会報 第53号

Rise 第53号 2020年03月10日発行 Rise0053.PDF

自衛隊の中東派兵に反対です!
木更津へのオスプレイ配備反対!
労働者の団結で新型肺炎をのりこえよう!
池田自衛隊裁判控訴審勝利へ

(写真  2・2護衛艦「たかなみ」派遣への抗議行動(横須賀ヴェルニー公園と海上から))

腐りきった安倍・自民党を今こそ打倒しよう!

労働者・兵士の階級的団結こそが命を守る!

東京西部ユニオン(元自衛官)杉橋幸雄

人間が人間らしく生きられる世界を創造していきましょう

 感染抑止の医療対策が追いつかず、「水際対策」に失敗した安倍政権は、2月25日、ようやくにして「新型コロナウイルス対策の基本方針」を発表した。
 「私たちは絶滅を前にしている。なのに、あなた方はお金と永遠の経済成長という『おとぎ話』を語っている。よくもそんなことが!」(19年9月、国連、グレタ・トゥーンベリさん)。ー私たちは、改めて彼女の必死の糾弾をしっかりと受け止めなければならないと思います。
 帝国主義にもスターリン主義にも未来はありません!新たに決起し始めた世界の青年達と共に、環境破壊・戦争破壊を食い止め、人間が人間らしく生きられる世界を、国境を越えた労働者階級の団結した力で創造していくべき歴史的転換点に起っていると思います。

核戦争の衝動強める没落米帝

 没落するアメリカ・トランプ政権は一昨年、イラン核合意から一方的に離脱し、今年1月早々、イランのソレイマニ司令官を殺害するという激しい戦争挑発を強行し、中東における核戦争の衝動を強めています。19年6月、米統合参謀本部が発表した「核作戦」という文書によれば、中央アジアと中東地域を担当する地域統合軍の作戦計画の中に戦術核兵器を組み込むということが具体的に検討され、「核兵器の使用は戦闘の展望を根本的に変え、紛争でいかにして敵を圧倒するかに影響する諸条件を作り出す」「核爆発後の放射線環境の中でいかに作戦を行うかが統合軍が直面する最大課題」だと言い切っています。これに続く8月、米帝は中距離核戦力(INF)全廃条約を失効させ、直後に地上発射型巡航ミサイルの発射実験を行い、今年2月には小型核弾頭搭載の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を実戦配備し、沖縄・本土への中距離核ミサイルの配備も計画中とのこと。核先制攻撃も辞さないという構えです。

安倍政権の自衛隊中東派兵は侵略戦争への決定的踏み込み

 そうした最中、安倍政権は全国の反対の声を押し切り、当該自衛官や家族の心配をも押し切って、国会審議もせず、世界で最も軍事的緊張の激しい中東海域に自衛隊(P3C,護衛艦)を派遣しました。絶対に許せないことです。
 政府が言う「調査・研究」は建前にすぎず、状況次第でいつでも自衛隊法に基づく「海上警備行動」へと切り替えることも明言しています。問題はこれにとどまらず、場合によっては15年成立の安保戦争法に基づき、米軍などの他国軍と共同作戦に自衛隊が武器をとって加わる事態すら起こり得るのです。この中東派兵は、これまでの安保政策をも逸脱する侵略戦争への決定的踏込であり、憲法違反にほかなりません。直ちに撤退すべきです。
 政府は「有志連合には加わらない」としていますが、バーレーンにある米中央海軍司令部に幹部自衛官を連絡員として派遣し、情報を共有すると言われており、ある幹部自衛官は「実情は(有志連合に)参加しているようなもの」「そもそも何者が相手になるかわからない任務でもあり、短期間で万全の準備は不可能」と漏らしています。そもそも、戦争を強引に挑発しているのはアメリカ・トランプではないのか!それに与しているのが安倍政権ではないのか!その矢面に立たされているのが現場自衛官なのだ!

