会報 第6号

第6号 2010年3月10日発行

no06

3・20~5・15へ!
アフガンーイラク反戦・国鉄・沖縄・三里塚決戦に勝利し、民主党・連合政権打倒へ!
労働者・兵士は共に決起しよう!

資本主義の時代は終わった。大失業と戦争が世界中の労働者におそいかかっているこの現実の中にそれは明解だ。労働者は、資本家を救済するために生きている存在ではない。資本主義の最末期的危機の中に、労働者が主人公になる次の社会が準備され、その担い手も準備されている。それが労働者階級だ。
新自由主義の世界的破綻は、帝国主義国における基幹産業を次々に倒産させ、それが世界的規模で連続的に起きている。リーマンの破綻、最大の基幹産業GMの破綻、JALの破綻、トヨタの経営危機などがそれを明快に示している。二番底、三番底に突き進む世界恐慌は、プロレタリア革命によってしか出口がない。
人類の全歴史が古い社会を革命によって新しい社会を創り出してきたように、労働者階級人民を生きさせられないというところにまで行き着いた資本主義社会は労働者自身の事業として新しい社会につくりかえていくしかない。それがプロレタリア革命だ。
労働者階級はオバマや鳩山に一ミリの期待など抱いていない。80年代以降強行されてきた新自由主義政策に対する怒りの爆発として共和党や自民党が打倒された。だがそれらにとって代わったオバマや鳩山によって社会が根底から変革されたのでもなければ、労働者階級が帝国主義社会を根底から転覆させたものでもない。それはプロレタリア革命によってしか社会を変えることは出来ない。その入り口が3・20イラク反戦世界一斉デモから5・15沖縄闘争にいたる一連の3~5月の日本と世界の階級闘争の爆発である。動労千葉は3・1 ~2第二波48時間ストを貫徹した。このストはその狼煙である。
動労千葉が掲げる「検修業務全面外注化阻止!」「反合・運転保安闘争」は、全産別と全職場・生産点を貫く全労働者階級人民にとって命と生活をかけた反戦政治経済闘争である。23年間にわたる国鉄千四七名解雇撤回闘争は第二次国鉄決戦として原則的に爆発する。沖縄普天間問題は日米ともに完全に破綻している。それは同時に米の世界戦争政策である米軍再編をも完全な破綻の危機に叩き込んでいる。米軍は志願制ではもはや維持できず、自衛隊は兵士の再々任期継続の続出で「高齢化」し軍隊として内部崩壊が進行している。国家の暴力装置である軍隊の崩壊という極限的危機の中に帝国主義の終わりがある。沖縄米軍基地全面撤去が沖縄県民と全労働者階級人民の回答だ。オバマ政権、民主党・連合政権に未来はない。未来は労働者階級と兵士の決起と闘いの中にある。青年労働者・兵士を先頭にそれをわれわれのものにしよう!

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第二波ストを貫徹! 闘いはこれからだ!
検修業務の全面外注化阻止・1047名解雇撤回!

