会報 第54号

Rise 第54号 2020年05月10日発行 Rise54号.PDF

コロナ感染で隊内反乱 艦長(大佐)が決起!

(写真 米空母「セオドア・ルーズベルト」(乗組員 4860人)で、955人が新型コロナ感染(4/27現在)。 クロジャー艦長は3月末、米軍幹部に宛てた4ページの文書で、艦内で加速度的に感染が広がっていると指摘し、「我々は戦争中ではなく、兵士らが死ぬ必要はない」として、大多数の乗組員を下船させて隔離する「断固たる行動が必要だ」と訴え、解任された。
 米空母「ロナルド・レーガン」でも感染が拡大しているといわれている。)

イラク派遣で負傷 池田自衛隊裁判・控訴審支援を!

命と生活を守ろう!

兵士の団結で胎内暴力といじめをなくそう!

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コロナ情勢に立ち向かい、労働者・兵士の団結で命と生活を守ろう!

東京西部ユニオン(元自衛官)杉橋幸雄

未知のウイルスが突きつけているもの

「世界のサプライチェーンの中核」中国に端を発した新型コロナウイルスの感染が全世界に広がり、4月29日現在、感染者数は312万人を超え、死者は21万人を超えて増えつづけています。中国・武漢の封鎖は既に解除され、韓国や台湾は落ち着きを取り戻しつつあり、医療崩壊を起こしたヨーロッパやアメリカも「感染拡大のピークは越えた」と言われていますが、油断はできません。米・トランプ大統領は「経済再開」を叫び、支持者らを煽っています。絶対に許されないことです。しかも感染は、アフリカ大陸や難民キャンプ、南アメリカ・アマゾン原住民などにも広がっています。日本は医療崩壊の真っただ中であり、リーマンショックを遥かに超える世界大恐慌が激しく始まっています。ただならぬ事態です。
資本も生き残りに必死であり、あらゆるしわ寄せが労働者民衆に押し付けられ、軍隊をも巻き込んだ「命か金儲けか」をめぐる激しい攻防戦が、労働組合を先頭にして世界各地で闘われています。長期戦になると思います。覚悟を決め、古い価値観をぶち壊し、社会を根本から変えていく、その為にこそ団結しましょう!

生き抜くために団結し、安倍政権を倒そう!

コロナの前から独法化・民営化・非正規職化が押し進められ、医療崩壊は既に始まっていたのです。しかも、「五輪優先」でPCR検査を阻んできたのは安倍政権です。4月7日の「緊急事態宣言」は、その責任を居直る許しがたい攻撃です。全国で怒りが大爆発し、追い詰められた安倍政権は4月16日、「緊急事態宣言」を全国に拡大しました。それは、全国の怒りを押さえつけ、政権危機を乗り切ろうとする「緊急事態条項」先取りの攻撃です。絶対に許せません!
そもそも、諸外国と比べ日本の感染症医療体制の脆弱さを見れば、「起こり得る最悪の事態は」予測できた筈です。しかし、安倍政権は「五輪優先」で早期の感染対策・経済対策を怠り、自らの失政のツケを非正規労働者や中小事業者、地方自治体に押し付けた。その責任は絶対に免れないし、責任を取らせなければなりません!
巷には巨大な怒りと不安・ストレスが渦巻いており、延命を策す安倍政権や資本と労働者民衆との闘いは、地方自治体をも巻き込んだ生き残りを賭けた激しい闘いに発展しつつあります。命と生活を守るために労働組合に団結し、現場で苦闘する労働者民衆こそが安倍政権にとって代わる。このことが切実に求められています。その決定的武器こそ動労千葉が闘い取ってきた「安全運転保安闘争路線」と「国際連帯」の地平だと思います。団結こそ力です。

(写真 ダイヤモンド・プリンセス号に派遣された自衛隊(NHK「クルーズ船 自衛隊は何をした?」より)

働く仲間を守り、医療体制の拡充と生活補償を!

