会報 35号

第35号 2015年01月10日発行

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国鉄・反原発・安保決戦の爆発かちとり全国に労組拠点の建設を!

2014年の闘いは、階級的労働運動派が7・1閣議決定情勢を迎え撃ち、国鉄決戦を基軸として上り詰めた11月労働者集会の地平から12月衆院選に挑戦し、「安倍打倒」「新しい労働者の政党をつくろう」を真っ向から訴え総力で闘い抜くことを通して、プロレタリア革命を現実にたぐり寄せる2010年代中期階級決戦の本格的・全面的な発展の扉を押し開いた。

安倍の戦争政治と真っ向から対決し、鈴木たつお弁護士を押し立てて闘い抜いた12月衆院選・東京8区(杉並区)の闘いは、2014年の闘いの総決算と言い得る一大決戦において階級的労働運動派が首都のど真ん中で1万6981票という実に多くの熱い支持を獲得し、安倍政権を徹底的に追いつめた。そして、2014年は11・2全国労働者総決起集会をはじめ、国労本部の制動を打ち破って闘い抜かれた9・11郡山闘争。動労水戸の外注化阻止と被爆労働拒否のストライキ闘争。動労千葉の外注化阻止・非正規職撤廃の闘い。「戦争の道を許さない」宣言を発した8・17日比谷大集会。動労千葉の闘いに学び、組合破壊をはねのけて不当解雇を撤回させ、ついに職場復帰を勝ち取った鈴コン分会の闘い。公安警察を摘発・粉砕した京大と全学連の闘い。無実の星野文昭さん奪還に向けた新たな闘いの前進も勝ち取った。

世界大恐慌の重圧が戦争に転化しつつあるなかで、2015年は、安倍政権による戦争・改憲、原発再稼働、そして何よりも労働法による規制の全面撤廃と全労働者の非正規職化、労働運動解体攻撃との大激突となった。それは、国鉄決戦を基軸とした公務員決戦だ。7・1閣議決定のもとでの労働組合の本格的な「産業報国会」化への攻撃との大激突だ。国家機構内部の労働者が戦争に反対していては、政府は戦争を遂行できない。日帝・安倍政権は「連合の分裂・解体」すら狙っている。しかし、アベノミクスは破綻し崩壊している。いくら「異次元緩和」しても異常な円安は止まらず、輸入インフレと消費増税で労働者の実質賃金は低下し続けている。すでに日本国債の格付けが引き下げられ、円急落と国債暴落、「日本(円)売り」の危機、インフレ爆発の危機が増大し労働者の根源的怒りが爆発しつつある。

衆院選での鈴木たつお候補の「安倍政治を断ち切り、労働者が主人公の社会を!」「新しい労働者の政党をつくろう!」の真っ向からの訴えては労働者民衆の階級的魂を揺り動かし怒りの決起を呼び起こし、大合流を勝ち取った。労働者階級の歴史選択が党派選択として、巨大な規模で始まったのだ。その闘いの最先端に国鉄決戦を基軸とした階級的労働運動がある。階級的労働運動を徹底的に押し進めよう!国鉄決戦を基軸に全国に労組拠点を建設し、国鉄・反原発・安保決戦の大爆発をかちとろう!自衛官と家族の皆さん!団結して共に闘いましょう!
(杉橋)

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「戦争と革命」の2015年決戦

階級的労働運動の前進で戦争を 世界革命に転化しよう

米帝の没落と新自由主義の破産 世界戦争へ突き進む新自由主義

滝山

世界は侵略戦争とプロレタリア革命の時代に突入している。すでにウクライナ、中東ーイラク・シリア・東アジアの3正面で戦争と戦争の危機が進行している。この現実は、米帝オバマのアジア・太平洋重点化戦略の破産を示していると同時に世界戦争への始まりを示している。
その根底にあるのが戦後帝国主義体制の基軸国・米帝の没落とそこから台頭してきたネオコン・新自由主義的帝国主義の破産と過剰資本・過剰生産力状態の爆発である。だが帝国主義が生み出した最後の延命形態である新自由主義には、過剰資本・過剰生産力状態を世界戦争で突破する「体力」はすでに残されていない。破産と世界戦争の危機は、体制変革とプロレタリア革命によってしか出口はない。2010年中期階階級決戦で国際連帯を強化し、プロレタリア世界革命の突破口を切り開こう。