動労千葉新小岩支部長・佐藤正和

 ライズ読者の皆さん、はじめまして、動労千葉で新小岩支部長をしている佐藤正和といいます。深い悲しみと、それを数倍上回る固い決意の中でこの原稿を書くことになりました。
俺たち世代の「おやっさん」である、動労千葉の中野洋常任顧問が3月4日の10時に亡くなりました。癌との4年にわたる闘病の苦闘の中で、みんなを鼓舞激励しつづけた、頑張り抜いた、その顔はとても安らかでした。「おやっさん」の魂、意志を引継ぎ、闘い抜く、動労千葉は今、燃えています。
わたしたちは、2月1~2日、外注化阻止の第一波ストライキ、3月1~2日に第二波のストライキを闘いました。この闘争過程で、動労千葉の平成採の青年労働者6名の感動的な成長した決起があり、新たに2名の仲間が動労千葉に結集しました。こうして検修・構内業務外注化4月1日強行実施を止める大きな勝利を切り開きました。
これは、この闘いを、第2次分割・民営化反対闘争として、再び渾身の力をふりしぼって立ち上がるときがきたと、一度や二度のストライキでは終わらない数年がかりの大闘争となると肚を据えて闘ったがゆえの勝利です。ストライキの中心となった幕張支部は、組合員の決起をおさえこむ職制の弾圧などなんのその、意気軒高とストを貫徹し、支部役員の相次ぐ配転という組織破壊攻撃を団結の強化で打ち砕きました。数千人の機動隊に取り囲まれる中でぶちぬいた、25年前の国鉄分割・民営化反対のストライキを彷彿とさせました。
外注化とは、JRを数百の子会社、孫会社に分割し、無数の労働者を非正規職に突き落とす、新自由主義の政策の核心的攻撃です。それがもたらすものは言うまでもなく、第2の尼崎事故です。だが、団結し闘えば、外注化は止められる。一切は労働組合の問題です。「あきらめ」を組織するのか、困難な道でも、自分たちの力(労働者の力)を信じ、闘うのか。勝利の展望は自分達自身の闘いの中にあると、確信した今回の闘争でした。
また、これまでの労働運動が突き当たってきた、反合理化闘争、その下に労働運動がどんどん変質してきた壁を本格的に乗り越える、そこに挑戦しようという、動労千葉の反合・運転保安闘争の真価をかけた闘いでした。
しかし、すべてはこれからです。JR資本の外注化は、ますますエスカレートしてくるでしょう。そして、1047名闘争が重大な正念場を迎えています。現在進められている「政治解決」は、解決などでは断じてなく、闘争の解体です。国鉄の分割・民営化、ここから日本における新自由主義の攻撃が始まった。いまにつらなる、貧困、ワーキングプア・・分割・民営化から始まった。であるならば、わたしたち、俺たちには闘う責任があるということです。労働者と労働運動の未来を左右する闘いである以上、原則を絶対に曲げてはいけない、「解雇撤回」「民営化反対」の旗を高く掲げて闘い抜くということです。ボロボロなのは、今にも崩れ落ちそうなのはどっちなのかということです。
終わりに、労働者兵士行動委員会の同志たちに、「甦る労働組合・中野洋著」から。「難しくはない。団結して立ち上がれば道は切り開かれる。侵略戦争を阻む力もそこにある。そのために、労働組合を甦らせ、労働運動の現状を変革することだ。それこそが今、最先端の変革である。闘うことはけっこう楽しいものだ。朗らかに闘おう」!連帯を込めて。(東京会員)

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投稿
労農同盟の飛躍的強化が、2・25天神峰現闘本部判決公判で「仮執行」を完全に粉砕した!

東京読者・S

2月25日、反対同盟の天神峰現地闘争本部の撤去と土地の明け渡しを求め、NAA(空港会社)が提訴した裁判の判決があった。結論から言って、判決内容は白を黒と言いくるめる矛盾に満ちた極めて反動的なものだ。
現闘本部は、一九六六年に「空港絶対反対・農地死守・実力闘争」の不抜の拠点として、反対同盟自身の手によって建てられた。地主であった元反対同盟副委員長の石橋正次の脱落以降も地代を払い、領収書もある。「どのように使ってもらってもかまわない」という石橋が書いた念書もある。一九六六年に建てられた木造建築の建物は、現存している。反対同盟にすべての権利があることは明らかだ。絶対に許せないことは、この明々白々の事実を真っ向否定し、現闘本部撤去の結論を引き出すために、事実をねじ曲げて捏造していることだ。
(写真 2・25反動判決弾劾)

反対同盟が、成田空港廃港まで現闘本部を使用することを反対同盟の総意で決定したことについて、「メモ、覚書がない」といい、石橋が書いた念書や領収書の存在に関しては、「脅されて書かされたもの」としている。しかも、増築前の木造建物の存在について、再三の現場検証要求にも応じようとしない。木造建築の建物の存在が明らかになれば、事実をねじ曲げたり、捏造することは不可能だからだ。北原事務局長が、25日当日の法廷内で机をたたいて弾劾したように、「これはもはや裁判ではない」。反対同盟はこの間、当然にも裁判長仲戸川の忌避を申し立ててきた。しかし、仲戸川裁判長は、自ら申し立てを却下するという恥知らずなことを平然とやっているのだ。
しかし、この日の判決で「仮執行」をつけることはできなかった。国家意志をむき出しにし、国交省・NAAと一体で、判決確定前に現闘本部撤去をいつでも執行できる「仮執行」の目論見を完全に粉砕したのだ。「闘って仲戸川を追いつめた」(萩原進事務局次長)のだ。この勝利は、労農同盟を軸に全人民が団結すれば、必ず勝利できることを証明している。国交省・NAAの目論見は完全に破綻し、空港建設がもたらす反人民性をますます明らかにしている。