感染拡大が止まりません。人手不足・病床不足・医療物資不足の下で疲弊する医療労働者を守り、命を守るための検査・治療体制の拡充・実施は待ったなしです。
感染経路不明者も無症状の感染者も増えており、一般患者か感染者なのかの見分けは困難で、院内感染や外来受け入れ拒否も相次ぎ、陽性患者が自宅療養を強いられるケースも発生しています。
追い詰められた政府・東京都は、軽症・無症状感染者を新たな隔離施設へ異動させ、「接触8割減を!」と叫んでいますが、「休業補償」も「生活補償」もこれからです。
4月下旬、ようやく新たなPCR検査所での検査が各地で始まり、軽症・無症状感染者の隔離施設の拡充も始まっています。しかし、現場からは「人手不足・医療物資不足。現場の負担を減らして!」との切実な声が上がっており、検査を求める患者も急増しています。現場で闘う労働組合の役割は実に決定的です。
医療現場に限らず、人手不足の介護現場も尋常ではありません。しかも、マスクや消毒液不足も未だ解消していません。PCR検査への保険適用も、国家予算を投じた休業補償・生活補償もあまりに当然であり、もっと予算を拡充し、早急に実施すべきです。特に、仕事を失った非正規労働者やフリーランスに対する現金給付は急務です。
現場からは「自粛要請は補償とセットでなければ意味が無い!」「対応が遅すぎる!」と全国で怒りが大爆発です。追い詰められた安倍政権は、「一世帯30万円給付」を「全国一律、一人10万円給付」に転換し、「地方創生臨時交付金」の使用条件緩和に追い込まれ、他方で「雇用調整助成金を拡充する」としていますが、現場からは「会社から自宅待機を言われたが、休業補償が無い」と労働相談が上がっています。冗談ではなく「黙っていたら殺される」事態です。労働組合に団結し、声を上げていきましょう!

(写真 ダイヤモンド・プリンセス号で防護服を装着する自衛隊員(NHK「クルーズ船 自衛隊は何をした?」より)

戦争やめろ!命を守るために団結しよう!

報道によれば、米原子力空母セオドア・ルーズベルトや原子力空母ロナルド・レーガンでも複数の乗組員が感染したと報じられ、米国防総省は3月25日、海外での米軍の移動を60日間停止すると発表。韓国やフィリピンとの合同軍事演習も延期や中止に追い込まれています。ニューヨーク州などの医療現場には米軍の医療専門部隊が動員されています。また、フランス海軍空母シャルル・ドゴールでも感染者が発生し、乗組員全員に検査が実施されました。
コロナ感染は自衛隊も例外ではありません。ダイヤモンド・プリンセス号での感染抑止対策に自衛隊の対特殊武器衛生隊を中心に述べ2700人の自衛官が動員され、軽症・無症状感染者の隔離施設への移動補助や配膳作業にも自衛官が動員されています。戦争をしている場合ではありません。自衛官と家族のみなさん!置かれている状況は一緒です。こうした緊急事態の中で、元三等空曹:池田さんの国賠控訴審闘争は自衛官の命を守る闘いでもあります。その闘いは、ますます重要性を増しています。命を守るためにこそ団結しましょう!
労働相談も増えており、闘う労働組合こそが求められています。 安倍政権の「緊急事態宣言」を許さず、関西生コン労組に対する許しがたい弾圧を打ち砕き、改憲狙う安倍政権を労働者・兵士の団結で今こそ打倒しましよう!
健康に留意し、命と生活を守るために団結を強化し、誰もが人間らしく生きられる新しい社会をめざして、断固闘っていきましょう!

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天があたえてくれた最後のチャンス

動労千葉執行委員 佐藤正和

ライズ読者の皆さん、お久しぶりです。ライズ編集部から「木更津支部長への許せない攻撃、そして中労委の却下、関西生コン支部への不当極まりない弾圧など、絶対に許せない資本・国家権力の攻撃が激化していますが、これらと対決し打ち破る『路線と心意気』・・」という原稿の依頼を受けました。こたえることができるかどうかわかりませんが、仲間の力をかりて、今の自分の思いを書いてみます。