大恐慌の激化と日本経済の崩壊

 さらに、「国際的なサプライチェーンの中核」「世界の工場」と言われる中国での新型コロナウイルスの感染者は7万人を超えて世界に広がり、中国では感染対策にあたっていた医師までも死亡し、死者は2200人を超えています。日本ではダイヤモンド・プリンセス号での「水際対策」の失敗が世界から厳しく批判される中、感染が全国各地に広がり、感染経路も不明瞭なまま、ついに死者もでてしまいました。街のクリニックでは新型コロナウイルスのウイルス検査ができず、患者の検査希望を断るケースが相次ぎ、各地でのイベントの中止やホテル・旅館のキャンセル、学校の臨時休校なども相次いでいます。大手企業は「テレワーク」を推奨していますが、それで済む労働現場ばかりではありません!
 また、消費増税強行のあおりで19年10~12月期の実質GDPは前期比1.6%減、年率換算で6.3%の大幅マイナスとなり、東日本大震災の時(年率5.5%減)を越える規模です。これに新型コロナウイルス感染の影響が重なり20年1月~3月期のマイナス幅が更に膨らむのは必至です。事実、2月7日、日本製鉄が20年3月期の連結最終損益が4400億円の大赤字の見通しを発表し、同時に、呉製鉄所(広島県呉市)は高炉の休止から閉鎖することが明らかとなり、和歌山製鉄所の高炉も2基のうち1基を休止することを発表しました。自動車業界も同様の事態であり「リーマンショックが起こった直後の09年以来の景気停滞に転じる恐れがある」とも言われています。給料など全然上がっていない労働者の生活破壊や地域経済破壊の規模は尋常ではないと思います。

戦場で殺し殺されるか、感染で殺されるか、職場で殺されるか!
改憲を狙う安倍政権を今こそ労働者民衆・兵士の団結で打倒しよう!

 「景気は緩やかに回復しつつある」等と嘘ぶいてきた安倍は、国会でも桜疑惑等でウソをつき、暴言をはき、黒川検事長の定年延長問題で居直り、原発再稼働を押しすすめ、辺野古新基地建設をゴリ押しし、「感染拡大の非常事態」をも利用して、あくまでも改憲を狙っています。とんでもないことです!
 当然にも安倍政権に対する怒りの声が全国で噴出し、支持率が急落してグラグラとなっています。しかし、体制を守ろうとすればするほど、どれだけ絶望的であろうと労働組合を解体し、労働者民衆・兵士を犠牲にして9条改憲で戦争のできる国へと大転換する以外に、資本主義・新自由主義の日本に延命の道はありません。
 問題は、あらゆるしわ寄せが現場労働者や現場自衛官に押し付けられているという現実です。「戦場で殺し殺されるか、感染で殺されるか、職場で殺されるか」こうした事がリアルに突きつけられています。「ふざけるな!あんな連中の為に殺されてたまるか!」という根底的怒りが全国で沸騰し爆発しつつあります。中東派兵を強行し、ウソと詭弁で延命を策し、あくまで改憲を狙う安倍政権を今こそ労働者民衆・兵士の団結で打倒すべき時です。池田元3等空曹の国賠控訴審の闘いも始まっています。国際連帯のもと関西生コン労組に対する許しがたい弾圧を打ち砕き、階級的労働運動、戦争・改憲阻止大行進運動を断固押し進めましょう!
 (※コロナウイルス関連の記述は、2月25日現在です)

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木更津市長はオスプレイ暫定配備容認を撤回せよ

動労千葉を支援する会・木更津

渡辺木更津市長の暫定配備容認は裏切りだ

 昨年12月25日、渡辺義邦木更津市長は防衛省に出向き、「暫定配備5年でどうでしょうか」と自ら進言し、陸自オスプレイの木更津駐屯地暫定配備を容認しました。「5年」は何の根拠もありません。防衛省にとって「努力する」というものでしかありません。
 そのわずか1か月前、渡辺市長は「暫定期間を示さなければ受け入れの判断はしかねる」(11月定例記者会意見)と表明していたのです。15回開かれた住民説明会ではすべての会場で「暫定は何年だ」「今でも騒音に悩まされている」と、周辺住民と全市の人々は怒りを表明していました。これに対して防衛省は「期間は申し上げられない」と一貫して回答を拒否していました。市長の受け入れ容認は、住民の意思を無視するとんでもない裏切りです。