鳩山民主党・連合政権は、大恐慌が激しく進行する中で、労働者階級人民にすべての矛盾を転化し、延命しようとしている。しかし、国鉄・三里塚・沖縄・法大の決戦化とその勝利的前進が、ぎゅうぎゅうと民主党・連合政権の首を締め上げている。この決戦の勝利の展望が資本主義・帝国主義への怒りをもつすべての人民の怒りと結びついた時、この腐りきった資本主義を必ず打倒できる。この労農同盟の発展をとおした全人民の総決起で、控訴審闘争をたたかい、NAAの目論見を粉砕し、仲戸川の反動的正体を徹底的にあばきだし、民主党・連合打倒へ進撃しよう。
現闘本部裁判における「仮執行」粉砕の勝利に続き、第3誘導路建設と一体の「団結街道」廃道化攻撃を絶対に粉砕しなければなりません。3・28全国総決起集会に大挙結集し、三里塚闘争の歴史的勝利をきりひらこう。

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■普天間基地撤去・辺野古新基地阻止!4・28―5・15沖縄闘争に総決起を

パンドラの箱を開けた鳩山政権


(写真 ◎60年安保闘争=国会を包囲する労働者・学生・市民◎)

いま、鳩山政権は日米安保体制の根幹をなしている沖縄米軍基地、普天間基地「移設」、辺野古新基地建設をめぐってグラグラだ。この情勢は8・30衆院選で自民党政権を崩壊させた沖縄・本土の労働者階級にしっかりと握られている。
米軍再編とは沖縄県民の基地被害の「負担軽減」問題ではまったくない。「負担軽減」というペテン的な言辞で米政府のアフガン・イラクでの敗勢を建直し、米軍再編=米軍・自衛隊の一体的融合をなそうとする、日米同盟の大エスカレーションそのものである。
沖縄県民の怒りは頂点に達している。衆院選での沖縄全選挙区からの自民党議員の一掃、2万1千人を結集した11・8県民大会の爆発、そして1・24名護市長選での基地反対派市長の誕生。2・24には県議会で「普天間閉鎖・県内移設反対」の意見書が全会一致で決議された。それは戦後の歴代自民党政権の安保・沖縄政策に対する歴史的な抵抗の究極的爆発に行き着こうとしている。求められていることは「移設」などではなく、沖縄労働者階級と固く団結し、基地撤去・閉鎖、日米安保粉砕を貫徹することだ。
稲嶺恵一前県知事も「鳩山政権はパンドラの箱を開けてしまった。沖縄県民のマグマはもう止められない」と正直に消耗感を吐露している。「成田の二の舞にするな」ともいわれている。しかり、成田(=三里塚)、国鉄(闘争)・動労千葉のように闘おう!
◆資本主義防衛のための最後の砦・日米同盟
戦後の米軍による日本占領を終わらせるサンフランシスコ講和条約(=沖縄の分離支配)と同時に締結された日米安保条約について、調印から批准・発効を主導した吉田茂元首相は、自著の『回想十年』で次のように述べている。
「講和に伴う占領軍の撤退後における日本防衛の空白を埋めるのには、あれ以上の良策はなかった」「安全保障条約は、飽くまでも暫定的な措置。日本の自衛力が十分強化されたとか、国際情勢が著しく緩和されたとかによって、いつでも終了させ得る」、と。
それはまさしく、日米共同で日本と世界の資本主義体制の軍事的防衛ということに尽きる。戦後の「55年体制」は49年中国革命と50年朝鮮戦争の硝煙、国内での共産党弾圧と労働現場でのレッドパージ、階級的団結の破壊、戦後革命の絞殺を背景に成立したのだ。
「(この条約の必要が消滅すれば)いつでも消滅させ得る」との吉田の記述は、改悪安保条約最終条(第10 条)でも確認されている。この条項を金科玉条のようにして日本共産党は、「米国へ通告すればいつでも安保は廃棄できる」と「通告」という手続きで安保破棄が可能かのようにいいなし、議会主義に転落し労働者階級の闘いに敵対しつづけてきた。そしてこんにち、「建設的野党」を標榜し鳩山政権を支え、「ルールある資本主義」を説教する資本主義の救済者になりさがった。

