会報 第55号

Rise 第55号 2020年7月10日発行 Rise55号.PDF

Power To The People!!

Power to the people
Power to the people
Power to the people

Power to the people, right on
Say you want a revolution
We better get on right away
Well you get on your feet
And out on the street
…………
(Written by John Lennon )

人々に力を
人々に力を
人々に力を、そうだ!

革命を起こすなら
今すぐ始めるよう
さぁ、立ち上がり
表に飛び出せ
…………
(Written by John Lennon )

(写真 2020年5月~6月。アメリカ。BLMで立ち上がる民衆。バリケードを築き、解放区をつくる。炎上する警察署。出動した州兵。連邦軍は撤収した。コロナ・パンデミック下、闘いは進む。)

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腐りきった安倍政権を打ち倒し、命を守り社会を変えよう!

東京西部ユニオン(元自衛官) 杉橋幸雄

安倍を倒し、命を守り社会を変えよう!

生き残る為に核軍拡を押し進める米中対立が朝鮮戦争の危機をも引き起こし、そのことがまた世界大恐慌を激しく誘発し、追い詰められている安倍政権は、監視国家化、宇宙作戦隊の新設、敵基地攻撃能力保有に公然と踏み込み、あくまで9条改憲を狙っています。こんな連中に人類の未来などある訳がありません!
新自由主義のグローバリズムによって生み出されたコロナ危機を契機として、全世界で階級的覚醒が促進され、差別・分断され搾取・収奪されつつも社会を動かしている労働者民衆が、香港やアメリカをはじめとして世界各地で、そして中国においても、社会の根底的変革と団結・連帯を求めて立ちあがっています。日本でもデモやストライキが闘われ、「安倍やめろ!権力よこせ!」の新たな闘いが労働組合を先頭として始まっています。そうした最中、長期勾留されていた関西生コン労組委員長と副委員長の保釈を勝ち取ったことは、新たな時代を切り開く決定的勝利です。安倍の求心力は地に落ち、河井夫妻が買収容疑で逮捕され、まさに安倍打倒情勢です。
感染第2波不可避のもとで、中小個人事業の倒産・失業・生活困窮者が続出し、大資本による新たな雇止め・解雇が追い打ちをかけ、一回限りの「10万円給付」では生活が成り立たず、疑惑まみれの「中小企業持続化給付金」の実施も進まず、「雇用調整助成金」の申請窓口も大混乱です。特効薬もワクチンもこれからで、感染第2波対策が求められる中で、医療・介護現場での雇止めも発生し、地震や台風が重なる事態です。問題は山積みですが、労働組合がはたすべき役割、国際連帯を掲げる階級的労働運動がはたすべき役割は実に決定的となっています。団結こそ力です!

(写真 5月24日 横須賀在日米軍司令部への要請行動)

戦争・改憲絶対反対!兵士と労働者の命を守ろう!
『ライズ』前号で報じたように、3月24日、フィリピン沖で展開中の米原子力空母セオドア・ルーズベルトで兵士3人の感染が判明。4月12日時点で乗組員585人の艦内感染が判明し、翌日には兵士1人が死亡しています。同空母のクロジャー艦長は米国防総省と多方面に「感染拡大防止策」と乗組員の命を守る為に、大半の乗組員の下船と2週間の隔離措置を要求したところ、太平洋艦隊司令官はクロジャー艦長を解任したのです。しかし、同空母の全兵士は艦長解任に抗議し、解任された艦長を拍手で讃え感謝した一方で、艦長解任を主導したモドリー海軍長官代行は兵士や議会の批判が高まり、辞任に追い込まれています。
5月24日、わたし達は横須賀中央駅駅頭での宣伝活動の後、横須賀の在日米海軍司令部司令官宛てに「要請書」を提出し、同基地の感染状況や感染者をどのようにケアしているのか等の情報の公開と、横須賀市と情報共有するよう要求しました。沖縄をはじめとして、東京・神奈川にも「出入国ノーチェック」の巨大な米軍基地が存在し、陸海空自衛隊基地も全国に存在しています。軍隊における感染防止対策の徹底と情報公開要求の闘いは、戦争・改憲に反対し、兵士と労働者の命を守る重要な闘いであり、労働者としての当然の権利です。
軍隊は文字通りの「三密」で閉鎖的存在ですが、社会とつながっている以上、隊内感染を阻止することは不可能です。事実、在日米軍にも自衛隊にも感染者が発生しています。自衛隊では、5月4日までに陸海空3自衛隊で計13人が新型コロナに感染したと言われていますが、統括責任者である安倍も、各都道府県知事も野党も、隊内感染については一切言及していません。実に無責任です!