陸自オスプレイの配備は宙に浮いている

 佐賀空港への配備は頓挫しています。防衛省は地元漁協や佐賀市との交渉は全く展望がありません。住民説明会で多かったのは「なぜ木更津駐屯地が最適なのか。他に候補地はないのか」という質問です。この質問に「ほかの候補地を挙げるのは防衛上問題がある」(防衛省)とふざけ切った対応です。滑走路や格納庫の状況など、グーグルマップを開けば誰でもわかります。
 「期間」を示せない防衛省にボールが投げられているのに、木更津市は「5年でどうか」と救いの手を差し伸べたのです。
陸上自衛隊オスプレイ17機の暫定配備がなぜ木更津駐屯地なのか。島嶼防衛を名目に佐世保・相浦駐屯地の「水陸起動団」を輸送するために、なぜ陸自オスプレイを1000キロ以上も離れた木更津駐屯地に置くのか?

改憲・戦争阻止大行進運動の柱にオスプレイ闘争を

 今年1月10日習志野駐屯地において、日米合同演習で降下訓練中の陸上自衛隊第1空挺団兵士が習志野高校の園庭に誤って降下しました。習志野第1空挺団は日本最強の部隊を誇り、毎年年初に「降下始め」というパラシュート降下訓練することを恒例としていました。それがこの数年、日米共同訓練として米軍が参加してきました。まさに日米の即応訓練です。
 1月12日津田沼駅頭のリレートークとデモが闘われました。参加した関東圏の反戦・反基地団体のみなさんは口々に「戦争が足元に迫っている」「一人の自衛隊員も死なせてはならない」と発言しました。横田基地と闘う人は「米空軍のオスプレイはハッチを開け、機関銃の銃口を下に向けて飛んでいる」と訴えました。もし陸自オスプレイが木更津駐屯地に配備されたら、間違いなく首都圏はオスプレイが飛び交い、共同訓練拠点になります。木更津駐屯地は戦争の出撃拠点になります。陸上自衛隊習志野第1空挺団と木更津第1ヘリコプター団は、発足以来、鹿野山周辺で共同訓練をしてきました。
 木更津駐屯地が沖縄海兵隊オスプレイの整備拠点であることを見れば、あらかじめ暫定配備は木更津ありきであったことは間違いありません。防衛省がオスプレイ17機を木更津に配備することは、防衛の範囲を逸脱し、日本を再び戦争する国にするものです。
この3月下旬にも部隊が発足されようとしています。絶対に撤回させましょう!。

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オスプレイの木更津配備と頭上に迫る危険

2・14オスプレイ学習会での頼 和太郎氏の講演より

オスプレイは敵前上陸のため

 2019年12月25日、木更津市長は、陸上自衛隊購入のオスプレイ17機の暫定受け入れを表明しました。「暫定期間とは?」「市民の安全な守れるような航空機なのか?」市長表明には根本的に問題点と認識の間違いがあります。 「なぜ木更津なのか?」ー具体的な回答はありません。「オスプレイの安全性は?」ー市長は「防衛省の説明に不合理な点はない」と言うのみです。

 当初自衛隊オスプレイは相浦の水陸機動団に近い佐賀空港に狙いをつけていましたが、佐賀空港建設当時の、佐賀県と漁協との間の公害防止協定覚書で自衛隊との共用を否定したいきさつと反対運動から、佐賀空港へのオスプレイ配備のめどが立たず、木更津を暫定使用するという動きになりました。
 「オスプレイ必要の根拠」として島嶼防衛ということが掲げられていますが、オスプレイの構造上の問題から島嶼の防衛には使えず、むしろ敵前上陸のためのものです。

(写真 米本土で訓練中の「日の丸オスプレイ」(海兵隊のホームページより))

オスプレイはオートローテーションが効かない

 木更津基地にかかわる危険性として、木更津は羽田への民間機の着陸経路にあたり、民間機の下を飛ばなくてはならず、より危険が増すことになります。場周経路の高度も、他の基地と比べて低く設定されています。
 しかしオスプレイはオートローテーションが効きません。オートローテーションが効かないオスプレイは、高度の低いところでの飛行は極めて危険なのです。防衛省の言う「オートローテーション」の実態は滑空であり、実際は滑走路のあるところにしか安全に降りれません。滑空率を2:1とすると、飛行高度の倍の距離に飛行場がなければ、安全に降りることができません。したがって、高度500メートル以下で有視界飛行するオスプレイは、木更津基地のフィールドから1㎞以内しか合法的に飛べないということになります。
 またオスプレイの飛行中に動力装置が故障して非常時の滑空をするシミュレーションをした場合、1トンの機体が時速130㎞で降りてくる(落ちてくる)のであり、無事な着陸は不可能です。
 航空法第81条(最低安全高度)で、航空機は国土交通省の定める高度以下の高度で飛行してはならないと定められており、自衛隊機であっても自衛隊法による適用除外は適用されず、最低安全高度を守らなければなりません。