これが、「路線と心意気」

動労千葉は3月13日から15日まで、木更津・花崎支部長への減給・強制出向処分撤回、ジョブローテション反対等を掲げ、20春闘ストライキを貫徹しました。花崎支部長への強制出向は、職場内での些細なトラブルという処分にもならない問題を取り上げ、しかも退職まで1年という中で、「本人のステップアップ」と称して職場から排除するという、組織拡大闘争の先頭に立つ木更津支部、動労千葉への組織破壊攻撃として行われました。絶対に許すことはできません。
当該の花崎支部長は、「俺が木更津運輸区にいるのが邪魔だから出したって、あからさまに言っているようなもんだよね。ストライキをやって電車を止めて今の職場や社会の現状を変える。それを自分がハンドルを持ってできなくなるというのは、やっぱり悔しい」と、そして、「みんな動労千葉に結集してくれと言いたい。動労千葉は労働運動の王道を行って道を開いてきた。もちろん大変なこともあった。だけど、それで屈しない。自分たちが闘って道をひらく。扉っていうのはそうやって開くものだ。それが労働組合の本当の姿だし、労働者としての考え方だと思う・・世の中を変える、自分の生活を変える。自分自身を変えるきっかけが、動労千葉だ。絶対に道は切り開ける。声を大にして言いたい。すべての仲間は動労千葉に結集してほしい」と、不当な処分と配転攻撃に屈せず、みんなを鼓舞激励しています。

動労千葉魂の体現者

これが「路線と心意気」です。彼は、国鉄分割・民営化阻止の1985年11月の第1波ストライキの時、スト破りを拒否して国労から動労千葉に結集しました。それから35年たつ今も、動労千葉魂を体現している男の一人です。
自分は、こうした労働者を生み出した動労千葉という労働組合、その組合員であることに、ものすごく誇りを感じました。
もう一人が、幕張支部の山田支部長です。自分の3つ上の先輩で、いつも怒られています。「子や孫の世代に、非正規職だけの社会を残してはならない」と、新自由主義の核心的攻撃である、外注化と最先頭で闘い、現在の動労千葉の屋台骨を作ってきた人です。
その山田支部長が田中顧問に現在のコロナ情勢をとらえて、「天が与えてくれた最後のチャンスではないか」と、語ったそうです。もう、自分があれこれ言う必要はありません。深く胸に刻み、実践あるのみです。新型コロナの感染拡大は、パンドラの箱をあけたように、新自由主義の闇をあきらかにしました。世界中で、労働者が壮大な決起を開始しています。時代は変わる。この情勢に主体者として、今まで生きてきたことをかけて、この危機を「世の中を変える、自分自身を変える」好機としたいと思います。

中労委の暴挙について

国鉄1047名解雇撤回をめぐる中央労働委員会闘争において3月18日、中労委は驚くべきことに一回の調査さえ行わず、一切の連絡さえなく、突然に却下・棄却の命令を送りつけてきました。
調査も開かず、労働者の言い分を聞こうとさえしないーこれが「労働者の救済機関」であり、「労働者の団結権擁護」を使命とする労働委員会の姿でしょうか? 労働委員会制度の根幹を揺るがす暴挙です。30年を超える国鉄解雇撤回の闘いは、国家的不当労働行為の真実を完全に暴きだしました。JR不採用とした基準そのものが不当労働行為だったと最高裁に認めさせ、その基準の策定を斎藤英四郎JR設立委員長が指示し、設立委員会として正式に決定したことも突き止めました。国鉄改革法23条第5項では、「設立委員会が行った行為はJRの行為」と規定されています。中労委は国家的不当労働行為の真実に触れた途端、解雇撤回を認めざるをえなくなることを恐れ、事実調べ以前の調査さえ拒否してまで、真実を隠蔽しようとしています。