アフガン戦争から完全に敗退した米帝

2001年9・11米同時テロから13年。「対テロ戦争」と位置づけられ約50カ国が参加して強行されたアフガン侵略戦争が2014年末、米軍の撤退により「終結」した。
オバマは「米史上、最も長い戦争が責任ある終結を迎える」と声明を発しているが違う。米軍の完全敗退による撤退である。オバマの「米軍などに尋常でない犠牲を払った」という声明がそれを明快に示している。ISAFは2001年12月に派遣され、03年8月からはNATOに指揮権が移された。最大時14万の兵力がアフガンに駐留した。加えて米軍を超える民間軍事会社の兵力も投入されていた。
昨年12月28日、首都カブールで開かれた撤退式典でキャンベル司令官は、「国際部隊は13年にわたる戦闘任務を終了する。われわれは多くの偉業を成し遂げた」「われわれは共に…アフガン国民を絶望の暗闇から救い出し、未来への希望を与えた」と述べ、「諸君はアフガニスタンを強化し、わたしたちの国の安全を高めた」と「駐留の成果」を強調している。だが式典は武装勢力から攻撃される恐れがあるとして生中継も禁止されるなかで行われていた。
2015年から指揮権は全面的にアフガン国軍に移譲され、約1万2千人のISAF残留部隊はアフガン国軍と治安部隊・警察約35万人の訓練と支援に投入されるが、アフガン情勢は内戦が激化し、流血の戦闘が増え続けている。タリバンはアフガン各地で攻勢を強め勢力は拡大し、タリバンの影響下に入った村も増えているのが現実である。式典前日にも首都カブールで戦闘があり、3人が負傷している。

国際部隊の死者を上回る アフガン治安部隊の犠牲

国連によるとアフガニスタンで2014年にタリバンの攻撃などで死亡した民間人は11月末までに3188人を数え、前年の同じ期間より19%増加している。アフガン治安部隊の死者も大きく、14年1~10月だけで、ISAFの01年以降の死者約3500人を上回る4600人以上が死亡している。要するに内戦が激化している。タリバンのザビフラ・ムジャヒド報道官はAFPに対し、「今日の式典が示しているように、米国とNATOの任務は完全な失敗だった」と述べている。
米退役軍人省の推定ではイラク・アフガン戦争に従軍した約260万の米兵5人に1人が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患い、ランド研究所は、イラク・アフガン戦争からの帰還兵200万人以上のうち60万人がPTSDなどを患っていると公表し、1日平均で、22人以上の退役軍人が自殺している。12年の現役米兵の自殺が349人。この数はアフガン戦争での米兵戦死者を上回っている。これが米軍の実態でもある。 中間選挙でオバマ民主党が惨敗し、勝利した共和党は米軍の再編・再建を叫んでいるが、恐慌の中の恐慌への突入情勢と米国家財政の危機が米軍の崩壊を進行させている。