オスプレイの構造的問題

①上記のようにオートローテーションが効かない
②氷結に弱い(そもそも重量と出力が合っていないので、条件が少しでも変化すると落ちる)
③「ヘリモード」でエンジンが真下を向き、まき上がったものすごい土埃が吸気口に入って墜落の危険性が増す
④プロペラの長さが短いので落ちやすい

 冒頭言いましたように、オスプレイ配備は離島防衛(島嶼防衛)のために必要だと言われていますが、そもそも離島に敵が来ることはありません。またオスプレイは離島防衛に何の役にもたちません。結局オスプレイは上陸作戦のためのものなのです。
 軍事での日米一体化の動きが強まっています。オスプレイの木更津基地暫定配備に反対していきましょう。

頼和太郎さん
リムピース編集長。1996年12月、米軍基地を抱える議員たちと「追跡!在日米軍リムピース」をたちあげた。
URL: www.rimpeace.or.jp

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新型コロナウイルス問題の本質は新自由主義の破綻

それをのりこえるのが労働運動・階級闘争

滝山

 新型コロナウイルス(COVID19・以下「新形肺炎」)の世界的感染・波及が帝国主義と中国スターリン主義の経済と政治体制を根底から揺がし、米中を軸とする戦後世界の崩壊を促進するものに転化している。新型肺炎は人類の英知でいずれ収束するであろうが、感染の拡大はこれからである。感染拡大の「山場はここ1~2週間」という安倍政権の見解は根拠がなく破綻する。。
 そもそも新型肺炎は1%の支配階級のみの利益を世界市場で貪りつくしてきた新自由主義・帝国主義と中国スターリン主義そのものが生み出したものである。医療システムの崩壊や社会の安全を無視・崩壊させてきた結果である。株やGDPの下落も必至だ。世界経済の不況・恐慌の深まりはこれから本格化する。労働者への解雇攻撃もすでに始まっている。
 中国国内では「有事対応」がとられ人民解放軍兵士が総動員されている。人民解放軍内部での感染拡大は必至で習近平を脅かしている。軍隊や監獄は集団生活を日常としている組織。しかも帝国主義軍隊(自衛隊)という組織の内部では、安全対策が無視され、真実も隠される。兵士や監獄・受刑者への感染の拡大が危惧される。
 世界は激変化している。そして激変は常に体制崩壊とその突破かけた「戦争か革命か」という時代に突き進む。今がその時代だ。そして戦争で犠牲になるのは常に労働者市民であることも歴史が示している。新型肺炎の感染者、犠牲者も弱者ら労働者に集中し、安倍政権の全国一斉休校という「知見なき政治的判断」で労働者の生活も破壊されている。そのような社会を変革するのが労働運動と革命運動だ。感染予防を強化しながら、今こそ労働運動の前進を!労働現場こそ新型肺炎と向き合い、生きるための戦場です。自衛隊員も隊内から労働者とともに闘おう。

感染の急速な世界的拡大

 感染状況についてみてみよう。昨年12月10日までの中国での感染例4人のうち最初の1人を含む3人の感染源が華南海鮮市場とみなされていた。だが最初の患者を診た中国・金銀潭医院の医師たちのリポートには無関係であることが記されており、感染源が1つではないことが示された。
 中国国家衛生健康委員会は2月28日、中国本土における新型肺炎の死者が2788人(※うち湖北省の死者は2682人)、累計感染者数は7万8824人(※うち湖北省の感染者は6万5914人)と発表した。要するに湖北省以外の中国での死者は106人、累計感染者は1万2910人である。いかに湖北省に集中しているかが判る。その原因は習近平子飼いの湖北省と武漢市のTOP(公安出身)が新型肺炎問題を「感染阻止」ではなく「治安問題」として対処したことが爆発的な感染拡大を許したのである。
 世界保健機関(WHO)は29日、「危険性評価」で世界全体を中国と同じ最高レベルの「非常に高い」に引き上げた。感染者の多い国・地域を見ると中国に次いで韓国が感染者2931人、死者16人。日本が同941人(うちクルーズ船705人)、死者11人。イタリアが同888人、死者21人。イランが同388人、死者34人。シンガポール感染者が98人。香港同94人、死者2人。米国の感染者が60人。そして仏(同57人)。独(同48人)と続き、世界に拡大している。