◆自衛隊幹部の「クーデター発言」弾劾
大地震を口実にした自衛隊の「ハイチPKO派兵」もPKO5原則さえも無視して、強引に国際協調をごり押しする民主党政権の正体を顕わにした。社民党はいとも簡単にこれに追従するていたらく。中谷元防衛庁長官は「自民党が野党の方が防衛政策は前進する」といい放ち、恒久派兵法の国会提出を虎視眈眈と狙っている。
こうしたただなかで、2月10日の陸上自衛隊・王城寺演習場での日米共同演習の開始式で、陸自第44普通科連隊長の中沢剛1佐が「同盟関係は『信頼してくれ』等という言葉で維持されるものではない」と訓示し、昨年の日米首脳会談で鳩山首相がオバマ大統領に普天埋設に関して「わたしを信頼してほしい」といったことを公然と批判した。これは自衛隊幹部によるファシスト的クーデター発言そのものだ。絶対に許せるものではない。
日米同盟を鳩山政権は、「深化・発展させる」と政権成立直後から公言している。「駐留なき安保」論とは改憲と一体で自衛隊の国軍化と日米安保の深化そのものだ。道州制は360万公務員首切り・労組解体の一方で、「沖縄単独州」を核心とする沖縄の永久基地化・安保強化の大攻撃だ。
日本の労働者階級人民は、60年安保、70年安保・沖縄闘争、その後の沖縄5・15「復帰」体制をゆるがす闘いで常に日米安保体制〓在沖米軍基地と闘いぬいてきた。それは改憲を阻止する闘いそのものであった。その核心に沖縄の労働者人民の闘いが貫ぬかれていた。沖縄は安保とその実態としての米軍基地との連綿とした対決の歴史を刻んできたのである。95年少女暴行事件は積もり積もった沖縄の怒りに火をつけ、「復帰」以来最大級の10万人決起で日米支配者に回答し、辺野古新基地を拒否しつづけた。自民党政権は打倒され、「県外・国外移設」を無責任に叫んだ民主党・連合政権はついに「パンドラの箱」を開け、沖縄の怒りに火を放ってしまった。沖縄のマグマの総爆発がいまはじまろうとしている。

◆階級的労働運動の力で安保粉砕・基地撤去へ
時代は世界恐慌という末期資本主義の終焉の時代を迎え、わたしたちは「資本主義の時代は終わった」「階級的労働運動の力で革命を」というこんにち的な認識をもつに至った。日米安保・米軍基地撤去こそその導水路にほかならない。日米安保体制は労働現場と労働者階級総体を覆っている暴力的な、しかも最後の労働者支配の砦なのだ。
大恐慌下の10春闘で職場で非正規職撤廃・生活防衛の実力ストライキを闘おう。72年「沖縄返還協定」の欺瞞をあばき獄中で闘う無実の星野文昭さんは、沖縄―本土の分断を乗り越える階級的懸け橋である。奪還しよう。
大恐慌下で闘う在本土沖縄出身労働者、沖縄労働者階級と団結し普天間撤去・新基地建設阻止しよう。
日米韓労働者の国際的団結で日米(米韓)安保粉砕・米軍基地撤去を闘おう。国鉄1047名解雇撤回、民営化・外注化阻止をストライキで闘う動労千葉を先頭とする階級的力こそ、この大闘争の核心だ。3・28軍事空港反対をかかげ、労農学連帯・農地死守と貫く三里塚農民とともに、4・28~5・15沖縄―本土をむすぶ新たな安保・沖縄闘争の爆発で民主党・連合政権に引導を!