労働者の権利と未来かけ

安倍政権のもう一つの改憲攻撃である「働き方改革」は、JRと関西生コン支部弾圧に見られる「労組なき社会」の労働委員会版です。集団的労使関係を基本とし、曲がりなりにも労働者の団結権を擁護してきたあり方を、根本から解体する攻撃です。多くの労働者の知らぬところで、尋常ならざることが起きているのです。
これに対する闘いに労働者の権利と未来がかかっています。労働者の権利を根底からくつがえすこの攻撃に警鐘を乱打し、国鉄1047名解雇撤回闘争に、あらためて全力で決起しなければなりません。いうまでもなく、国鉄分割・民営化は戦後最大の労働運動解体攻撃でした。そして、社会の力関係、資本家階級と労働者階級の力関係が大きく転換され、2千万人を超える膨大な非正規職労働者が生み出される出発点となりました。動労千葉は、国鉄分割・民営化と闘ってきた者の責任にかけて、労働者の権利と未来をかけたこの闘いに全力で決起し、闘い抜く決意です。
最後に、ライズ読者のみなさんへ。「闘うことはけっこう楽しいものだ、朗らかに闘おう!」、6・7国鉄集会であえるといいですね。では、また。 了

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新型コロナウイルスと軍隊

滝山

新型コロナ情勢下 開始された兵士の反乱

軍隊は新型コロナウイルスに脆弱な組織である。軍隊組織としての「集団性」、戦闘部隊としての「密集性」、狭い営内生活(特に空母や潜水艦)での「密閉性」という軍隊組織の基本形態が脆弱性に転化している。だが、この脆弱性を24時間・365日維持し、再生産しなければならないのが軍隊という組織だ。感染拡大を阻止するには、軍隊としての活動や訓練、異動、出張、家族も含む移動などの全行動を停止し、全兵士を個々に分散するしかないのである。これは軍隊しての「機能停止」=「軍隊としての死」を意味するが、「兵士の命」は、「軍隊の死(解体)」と交換する以外に守る事は出来ないのである。仮に兵士を分散・隔離したとしても軍隊組織そのものが社会とつながっている以上、隊内への感染を阻止することは、所詮、不可能である。軍隊での感染拡大は「軍隊の死」に至るだけではない。隊内感染が拡大すれば、兵士の反乱へと必ず、発展する。
それはすでに始まっている。米原子力空母「セオドア・ルーズベルトは3月24日フィリピン沖での展開中に兵士3人の感染が判明した。4月2日の時事通信は艦内感染が150人から200人に達したという情報を報道した。4月27日の時点で乗組員4860人のうち、955人の艦内感染が判明している。米海軍は13日、感染した兵士1人の死亡を発表した。艦内死者は初めてだ。
時事通信の情報源は3月31日、空母ルーズベルトのクロジャー艦長(大佐)が米国防総省と多方面に発した電子メールである。
クロジャー艦長は、「空間は元来、制限されている」「感染拡大は進行、加速している」「断固たる行動をとる必要がある」「いま行動を起こさなければ、兵士という最も信頼できる資産を守れない」「われわれは交戦中ではない。水兵らは死ぬ必要はない」「配備された原子力空母の兵員の大半を下船させ、2週間隔離することは異常な措置にみえるかもしれない」だが「これは必要なリスク」だとして全兵士の下船と隔離・治療支援という艦長として当然な要求を発したのである。他方、米原子力空母「ドナルド・レーガン」はメンテナンス期間中で横須賀に停泊中であり、軍事展開できないうえに空母レーガンの兵士も感染している。これとは別に横須賀基地の海軍兵士の感染も判明していた。
空母ルーズベルトの兵士の大半が下船すれば、コロナ情勢という不安定情勢下でインド太平洋軍配属の艦隊機能が制御不能に陥るだけではない。米帝・トランプはインド太平洋軍の軍事力そのものが停止する危機に直面する。
31日、アクイリノ太平洋艦隊司令官は、「ルーズベルトが常時出動できる態勢を維持することが重要だ」と、艦長の要求を拒否し、4月2日、米国防総省はクロジャー艦長を解任する攻撃にでた。空母ルーズベルトの全兵士は艦長解任に怒りの抗議を態度で表明している。艦長解任を主導し、艦長の要求を「ばか過ぎる」(ママ)と一蹴したモドリー海軍長官代行への兵士や議会の批判が高まり、モドリーは辞任に叩き込まれた。下級兵士、士官だけではなく佐官クラスや将官の決起・反乱が不可避な情勢だ。 自衛隊でも熊本・秋田駐屯地の陸自隊員、統幕監部所属の海自幹部などが感染し、拡大は始まっているが、米軍・自衛隊ともに感染状況は軍事機密扱いである。