米中東支配の崩壊―「イスラム国」の勢力拡大

「イスラム国壊滅」を掲げた帝国主義のイラク・シリア侵略戦争は市場・石油・ガス資源の争奪戦・再分割戦争である。米軍がイラク空爆を開始して4ヵ月。イラク・シリアでは約40カ国の有志連合が「イスラム国」に空爆を強行しているが「寄り合い部隊」ゆえの指揮と意思決定の乱れが相次ぎ、オバマの「イスラム国解体・破壊宣言」が無力化している。
米軍はシリアで17回、イラクで12回空爆を実施している。空爆は一般的に言えば、「敵の識別」「攻撃対象へのレーザー誘導」「空爆戦果の確認」などによって成立する。要するに米地上部隊の戦闘地域そのものへの投入が絶対条件である。だがオバマは約3100の米軍地上部隊の任務をイラク軍、クルド部隊の司令部での助言とイラク軍の訓練に限定している。要するにオバマは「壊滅宣言」とは裏腹に米軍の任務を「限定」せざるを得ないのだ。その根底にはイラク・アフガン戦争での敗退があると同時に米兵の戦争拒否がある。
米軍事紙ミリタリー・タイムズが米軍2200人以上を対象とした調査で、イラクでの「イスラム国」との戦闘に全体の70%が反対を表明した。オバマは「イラク国壊滅作戦には数年間を要する」としているが兵士はそれを拒否している。それだけではない。米帝オバマが中東支配の崩壊に歯止めをかけようと軍事的介入を強化すれば東アジア・中国・ロシアとの対軍事戦略そのものの破綻はさらに拡大する。米帝オバマにはいずれの道を選択しても没落した米帝危機と世界支配の崩壊を促進する道でしかないということだ。
ドイツは昨年9月、クルド人勢力に対戦車ミサイル、対戦車ロケット、装甲車、機関銃、突撃銃、など総額7000万ユーロ(96億円)を供与した。これは4000人分の装備に当たる規模の供与だ。2000年に定めた基本原則では、紛争当事国への輸出を禁止しているが、ユーロ圏最大の経済大国ドイツがウクライナ戦争で1%台の成長に転落している。世界戦争情勢下、ドイツの外交政策が軍事基軸に大転換している。

戦争への道は限りなく労働者階級・兵士の生きさせろ!戦争反対!という怒りの決起を拡大し、プロレタリア革命情勢を成熟させる。
そもそも「イスラム国」の勢力拡大は米欧帝国主義の新自由主義政策とその破産が生み出しているのである。新自由主義は世界中の労働者の非正規職化・低賃金・強労働を極限的に推進し、生きられないところに追い込んでいる。人間としての尊厳も破壊している。特に青年に集中している。これが全世界で強行されている。世界中から青年が「イスラム国」へ向かう現象は、生きられない現実への怒りと人間の尊厳を奪い返す衝動であり、それは新自由主義的帝国主義が生み出したものである。

ウクライナ争奪戦争は世界戦争の始まり

ロシア・プーチンは米欧日の経済制裁の強化とルーブル大幅下落で危機に立たされている。石油・ガスの燃料経済に「特化」してきたロシアの脆さが露呈されている。昨年9月NATO首脳会議は4000人規模の部隊を2日以内に展開できる対ロシア「緊急即応部隊」の創設で合意した。ロシアのウクライナへの軍事介入に備えて部隊を東欧やバルト三国に常駐させ、対露軍事体制の強化に踏み出している。
NATOは部隊の迅速な展開に備え弾薬なども配備する。加盟国が交代で兵力を提供し、司令部機能も設置した。加盟国との軍事演習も強化・連携しウクライナ戦争に即応する部隊が具体化されている。
常駐基地は、バルト三国、ポーランド、ルーマニアなどウクライナ包囲とロシアの西側への侵攻と対峙する軍事態勢の構築である。だがNATO加盟28カ国は08年リーマン・ショック後、国防費は減少の一途だ。GDPの2%以上というNATO目標を達成しているのは米英など4ヵ国のみだ。恐慌は戦争へと突き進む。米欧・ロシアのウクライナ争奪戦争は、世界戦争の危機が現実化していることを示している。経済の行き詰まりと階級支配の行き詰まりを、最後は戦争で突破する、それが1%の支配階級が絶望的に求めている道である。だが99%の労働者階級が求めている道はこれと真逆の革命である。

世界戦争を 阻止し社会を変革する プロレタリ革命へ

07年パリバ、08年リーマン・ショク以降、大恐慌が深化・発展し、世界は恐慌の中の恐慌ともいえる情勢に突入している。米欧日帝国主義・中国などが行ってきた金融緩和による540兆円に上る放出という恐慌対策は完全に行き詰っている。恐慌の深化が最後に行き着くのが世界戦争である。そしてウクライナ争奪戦争、中東戦争を超える軍事・外交・経済の戦争的焦点にあるのが東アジア情勢である。