(沖縄―本土をむすぶ労働組合連絡会・直井誠・東京会員)

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《自衛隊の内定取り消しと解雇》

会員 岐部

【転職できない自衛官】

ライズ3号・4号の『自衛隊の募兵活動の強化(上・下)』では大失業が青年たちを自衛隊に向かわせている「経済的徴兵制」問題と、07年度に創設された自衛隊の「ハイスクールリクルーター」制度(全国で高校や専門学校650校が自衛官募集協力校として登録)などによる募兵活動の強化についてレポートしました。
そこには「戦場に送られる怖さよりも就職できない怖さ」で入隊した青年の存在がありました。 この青年たちを取り巻く雇用環境は、もう一方で、隊内で取得した資格で転職しようとしても外に転職先がない。こうして自衛隊から出るに出れずに任期を延長する隊員を生み出しています。
この状況に対して防衛省・自衛隊当局は「部隊の精強さを保つ」ためとして兵士を選別し不要とした兵士を解雇・追放する。この攻撃は基本的に既に始まっていると考えられます。

【自衛隊の内定取り消し】

今回は自衛隊における青年労働者の「内定取り消し」や「選別・解雇」につながる問題についてレポートします。
2月7日付け『朝日』関東版に「任期制自衛官超狭き門」「転職難、新人枠を圧迫」の見出しの署名記事が掲載されました。
記事によると、08年度の「任期制自衛官」採用試験の受験者が2万300人。そして約8800人が「仮合格」。
しかし「同年秋に米大手証券が経営破綻したリーマン・ショックの後、採用内定取り消しや非正規社員の雇い止めなど、民間の雇用情勢が急速に悪化すると、隊内では満了後も再度任期を継続する隊員が続出。
当初計画の半分程度の約4600人しか採用できなかった」。「…合格したのに採用されない『入隊保留者』が約520人も発生する異常事態」とありますが、そもそも4200人の「内定取り消し」をしたということです。
大恐慌・大失業の現実は自衛隊に応募した青年労働者に内定取り消しとしても襲いかかっています。これらの事態の意味をさらに見ていく前に「任期制自衛官」とは何なのかを次に見ていきます。

【任期制自衛官制度】

多くの国で「有事の急速かつ大量の兵員確保」のために予備役制度があります。日本の場合は元自衛官(の志願・選考)による即応予備自衛官(18~31才)と予備自衛官(18~36才)、そして自衛官未経験者(志願・選考、試験)による予備自衛官補(一般は18~33才、技能保有者は18~52才、54才)の3つの制度があります(旧軍では予備役と後備役と補充兵役がそれにあたります)。

それに対して、通常の「防衛出動」「治安出動」「災害派遣」等での「厳しい環境下の任務」に耐えうる「若く体力に優れた隊員」即ち「部隊の第一線の人材を確保する制度」が任期制自衛官制度です。
受験資格は18~26才で学歴は不問ですが高卒の応募者が最多です。
陸自は2年、海自・空自は3年を1任期とします(2任期目以降は各2年)。入隊すると2等陸・海・空士(2士)に任命され、約9ヶ月後に1等陸・海・空士(1士)に、更に1年後、陸・海・空士長(士長)に昇進します。
1任期満了時には2年で約60万円(陸)、3年で約93万円(海・空)の退職手当が支給されます。 2任期満了時は約130~137万円の退職手当が更に追加支給されます。
任期制自衛官がその後も隊内で勤務しようとするなら、士長の階級のまま2年任期の更新で任務を継続をするか、或いは選抜試験を受けて3曹に昇進するかです。
3曹からは定年制になり、3曹と2曹の定年は53才。1曹~1尉は54才…と続きます。