(写真 6月21日 横須賀中央駅頭での街宣行動)

戦争やめろ!命を守るために団結しよう!

2017年の政権発足以来、米帝トランプは「米軍再建」を掲げ、国防予算の増額を押し進め、世界各地の駐留米軍の撤退・縮小を進める一方で、地上戦や紛争地域の軍事占領などを日本や韓国、欧州諸国などの「同盟国」に肩代わりさせ、米軍は核兵器の使用を含めた空爆やミサイル、AI装備のドローン攻撃などに特化させ、「宇宙軍」創設に踏み込んでいます。その核心は中国・ロシア・北朝鮮敵視に貫かれた核兵器の実戦使用(先制核攻撃)です。
そうした中でのイージスアシュアの配備中止は迎撃能力の限界を突きつけられたからに他ならず、「住民の安全の為」は表向きに過ぎません。事実、18年の「大綱」と「中期防」によって、空中給油機やF35ステルス戦闘機の導入、無人偵察機や長射程の巡航ミサイルも、護衛艦「いずも」の空母化も、「陸自総隊」の創設や、南西諸島への自衛隊の配備、オスプレイも、ことごとくが米帝の「新軍事戦略」と一体となった日米安保の「核戦争同盟」への転換であり、敵基地攻撃能力の獲得です。自衛隊での「宇宙作戦隊」の新設はその典型に他なりません。それは「やられる前にやる」先制攻撃戦略への転換であり、完全な「専守防衛」の逸脱です。
しかも、中東現地には総勢約460人の自衛官が派遣されています。防衛省幹部は「(感染拡大し)最悪の場合、派遣隊員の撤退も選択肢」だと語っていましたが、ペルシャ湾に面するバーレーンの多国籍部隊司令部に派遣されている隊員が、新型コロナに感染したと報じられています。中東現地も新型コロナ感染が拡大しており、直ちに、中東から全自衛隊を撤退させるべきです。
核軍拡を押し進める米中対立が戦争の危機を激生し、安倍政権も戦争国家化・改憲に突き進み、沖縄辺野古新基地建設を強引に進めています。絶対に許せません!
問題はそうした殺し合いの矢面に労働者・兵士が立たされていることです。こんな社会は根本からひっくり返さなければ、労働者も兵士も人間らしく生きて行くことは絶対にできません!世界各地で労働者自己解放の闘いが爆発しています。そして、元三等空曹池田さんの国賠控訴審闘争も始まっています。この闘いは自衛官を「使い捨て」にする安倍政権・自衛隊との闘いであり、戦争・改憲に反対し、自衛官と労働者の命を守る闘いそのものです。
自衛官と家族の皆さん!戦争ではなく命を守るためにこそ、階級的労働運動のもとに団結し、腐りきった安倍政権を労働者民衆と兵士の総力で今こそ打倒しましょう!命を守り社会を根本から変えていくためにこそ団結を強化・拡大し、断固闘っていきましょう!
(2020年6月)

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自衛隊は民衆を攻撃するのか?

ーBLMが突き付けた国内出動の是非ー

なんぶユニオン執行委員 大野八千代

BLMの核心

2020年5月25日、米北部ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさんが偽ドル札使用の疑いをかけられ、弁明の余地も無いまま、白人警官に膝で頸部を8分以上も強く圧迫されて殺された。繰り返される警察による黒人惨殺に怒りは爆発、「Black Lives Matter(黒人の命は重要だ)」を訴えるデモが全米に拡大し、海を越えて世界中に拡がっている。BLMの核心は、単に人種差別や警察の暴力に対する批判ではない。アメリカ社会の根底にある黒人差別構造の撤廃を求める闘いだ。銃社会において、黒人は常に警察の暴力を警戒しなければならない。ミシガン大学社会調査研究所によれば、黒人の死因の第6位が警察による暴力だ。