朝鮮半島の戦争情勢

韓国憲法裁判所は「統合進歩党は従北勢力の李石基(イ・ソッキ)元議員や地下革命組織が主導する政党で、民主的基本秩序を脅かす」として「統合進歩党」の解散を決定し、選挙区議員の議員職も剥奪した。韓国国防部の「2014年国防白書」(15年初頭発行)は「北朝鮮政権と北朝鮮軍はわれわれの主敵」という表現が復活している。2000年の南北首脳会談以降、2004年の国防白書では主敵概念を削除した。「主敵」論が復活したのは2012年。米韓は朝鮮半島有事の際に戦時作戦統制権を2015年12月に在韓米軍から韓国軍に移管する計画を「2020年代半ば」までの延期に合意した。移管延期合意には韓国軍が北朝鮮の核・ミサイルの「脅威」に先制攻撃する「韓国型ミサイル防衛システム」を20年半ばまでに開発・配備する計画が明記されている。韓国軍は次期戦闘機・F35Aを1機1千200億ウォンで40機導入を決定し、ロッキードマーティンはF35A導入の代価として韓国型戦闘機(KFーX)開発事業に17個の分野の技術を移転するとしている。恐慌と米国家財政の危機という現実に規定され、米帝は韓国軍の強化に踏み込んでいる。
一方、韓国軍兵士の自殺が後を絶たない。韓国国防部の「最近5年間の軍隊死亡事故発生現況」によると、2008年から2012年6月までに発生した死亡事故は計571件で、この内64・4%の368件が自殺だ。4日間に1人が自殺していることになる。セウォル号事件やこれら全事態は、朝鮮半島の戦争的危機とパク・クネ政権の体制的危機の噴出である。
米帝オバマは、米映画会社ソニー・ピクチャーズエンターメントに対するサイバー攻撃を北朝鮮と「断定」し、「報復の第一段階」として北朝鮮の情報機関(サイバー作戦担当)・政府・朝鮮労働党の3機関・団体、10個人に経済制裁を発動した。制裁対象の10人のうち8人はイラン・シリア、アフリカ諸国へ弾道ミサイルの輸出を担当する公営企業の朝鮮鉱業開発貿易会社(KOMID)幹部である。経済制裁は「挑発的、撹乱的、抑圧的な行動や政策」を対象として幅広く網をかけている。民間の米サイバー専門企業はオバマの「断定」に疑問を呈している。
オバマはサイバー攻撃を口実に、北朝鮮を目論んでいる。
大規模な米韓軍事統合演習や経済制裁が北朝鮮の危機を促進し、金正恩体制は自壊と内乱の危機に直面している。それは同時に朝鮮半島の戦争の危機を限りなく激化させていくことになる。

中国・習近平体制の危機

東アジアにおける危機の最大の焦点は中国である。中国はこれまでの4兆元投入による中央・地方での公共投資の無制限の拡大や帝国主義の金融緩和によるマネーの氾濫的な流入で経済膨張を推し進めるという国策が完全に行き詰っている。内外政策とともに重大な転換期に直面している。中国スターリン主義政権下での資本主義化政策という矛盾が一定の現実性を持った要因は、大量の外資導入、資本導入と資本の直接投資の大々的展開である。一方でそれを可能としたのが超低賃金と無権利状態に置かれた大量の中国労働者の労働力の存在である。だが中国プロレタリアートはこの間急速に階級的に前進し、工場ストライキ・デモを不断に闘い、賃上げと労働条件の引き上げを戦い取っている。同時に中国スターリン主義支配体制の腐敗構造そのものへの怒りを全土で爆発させている。