【「辞めない任期制自衛官」問題】

自衛隊では自動車整備士、大型特殊運転免許、救急救命士、准看護師、ボイラー技士、電気工事士、パソコン検定、調理師免許など部隊での業務に必要な特技や各種資格を取得できます。
応募者にとっては入隊中に取得した資格を任期満了後に民間企業への転職に生かせるのが利点でした。
バブル期の89年度は25万全自衛官の30%にあたる7万5千人が任期制自衛官でした。資格を手にして民間企業に転職していくなど若い隊員が2~3年周期で大量に入れ替わる「新陳代謝」がなされていました。
ところがバブル崩壊後には、任期満了後も隊内に留まる隊員が急増しました。最初の2~3年で辞めないで任期を更新する自衛官は90年度では40%だったのが93~02年度の間に70~80%に及びました。
09年度の防衛省の任期制自衛官の採用予定者数は2550人。これは08年度当初(8800人)と比べて30%。前述したように08年度は任期を更新する任期制自衛官が続出し内定取り消しを4200人にしたため、09年度には定員を大幅に減らしました。20年前の89年度(2万1250人)と比べたら12%です。
これらの結果、01年度から08年度にかけて「士」の平均年令が21 ・9才から22 ・5才に、「曹」は36 ・9才から37 ・3才へと上昇しています。「防衛省の担当者は『現在の景気では、任期を満了した隊員が辞めない傾向は当面続くだろう』と述べ、隊員の高齢化への対応がない現状に、危機感を募らせている」と。

これが『朝日』の記事の結語です。まさに悲鳴を上げている訳ですが「第一線の自衛官の高齢化」問題は防衛省・自衛隊当局にとっては、そんな簡単な問題ではありません。
旧軍の例が妥当かどうか疑問も残りますが敢えて挙げます。38年の中国派遣軍では現役兵が11%、他の兵役の「老兵」が89%。これに比べて陸軍総兵力の中で現役兵の占める割合が37年で37%。38年は54%でした。
当時の軍中央は中国派遣軍の虐殺・強姦・略奪・対上官犯(上官への抗命)を「老兵より現役兵並に若年の補充兵」「戦争に於いては若き者程精神力あり…未熟なりとも若年層は優れり…指揮亦容易なり」と彼らなりに総括しています。そして39年は68%、40年は72%と現役兵を増加させていきました。
「生涯の就職口ではなく、期間限定なので若い隊員を確保しやすかった(陸自幹部)」と言われ、定年がなく2年更新で「期間限定」で使い捨て扱いにされてきている任期制自衛官制度は資本とその国家による労働者支配そのものです。
資本とその国家と軍幹部が「精強」「若さ」「従順」を徹底的に求める戦闘行動の直接の担い手である任期制自衛官の「高齢化」問題に対して、隊内で既に人員整理・再任用拒否とそのための肩たたき・解雇攻撃が始まっていると考えられます。
従来の対米「従属的」な日米同盟から対抗的な「血を流す軍事同盟」に質的に飛躍させようとする小沢・鳩山民主党政権は、自衛隊の「精強」軍隊化=実戦的軍隊化に拍車をかけています。
行政刷新会議の「事業仕分け」で隊員増員は一旦見送ったもののヘリコプター搭載護衛艦(ヘリ空母)建造の予算は計上。「破綻国家の国づくりに対応する第4世代型」の陸自ハイチPKO派兵への踏み切り。これらはその一環です。更なる海外展開を見据えた軍事力強化に向かっています。

米国防総省は今や国防戦略の上で「志願兵制度の維持」に汲々としています。
青年はじめ全労働者とその家族に襲いかかっている大恐慌と戦争の現実と闘いに隊内外の垣根も国境や民族の壁もありません。世界の労働者・兵士と結びつき「自衛官との団結は職場の団結から始まる」の闘いを前進させましょう。
国鉄・沖縄・三里塚・法政を拠点に3・20イラク反戦全世界一斉デモへ。この闘いの一環として、西郡・尼崎・関空闘争=こくが7選勝利を。
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 資本家が自治体を食い物にしてきた結果の大借金
空港=資本家の金もうけの犠牲になってたまるか!