国家の暴力装置としての警察

アメリカ警察の歴史は、強制労働から逃亡した黒人奴隷の追跡・捕獲から始まり、人種隔離政策の推進、白人による黒人リンチ殺人の支援(黙認ではない!)、公民権運動の弾圧と続き、現代でも本質は変わらない。まさに、「国家の暴力装置」として、警察権力が存在する。1990年には国防総省が警察に武器を無償提供する「1033プログラム」が開始され、警察の軍隊化が進んでいる。米軍と警察の一体運用を視野に入れた計画だと考えられる。

(写真 6/1 ワシントンBLMデモ隊と対峙する警官隊)

 

米軍内でのBLMの高まり、軍の投入断念

トランプは、抗議デモ開始直後から連邦軍投入を画策していた。武器を持たない市民に対し、軍隊化した警察と州兵を大量投入し、ワシントン近郊の基地に米陸軍を待機させた。抗議デモを利用して、
軍警一体運用の実地訓練を目論んでいたのではないだろうか。当初より、トランプは州知事が「暴動」を制圧できない場合は反乱法を発動し、大統領権限で各州知事の合意なしに軍隊を投入すると示唆していた。エスパー国防長官もトランプの意向に従い、州知事との電話会談で、抗議デモが拡大する街頭を「Battlespace(戦場)」と形容し、連邦軍投入を迫った。
しかし、米軍の中でBLMの声が高まり始めた。
Military.comによると、最初に声を上げたのはカレス・O・ライト空軍最上級曹長で、「私はジョージ・フロイドです」から始まる怒りの声明で、黒人航空兵が懲戒を受ける確率は白人の2倍だと訴え、軍の司法制度の見直しを求めた。デビッド・ゴールドファイン空軍参謀本部長は、「アメリカの路上で起きていることは空軍でも起きている。私達は、このことから逃げずに立ち向かう」と宣言した。黒人初の空軍参謀総長に決定したチャールズ・Q・ブラウン太平洋空軍司令官も、黒人差別について、「どうやって一緒に変化を起こせるか、あなたの考えを聞かせて欲しい」と、一緒に取り組もうと呼びかけた。
BLMに連帯する訴えは米軍全体に拡がり、一般兵から将軍まで、次々と発せられる黒人差別撤廃を要求する声は国防総省にも届いた。同時に、マティス前国防長官やケリー元大統領首席補佐官、退役した米軍高官らも、トランプの軍投入を批判し始めた。誰もが沈黙することは共犯になると考え、行動した。軍の投入で事態がエスカレートすることを恐れた国防総省は、2つの動きを武器にトランプと対決。6月5日、連邦軍撤収を正式発表した。
トランプと米軍、両者の板挟みで迷走し続けたエスパー国防長官とミリー統合参謀本部議長も、最後は米軍を出動させない意見を支持し、トランプは怒りのうちに連邦軍投入を断念。かくして、「米軍が自国民を攻撃、虐殺する」という最悪のシナリオは避けることができた。

(写真 6/3 ホワイトハウス前 デモ隊の前に立つ兵士)

(写真 6/7 ワシントン 撤収準備をする兵士)

「自衛隊の国内出動」

このことと、日本は無関係ではない。60年安保闘争では、連日数万人のデモ隊が国会を囲み、岸信介首相は首都圏に2万人の自衛隊を待機させた。6月15日、全学連率いる学生デモ隊が国会に突入。機動隊との激しい衝突で東大生の樺美智子さんが殺された。学生の死への怒りで闘争は更に激しくなる。岸は自衛隊出動を要請したが、防衛庁長官の赤城宗徳はこれを拒否、自衛隊が国民の敵になることを回避した。69年国際反戦デーの新宿騒乱では、市ヶ谷、朝霞、練馬の各駐屯地で自衛隊が出動準備していた。戦車には催涙ガス放射機や機関銃が搭載されたが、国内出動は見送られた。
抗議デモを「平和的」とするか、「暴徒化した」とテロリスト扱いするかは、国家権力の思惑次第だ。何万人も集まれば、扇動する者や破壊行動をする者もいるだろう。一部を切り取り全体がそうであるかのように見せ、治安出動を狙うことは可能だ。何が真実か。意図的に与えられた情報で判断することは難しい。「自衛隊の国内出動」を、自衛官一人一人が真剣に考えることが重要だ。民衆を攻撃するとはどういうことか。憲法で保障された集会や抗議行動に対し、武力行使するとはどういうことか。もしも、総理大臣あるいは防衛大臣が憲法に違反する命令を下したら、自衛隊と自衛官は拒否できるのか。