習近平の「腐敗追放キャンペーン」と粛清は官僚的保身でしかない。習近平は一方では国内階級対立の激化、民族支配・抑圧への労働者人民の怒りの反乱に直撃されている。他方、日米同盟を軸とする大国間争闘戦と競争の激化が、領土問題をてこにして排外主義と軍事力の強化を煽り、戦争の危機を深めている。中国の2014年国防予算は昨年比12・2%増、日本円にして13・4兆円。日帝防衛予算の約3倍である。その軍拡は「国防科学技術研究とハイテク武器装備の発展に力をいれ」「海洋強国づくりに力を入れると」としている。空母体制の増強、核戦力の増強、大陸間弾道ミサイルの配備、宇宙、サイバー戦力の強化などを打ち出している。中国はスエズ・シーレーンに加え、「21世紀の海上シルクロード」構想として、温暖化による北極海航路を戦略的なシーレーンとして位置づけている。北極圏には世界全体の天然ガスの30%、原油の13%の資源が眠っている。

中国スターリン主義は世界第2位の経済大国であり、日帝GDPの約2倍の超大国である。しかし巨大な経済大国でありながら残存スターリン主義中国は、政治支配の変質と変形という異常なあり方を強権的な中央集権体制で維持し、中国労働者を支配している存在である。しかし中国は、新自由主義経済化の中で大量のプロレタリアートを生み出し、そのプロレタリアートが階級的に成長している。中国スターリン主義支配の思想・理論、民族抑圧から生み出されている中国プロレタリアートの怒りは、必ず、大陸を揺るがす巨大な反乱として爆発し、それはまた必ず中国プロレタリア革命が世界革命の中心問題へと発展する。万国の労働者は、団結して労働者自身の自己解放の戦いで、全世界の労働者の普遍的解放を実現する歴史的存在である。少年・少女の決起を含む香港労働者の怒りのデモは大陸・台湾に大きく飛び火する。

安保・戦争国会を包囲し 安倍打倒へ

特定秘密保護法施行徹底弾劾

昨年12月10日、特定秘密保護法が施行された。10月14日、安倍政権は特定秘密保護法の運用基準と政令を閣議決定し、秘密を指定する機関を19の行政機関とし、指定対象の4分野(防衛・外交・特定有害活動・テロ)を55項目に細分化し、秘密指定、監視態勢を具体的に規定し、機密を漏らした公務員への罰則を強化している。
現行の「特別管理秘密」約47万件を中心に指定され、「特管秘」以外や、安保関連情報なども無制限に特定秘密に追加されていく。
防衛省の指定対象は約4万5千件。軍事作戦情報で「防衛秘密」として「特管秘」とは区別されているが特定秘密に移行している。 外務省は国外からの情報など約2万1千件を特定秘密に指定する。
「特管秘」の約90%が衛星情報(軍事)だ。指定権限は外務省、防衛省、国家安全保障会議(NSC)など19の行政機関の長に限定されている。全情報が60年以上の秘密となり、戦争への突入・派兵根拠も特定秘密として開示されない。法文上・外交上も米軍情報はすべて特定秘密に指定される構造になっている。秘密指定の監視機関となる「独立公文書管理監」とこれを支援する「情報保全観察室」には指定を点検する強制力がない。100%無力な機関である。
刑罰が強化され、事態を隊内から暴露・告発した兵士、公務員・民間労働者の内部告発も最長10年の懲役刑及び1千万以下の罰金、共謀・煽動も5年以下の懲役刑。過失漏洩は2年以下の禁固または50万円以下の罰金。未遂も罰せられる。内閣情報室が公式・非公式で行う思想・心情、国籍、職歴・生活経済状態、病歴など全家族・親族をも対象とする適正評価は、約10万人の公務員と民間労働者が対象になっている。
特定秘密保護法とその骨格を見ただけでも帝国主義ブルジョアジーと安倍政権にとっては労働者階級に対する秘密治安弾圧法であり、戦争国家体制の構築に不可欠な「戦争法」そのものであることは明解である。断固、廃止に追い込もう。

集団的自衛権行使の安保関連法制化、阻止へ

安倍は7・1閣議決定直後の6日、集団的自衛権の行使に向け、「いかなる事態においても、切れ目のない対応を可能とする必要な国内法制を速やかに整備する」として通常国会での関連法案一括提出・採択を宣言した。