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解任されても…乗組員は拍手喝采

『・・・・ だが、艦内の受け止めは違ったようだ。3日には、解任されて空母を下船するクロジャー氏に向けて、何百人もの乗組員が「クロジャー艦長! クロジャー艦長!」と連呼しながら拍手喝采を送る動画がツイッターなどに投稿された。自らの立場よりも、乗組員の安全を重視した姿勢に感謝を示したとみられる。米メディアによると、クロジャー氏自身も感染が確認されたという。』(4・8朝日)

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(写真 4・13、新型コロナ感染で米原子力空母セオドア・ルーズベルトの乗組員が死亡。艦内での死者は初めてだ!4・27現在、クロジャー大佐を含む955名の乗組員の感染が判明している。)

スペイン風邪と米軍

全世界で推定 2500万人、最近の研究では4500万~4800万人が死亡したスペイン風邪の第一波は、第1次世界大戦中の1918年3月初めに米カンザス州のファンストン陸軍基地から始まったとみられる。4月米帝は、欧州に大規模な米軍を送りこんだ。基地からヨーロッパ西部に到着した米軍兵士らがウイルスを運んだと考えられており、7月にはポーランドにまで感染拡大し、米軍によって世界中にばらまかれた。収束するまでに3年。致死率を高めた第2波と第3波による死者の約半数が20~40代。新型コロナとの闘いは続く。労働者・兵士は命を守り、生きるための全要求を国家と資本に突きつけよう!拒否するような資本・国家は打倒しよう!

(写真 病棟で治療を受けるスペイン風邪に罹患したファンストン陸軍基地(カンザス州)の兵士)

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国は約束を守らない!

控訴審で自衛隊のウソを暴きます!

元三等空曹 池田頼将

 自衛隊イラク派兵の任務で負傷し、その後、自衛隊からパワハラ・退職強要を受け、国家賠償裁判の控訴審を闘っている元自衛官の池田頼将です。

昨年11月26日、名古屋地裁での判決には驚きました。「事故にあって重大な影響が出て大変ですね、でも国にはなんの責任もありませんから。裁判費用は払いなさい。」というものです。7年待ってこの判決ですか。
2006年の事故ですが、その後の自衛隊の対応に問題がなければ、これほど長期に苦しむこともなかったと思います。どんなきつい任務でも自衛隊員は、上官の命には逆らえず、表立って不満も言えません。怪我をしても我慢というかいい顔をする。そういう都合のいい写真や同僚の証言を裁判で
は出してきました。しかし、全部本当のことを隠蔽するためのものです。仕事もできず、寝ることも、食べることも苦痛でした。また自衛隊の設備も不十分だったため、顎の損傷についてのちのちまで大きな影響が残ることになった原因を突き止めることができなかったということが真実です。

新潟救難隊で私が後輩から暴行を受けながら、通信班をはずされてしまったこともそうです。いじめで有名な班に飛ばされて、重たい荷物を運ばされたり、日中一人で草むしりまでさせられます。ここでも、「みんな池田さんのためにしたこと」だとか「希望していたこと」のように自衛隊の嘘を認める判決でした。
もともと、私が派遣されたイラク復興支援が大きな嘘でした。当時小泉政権は「非戦闘地域」での「復興支援」だから大丈夫だと言っていました。大丈夫というのは憲法違反ではない、侵略戦争への派兵ではないということです。また、自衛隊員に犠牲者を出さないということでもあったかと思います。しかし、サマワに基地をおいた陸上自衛隊も、隣のクウェートに基地をおいた航空自衛隊も、米軍と一緒に攻撃される状態になっていたのです。実際私自身も、宿舎地域での地雷の爆発などを経験しています。

真実を隠して自衛官や労働者に「国のための犠牲になれ」という社会は間違っていることを学んできました。どの国も「国益のための戦争」を正当化しようとしますが、そこにあるのは労働者や民衆の利益とはかけはなれたものです。そのため、イラク戦争やアフガニスタンでの戦争に動員されたアメリカの兵士が今なお多くの自殺者を出しつづけ、苦しんでいます。日本の自衛隊員や家族の気持ちも同じです。私たちの犠牲が、「愛国心」の名の下に義務化されることはあってはならないと思います。
裁判への傍聴とカンパありがとうございます。そして控訴審へのご支援をお願いします。