クルーズ船の感染拡大

 ダイヤモンドプリンセス号の船内感染状況は、客室待機(上陸拒否の隔離)を閣議決定した2月5日から、下船を認めた19日までに感染者は621人に拡大した。2・19から開始された乗客の下船は3日間で970人。国内では14日間の経過観察で陰性の60代女性が下船後、感染が確認され(栃木県)、その後、感染拡大が確認されている。アメリカでも陰性とされてチャーター機で帰国を認めた乗客から感染が判明。米疾病対策センター(CDC)は21日、米国人乗客約330人の内、18人の感染が帰国後に確認されたと発表。帰国時、すでに陽性が確認されていた14人もチャーター機で帰国した。これを事後に知ったトランプは、中間選挙で政権批判につながることを恐れて激怒したと報じられている。
 安倍政権のダイヤモンドプリンセス号の「上陸拒否・隔離}は、世界の科学者らから「海上の監獄」「新たな震源地」「ウイルスの培養器」「失敗した実験」「日本政府には防疫の概念はないのか」等の批判が相次いでいる。安倍政権には反論できない。

伊で非常事態宣言

 イタリアはコスタ・スメラルダ号の乗客6千人(内750人が中国から)、乗員1千人を検査後の1月31日、全員下船させ、翌2月1日、初の国内感染の確認で「非常事態宣言」を発した。
 韓国では2月19日の感染者は51人、それが4日後には10倍以上の602人に急増。これは大邱(テグ)の教会での集団礼拝での感染拡大が指摘されている。文在寅政権は「危機レベル」を「警戒」から4段階の最高の「深刻」に引き上げた。最高の危機レベルへの移行で文在寅は、集会や行事を禁止できるほか、航空機・鉄道などの運行制限、学校の休学措置、国内規制などの強権発動を可能にした。だが、イタリアの急激な感染拡大が示している事実は「非常事態宣言」などではなく、検査キットと検査体制の世界的構築、ワクチンの早期開発である。
 検査キット・ワクチン開発はこれからだ。 労働者の英知と団結、闘いで早期に必要である。

 日本国内では下船後の乗客は、隔離や医療機関の観察下には置かれていない。船内業務に従事した厚生労働省の職員、検閲官、医療スタッフは検査なしで下船し、通常業務や日常生活を送っていたという衝撃的な事実も明らかになっている。要するにその施設とその機能がないということである。
 安倍政権は1月27日、新型肺炎を「指定感染症」に閣議決定した。感染症法では感染力や重症度などに応じて1類感染症から5類感染症まで分類され、エボラ出血熱は1類感染症、新型コロナウイルスと同じコロナウイルスであるSARSやMERSは2類感染症に定められている。感染性や病原性の強い1類感染症、2類感染症は診療する医療機関も定められている。第2種感染症指定医療機関(351施設、1758床))、1類感染症と2類感染症を診療するのは第1種感染症指定医療機関(55施設、103床)となっており、さらに「未知の病原体による感染症」と認定された新感染症を診療する特定感染症指定医療機関は4施設、10床でしかない。安倍政権は、今後予想さる感染拡大に対処できる国内医療機関・施設を民営化政策で破壊し、破壊してきたことを示している。要するに決定的に不足しているという現実が示されている。

 国立感染症研究所は、通常ワクチンの開発には「年単位の時間が必要」という。新型肺炎のワクチン開発は新規の開発である。米国立アレルギー・感染症研究所は、1月28日の記者会見で「3か月以内にワクチンの効果や安全性を確かめるための臨床試験を始める」と公表した。ノルウェーに本部を置くグローバルな官民機関・感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)は1月23日、「3つの異なる研究チーム」が少なくとも1種類のワクチンの臨床試験を6月までに開始する計画であると公表したが、「全く新しい薬やワクチンを開発する場合、一般的に10年ほどの期間がかかる」ともいわれている。すでに4次感染の発生も報道されている。いずれにせよ研究・開発はこれからだということが示されている。社会を動かし、研究・開発に従事し、その中核を担っているのが労働者だ。 