関連法案は、(1)武力攻撃に至らない事態(グレーゾーン)の対処、(2)国連平和維持活動(PKO)を含む国際協力、(3)集団的自衛権の行使の3分野で10数本の法改正の一括強行を目論んでいる。
関連法案で最大の影響を受けるのが自衛隊法である。
法改正では米本土に向かうミサイル迎撃、米軍防衛と米以外の他国の防衛・支援、海外派兵命令、戦地での武器・弾薬の提供を可能とすることが明記される。武力攻撃事態法、国民保護法には戦争に対応する具体的施策が盛り込まれ、国民の総動員体制の強化・義務も明記される。PKO法では、武器使用制限が撤廃され、「駆けつけ警護(他国部隊の救援)」が容認される。船舶検査活動法には、武力を行使した強制的な民間船舶の検査が新設される。これら以外に、海賊対処法、米軍行動円滑法、防衛省設置法、NSC創設関連法などの改定が行われる。周辺事態法は廃止される可能性が高い。
安倍政権は「日本の国益に影響を与える」と「判断」すれば他国軍支援で世界のどの地点にも容易に派兵できる「新法(恒久法)」制定も計画している。新法では国連の制裁決議に基づく派兵、「対テロ戦争」の有志連合への参加なども想定し、緊急時の閣議決定は派兵後の国会承認とすることも盛り込まれる。
法改正は安保関連法にとどまらず法律全体に及ぶ可能性がある。なぜなら国内法は憲法と9条が基礎になっているからだ。

日米ガイドライン再改定ー米軍と一体で世界へ派兵

安倍政権はガイドライン再改定最終報告の公表を4月統一地方選挙後にずらし、通常国会での安保関連法と「同時に出す」ことを明らかにしている。
14年10月の中間報告では、「平時から緊急時まで切れ目のない形で措置を講じる」ための12項目の防衛協力が出されているが、日米の役割分担や、自衛隊が集団的自衛権を行使する活動が具体的には明らかにされていない。
ガイドライン最終報告が日米で合意されれば自衛隊の活動が世界的規模に拡大され、その地域も戦闘地域に拡大される。そしてそれは「24時間の戦闘態勢の維持・確保」となる。
防衛協力の拡大は世界的な地理的拡大に加え、ミサイル防衛の強化、サイバー戦争、宇宙戦争の分野にも拡大している。安保関連法改正と「新法」制定でこれらの実効性が具体化する。安倍は1月9日、新「宇宙基本計画」を決定し、宇宙システムの外交・安保・自衛隊の部隊運用に直接活用、高秘匿の防衛衛星通信の3基体制、情報収集衛星の増加と機能強化、日米協力の強化、新型基幹ロケット開発の産業育成などを盛り込んだ。 同日、「サイバーセキュリティ基本法」施行により「内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)」100人態勢を発足させている。

米「QDR(4年ごとの軍事戦略見直し)」は、軍事・外交をアジア・太平洋へのリバランス(再均衡)を強調している。米国務省は、再改定「中間報告」を「リバランス戦略の重要な部分となる」と評価し、日帝の安全保障政策を米帝の世界戦略に組み込んでいる。リバランス戦略は「日米の二国間協力をより実効的なものとするため、日米両政府は、地域の同盟国やパートナーとの三か国間及び多国間の安全保障及び防衛協力を推進する」と明記し、韓国、オーストリア、インドなどを想定した多国間防衛協力を打ち出している。
日帝・安倍政権は、対中国戦争を見据え米帝のリバランス戦略に対米対抗的に積極的に対応しつつ、7・1閣議決定で日帝独自の戦争体制の構築に突き進んでいる。
安倍は年頭記者会見で8月に発表する「新たな談話」に「積極的平和主義」を盛り込むことを表明した。要するに「恐慌の中の恐慌への突入」情勢と日米争闘戦の激化、対中国・朝鮮半島情勢という構造の中で「歴史問題」を開き直り、戦争的緊張を高めていく、それが安倍の「積極的平和主義」だ。階級的労働運動の前進で国会を包囲し、安倍を打倒しよう。

