチャンスである。韓国ゼネスト連帯し、動労総連合建設へ!

ミサイルで「人工島を無力化する」

米帝は今後、3ヶ月に2回か、それ以上の回数で南中国海域の人工島12海里内への「米艦船」の航行を言明している。「一隻(10日、駆逐艦ラッセン)」の米艦船の航行とは、背後に「空母艦隊」の航行を意味する。同様に11月13日釣魚台(尖閣諸島)近海で反復航行した中国人民解放軍海軍の「情報収集艦」も背後に「艦隊」を控えた活動である。
米国防総省は、3ヶ月に2回程度の航行を「定期的に行うには適切な頻度」「国際法に基づくわれわれの権利を行使することは、中国やその他の国に常にわれわれの目的を喚起するという目的にも合致する」、南中国海の安定は、「米国だけでなく、中国を含む地域の各国にとって有益」としている。
これに対し中国国防部(国防省)は、南中国海は「中国の核心的利益」「妥協の意思はない」と言明し真っ向から激突している。

ジョセフ・ナイは10月29日、日経のインタビューに対し、「米国は岩礁などに主権の存在は認めていない。公海は海洋法にのっとって治められるべきだという見解、立場を取っている。海洋法は岩礁や砂を移動させることめ認めていない。それを領土、領海と見なすことも、排他的経済圏と呼ぶことも禁じている」。さらに「人工島は脆弱だ。固定された攻撃目標であり、沈めるのは容易だ」として、今後、「『航行の自由』確保するために継続して12海里内に艦船を送り込み、上空に航空機を送り込む」。さらに、フイリピンに「弾道ロケットを配備」し、人工島に「狙いを定め」、それにより「人口島を無力化することは可能だ」、中国はバブルの崩壊で「経済成長が減速しつつある」。「経済危機」という現実の中で、「米国との紛争は望んでいないはずだ」、周近平が「米国との紛争に足を踏み入れるなら、相当なリスクに手を染めることになる」と言い放っている。
米帝は11月12日、南中国海にB52爆撃機2機を「通常任務」として飛行させている。
中国国防部は、これら米帝の対応に対し、「主権を守る」ために必要があれば「防衛的措置を取る」と言明。
一方、国防相会談では「軍同士の対話の重要性」については「一致した」としているが具体化はされていない。これも危機の現れだ。

人工島 「砂の万里の長城」

11月2日ハリス米太平洋軍司令官が訪中。ハリスは中国の人工島を「砂の万里の長城」と一蹴した。ハリスは「航行の自由」作戦で米艦船派遣に関わった一人である。ハリスは3日、北京大で講演し、「国際的な領空域は、一国に支配されるものではない」「南中国海も例外ではない」と強調。
これに対し中国外交部(外務省)は3日の定例記者会見で、「ある国は何十年も国連海洋法条約を研究しながら、遅々として加盟しない」。にもかかわらず「航行の自由」を訴えるのは「国際法の政治利用だ」と真っ向から対決。米上院は「国連海洋法条約」を承認していない。南中国海における争闘戦の激化を米中双方が加速させている。

ハリスはここでも「軍同士の協力」を提唱している。そもそも「軍同士の協力」とは、争闘戦の戦争への転化に帝国主義間・大国間で行う常套手段である。言い換えれば米中の「一触即発」の危機の表裏一体のパフォーマンスである。