戦争のための戦闘か、 戦争を止めるための戦闘か

5月29日、新型コロナウイルス感染症に対応する医療従事者らに敬意と感謝を込めて、ブルーインパルスが都心上空を航過飛行した。河野太郎防衛大臣は、飛行決定のプロセスは「どうでもいい」と語らず、後日、自分の発案だったと明かした。防衛費を使ってサプライズを提供し、都心上空を自衛隊機が飛行することへの国民の反応を確認してから、「自分の発案」だと公表する。要領が良いというより狡猾に近い。自衛隊は戦闘力であり、防衛力であり、災害時は命と暮らしを守る力である。人々が自衛隊に抱く感情を国家権力は利用する。河野大臣が青空とブルーインパルスで国民の心を掴もうとしたように。
いつか、戦争のために戦闘するのか、戦争を止めるために戦闘するのか、選ばねばならない日が来るかもしれない。BLMが突き付けた「自衛隊の国内出動」を、自衛隊のみならず、日本国籍を有する者すべての責任として考えなければならない。それが、沖縄戦と原爆投下の悲惨さを知る私たちの責務だ。

(写真 6/11 シアトル 解放した警察署前で集会)

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池田人権裁判に関わって

元、航空自衛隊(小牧基地)

池田裁判支援する会 近森泰彦

2018年11月26日、名古屋地裁(民事第7部、前田郁勝裁判長)で判決が下された。裁判長は「原告の請求は棄却する」の一言を述べ退廷した。国の主張を全面的に認める判決。「車椅子裁判長」にたいして傍聴席から勇気ある裁きの期待があったが・・。

判決は原告訴え3つの要点を全面否定

54頁に及ぶ判決文の末尾で裁判長は、「なお、前記認定事実によれば、本件事故後、原告は肩や首の痛みや不眠に悩み、帰国後にはさらに顎関節の痛みやうつ病、パニック障害等の症状にも悩まされるようになったのであり、本件事故が原告の人生にとって著しい悪影響を及ぼしていることは否定できない。」と心中の思いを述べている。ここまで云うなら何故だ!
という気持ちが募るばかりである。

裁判長は判決理由書で

①米軍基地内でのマラソン大会参加は池田本人の決めたことで米軍や上官の関与はない。(隊員個人の判断で「自由」参加だったと強調)

②重篤な怪我をした後の手当に不足はない。(事実はほったらかし状態)

③帰国後、治療など十分な配慮を行った(治療妨害、配転、隊内のパワハラ野放し、退職に追い込んだ!)と国の主張を支持。
原告と弁護団は判決報告会で控訴を決意、名古屋高裁にたたかいの場は移った。(2020年1月28日、控訴理由書提出)

振り返えると綱渡り的な支援運動だった。最初の弁護団の不始末を引き継ぎいだ現弁護団、長期に
わたる弁論組み立て協議(原告、被告、裁判官)を経て法定弁論にこぎつけた。法廷で鋭く国側を追い詰めた高山俊吉団長、加藤寛崇、秋田光治、増本陽の弁護団の活躍は傍聴者にひしひしと伝わってきた。

初回の控訴審法廷が来月7月2日(木)14時から名古屋高裁1号法廷で開かれる。多くの方に傍聴をおねがいしたい。いきなり結審、次回判決ということも考えられる。安倍政権下、戦争する国へ変貌しつつあるなか、裁判官の姿勢が問われる。

池田裁判は国・自衛隊(雇用責任者)の自衛官に対する安全配慮義務を問うたたかいである。半世紀近く前、青森の陸上自衛隊基地の自衛官が自動車整備作業中に大けがをして裁判で争い、使用者(国、自衛隊)に「安全配慮義務」という責任があるとする判決を勝ち取った。この判決はその後、全ての労働者に広げられ(広げた!)企業の使用者に安全な労働環境づくりの責務を課し、1972年に労働基準法から分離した労働安全衛生法の主柱となっている。