戦争・改憲阻止へ

 支配階級による、隔離と封鎖、非常事態宣言、緊急事態宣言などの強権発動は、差別と排外主義を鼓吹する国家権力の全労働者への紛れもない分断攻撃だ。労働者の団結と、国際連帯で事態をのりこえていく力強さが求められている。安倍政権は新型肺炎を逆手に取り、「自衛隊明記」「緊急事態条項」の改憲衝動を強めている。これをも許さず安倍打倒へ、労働者の団結で新型肺炎の克服へ突き進もう。これは労働者階級にとって一つの闘いだ。

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イラク派兵で負傷、池田元3等空曹の国賠訴訟控訴審

池田裁判をともにたたかう会・東海 小林

(国は自衛隊員を使い捨てにしか考えていません。私と共に国のウソを暴いていきましょう! 5月12日、名古屋高裁に来てくださいね!)

 池田自衛隊裁判控訴審の日程が5月12日開廷と決まりました。現行憲法に自衛隊を明記する改憲の動きを阻む最前線の闘いとして、自衛隊を労働者の側に獲得する闘いとして控訴審闘争の勝利にむけての闘いは始まりました。
 今なお、自衛隊と国家による監視と裁判つぶしのなかにある原告の生きるための闘いとして、裁判闘争を支えともに闘っていきましょう。
 今回は、2月8日に原告池田元3等空曹、原告弁護団、私たちともに闘う会と支援する会の4者の呼びかけで開催された判決学習会の報告をします。
 増本陽弁護士は、「本件裁判は、控訴人の受傷から退職に至る一連の経過を通じて、海外派遣中の自衛隊員に対する安全保障の内容及び負傷した隊員に対する自衛隊の
対応を明らかにすることにより、今後一層拡大するであろう自衛隊の海外派遣の当否を問う裁判である。」と裁判の意義をまず強調しました。
 そのうえで、制定過程の政府見解などを精密に分析したなかで、「イラク特措法9条は、直接対応措置を実施する隊員とそれ以外の隊員を区別することなく、イラク特措法に基づき対応措置実施のために現地に派遣される隊員すべてについて、その安全を確保すべき規定であることは明かであ(る)」として、限定的に解釈した原審判決を弾劾しました。
 また、原告のマラソン大会が「公務に準じた状況下ではない」とした名古屋地裁判決が、「(池田さんの受傷が)官の支配下にあるが管理下を離れて公務に従事している場合に該当する」(公務災害調査書 乙11号証・43頁)という被告国側の決定をも根拠なく覆す違法認定であることを暴いています。
 そして、公務災害療養給付の打ち切り、原告に対する暴行と不当な配転、いじめなど一連のパワハラによる退職強要についても自衛隊の隠蔽に加担した原審判決を厳しく弾劾したいと控訴審の意義を訴えました。 
 参加者からは、弁護団による名古屋地裁判決批判の切り込みの鋭さへの賛意とともに、池田さん自身が控訴審で一連のパワハラや事件の隠蔽への怒りをぶつけて欲しいという声があがっています。
 安倍政権のもとで自衛隊中東派兵が強行され、自衛隊員と家族は大きな不安を抱えたままです。フクシマ原発事故でも、沖縄基地建設でも政府は真実を隠して責任をとろうとしません。
 池田元3等空曹が裁判に起ち上がったのは「国は平気で嘘をつく」ことへの渾身の怒りです。わたしたち労働組合も「資本家は平気で嘘をつく」ことへの怒りから池田さんの裁判に参加してきました。是非この兵士と労働者を結びつける運動に自衛隊員と家族がつながってほしい。戦争(紛争)・核武装をなくす真の国際連帯が実現するためには、労働者の国際連帯の力がもっとも大切であり、はじめて軍隊を必要としなくなる社会・世界が実現できる基盤もそのなかから生まれてくるのだと考えています。

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(写真  2・2護衛艦「たかなみ」派遣への抗議行動(横須賀ヴェルニー公園と海上から))