日中防衛相会談 南中国海問題で激突

11月4日、4年5ヶ月ぶりに日中防衛相が会談した。「海空連絡メカニズム」の早期運用の開始で一致したと報じられているが、開始時期は一切、具体化されていない。これは「偶発的衝突の回避」のためとしているが、「メカニズム」が「一触即発の緊張関係」や「偶発的衝突」を回避できるというものではない。
2012年9月の日帝の釣魚台(尖閣諸島)国有化宣言以降、日中防衛当局間の交流も停止していた。東・南中国海をめぐる情勢が一触即発の緊迫を改めて会談は示している。会談で中国の常万全国防部長(国防大臣)は、「南中国海問題は中日間の問題ではない。南中国海の局面を複雑化させるいかなる行動もとるな」と日帝・中谷に突きつけている。
中谷は中国に釣魚台(尖閣諸島)周辺を「メカニズム」の適用範囲から外せと主張、これに対し常万全は「全面適用」を突きつけ、真っ向から激突している。
そもそも同メカニズムは、「艦船や航空機が偶発的に接近した際、防衛当局間で連絡を取り合う枠組み」とされているが、「偶発的に接近」し、「現場で軍事的衝突が発生」した場合、防衛当局間の連絡を取り合う余裕などないのは明白だ。軍事的衝突が発生した場合、双方の「主張と行動」の正当化が強調され、軍事的エスカレートは全面激突に突き進む。
この「日中非和解性」の根底には、恐慌中国バブルの崩壊、南中国海のシーレーンの死活性、ガス油田資源の争奪戦がある。さらに「歴史問題」と安倍の「70年談話」がある。

3年半ぶりに開催された日中韓首脳会談でも「正常化」宣言は出されたが中身は「歴史問題」が改めて浮き彫りになり、米帝オバマが要求している日米韓同盟の強化とは真逆の結果を引き出している。

米・アジア太平洋海洋安全保障戦

「航行の自由」は「空母、戦闘機も含まれる」

米国防総省は8月21日、初の「アジア太平洋海洋安全保障戦略」を発表した。
「序章」で「米国はアジア太平洋地域に対し変わることのない経済・安全保障上の利害を有している。そして、インド洋から南シナ海、東シナ海(ママ)を経て太平洋へと至るこの地域は主に水域であることから、我々は海洋の平和と安全保障の維持を特に重視する」として、これを達成するため三つの海洋基本方針を定めている。(1)航行の自由の保護(2)紛争と強制の抑止(3)国際的な法と規範の順守促進を追求する、ことを押し出している。要するに「米海洋安保戦略」のアジア太平洋地域での適用強化である。
「海洋アジア」は、今後アジア地域で期待される経済成長における重要な地位を占めるとして、「航行の自由」とは、「軍用船舶、航空機による利用も含まれる」と規定している。
アジア太平洋地域には、世界で最もコンテナ取扱量が多い主要港10港中、8港が集中している。世界の海洋貿易の30%が毎年、南中国海を通過し、この内1兆2千億ドル分が米帝向けである。また世界の原油輸送のうち約3分の2はインド洋経由で太平洋へ達し、2014年には1500万バレルを超える原油が毎日マラッカ海峡を通過している。
国連の試算では、南中国海の漁獲量は世界の10%超を占めている。米エネルギー情報局は、南中国海には推定埋蔵量にして110億バレルの原油、190兆立法フィート(5兆3800億立法メートル)の天然ガスが見込まれ、同様に東中国海には1~2兆立法フィート(283億~566億立法メートル)の天然ガス、2億バレルの原油が見込まれている。
中国バブルの崩壊と中国GDPの7%割れが恐慌の中の恐慌を促進し、ブロック化と市場分割、資源争奪をめぐり情勢が、南中国海で一触即発の危機を激化させている。その根底にあるのが戦後世界の過剰資本・過剰生産力状態である。
米アジア太平洋海洋安全保障戦略は、北朝鮮・南中国海での触発の危機に対し、「必要な時に対応できる米軍能力を維持する」ために「全力を挙げる」ことを出し押している。だが米軍事作戦の主軸になっている無人機攻撃のパイロットがその非人間性ゆえに大量に辞め、不足しているのが米軍の実態である。

日米一体化による「水陸両用強襲能力の発展」を明記

一方「海洋戦略」は、中国は海軍海上艦隊、潜水艦、航空機、ミサイル、レーダー能力、沿岸警備など、海洋関連の軍および警察能力のあらゆる面を近代化し、紛争時に外部からの介入を止めさせ、米軍技術への対抗を狙った高度な技術の開発を行っているとして、こうした「資源投入を行う主たる動機は台湾紛争への備えだが、中国は東・南シナ海(ママ)有事への備えにも重点を置いている」「中国海軍は今や計300隻の水上艦艇、潜水艦、揚陸艦、巡視艇と、アジアで最多の艦艇を保有」し、「アジアで最大規模の海洋警察近代化の取り組みを実施」し、「中国海洋警察艦隊は新たに組織された沿岸警備隊船舶で構成され、規模は25パーセント拡大し、他の海洋主張国の合計を上回る」と危機感を表し、日帝・海自の「情報・監視・偵察(ISR)」体制強化と「巡視船艇と地上部隊のレーダーおよびミサイル部隊の能力を高め、自衛隊内統合部隊による水陸両用強襲能力」の日米一体化による強化を押し出している。さらに「米軍は国際法が許すあらゆる場所で飛行、航行を続ける」と宣言し、「尖閣(ママ)諸島地域」に陸自の「水陸機動団(17年度新設)」を再編配備する計画を対中戦略として一体的に位置付けている。