パワハラや過重労働(これはいつもワンセットだ!)で自死される労働者は今も後を絶たない。私は「NPO愛知働く者の健康センター」で20年あまりボランテイアを続けてきたが安倍政権の労働法制改悪によって過労死は見えにくくなってきているが減りそうにはない。こういう文脈でみれば池田裁判は一自衛官にとどまらず全ての労働者の安全にかかわるとても大事な意義をもっている。

すこし脇道に逸れるが裁判支援運動の経緯についてふれておきたい。池田さんは2012年9月、国に損害賠償を求め名古屋地裁に提訴しました。同年12月、第1回口頭弁論前に旧知の弁護士から支援組織づくりを依頼されました。支援者を増やし、法定傍聴呼びかけを広げながら翌年8月に「世話人会」を当該の辯護士とともに立ち上げ支援する会発足につなげました。

裁判を憲法擁護、戦争反対などに短絡させず人権を守る闘いとして位置付け、自衛官の闘いで勝ち取った「安全配慮義務(1975年最高裁判決)」を生かすなどを決め、私が共同代表につきました。その後、支援要請オルグ、入会呼びかけなど活動を広げていきました。支援する会世話人会(役員会)の議事録は2015年4月の第18回(2015・4)まで手許に残っています。この間、東海合同労組(坂野委員長)から池田さんに対する働きかけがあって最終的には池田さんは労組のバックアップを受けて彼らが主導する裁判に移っていきました。この経過は私たちの支援する会メンバーにすべて伝え判断をゆだねました。会員はほとんど退会しました。私は裁判の意義を重んじて役員有志による運動はその後も継続してきました。東海合同労組の坂野委員長、小林書記長とは連絡を取って裁判支援の共同活動を行ってきました。私どもは傍聴席を埋めることに力を入れてきました。

この間、池田さんは権力の仕組んだ策略に囚われて二度ほど逮捕され、収監される事態もありました。「権力」の恥も外聞もない行為だと思っています。支援する会として裁判毎に防衛庁の東海防衛支局に出向いて公平裁判申し入れを続けてきました。自衛隊中部情報保全隊小牧情報保全派遣隊一等空尉から「池田さんを調べています」という手紙と名刺が郵送されたり、同隊の「三等空佐ΟΟ氏に気をつけてください」という別便が届いたりしました。このような経過はありましたが、東海合同労組が果敢に取り組んできたことは評価しています。

自衛艦がホルムズ海峡周辺のひろい海域で警戒・監視活動を始めました。この地域はアメリカの狡猾な介入によって民族間の友好が粉々に砕かれ、戦争の火種が埋め込まれて何時火がついてもおかしくありません。

2004年2月、自衛隊イラク派遣違憲裁判が名古屋地裁に提訴されました。(会代表、池住佳憲さん)第一次提訴1262人、第2次提訴1101人、合計2363人の原告による裁判が始まりました。その後も第3次にと、全国から参加される方が後を絶ちませんでした。「差止NEWS(さしどめニュース)」は2004年5月の1号から2009年3月、21号まで充実した臨場感のある編集で裁判の進行を伝え続けました。歴史的な資料集です。2008年4月17日、名古屋高等裁判所(青山裁判長)は「現在イラクにて行われている航空自衛隊の空輸活動は、(中略)武力行使を禁止したイラク特措法2条2項、活動地域を非戦闘地域に限定した同条3号に違反し、かつ、憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる」と判じました。「政府と同じ憲法解釈に立ち、イラク特措法を合憲とした場合」であったとしても、空自がイラクで行っている空輸活動は憲法違反、法律違反であると断罪しました。(ニュース19号)

池田裁判をこのような時代背景と文脈の中で押さえておくことが大事だと思います。

東海合同労組のかたがたとお付き合いも長くなり今は「関西生コン労組弾圧を許さない東海の会」でともに活動しています。最近、池田さんが資格を生かして仕事を始めたと聞き喜んでいます。長い間、怪我に苦しんでこられたことを思うと仕事をつづけながら普通の労働者として暮らしていかれるよう心から願っています。 以上 (2020年6月)