軍事産業の育成と武器輸出の拡大

安倍の輸出戦略を大きく見れば鉄道・原発・武器輸出であるが、鉄道、原発はすでに破綻している。
中国は08年8月に北京ー天津間で初めて高速鉄道を開通させ、約6年ほどで総延長1万2千キロに達する世界最大の高速鉄道大国に「成長」している。中国の高速鉄道は建設費が1キロあたり19億~24億円弱と欧州の3分の2から2分の1程度。昨年10月、米マサチューセッツ湾交通局で地下鉄車両284両の入札を中国「北車」が落札した。日・欧・韓も参加する国際入札で中国は日欧メーカーの約半額で落札している。
中国の2大鉄道メーカーの15年合併で「中国軌道交通車両集団(中車集団)」が発足する。合併すれば欧米大手を圧倒する巨大メーカーとなる。新会社は地下鉄の車両で世界シェアの約50%を占め、事業規模も13年度の売り上げ合計で1951億元(約3兆7700億円)と「欧米鉄道ビッグ3」の鉄道部門の合計を上回る存在になる。主要技術は日仏独からの導入も多いが、合併で技術・設計基準や規格も統一される。

習近平は鉄道・電力・IT産業など国内での独占企業化を推進し、国内市場の独占・寡占を大国間争闘戦の基礎にしながら一方では、昨年8月にはデンソーや三菱電機などの自動車メーカー12社を独占禁止法の運用で摘発し、10社に合計12億3500万元(約200億円)の制裁金支払いを命じている。
要するに、誤解をおそれずに言えば、日帝・安倍の鉄道輸出戦略は、国際競争力では問題にもならないということ。安倍の「日本の原発は安全」という大嘘で固めた原発輸出も問題外である。
結局、日帝・安倍には戦争に向け、軍事産業の育成と武器輸出の拡大に突進するしかない。防衛省はすでに武器輸出を拡大する目的で日本の軍事産業から武器を購入する資金を援助する制度創設を検討している。「途上国」に武器購入資金を低金利で貸し出すほか政府が武器を購入し、ODAとは別枠での贈与も検討している。防衛関連最大手の三菱重工業は装輪装甲車や歩兵戦闘車、医療搬送車などの戦闘車両で使用する車体を共通化する開発を進め、競争力としてのコストダウンも狙っている。レーザー・ガン、レール・ガンは産官学一体で推進している。
防衛費が対中国・北朝鮮の戦力強化で拡大している。15年度防衛予算が過去最高の4兆9800億円。安倍政権下、3年連続の増額である。1月9日、閣議決定の14年度補正予算では防衛費が2110億円。補正予算縮小の中で防衛費は13年度補正の倍増だ。14~18年の中期防衛整備計画の総額が24兆6700億円。1年当たり4・9兆円。15年度防衛予算はすでにこれを超えている。軍拡は進む。

加速する改憲攻撃

小選挙区制と低投票率で衆院選は与党が3分の2を超える326議席を確保している。改憲に賛成する当選議員は83%(390人)。衆院で改憲発議に必要な3分の2(317人)を超えている。改憲反対が10%だ!
一方、9条改憲に賛成が57%(267人)で9条改憲に必要な3分の2には達していない。12年衆院選では72%が9条改憲に賛成していた。
自民・維新は共に改憲賛成が95%、公明は76%、民主は59%が賛成し反対が27%。9条の明文改憲に賛成しているのが自民83%、(反対4%)、維新43%(反対35%)、公明9%(反対70%)、民主は反対が67%。当選議員で集団的自衛権行使に賛成した内で9条改憲賛成が62%、反対が27%だ。

改憲に必要とされる国民投票法は07年に成立。投票年齢を20歳から18歳に引き下げる改正国民投票法も14年6月に施行されている。要するに改憲への手続上の法整備は終わっているということ。
安倍政権は民主・維新・公明・次世代・生活・改革6党を巻き込んだ改憲論議を呼びかけ、武力攻撃や大災害発生時の首相権限を規定した国家緊急権=非常事態法の新設、投票過半数の賛成で改憲を可能とする改憲要件緩和を実現し、その次に9条の明文改憲を射程に入れている。安倍は15年通常国会での安保関連法案一括強行採決、16年参院選もしくは衆院解散・同時選挙で「改憲の是非を国民に問う」政治プランを立てている。安倍政権下、表面的には形式上、改憲への環境は整備されているといえるだろう。ここは真正面から見据えておかなければならない。だが明確なことは、労働者階級民衆の圧倒的部分は、戦争・改憲・原発・基地反対だ。これが日本階級闘争を根底で支えている階級的力関係であり、安倍は、必ず、打倒できる。