進行している一連の事態は、朝鮮有事と米中即発の危機が世界戦争情勢を加速させているということだ。恐慌と新自由主義の総破産が、1%の延命と利益のために世界戦争へ突進させている。一切の出口は闘う労組建設=ゼネストと国際連帯によるプロレタリア世界革命である。

朝鮮戦争と改憲に突進する安倍政権を打ち倒そう!

安倍政権は戦争法の強行成立以降、米軍と自衛隊の一体化を急加速させている。日米新ガイドラインと「作戦計画5015」の「一体化と始動」が具体化している。一体化の核心は、朝鮮有事に向けた日本全土の出撃基地化と労組解体攻撃である。

日米「辺野古移設」が「唯一の解決策」

11月3日、中谷とカーターは、普天間基地の辺野古移設が「唯一の解決策」であると宣言し、辺野古基地建設は問答無用の強権と国家暴力で推し進めることを沖縄県民と全労働者階級民衆に突きつけた。沖縄県民の怒りは、安倍打倒、日帝打倒へ激しく燃え上がっている。日帝・安倍は二度と這い上がることのできない墓穴を深めた。安倍の焦りの根底には、朝鮮戦争の切迫、日韓労働者階級のゼネストと国際連帯の発展がある。安倍打倒と朴槿恵打倒が一体で前進することへの恐怖がある。

全土「基地化」攻撃・「戦争国家化」攻撃粉砕!

(1)米軍横田基地へCV22オスプレイ10機配備(17年)。陸自・佐賀空港へMV22オスプレイ17機配備(19年度)。木更津駐屯地がオスプレイの整備拠点として17年1月稼動開始。現在判明しているだけでも米軍と自衛隊の計49機のオスプレイが同基地で整備されることになる。オスプレイの飛行ルートや回数は一切、明らかにされていないが日本全土が訓練場所となる。低山地形の飛行訓練は朝鮮半島や中東の山岳地帯を想定している。
(2)「国道16号」が「軍用道路」と化している。朝霞駐屯地(自衛隊)、入間基地(同)、習志野駐屯地(同、第一空挺団、特殊作戦群)、木更津駐屯地(同)、横田基地(米軍)、厚木基地(同)、横須賀基地(米・自)これらの軍事拠点が国道16号でリンクされ、日米の軍事再編の動きが激しくなっている。習志野は中央即応集団所属の第一空挺団、特殊作戦群の本部があり、米特殊部隊と共同化が加速。
(3)17年度から全国5方面隊の陸自が命令系統を一元化する「陸上総隊」が新設され朝霞駐屯地に総隊司令部を置く。これで米4軍と陸海空自衛隊の指揮・命令・情報などを共有する軍事的一体化が可能となり、加速する。まさに朝鮮有事・南・東中国海有事、世界戦争をにらんだ軍事拠点化・再編体制がすでに先行し、始動している。
(4)防衛省は空自・戦闘機パイロットに女性の初登用を決定した。
現在、女性自衛官は約1万3千人。全自衛官の約6%。戦車や潜水艦でも制限されていたが、防衛省は「兵力不足」から全面解禁の方向で動き出した。安倍は自衛隊の南中国海派兵も選択肢と明言している。
戦争と改憲に突進する安倍を、怒りと団結で打倒しよう!
戦争をゼネスで革命に転化しよう!

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(写真 11・2デモ 「福島の怒りを世界につなぐ」)

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池田裁判をともに闘い 支援の輪を全国に広げよう!

労働者と兵士の団結を! 入会し、ともに闘いましょう!