【お知らせ】

名古屋高裁からの連絡で、5月12日開廷予定の池田さん原告の自衛隊国家賠償裁判が延期となりました。
弁護団からは7月2日・7日・8日を提示していますが、高裁から返事がありません。期日が確定した段階で「闘う会」HPでお知らせ致しますので、傍聴をお願いします。
《池田裁判をともに闘う会》

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池田裁判闘争に絶対勝利しよう

池田裁判をともに闘う会・会員D

新型コロナウィルス感染症者が世界で312万人(日本で1万3千人)を突破し増え続けています(4月29日現在)。実際は既にこの10倍~12倍の人が感染していると推定されています。
今から100年前の1918年~1921年のインフルエンザ「スペイン風邪」は、世界の1/3の人々が感染し5000万人以上の死者を出したと推定されています。革命と内戦(と感染症対策)を戦っていたボルシェビキの中にも「スペイン風邪」に罹る人が当然出て、中心的活動家であったスベルドロフは33歳の若さで亡くなっています。
当時7万3千人の兵士を動員し米英など他の列強が撤退してもなお、シベリア出兵を継続していた日本において、1918年と19年に「スペイン風邪」が2度猛威をふるい38万人の人々が亡くなっています。また日本軍は革命ロシアの労働者と日本の労働者の闘い(米騒動とストライキ、共産党の創立)によって敗北しシベリアから撤退しています。
そして現在、100年前と同じように、戦争と貧困と医療崩壊を引き起こし感染症を蔓延させた張本人どもが、「緊急事態だ」「自粛だ」とのたまい、労働者人民の感染拡大を阻止し生き抜くための闘いを妨害し、戦争拡大と体制延命に突進しています。
しかしながら今、「休ませろ」「100%の賃金補償を」「安倍やめろ」の「革命」の要求が、全労働者階級民衆の要求になろうとしていますし、ならざるを得ません。米核空母「セオドア・ルーズベルト」号の艦長は、米国防総省と対決し乗組員を退艦させる闘いをやりぬいています。軍隊反乱の気分が兵士の中に溢れてきているのではないでしょうか。皆さん、安倍やコロナに負けず、老いも若きも生き抜いて、革命をやりぬきましょう。

 前置きが長すぎましたが、池田三曹の闘いです。今回は、池田さん自身のアピールもあるので、私は池田さんの怒りと闘いが根源的なものであると感じている点を述べたいと思います。
私は、名古屋地裁の裁判を傍聴して強烈な印象を受けました。それは国側の反対尋問に対する池田さんの回答の時でした。国側は新潟救難隊の木戸司令(前)と池田さんの関係について、メールを示しながら「『雲の上の人』というのは事実ではないでしょう」と卑劣に迫って来たのです。しかし池田さんは怒りこめて、軍隊の階級関係は絶対的なものだと国側の卑劣な落し込め策動を粉砕したのです。
池田さんは新潟救難隊(鮫田指令)の中で、何回も存在自体を抹殺させられるようなパワハラ攻撃を受けています。クルー長にも選任され「信頼できる隊員」とされてきた池田さんを公務災害療養期間が長引いているとの理由だけで一転して「問題隊員」扱いしたこと。通信班内で暴行(実質的集団暴行だ)を加えて通信班から追い出したこと。暴行事件の被害者である池田さんを鮫田指令や副指令、人事部、庶務部の責任者を含む基地幹部7人で事情聴取を行い暴行事件自体の抹殺をはかったこと。この事情聴取の時に鮫田指令は主張を曲げない池田さんに対して「お前を自衛隊にいられなくしてやる」と脅迫しています。池田さんはまさに「雲の上の人達」の集団脅迫にも屈せず、警務隊に暴行事件を訴え出て、自らの生存と権利をぎりぎりの地点で守り抜きました。池田さんは諦めてしまっても「当然」のような状態の中で「奇跡」のような闘いに何回も決起してきているのです。
池田さんの本物の怒りと本物の闘いに連帯しともに怒り、ともに闘い勝利しましょう。