沖縄闘争、反軍闘争の戦略的重要性

辺野古基地建設反対・全基地撤去が県民の強力な意思である。集団的自衛権行使と辺野古基地建設強行に対する安部政権への県民の怒りが沖縄4小選挙区のすべてから自民党を排除した。同時に県民は「オール沖縄」勢力への期待も抱いていない。それが過去最低の県内投票率52・36%に現れている。 沖縄県民が求めているのは沖縄の怒りと結合し、国鉄・公務員決戦基軸の階級的労働運動を闘う労働者階級の新しい政党だ。沖縄振興策予算―基地依存経済が沖縄の労働運動と経済を破壊してきた。 沖縄における階級的労働運動と学生運動の前進が、沖縄を日帝・安倍政権打倒ープロレタリア革命の火薬庫に転化できる唯一の道だ。沖縄での中・高校生へのリクルータ活動に対する公務員の闘いが安倍戦争との対決である。沖縄における階級的労働運動の前進と一体で反軍闘争の前進を勝ち取ろう。

動労総連合を全国へ!
拠点職場を建設し 戦争を革命に転化しよう

2015年は、世界大恐慌の重圧が戦争を本格的に爆発させ、プロレタリア世界革命の現実性が日々明らかになる。それを推進するのが国鉄決戦だ。戦争情勢は同時に公務員決戦である。公務員決戦こそ国鉄決戦の階級的発展である。15年は、2010年代中期階級決戦の柱として国鉄決戦と公務員決戦を飛躍的に前進させ、国家権力の治安弾圧攻撃、労働運動と労組解体攻撃、体制内党派の反動的・反革命的制動を打ち破り、戦争を革命に転化する階級的労働運動の拠点職場を全国に建設しよう。これが革命実現の核心である。

イラク派兵負傷・池田裁判の勝利に向け全力を挙げよう

7・1集団的自衛権行使閣議決定情勢下で弁護団が解散した。恐慌と世界戦争の開始という情勢は、「戦争か 革命か」を全労働者、全兵士・全家族に歴史選択とプロレタリア革命への挑戦が問われる時代への突入を意味している。戦争は常に「自衛」「国民と国家の利益をまもる」という口実で1%のブルジョアジーの利益ために99%の労働者同士が殺し合いに動員される。安倍もこれを推進している。
7・1を突破口に戦争と戦争国家に突進している安倍政権・防衛省にとっては、自衛官とその家族が「国家・自衛隊」を相手に闘争(国賠)するということは、本質的には絶対的に容認できない存在である。特に戦時下では国家に対する抵抗は、それがわずかな「芽」であったとしても国家への反乱、反逆として絶対的に認めず、踏み潰すために有形・無形さまざまな形態と口実を理由にしながら階級戦争として全力で襲いかかってくる。弁護団の解散はこれへの屈服である。これとの非和解の闘いを貫くことが、勝利への絶対的な条件です。そして国家・自衛隊への怒りをバネに、不屈で闘うことで、必ず、勝利への扉を押し開くことができます。
イラク派兵負傷裁判がそうであったように国家・防衛省への闘い(国賠)は常に一人の兵士の闘い、あるいは家族の非和解の怒りの闘いへの決起から始まっている。一人の決起、家族の決起が労働者階級と結合・団結し、さらに隊内兵士の連帯の決起と結合・団結したとき勝利を確定する。決起は一人から始まるが決してひとりではない。そして闘いの主体は決して弁護士ではない。原告の闘いを基礎に国家権力との闘いに勝利する責任ある支援体制を構築することに全力を挙げよう。党と原告の相互獲得・一体化、党派闘争が裁判勝利の核心です。前進しよう。