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コロナ危機情勢下の内乱と革命情勢

滝山

人類が初めて直面している新型コロナ危機下、新自由主義攻撃を最先頭で推進し、搾取と収奪、格差と貧困、差別と分断を極限にまで世界で拡大してきたアメリカ帝国主義の足元で新自由主義への怒りが、激しく、広く、深く爆発している。これらへの怒りと歴史的にも根深い人種差別と人権剥奪への怒りがコロナ危機と結びつき、一気に、全社会的に爆発している。
黒人虐殺事件を導火線に全世界で爆発しているBLM運動(黒人の命を奪うな!)は、確実に米軍兵士内にも拡大し、その力は米国防総省やトランプをも無視できないところに追いこんでいる。
ワシントン州シアトルでは住民や抗議デモ参加者により自治区宣言が発せられた。しかもアメリカという「民主主義の先頭を走る国家」で起きているという事態そのものが、内乱であり、革命情勢である。トランプが軍隊による鎮圧を強行すれば、労働者民衆の怒りはさらに燃え広がり、米軍内の反乱に発展するのは確実である。トランプと一握りの支配階級はその「現実」の前に震え上がったということだ。
日本でも安倍政権の改憲と戦争国家化を阻止し、支配階級の思惑を破綻させている。その端的な現れがイージス・アショア配備のNSC(国家安全保障会議)の撤回決定だ。安倍政権に配備を断念させ、撤回にまで追い込んだ実力は、配備反対運動と住民の非和解で粘り強い闘いの貫徹である。闘いの形態は異なるが、本質的には、BLMなどアメリカの労働者民衆の粘り強い闘いと同様であるといっても過言ではない。粘り強い、非和解の実力闘争が貫徹された結果である。配備撤回に追い込んだ闘いは、それは同時に日帝・安倍政権の対中・対北戦争を射程に入れた日米一体のMD(BMD)戦略や、改憲と戦争国家化の攻撃(安倍戦略構想)を根底で粉砕しているといえる。河野のブースター問題の釈明は安倍政権の破綻を塗り隠すものでしかなかろう。

米中戦争を見据えた米海兵隊の再編戦略

一方、新型コロナウイルスの感染拡大が米軍の「動的戦力運用(DFE)」の本格運用を危機にさらしている。DFEは18年米国防総省が公表し、国家防衛戦略に盛り込まれた米帝トランプ政権の戦略である。対中(露)戦争を見据えた「長期的かつ戦略的な競争」に臨むとされ、国内外の固定化された部隊配備を見直し、「予測不可能な形」での部隊運用を目指す。敵対勢力に米軍動向の予測を困難にさせ、有利な状況を作り出す目的が明示されている。核心は敵のミサイルと戦略爆撃機の攻撃や宇宙・サイバー攻撃を回避し、先制的に敵基地を戦術核で攻撃するという戦略である。04年以来グアムに配備していた戦略爆撃機も米本土から運用する戦術に転換した(4月)。航空機に関してはドローンや無人航空機を倍増し、航空部隊は減らす。戦車大隊も削減する。
ポイントは「海兵沿岸連隊(MLR)」の創設である。MLRは沿岸や離島での戦闘に特化した部隊。1800~2000人ほどの規模を予定し、連隊は3部隊からなる。MLRの車両は機動性が高いJLTV軽戦術車や水陸両用車が配備され、他に巡航ミサイルを搭載した高機動砲兵ロケットシステムやロケット砲を搭載した無人車両も配備される。自衛隊の南西諸島への配備と一体で中国軍を第一列島線内に封じ込めんとする部隊だ。だが米軍は、空母ルーズベルトの乗組員4860人の6割に新型コロナの抗体が確認されているように機能停止の壊滅状態。
安倍は敵基地先制攻撃力の「保有は憲法の範囲内」と言明し、21年9月までの改憲を押し出している。コロナ危機に乗じた日帝独自の「国家戦略」の見直しである。見直しの核心は、「敵基地攻撃能力の構築」と「戦術核武装化」である。労働者民衆と兵士の団結と実力で阻止しよう!
労働者自己解放の事業は、労働者自身の行動で実現できる!