関西新空港絶対反対泉州住民の会事務局長 泉佐野市議会議員 国賀 祥司

泉佐野市は、夕張市に次ぐ赤字をかかえ、昨年「早期財政健全化団体」になった。その原因は、1700億円もの空港関連事業だ。事業のために900億円も借金した。
空港関連事業は、空港連絡道路関連の道路、農道、水路工事、りんくうタウン浸水対策事業、南海連立事業、コスモ計画など数百事業にもなる。
その結果、ゼネコン、銀行、企業など資本家が大もうけした。地元自治体に国・府の承認のもと巨額の借金(起債)をさせて、空港関連事業を食い物にしてきたのだ。
すでに破たん状態の関空から思うように税収が入らず、地元泉佐野市には巨額の借金だけが残った。泉佐野市は、これまでも職員を250名も削減し750人に減った。福祉は全廃し、公共料金を大幅に上げてきた。
しかし早期健全化団体になった。これは職員と市民の責任ではない。完全に国と資本の責任だ。

《資本家救済のために労働者住民に一切の犠牲を集中する政治を根本から変える時が来た》

2月24日「泉佐野市財政健全化計画」が臨時議会で市議され、賛成12、反対8で可決された。国賀は、多くの労働者、市民と一体になって「許さないぞ!」と反対した。「財政健全化計画」なるものは、今後19年間で市職員を188名も削減、2年後から職員給与15%カット、小学校2校の廃校と用地売却、公立保育所の民営化、幼稚園との統合、市立病院の独立行政法人化、図書館や保健センターの民営化、3年ごとの公共料金値上げなど、リストラと民営化のオンパレードだ。これは激しい道州制攻撃そのものだ。泉佐野市は関空が原因だが、どこの自治体も似たり寄ったりだと思う。とことん資本家だけを潤すための政治であり、行政のありようなのだ。
健全化計画を許せば、夕張市のようになり、市職員にとっても10万市民(労働者とその家族)にとっても、泉佐野で生きていけなくなる。労働者、市民は必ず起ち上がる。闘いはこれからが本番だ。
反撃は始まっている。国賀と泉州住民の会、関西合同労組泉州支部は、民営化や廃止と言われている病院や保育所、図書館、公民館などの現場労働者に働きかけ、絶対反対の団結をつくり阻止する闘いをやっている。すでに市役所、保育所、病院労働者の間には、健全化計画への怒りと同時に、闘わない自治労、自治労連執行部への怒りがまきおこっている。現場労働者が絶対反対で固く団結して闘えば、八尾北医療センター民営化反対闘争のように、民営化など粉砕することは全く可能なのだ。この闘いが革命闘争だ。

《5月市議選、こくが議員7選に勝利するぞ! 国鉄、三里塚、沖縄、法政と一体で、道州制粉砕、関空軍事空港化粉砕の労働者の決起をつくりだす》

市長はじめ全議員が、「赤字の原因は空港関連事業」と認めながら、「財政再建してみせます」と主張している。関空と資本主義の延命に協力します、と言っているようなものだ。国賀だけが、関空と民主党・連合政権を打倒しよう!その中に泉佐野市の未来がある、と呼びかけている。 共産党まで自民党の新田谷市長といっしょになって「財政再建に努力します。国・府に支援を求めます」などと言っている。若手のある議員は、「行政と市民との連携、NPOの活用で、もっと短期に健全化しよう」などと「新しい公共」の立場から健全化計画に反対した。彼らのやり方は、市長よりも激しく労働者のクビを切り、賃下げ、すべてを民営化するやり方だ。労働者住民を犠牲にして資本を救済するものでしかない。
10万泉佐野労働者と関空は非和解だ。橋下知事の「関空への米軍基地受け入れ」発言には、会う住民全員が「もってのほか」と怒っている。
5月市議選に勝利し、その闘いで「財政健全化計画」=橋下「道州制」粉砕、関空軍事空港化粉砕の10万労働者と家族の底の底からの決起を作り出す。そして闘う労働組合をつくる。一切を握っているのは労働者だ。団結して闘おう!
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◆訂正とお詫び◆

「前号6頁の見出し『09年東京ユニオンの闘いと動乱の2010年へ!』は、『東京西部ユニオン』の誤りです。 訂正とともに関係者の方々にご迷惑をおけしたことをお詫びいたします。」